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防災デジタル分野での官民共創の取り組み (2)DIT/CCとD-CERTについて

防災デジタル分野での官民共創の取り組み (2)DIT/CCとD-CERTについて

JAWS FESTA 2025 in 金沢での講演スライドです。
https://jawsfesta2025.jaws-ug.jp/

講演者:福島 直央(耐災害デジタルコーディネーションセンター 理事 / ファストドクター株式会社 執行役員)

防災デジタル分野での官民共創の取り組みを紹介します。

防災DX官民共創協議会(BDX)、耐災害デジタルコーディネーションセンター(DIT/CC)など民間団体の取り組み、8/5にデジタル庁から発表された「災害派遣デジタル支援チーム(D-CERT)」の紹介を通して、防災分野における官民共創でどのようなことをやっているのか、今後民間のエンジニアが防災にどのように貢献できるかを講演&パネルディスカッション形式でお伝えいたします。

#jawsfesta2025 #jawsfesta #jawsug #BDX #BosaiDX

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Masakatsu Sugii

October 11, 2025
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Transcript

  1. 自己紹介 1 福島 直央 耐災害デジタルコーディネーションセンター 理事 防災DX官民共創協議会 課題特定部会 副部会長 AI防災協議会

    理事 静岡大学 情報学部 客員教授 日本遠隔医療学会 運営会議議員 日本デジタル医学会 理事 神戸市 レジリエンステクノロジーオフィサー 山口市 CIO補佐 神奈川県 デジタル戦略本部室 DX推進アドバイザー ファストドクター株式会社 執行役員(公共政策・地域医療・広報担当)
  2. 防災DX:考え方の基本 3 すべては、人命を救うため に ・ 災害関連死を1人でも救うために何ができるか。いつ発災するかわからない状況で事前の準備が重要。 そのために目指すべきは 「救助が不要の世界」 ・ そもそも該当者全員が事前に避難していれば、危機的状況になることはなく、救助は必要なくなる。

    事前防災 → 災害予測 → 事前避難 → 被害把握 → 復興支援 ・ 事前防災の考え方は非常に重要。「未災コンセプト」 デジタル化された社会だからこそ 今できることがある ・ デジタル化された社会で生み出される膨大なデータを駆使することで、1人でも死者を減らす。 ・ そのために今こそ防災DXが必要。地震雷火事大雨等自然災害に限らず、軍事事象やテロ等にも有効になる。
  3. 能登半島から南海トラフ・富士山噴火等広域災害へ 4 • 南海トラフ地震での支援は • そもそも被災地に行けるか • 支援すべき自治体が多すぎる • 主要産業ベルト地帯が被災地

    • 能登半島地震での支援は日本各地か ら行われた • 県庁所在地の金沢市はほぼ無傷 • 日本全国他地域は元気 限られたリソースを最大活用するためにデジタル技術を使う以外の選択肢があるか? デジタルでも官民連携は必須になるはずで、総力戦にならざるを得ないのでは? そして、この災害大国日本で対応したデジタル技術は、世界で必ず通用する 防災DXを積極的に推進し、災害への対応力を上げつつ海外への展開を。 ボランティアやプロボノに頼らず、防災DXの市場を形成
  4. 団体概要 5 新設団体名 一般社団法人 耐災害デジタルコーディネーションセンター 新設団体名(英語) Disaster-response Digital InTelligence Coordination

