Azureコストと向き合った、4年半のリアル / Four and a half years of dealing with Azure costs

2025年10月20日開催「Azure費用最適化のアプローチとイオンの成果～Tipsと事例から学ぶAzureコスト最適化｜AEON TECH HUB #20」の登壇資料です。
https://aeon.connpass.com/event/370644/

Transcript

1. Azureコストと向き合った、４年半のリアル イオンスマートテクノロジー株式会社 DevSecOps Div SREチーム 岩崎 隆至 2025年10月20日 Azure費用最適化のアプローチとイオンの成果
2. 自己紹介 自己紹介 イオンスマートテクノロジー株式会社 DevSecOps Div, SREチーム所属 岩崎 隆至 趣味：映画鑑賞・キャンプ・スノーボード・ゴルフ 2 AEON TECH HUB アイコン
3. 3 iAEONアプリについて 膨大なIDと購買データを集約したアプリ「iAEON」 iAEONはイオングループが提供する決済機能やポイントプログラムを1つにまとめたアプリです。 イオングループ内の多数の事業会社がもつ顧客IDを一つのアプリに統合しています。
4. 4 iAEONアプリについて 膨大なIDと購買データを集約したアプリ「iAEON」 iAEONはイオングループが提供する決済機能やポイントプログラムを1つにまとめたアプリです。 イオングループ内の多数の事業会社がもつ顧客IDを一つのアプリに統合しています。
5. ネクスト アイビス 今年も4周年を記念して様々なキャンペーンを実施。アプリ画面もキティ仕様に！ さらにCan★Doにてオリジナルポーチも販売します！ iAEON周年祭×ハローキティ コラボ実施！ コラボ期間：2025年9月1日～2025年11月30日 アプリデザインコラボは9月30日まで詳しくは「iAEON キティ」で検索♪
6. 6 国内初！おトクを自動で見える化する「iAEONレポート」スタート https://www.aeon.com/aeonapp/news/detail.html?id=20250901_01
7. アジェンダ - 背景と課題 - 施策 - 社内巻き込みとカルチャー - Azureコスト削減の成果 - まとめ 7 本日のアジェンダ
8. アジェンダ - 背景と課題 - 施策 - 社内巻き込みとカルチャー - Azureコスト削減の成果 - まとめ 8 本日のアジェンダ
9. 背景と課題 9 コスト増加でだんだん目立つように - 2021年のiAEONリリース直前の負荷テストで月額コストが約2倍 - Azureコストが目立つようになる - 上位層からコスト削減の指示 - 2021年のiAEONリリース後もユーザー数増やシステム増によりコストも増 加傾向 - 継続的なコスト対策が必要
10. 背景と課題 10 技術的な課題 - コストがなぜ増えたのかコストの仕組みの理解が不十分 - 原因と対策が打てない
11. 背景と課題 11 精神的な課題 - 新しい技術を覚えるわけではないので学習意欲が低い - コスト以外のやるべきタスクを優先にしてしまう - コストより開発が遅れることへのインパクトの方が大きい - 後回しにしてしまう
12. アジェンダ - 背景と課題 - 施策 - 社内巻き込みとカルチャー - Azureコスト削減の成果 - まとめ 12 本日のアジェンダ
13. 施策 13 本番に影響がない施策 ～予約～ - 当初は本番に影響を出さないようにリソース最適化せずに予約を購入(即効 性重視、Quick Win) - Azure Advisorの推奨を参考に予約を購入 - 最近はリソース最適化後に予約を購入 ※本スライド最後に予約購入時に思った事を参考として掲載(時間があれば)
14. 施策 14 本番に影響がない施策 ～ログ関係～ - 構築当初は「とりあえず生」の感覚で「とりあえずLog Analytics」でLog Analyticsに保存 - アクセス数が増加するとログ量も増加するので、リソース上位にランキング 入りし、目立つ存在になる - まずはLog Analyticsのログ量コミットで削減(100G/日単位で購入) - 長期保存するだけのログもLog Analyticsに転送していた為、必要なログだ けを転送する(SREメンバーが発見）
