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「2018年9月6日北海道胆振東部地震に よるランドスライドの空中写真判読と GIS解析」 北...

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March 25, 2019

「2018年9月6日北海道胆振東部地震に よるランドスライドの空中写真判読と GIS解析」 北海道総合地質学研究センター 理事 山岸宏光氏 /2019-03-25_emtiburi04

2019年3月25日(月)第2回 平成30年北海道胆振東部地震・地理空間情報活用懇談会https://dghok.com/event/3412.html

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March 25, 2019
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  1. 2018年北海道胆振東部地震発生 • 死者39名以上(2018年 9月10日現在). 主に 土砂災害による犠牲者 • 北海道全域の大停電 • 札幌市の清田区や北区、

    東区、苫小牧などで液 状化災害が発生。 防災科研の震度分布図。 本震の震央より西側が多 きい。地下の断層が西に かた向いているか。
  2. 地震規模 M6.7 最大震度7 • 地震推進本部は 石狩低地東縁断 層帯の南東で、 深度37km。直下 型にしては深い。 既存の断層帯と

    は関係ないとの 見解。2019年2月 21日午後9時21 分M5.7,最大震度 6弱(厚真町) 防災科研の震度分布図 (2018 9月11日) 2019年2月26日 地理院地図による震源分布
  3. GIS解析に使用したデータ • 使用した関連データ • 地理院によるオルソ画像(高解像度) シン技術コンサルによるCBZ • ラスターデータ • 1)地理院基盤地図情報標高データ

    10m_DEM • 2) 5万分の1地質図「追分」、「紅葉山」、 「早来」、「穂別」、「富川」、「鵡川。 • 3)国土数値情報の土地利用図 • ベクターデータ • 1) 北海道応用地質学会 デジタルマップ 北 海道土木地質図、 • 2)北海道の地すべり地形デジタルマップ • 3) 恵庭岳と樽前山の等降灰厚マップ(広瀬 亘氏提供) • 4) 環境省:植生分布図 • 実施したGIS解析 • 1)写真判読以外にCBZ(地 貌図)を活用した • 2)DEMによる標高、地形 傾斜、アスペクトとランスラ イドの関連検討 • 3)5万分の1地質図から判 読した地層傾斜や走向データ、 地質構造との関連などを検討
  4. GIS解析の手法 • 1)GIS soft はArcGIS 10.2 • 2)判読作業はポリゴン を作成-座標系は WGS_1984_UTM

    _54N • 3)Geometry 変換でポリ ゴン→ポイントにする • ベクター解析 • 4) GeoProcessing (intersect, merge, buffer)などを使う • 5)傾斜ポイントはラスター地 質図から読み取りIDWで等高 線を作成 • 6) 走向ポリラインはフィー ルド演算でpython script の入 力で計算 • ラスター解析 • 7) 10m_DEMの切り取りは • Arc Tool BoxのSpatial Analystの 抽出→マスク • 傾斜度(slope), 傾斜アスペ クト(slope aspect)は上記と 再分類を使う
  5. 中間的まとめ  今回の地震は総じていうと、2004年10月23日 に発生した中越地震: M6.8, 震源深さ13.1km, 最大震度7, 死者68, に類似。地形地質:新 第三紀層からなる丘陵域で地すべりと崩壊が多発。

     今回の地震は、2018年9月6日に発生し、M6.7, 震源深さ37km, 最大震 度7, 死者41, 地形地質:新第三紀層を基盤として、降下軽石・火山 灰からなる丘陵域で、ランドスライドが多発した。  地理院のオルソ画像を、S タイプ(スプーン型)、P タイプ(平滑型)、 Jタイプ(地滑りタイプ)に3区分して判読した。  判読により、総数は8200か所認定した。それらと地形地質に関するデ ジタルデータ(10m_DEMによる地形データ、地質図、地層傾斜図、火 山灰等層厚線マップなどを関連させて、様々なGIS解析を実施した。  ここまでわかったことは、多くの斜面災害(ランドスライド)の多く は火山灰層の滑落であるが、南東部は火山灰が薄く、むしろ第三紀層 の流れ盤的である。しかし、全体としてみると, 今回のランドスライ ドの分布は、火山灰分布図よりは、基盤の地質岩相に左右されている のではないかという疑問が出てきた。今後の検討課題である。  今後LR手法によるサセプテイビィリテイマップ(susceptibility map) の作成を試みる予定。