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「北海道胆振東部地震に伴う斜面崩壊の把握と植生の関係」 株式会社地域環境計 浜田拓氏、阿部この...

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March 25, 2019

「北海道胆振東部地震に伴う斜面崩壊の把握と植生の関係」 株式会社地域環境計 浜田拓氏、阿部このみ氏 / 2019-03-25_emtiburi02

第2回 平成30年北海道胆振東部地震・地理空間情報活用懇談会
https://dghok.com/event/3412.html

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March 25, 2019
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  1. ◇ 2018年9月6日 地震発生 ◇ 9月9日 GIS化作業開始(9/6, 9/8撮影分) ◇ 9月11日 国土地理院から追加写真公開

    ◇ 10月2日 GISデータ完成(9/6~9/11撮影分) ◇ 10月10日 GISデータを当社HPで公開 斜面崩壊地の図化結果公開
  2. 調査結果② ②-1 崩壊地の植生 ◇植生タイプ毎の崩壊面積 斜面崩壊範囲×植生タイプ 環境省植生図(大区分) 面積(ha) 下部針広混交林 444.0 渓畔林

    100.8 沼沢林 0.5 河辺林 2.4 自然草原 0.4 落葉広葉樹二次林 1231.2 二次草原 25.8 伐採跡地群落 114.6 湿原・河川・池沼植生 0.0 植林地 932.1 牧草地・ゴルフ場・芝地 3.0 耕作地 4.1 市街地等 1.1 計 2860.1 植生図:第6回・第7回自然環境保全基礎調査植生調査(環境省生物多様性センター) 1/25,000植生図 (http://gis.biodic.go.jp/webgis/) 地形図:国土地理院 地理院タイル(https://maps.gsi.go.jp/development/ichiran.html)
  3. 調査結果② ②-2 崩壊しやすい植生は? ◇斜面崩壊範囲のうち 「メッシュ内崩壊地面積5.1%以上」 を対象に 「崩壊地」 について 集計してみました 崩壊比/全体比

    (植生ごと) 1= 関係性小さい 1> 崩れにくい(?) 1< 崩れやすい(?) 5.1%以上 植生図:第6回・第7回自然環境保全基礎調査植生調査(環境省生物多様性センター) 1/25,000植生図 (http://gis.biodic.go.jp/webgis/) 地形図:国土地理院 地理院タイル(https://maps.gsi.go.jp/development/ichiran.html)
  4. 大区分 凡例名 メッシュ5%以上面積ha(A) 全体比(A) 崩壊地面積ha(B) 崩壊比(B) (B/A) 自然草原 オオヨモギ-オオイタドリ群団 1.25

    0.00 0.17 0.00 0.9 ヨシクラス 2.35 0.00 0.00 0.0 河川敷砂礫地植生 3.41 0.00 0.02 0.00 0.0 下部針広混交林 エゾイタヤ-ミズナラ群落 3659.11 0.21 388.89 0.15 0.7 ヤナギ高木群落(IV) 39.21 0.00 0.51 0.00 0.1 ヤナギ低木群落(IV) 0.38 0.00 0.00 0.0 ヤマハンノキ群落 5.84 0.00 1.40 0.00 1.6 渓畔林 ハルニレ群落 1052.25 0.06 84.42 0.03 0.5 ハンノキ-ヤチダモ群集 21.82 0.00 0.50 0.00 0.2 ハンノキ群落(IV) 2.31 0.00 0.02 0.00 0.0 ウダイカンバ群落 10.81 0.00 2.64 0.00 1.7 カシワ群落(V) 3.71 0.00 0.72 0.00 1.3 コナラ-ミズナラ群落 2389.04 0.14 470.56 0.18 1.3 ササ-シラカンバ群落 0.58 0.00 0.16 0.00 1.9 シラカンバ-ミズナラ群落 3466.30 0.20 621.35 0.24 1.2 アカエゾマツ植林 94.61 0.01 9.98 0.00 0.7 カラマツ植林 3860.18 0.22 646.01 0.25 1.1 シラカンバ植林 47.71 0.00 4.35 0.00 0.6 ストローブマツ植林 183.03 0.01 23.75 0.01 0.9 その他植林(常緑針葉樹) 3.38 0.00 0.00 0.00 0.0 その他植林(落葉広葉樹) 80.62 0.00 9.59 0.00 0.8 トドマツ植林 1017.47 0.06 137.50 0.05 0.9 外国産樹種植林 138.25 0.01 18.09 0.01 0.9 オオアワダチソウ群落 87.69 0.01 0.12 0.00 0.0 ササ群落(V) 103.93 0.01 24.02 0.01 1.6 伐採跡地群落 伐採跡地群落(V) 487.49 0.03 106.83 0.04 1.5 水田雑草群落 219.53 0.01 0.11 0.00 0.0 畑雑草群落 156.31 0.01 1.57 0.00 0.1 路傍・空地雑草群落 13.49 0.00 0.95 0.00 0.5 ゴルフ場・芝地 9.70 0.00 0.00 0.0 牧草地 137.09 0.01 0.11 0.00 0.0 開放水域 54.22 0.00 0.06 0.00 0.0 工場地帯 7.69 0.00 0.17 0.00 0.2 市街地 2.71 0.00 0.00 0.0 造成地 12.14 0.00 0.00 0.0 緑の多い住宅地 24.40 0.00 0.68 0.00 0.2 河辺林 落葉広葉樹二次林 牧草地・ゴルフ場・芝地 二次草原 植林地 沼沢林 湿原・河川・池沼植生 市街地等 耕作地 調査結果② ②-2 崩壊しやすい植生は? 崩れやすい? 普通 崩れにくい
  5. 調査結果② ②-3 消失した植生の評価 植生自然度 植生自然度 区分内容 例 10 自然草原 高山ハイデ、風衝草原等

