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「リリース後」に向き合うAI駆動開発の実践

 「リリース後」に向き合うAI駆動開発の実践

「Timee AI Sprint Day2 「リリース後」に向き合うAI駆動開発の実践」の登壇資料です。
https://timeedev.connpass.com/event/390292/

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April 21, 2026

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Transcript

  1. Yu Nakamura - chanyou • スタートアップでデータエンジニアとして交通データ分析基盤 の構築‧運⽤を経験 • その後、株式会社タイミーの DRE

    グループにジョイン • 最近はデータ利活⽤の⺠主化をキーワードに、 データモデリングやAIエージェントの開発に注⼒ • 広島在住。趣味はおうち Kubernetes クラスタ
  2. AI-DLC の全体像 • AI-DLC とは AI を開発プロセスの中核に据えたワークフローのこと ◦ スクラムをやめて AI-DLC

    で開発をしている • Intent(意図)を AI に与えて、実装させるのが基本的な流れ ◦ Intent 単位で開発を⾏う ◦ スクラムでいう PBI に近い概念だが、AIの恩恵で粒度は⼤きめ
  3. AI-DLC の全体像 • Intent を3つのフェーズで、段階的に成果物を残しながら実装していく ◦ Inception: 何を作るか、なぜ作るかを決める ◦ Construction:

    どう作るかを設計‧実装する ◦ Operation: リリース後の検証と運⽤ • 各フェーズの中でも、細かくステージが定義されている
  4. AI-DLC の始め⽅ • awslabs/aidlc-workflows リポジトリに AI-DLC のルールがまとまっている ◦ Claude Code

    や Cursor を使ったスタートガイドが記載されている • おすすめの始め⽅ ◦ 1. チームごとに AI-DLC ⽤の git リポジトリを作成する ◦ 2. aidlc-workflowsリポジトリのルールを空のリポジトリに持ち込む ▪ スキルとして各フェーズを呼び出せるようにしておくと使いやすい ◦ 3. 複数の Intent の成果物を扱えるようにルールやスキルを調整する ◦ 4. コードリポジトリも参照‧編集できるようにしておく
  5. AI-DLC の始め⽅ • /inception <Intent> で開始して AI がルールに沿って進⾏ • Intent

    や要件の明確化からコードリポジトリの PR 作成まで、 成果物を残しながら進む
  6. 特徴① AI の⾃律性を引き出す • 細かい仕様を伝えるのではなく「意図」を伝える ◦ 例「ソーシャルログインを導⼊して会員登録時の離脱率を下げたい」 • AI からの質問や提案に答えながら仕様を明確化

    • AI の振る舞いはルールやスキルで固めて⾃律的に動かす 🙋「こういうコードを書いて」 → 「こういうことしたいんだけど、どう思 う?」
  7. リリースまでは速くなった。その先は? • AI-DLC の実践で Intent をリリースするまでのリードタイムは短くなる • リリース後の検証や運⽤にかかるリソースの⽐重が⼤きくなっていく ◦ 「ビジネス意図に沿った変化が出ているか?」

    ◦ 「⼀度リリースした機能が使い続けられているか?」 ◦ 「定期的なバッチ処理は健全か? 所要時間に異常はないか?」 • aidlc-workflows でも Operation はプレースホルダだった • 独⾃に Operation フェーズを構築した
  8. Operation フェーズの性質 • Inception: 何を作るか、なぜ作るかを決める WHY / WHAT • Construction:

    どう作るかを設計‧実装する HOW • Operation: リリース後の検証と運⽤ SO WHAT? • Inception / Construction: 「意図→現実」 • Operation: 「現実→意図」
  9. 理想状態を3つの概念に落とし込む • 先ほどのイメージ例「インフラ指標: SLO / ビジネス指標: ⽬標値」 • 守りと攻めの2つの性質に分けられる。独⾃の概念に落とし込んだ •

    Contract ◦ 「このサービスが正常とはどういう状態か」を定義する ◦ 定量的に SLO としてもよいし、定性的に表現されてもよい • Objective ◦ 「このサービスを通して実現したいビジネス⽬標は何か」を定義する ◦ 「離脱率を20%下げる」のように定義される ◦ Objective の達成に向けて複数の Intent を積み重ねていく
  10. 理想状態を3つの概念に落とし込む • Contract / Objective も AI が読み込める環境に定義する ◦ AI-DLC

    のリポジトリに Markdown に定義する ◦ MCP Server 経由で取得できる環境に定義する • 不確実性の⾼い Intent は仮説と⾔える ◦ 「X すれば Y が起きるはず」 ◦ こういったものも AI と⼀緒に仮説検証したい • Intent Objective ◦ Intent で成し遂げたい⽬標を定義する ◦ Inception フェーズで定義して成果物として残す(ようにルールを調整する)
  11. 理想状態を Operation の⼊⼒とする • Operation の⼊⼒として Contract / Objective /

    Intent Objective を指定する ◦ /operation <contract-path> のようなイメージ ◦ 観察対象や状況判断の振る舞いを調整させる • Operation の実⾏タイミング ◦ Contract / Objective: Intent ライフサイクルの外。週次の定期実⾏など ◦ Intent Objective: Intent のデリバリー後。
  12. AI-DLC の各フェーズのまとめ • Inception: 何を作るか、なぜ作るかを決める WHY / WHAT • Construction:

    どう作るかを設計‧実装する HOW • Operation: リリース後の検証と運⽤ SO WHAT? • Inception / Construction: 「意図→現実」 • Operation: 「現実→意図」
  13. シナリオ設定 • 架空の EC サイトを開発しているものとする • Objective: 会員登録時の離脱率を 10% 下げる

    • Intent: ソーシャルログインを導⼊して離脱率を下げたい • /inception ソーシャルログインを導入して離脱率を下げたい で開始
  14. Inception — Intent Objectiveの定義 • 先⾏指標 ◦ ソーシャルログインの利⽤率が新規登録の 30% 以上

    ◦ メカニズムが機能しているかの早期判断 • 遅⾏指標 ◦ 会員登録時の離脱率がリリース前⽐ 5% 改善 ◦ 最終的に改善したい成果指標 • リリース後に何を Observe するかを開発前に決めておく
  15. Operation — Intent Objectiveの定義 • Construction が終わってリリース後に Operation を開始する ◦

    /operation ソーシャルログインを導入して離脱率を下げたい • Observe ◦ BigQuery から、ソーシャルログインの利⽤率が55%、離脱率が4ポイント改善と観測 • Orient ◦ 利⽤率は⽬標の30%を上回るで意図通りの結果。離脱率は⽬標の5ポイント改善は未達。 • Decide ◦ ⽬標未達だが、⽅向性は正しい。別のアプローチを提案する • Act ◦ 新しい Intent 「⼊⼒フォームの簡略化」をユーザーに提案する
  16. AI が Observe しにくい情報の重要性 • Operation が洗練されるほど、AI で Observe しにくい情報の重要性が増す

    • N1分析のような、現時点で⼈間だけが⾏えるインタビュー‧探索活動 • AI の定量的な観測と⼈間の定性的な対話の棲み分けが求められる
  17. まとめ • AI-DLC の基本的な流れと独⾃構築した Operation フェーズについて紹介した • リリース前もリリース後も理想と現実のギャップを埋め合わせる活動である ことに変わりはない ◦

    リリース前の現実はコードを読み取ることで観測できる ◦ リリース後の現実の観測には、データ基盤の整備が効果的 • まだまだ荒削りなので、引き続き改善を重ねて洗練していきたい