15. 施策 15 本番に影響がない施策 ～ログ関係～ - 更なるコスト削減は生き詰まり、しばらくそのまま - 数年前に導入したNewRelicのログ単価がAzureより安価とわかりNewRelic へログを転送し、更なるコスト削減 https://zenn.dev/aeonpeople/articles/778042638d4259
16. 施策 16 本番に影響がない施策 ～停止運用～ - リソースによっては停止する事でコスト発生を防ぐ事ができる - 検証環境のVirtual Machineの夜間停止(自動停止、自動起動) - 夜間停止に伴い約1/3のコストを削減
17. 施策 17 本番に影響がある施策 ～ストレージアカウント～ - 大量なデータについてプロダクト担当者にデータの整理を依頼するが、開発 優先で思うように進まない - データ削減せずにHot層からCool層にする事でコスト削減(チームメンバー が発見、ファインプレー） - 予約を購入し更なる削減 https://zenn.dev/aeonpeople/articles/morihaya-20250327-azure-storage_costdown
18. 施策 18 本番に影響がある施策 ～MySQLのIOPS変更～ - 「Azure Database for MySQL Single Server」の時は「Pre-provisioned IOPS」で固定 - プロダクト担当からは必要なIOPSで削減は難しい - Single Serverのサポート終了に伴い「 MySQL Flexible Server」に移行 - 「MySQL Flexible Server」は「Auto scale IOPS」の選択が可能 - Storage IO Count metricを確認し、低いIOPSを対象にDBを選定 - 「Auto scale IOPS」にすることで月額100万のコストダウン
19. 施策 19 本番に影響がある施策 ～MySQLのIOPS変更～ - IOPSの削減はメンバーによる、入念な事前調査により本番影響を発生せ ず、コスト削減 - 詳しく知りたい方は「AEON TECH HUB」に3部作の記事 https://zenn.dev/aeonpeople/articles/2c2f706c0ae173 https://zenn.dev/aeonpeople/articles/a1cee204ce9529 https://zenn.dev/aeonpeople/articles/morihaya-20250212-azure-mysql-iops3
20. アジェンダ - 背景と課題 - 取り組み - 社内巻き込みとカルチャー - Azureコスト削減の成果 - まとめ 20 本日のアジェンダ
21. 社内巻き込みとカルチャー 21 コスト可視化 - Azureのコスト管理画面は慣れないと知りたいコストを表示できない - コスト管理画面にプロダクト毎のViewを作成し、サービスごとに日々の推 移を表示するようにコストを可視化 View数：16個
22. 社内巻き込みとカルチャー 22 コスト可視化 - SREとプロダクト担当者で実施している週次のダッシュボード(リソースの メトリック)を眺める会にコストも眺める時間を追加 - 最近始めた施策でSlackやTeamsに日々のコスト(日次レポート)を通知する ことでAzureポータルにアクセスせずにコストの状況が確認できる(メンバー お手製)
23. 社内巻き込みとカルチャー 23 コストの変化に気づく - Azureの標準機能の異常コストアラートを設定 目的は意図しないコストが継続して発生しているのを防止する事 https://learn.microsoft.com/ja-jp/azure/cost-management-billing/understand/analyze-unexpected-charges コストの異常は毎日、サブスクリプションに対して評価され、その日の合計使用量を過去 60 日 間に基づく予測合計と比較し、最近の使用状況の一般的なパターンを考慮します。 たとえば、毎 週月曜日に急上昇したとします。 異常検出は、1 日の終わり (UTC) から 36 時間後に実行され、 確実に完全なデータ セットを使用できるようにします。
24. 社内巻き込みとカルチャー 24 コストの変化に気づく - アラート設定当初はSREチームで週次(30分)でアラートを確認 - アラート内容にはリソースグループ名しかわからないので原因のリソースを 見つけるのは難しい https://zenn.dev/aeonpeople/articles/fafb830ab8b341