    Center(DIT/CC) 設立目的 災害における各機関への防災及び災害対応のデジタル化の支援を通じて、 災害対応力の強化と災害関連死ゼロを実現させること 最高顧問 臼田裕一郎 防災DX官民共創協議会 理事長/防災科学技術研究所社会防災研究領域総合防災センター長 理事 江口清貴 防災DX官民共創協議会 専務理事/LINEヤフー株式会社 会長室 ソーシャルアクション推進室 室長 関 治之 一般社団法人コード・フォー・ジャパン 代表理事 北野菜穂 一般社団法人ユニバーサルメニュー普及協会 理事 福島直央 ファストドクター株式会社 執行役員 VP of Public Policy 小林 誠 I-レジリエンス株式会社 代表取締役社長CEO 杉井正克 一般財団法人GovTech東京 シニアエキスパート 山本純平 ワークログ株式会社 代表取締役 高田佳紀 防災DX官民共創協議会 部会統括 事業内容 災害対応に関する公民デジタル連携コーディネーション 災害対応に関するデジタル人材の教育、訓練、派遣等 災害対応に関する資格制度の企画運営 災害対応に関するデジタルツール企画開発運用 災害対応に関するデジタルデータ企画収集運用 災害対応に関するイベント、講演会、書籍出版等 災害対応に関するコンサルティング その他災害対応に関する事業
  5. 6 本旨は被災自治体等への官民連携によるデジタル支援により、被災状況の把握、被災者支援の効率化により、災害関連死の軽減と復興期間の短縮を目指すもの。 防災DXが進まないことにより、災害対応が後手になっている現状をデジタルで解消したい 1. デジタルスキルを持つ人材が現地に居ない • 特に地方部の被災基礎自治体には、デジタルスキルを持つ人材が枯渇している。ましてやデータを取り扱える人材は皆無。 • そもそも被災地であるため、自治体職員自体が被災者。職員の稼働は平常時の1/5程度まで落ち、デジタルに人員を割く余裕は無い。 →刻々と変わる末端被災地からの状況情報がデジタル化されていないため、アナログ→デジタル変換が必要

    2. データを利用出来る環境が現地に無く、首長等にデータを基にした状況を報告出来る人材も居ない • 平時稼働の情報システムがあるケースがあるが、データ化されてない、且つ環境上、すぐに現地でデータ整備ができない。 • 災害発生時は様々な現実業務に忙殺され、データの利用まで手が回らず、結果EBPMは後回しに。 →EBPMのEが、Evidenceではなく、EpisodeやEmotionalに。結果支援の抜け漏れや偏りが発生 3. 災害時の官民連携コーディネーション機能が無い • 災害時には民間企業等から、被災地へのソリューションの提供申し出が大量に来る。 • 災害時には被災自治体は、デジタル支援を必要とするが、何が使えるかの真贋判定能力や、導入に向けての調整等の能力は無い。 →この支援側と受援側のコーディネーターたる中間調整組織の不在 4. データやデジタルソリューションの調達に向けての調整、事務等が出来ない • 民間企業が持つデータで災害時に有益なものは多々ある。無償提供の申し出があってもデータの受け渡しまで調整等で時間がかかり時期を逃す。 • そもそも被災自治体には外部サービスの調達事務まで被災自治体側が手が回らないのが現状。 →故に無償提供でのみ実施実績が積み上がり、正当な調達に至らない 能登半島地震対応での経験を基に、災害対応が出来るデジタル人材を被災地へ送り出し、災害対応のDX化を本格的に加速させたい。 解決する課題
  6. 新総合 防災情 報シス テム Asis 民間企業がバラバラに官公庁や地方公共団体に情報を提供 公的なデータは新旧混在や必要なデータがないなど、有りもの で作られるサービス自体もPoorになる 新総合防災情報システムが立ち上がったばかりで一旦公共団体 とのデータの相互参照のみ

    データ 中央省庁 データ 中央省庁 データ 中央省庁 データ 地方公共団体 データ 地方公共団体 データ 地方公共団体 民間企業 データ 民間企業 データ 民間企業 データ 支援 サービス 支援 サービス 支援 サービス 7 災害時官民デジタルデータ連携コーディネーション
  7. ToBe サービスだけではなく、データ分野でも公民連携 により適正化、迅速化を目指す さまざまな立て付けで必要サービスが構築でき、 協働や流通支援も可能にする データ 中央省庁 データ 中央省庁 データ

    中央省庁 データ 地方公共団体 データ 地方公共団体 データ 地方公共団体 民間企業 データ 民間企業 データ 民間企業 データ 支援 サービス 支援 サービス 新総合防 災情報シ ステム (例) 連携 支援 サービス 今回の提案の範囲 流通支援 8 災害時官民デジタルデータ連携コーディネーション(競争から共創・協調へ)
  8. 9 1. 官民連携デジタル支援コーディネート機能の提供 • 災害発生時及び発災前、デジタルを用いた民間支援を円滑に実施するための民間⇔自治体間の調整 • 災害発生時には、被災自治体のデジタル支援の受援体制の余裕はなく、調整を外部支援する必要 • 自治体に対する民間企業の防災DX対策及び被災地支援のコーディネート 2.

