「批評」を習慣にするための仕組みと場のデザイン/uxdesign202507

2025/7/10（木）18:30～スタート『TECH PLAY UX Design Conference #3』に日本経済新聞社の笹山さんが登壇しました。
デザインの活動において批評を習慣にするための仕組みと場の設計について発表しました

Transcript

1. 1 日本経済新聞社 情報サービスユニット 企画開発グループ UXUIチーム 笹山七海 2025年7月10日 「批評」を習慣にするための 仕組みと場のデザイン
2. 自己紹介 2 笹山 七海 LINE株式会社（現LINEヤフー）でPMとしてキャリアをスタートし、 2022年に日本経済新聞社へ中途入社。 情報サービスユニットにて、主に法人向けデジタルプロダクトの UXデ ザイン、ユーザーインタビューの企画・推進、データ分析、 DesignOps、チームの予算管理など、幅広く業務を担っている。 1997.1.9 生まれ UXer / Design Program Manager at NIKKEI ささやま　　ななみ
3. 3 「批評」する習慣、 チームに根づいてますか？ 問い
4. 4 なぜ「批評」する習慣が重要か
5. 5 “Design without feedback is theater” Pavel Samsonov(2025)
6. 6 “批評は優れた協働の根底に かかわるものであり、 優れた協働はチームを1つにまとめてす ばらしい製品を生み出す” Aaron Irizarry & Adam Connor(2016) みんなではじめるデザイン批評 ―目的達成のためのコラボレーション &コミュニケーション改善ガイド
7. 7 「組織レベル」では 習慣化できてなかった...
8. わたしたちのチーム プロダクトのデザインとデザイン・システムの 両方を構築し、日本経済新聞社の法人向けデジタルプロダ クトにおけるスタイルと体験の一体化を実現する 8 社員：デザイナー3名／エンジニア3名／部長 外部パートナー：デザイナー 14名／エンジニア3名 チーム構成 ミッション
9. 9 わたしたちが手がけるプロダクト ＼今年3月リリース／
10. 10 マルチプロダクト × 7割が外部パートナー
11. 11 この体制で「批評」を行う構造的難しさ 事業ドメインごとに異なる前提・制約 批評するタイミングや粒度に工夫が必要 何が批評対象なのかの判断がつきにくい 立場の違いが率直な指摘をためらわせる
12. 12 全部、できない言い訳だった
13. 13 「批評」し得るポイントはこんなにある ユーザーの課題の言語化・構造化の仕方 ファクトやインサイトの集め方 判断に使った評価軸とトレードオフ 文脈や制約を踏まえた情報設計やUIの選択 ステークホルダーとのコミュニケーション 論点の粒度や模索のプロセス etc…
14. 14 どう実践したのか
15. 15 「批評」を習慣にする2つのレバー 必然性の 浸透 持続可能性 の維持 ×
16. 16 「批評」を習慣にする2つのレバー 必然性の 浸透 持続可能性 の維持 × ＼まずはこっちから／
17. 17 期待値をすり合わせ、明文化
18. 18 進捗管理が形骸化していた週次の全体定例を見直し... マネージャーと中心的な 人物2-3人が喋るだけ 残りのメンバーは 進捗を聞かれた時のみ 発言 マ
19. 19 全員が「批評する／される」関係になる場へ 会議ホストが毎週発表者＋ファ シリを1名ずつローテで 指名 ホ 発 フ No commentator-only roles! マ 指名 指 名 進行 会議参加者は質問やフィード バックをslackで積極的に行う （行動規範として明文化） ファシリはメインの批評者として 進行を担いつつ、参加者の質 問や意見を引き出す役割
20. 20 必然性の 浸透 持続可能性 の維持 × ＼次に取り組んだ／ 「批評」を習慣にする2つのレバー
21. 21 「どうすれば続くのか？」を構造的に解きほぐした
22. 22 「続けられる仕組み」をこう設計した 枠組み 設計 期待する ふるまいの 明文化 リアルタイム での関心可 視化 発表後の 対話促進 定性＋定量 両側面での 振り返り 初期導入 サポート 発表・ファシリ指名 スケジューリング ターム毎のKPI定義 批評の行動規範整備 批評ワークショップ ファシリガイド作成 パイロット版の実施 発表テンプレ・ 批評切り口集作成 運営 改善プラン の策定 実況スレッド用意 専用slack emoji導入 資料活用数計測 アンケート n=1ヒヤリング 立候補枠の新設 開催サイズ調整 発表終盤に「問い」を 入れるルール導入 活用事例の自動通知 Plan Do Review Feedback Loop
23. 23 - アクセシビリティチェックリスト - ◦◦PJでのダッシュボード機能の要求定義プロセス - 記事閲覧ユーザーの行動パターン類型化と共通言語づくり - 生成AIを被験者にしてユーザーインタビューのロープレをやった話 - リサーチ業務のオペレーション型化と、学びを蓄積できる仕組み - ダイアログ内のライティング設計時に意識する観点 - ◦◦案件のUATの進め方 - ユーザーアンケートの自由記述の分析効率化 etc… これまでにチームで「批評」を行ったものの例
24. 24 手応えは得られたのか
25. 25 他の人がデモで発表していたライティング設計の思索や観点を、 自分の担当案件で実 際のワーディング検討時に参考にできた ユーザーの行動を分析する上での観点（ニーズに基づく記事の読み方）が得られ、 より 精緻に情報構造を立てつけるための根拠づけのヒント が得られた デモを聞いたり、フィードバックを受けたりすることによって、 自分の中の基準が具体的 に引き上がったり、他のメンバーと揃えたりするきっかけ に繋がっている 参加者の声
26. 26 参加者からリーダーが現れるようになった ホ 発 フ 指名 指 名 進行 リ リ コミュニティA コミュニティB UXUIチーム
27. 27 リーダーの具体的なふるまい srst srst srst srst
28. 28 良い循環の火種を仕組みで育てていく srst srst srst sr st 批評で紹介された内容を実務で参 考にした場合、該当ページで「活用 アクション」を行うことで、その情報 がSlackに自動通知
29. 29 チームにとって最も影響力の大きい場の 行動様式に「批評」を組み込む 「批評」を習慣にするためにやったことまとめ 1 2 その変化を支え、継続していくための 動機や仕組み、ルールをデザインする
30. 30 「批評」する習慣を チームに根付かせるために あなたは何をデザインしますか？ 問い
31. 31 ありがとうございました！