    9 自然林 下部針広混交林、ハルニレ群落等 8 二次林 (自然林に近いもの) ミズナラ林の大径木林等 7 二次林 ミズナラ林等 6 植林地 カラマツ、トドマツ等 5 二次草原 (背の高い草原) ススキ等 4 二次草原 (背の低い草原) シバ等 3 外来種植林 農耕地(樹園地) 2 外来種草原 農耕地(水田・畑) 1 市街地等
  6. 調査結果② ②-3 消失した植生の評価 崩壊+堆積 について集計 地震前:A 地震後:B 自然草原 オオヨモギ-オオイタドリ群団 10

    1.2 0.7 56.7% ヨシクラス 10 2.3 2.3 100.0% 河川敷砂礫地植生 10 3.4 1.5 44.2% 下部針広混交林 エゾイタヤ-ミズナラ群落 9 3659.1 3094.9 84.6% ヤナギ高木群落(IV) 9 39.2 33.9 86.4% ヤナギ低木群落(IV) 9 0.4 0.0 6.2% ヤマハンノキ群落 9 5.8 3.0 50.8% 渓畔林 ハルニレ群落 9 1052.3 640.9 60.9% ハンノキ-ヤチダモ群集 9 21.8 15.9 73.0% ハンノキ群落(IV) 9 2.3 2.2 95.6% ウダイカンバ群落 7 10.8 6.2 57.4% カシワ群落(V) 7 3.7 1.9 52.5% コナラ-ミズナラ群落 7 2389.0 1763.0 73.8% ササ-シラカンバ群落 7 0.6 0.2 39.2% シラカンバ-ミズナラ群落 7 3466.3 2612.9 75.4% 大区分 群落名等 自然度 面積(ha) 残存率 =B/A 湿原・河川・池沼植生 河辺林 落葉広葉樹二次林 沼沢林 減少大きい ⇓ 植生の多様性 低下?
  7. まとめ ◼ 北海道胆振東部地震によって発生した斜面崩壊を、植生との比 較を念頭に置いて「崩壊地」、「堆積地」に区分して図化を行った。 ◼ 崩壊地は非常に多数認められ、震度の大きかった地域に集中す る傾向が認められたほか、火山灰が堆積した地質との関係性も 示唆された。 ◼ 既存の植生図と比較した結果、落葉広葉樹二次林や伐採跡地

    がやや崩れやすいという傾向があった。なお、植林地は特に崩れ やすいという結果は示されなかった。 ◼ 植生の多様性の観点からは、自然度の高いハルニレ群落の減 少率が大きく、地震に伴う斜面崩壊によって、地域的な植生の多 様性を低下させている可能性が考えられた。