    災害時派遣デジタル支援チームの創設 • 災害時にスキルと前提知識を持ったデジタル人材による現地派遣または被災地遠隔支援実施 • 被災自治体のデジタル災害対応のサポートと組織間コーディネート 3. 災害時に使えるデータの整備と利活用ツールの制作とデジタル公共財化の推進 • 事前、発災後に使えるデータカタログとデータ連接の整備 • 派遣チームが使用するデータおよびツール群の整備 各災害支援機関同士のデータ連携調整の実施 被災自治体への災害時のデジタル活動方針の策定支援 課題に対する解決策 2.災害派遣デジタル 支援チーム派遣・運営 ・民間デジタル人材の派遣体制整備 (資格制度の運営、マニュアルなど) ・人材育成・普及啓発(研修コンテンツ作成) ・各団体、民間が持つデータとの接続・連携 ・初動対応などのデータアセット、カタログの生成 ・取得・活用するツールの整備(オープンソース) 1.被災者データベース 3.防災データおよび 利活用ツールの整備 (デジタル公共財) • 民間支援組織等と被災(自治体)組織との連携調整 • 非常時のデータ活用、利活用環境の提供 災害時被災自治体への 派遣コーディネート • 各種データ生成 • ツールの提供 災害対応インフラ整備 (ヒト、データ) 防災DXによる 災害関連死の最小化
  9. 10 デジタル公共財化の推進 による災害関連死ゼロの実現 CRM HUB 被災者台帳 罹災証明書発行 要支援者 避難支援 医療支援

    入院者避難 介護者避難 介護者 名簿 カルテ 情報 避難者の誘導 避難者の管理 要支援者 名簿 CRM (Citizen Relationship Management) による 情報を一元管理 避難者個人の状況にあわせた 支援が可能になる 災害関連死ゼロへ 避難者への 支援情報 被災者への 物資支援 その他 データ 避難所 データ 避難所 名簿 避難者の 帰還支援 避難者の情報を災害発生時(災害発生前)から一元管理し、相互利用可能にすることで、対応の 漏れをなくし、災害関連死ゼロを実現する。
  10. 11 ◼ データとデジタル人材の整備を通じて、各機関・地域での災害対応(初動)が高度化 ◼ 個別の防災サービス/システムの有機的な連携が可能となり、“できること”が増える(≒防災市場拡大) • 発災時における支援物資の最適な輸送ルートの把握・提示 • 被害調査・認定の効率化、早期かつ最適な対策工の提示 など

    データに基づく 広域対応・支援の実現 災害対応の 迅速化・最適化 事業拠点の 被害最小化 (リスク情報拡充) 更なる支援サービス 領域の拡大 1 2 4 6 官公庁・自治体 民間事業者 ◼データとデジタル人材を通 じた、災害対応・連携基盤 の整備 ◼リスク情報の拡充を通じた、 各種サービスの高度化 ◼防災市場のすそ野拡大 インフラの整備 (官民連携加速) アナログ対応の デジタル化 (査定業務など) 3 5 Social Data Initiative DIT/CCの活動 を通じた社会的インパクト
  11. 15 ◼ 災害時デジタル支援者の資格認証制度の創設・運営 ◆災害時に現場で必要となるデジタルスキル+行政の仕組みの理解や、災害関連法規法令の理解があることのクオリティコントロールは必須 • 教育 / 訓練 :心得、災害概要、災害時対応、災害関連法規、地方公共団体理解、デジタルツール取扱等 •

    資格認定 /資格者DB :教育修了+訓練参加+誓約書等提出で資格認証(教育+訓練+資格認証は有料) :資格者の各項目(氏名所属連絡先緊急連絡先、各デジタルスキルタグ、その他資格の各タグ、その他特記事項) ◼ 災害時デジタル支援者の登録・派遣 ◆災害時デジタル支援者として資格認証された人材を登録し、災害派遣に備える • 派遣者選定及び派遣 :災害発生時に被災現地へ調査に向かい、現地ニーズや派遣可否を把握。その他現地地方公共団体とのリレーション構築 :現地ニーズに基づき、現地派遣メンバーをDBより選定。その他オンライン支援隊員も同様 :デジタル分野での、被災地ニーズと支援側ソリューションとのマッチングおよびコーディネーション業務 • 派遣者支援関連業務 :地方公共団体等との派遣契約協定等管理、派遣者の旅行手配、日当等旅費精算等、各種契約業務、及びPMO業務 :派遣隊が使えるデジタルツール等は、事前に行政機関での調達関連書類まで整備 災害派遣デジタル支援チーム構築のための実施事項