25. 社内巻き込みとカルチャー 25 コストの変化に気づく - ノウハウが蓄積できた段階でSREチーム内で持ち回りでアラートを確認 - 週次のダッシュボードを眺める会にコストアラートの確認を追加(最近実施) - 最終的にはアラートが通知されたらリアルタイムでプロダクト側で確認(最終 ゴール)
26. 社内巻き込みとカルチャー 26 コストの変化に気づく 事例① - メンバーが見つけた事例として、眺める会で「Defender for Storage」コス ト増を検知、MSサポートに問合せ「固定プラン」に変更するとコストメ リットがあることがわかり、対応した結果が以下のグラフ コスト変化に気づく事で別のサービスに切り替えてコスト削減する事例 コスト増が 発覚 固定プランに変更 してコスト削減
27. 社内巻き込みとカルチャー 27 コストの変化に気づく 事例② - メンバーが見つけた事例として、異常コストアラートをきっかけに日単位の グラフでコストを確認すると、「Bandwidth(帯域幅)」のコスト突然目立つ ようにコストが発生 サポートに問合せした結果、誤課金が発覚、返金で対応していただいた 思わぬ発見となる事例
28. 社内巻き込みとカルチャー 28 コストの変化に気づく - 予算アラート 月額の予算を超過しないか気づく - 予約使用率のアラート 購入した予約が無駄になっていないか気づく https://learn.microsoft.com/ja-jp/azure/cost-management- billing/costs/reservation-utilization-alerts https://learn.microsoft.com/ja-jp/azure/cost-management-billing/costs/cost-mgt- alerts-monitor-usage-spending#budget-alerts
29. - 背景と課題 - 取り組み - 社内巻き込みとカルチャー - Azureコスト削減の成果 - まとめ 29 本日のアジェンダ
30. Azureコスト削減の成果 30 4年半のコストの推移とサブスクリプション数 - コスト：iAEONリリース時から約4倍(コスト対策実施に対して) - サブスク数：49 iAEONリリース時から3.5倍 iAEON リリース 約２５％の削減
31. - 背景と課題 - 取り組み - 社内巻き込みとカルチャー - Azureコスト削減の成果 - まとめ 31 本日のアジェンダ
32. まとめ - 速攻性重視の場合はリソースそのままで予約購入も一つの選択 - できればリソース最適化後に予約などでコスト最適化 - ログ削減、停止運用、アーキテクチャの改善でコスト削減 - コスト最適化は継続的な改善と社内文化の醸成が鍵 - 現場主導の取り組みが大きな成果につながる - チームでの活動で新たな発見ができる - 可視化と気づきの仕組みが重要 32 継続的コスト最適化
33. まとめ - SlackやTeamsへの日次コスト通知(日次レポート)の拡大と定着化 - Advisorアラート(コスト)を活用し、無駄なコスト発生に早く気づける仕組み づくり - コストガードレールの導入 - FinOpsフレームワークを活用し、網羅的なコスト最適化を目指す 33 今後の展望
34. テックブログ Meetup SNS オウンドメディア 1 2 3 4 会社紹介：いろいろやっています！！ イオングループのエンジニ アたちにより、 Zennの Publicationで運用されてい るテックブログ 毎月オンライン or オフライ ンで実施されているAEON主 催のテック系イベント AEON TECH HUB関連の活 動についての情報をポスト していきます AEONグループの社員インタ ビューや登壇レポート、イ ベントのお知らせなどの 様々な記事をお届けします
35. 参考 35 予約購入で思ったこと - リソースによって予約購入の単位が違うので購入するまでにそれを理解する 必要がある為、意外と時間がかかる 例えば、VMはインスタンス数、MySQLはコア数 - 予約の画面ではサブスクリプションでフィルターができないので、予約名に サブスクリプション名を入れるとサブスクリプションでフィルターできるの で後々便利(予約名は後から変更可能） - 予約の無駄が心配な場合は予約の適用範囲を確認しながら、少しずつ予約 を購入する手段も有効 例 VM(D4s v4)に対して、スケールダウンを想定してD2s v4を購入など