Upgrade to Pro — share decks privately, control downloads, hide ads and more …

明日から真似してOk!NOT A HOTELで実践している入社手続きの自動化

Avatar for kajinari kajinari
November 15, 2025

明日から真似してOk!NOT A HOTELで実践している入社手続きの自動化

BTCONJP 2025 で「明日から真似してOk!NOT A HOTELで実践している入社手続きの自動化」についてお話ししました。

Avatar for kajinari

kajinari

November 15, 2025
Tweet

More Decks by kajinari

Other Decks in Technology

Transcript

  1. 自己紹介 NOT A HOTEL , Business Accelerator Lead 合同会社Kreis Works

    代表社員 梶原 成親 楽天、リクルート、PLAIDなどで情報システム部門を担当する。 プロセスを改善し、自動化を推進して、メンバーが圧倒的なパフォーマンスを出せる環境構築 と、クラウド時代に適応した「モダンな情シス」を構築する外部CIOとして、環境構築を推進し ています。アジャイルコーチ、スクラムアライアンス認定プロダクトオーナー。 主な書籍 『SCRUM MASTER THE BOOK』翻訳 梶原成親 / kajinari
  2. © NOT A HOTEL, Inc. サービス概要 10 99.2% 91.0% 833名

    454億円 累計総契約高 オーナー数 宿泊満足度 開業前完売率 現在までの実績 圧倒的な建築デザインとビジネスモデルによって つくられるプロダクト
  3. © NOT A HOTEL, Inc. © NOT A HOTEL, inc.

    運営はすべて内製化 全拠点の宿泊満足度は99.15%
  4. © NOT A HOTEL, Inc. 今⽇、お話したいこと 今⽇のGoal • フローを再定義する時に、考え⽅、整理⽅法を知ってもらいたい •

    ⼿作業で10回やってしんどいことは、⾃動化を検討するようになって欲しい • ⾃動化をすることで、SaaSOpsができそうかも?って思って欲しい 今⽇はそういうヒントになるお話ができれば嬉しい
  5. © NOT A HOTEL, Inc. 当時の状況 ひとり情シスで膨⼤な仕事に追われる毎⽇ • 2023年当時、HRも情シスも1⼈チーム •

    ⼊社後まず⼿をつけたのが、この⼊社対応の⾃動化 ◦ オペレーションに忙殺されたら、仕事しているけどPRJは前に進まない ◦ そもそも細かいことが苦⼿ → オペミスして仕事増やしたくない • HR‧労務‧総務と⼊社受⼊タスクが型化されてなかった • ⼊社される⼈たちも、⼿探りでオンボーディングしていた • ⼊社当時に実施したフローと、SmartHR導⼊に伴ってフロー改善の2回実施してま す。
  6. © NOT A HOTEL, Inc. フローを再定義する フロー作りでは「バリュー‧ストリーミングマップ」を活⽤する • リーン⽣産⽅式の技法の1つでトヨタで使われていた⼿法をもとにしている。 •

    製品やサービスが顧客に届くまでの⼀連の⼯程を「価値の流れ」として可視化する⼿ 法。 • 物の流れと情報の流れを時系列で整理し、全体のプロセスを俯瞰する。 • 各⼯程のリードタイム‧待ち時間‧仕掛かりなどを数値で把握する。 • 価値を⽣まないムダ(遅延)を明確にする。 • 現状分析から改善ポイントを特定し、理想(将来状態)のプロセスを設計する。
  7. © NOT A HOTEL, Inc. フローを再定義する 改善前 内定→内定承諾→アカウント発⾏までのVSM Slackで関係 者に内定連

    絡 内定承諾を クラウドサ インを送付 メールで署 名完了通知 を確認する Corp ITにア カウント作 成依頼をす る 【LT】3d 【PT】10min 【必要情報】 LT(リードタイム)前タスクの完了から該当タスクの完了までにかかる時間 PT(プロセスタイム)タスク自体にかかる時間 【LT】4d 【PT】30min 【必要情報】内定者、 年収、連絡先、住所等 【LT】1d - 2week 【PT】100 min 【必要情報】 【LT】2d 【PT】10 min 【必要情報】ビジネス ネーム, キーボード種類 情報が揃えば1時間くらいで終わる作業だが、最短でも10⽇くらい待ち時間
  8. © NOT A HOTEL, Inc. フローを再定義する 改善ポイントの確認観点 • PTに対してLTの値が⼤きいタスク → 作業者以外の待ち時間が多いこと が多い。

    • 次のタスクで使う情報のヌケモレを確認する • ⼿戻りが多いタスクを確認する • 無駄にマークをする
  9. © NOT A HOTEL, Inc. フローを再定義する 改善後 内定→内定承諾→アカウント発⾏までのVSM HERPで内定 ステータス変

    更しSmartHR にアカウント 登録 内定承諾を SmartHRサ インで送付 SmartHRサ インの通知 を確認 アカウント 作成を自動 化 【LT】 【PT】1min 【必要情報】 【LT】40min 【PT】10min 【必要情報】内定者、 年収、連絡先、住所等 (自動連携) 【LT】1d - 2week 【PT】0 min 【必要情報】 【LT】 【PT】3 min 【必要情報】ビジネス ネーム, キーボード種類 内定者がサインするのを待つだけ。通知を⾒たらトリガーを回すだけ
  10. © NOT A HOTEL, Inc. フローを再定義する 改善のポイント:LT(待ち時間)を如何に減らせるかを考えた結果、 • 「⼈が情報を受け取って、後⼯程に作業を依頼」から「イベントドリブン で後⼯程の作業を⾃動化する」発想でプロセスを整理

    • 後続作業のための作業をなくし、必然の作業をトリガーにすることで、ヌ ケモレをなくす。 ◦ 🙅 作業依頼 ◦ 👍 作業完了のためのステータス変更(HERPのステータス変更)
  11. © NOT A HOTEL, Inc. フローを再定義する VSMをやることの意義 • ⾃動化だけではリードタイムは短縮できない •

    プロセスの課題を⾒える化され、完全に共有できる ◦ 関係者のコンテキストを揃える作業がラクになる • ロールの垣根を超えて、課題にフォーカスして会話できるようになる ◦ 待ち時間を如何に減らせるのか ◦ 情報の受け渡しを⾃動化する ◦ ⼈が介在しない⽅法を検討できる
  12. © NOT A HOTEL, Inc. 具体的な実装例 HERP → SmartHRアカウント作成→受⼊作成の流れ 内定者

    HR Corp IT 【HERP標準機能】内 定承諾すると、 SmartHRにアカウン ト作成する。 追加で、Slack通知を実装。 SmartHRアカウント作成のイベ ントをWebhookで受け取って、 Slack通知
  13. © NOT A HOTEL, Inc. 具体的な実装例 HERP → SmartHRアカウント作成→受⼊作成の流れ 内定者

    HR Corp IT 労務担当でオファーレ ターを配布します。 同時に入社ヒアリング項 目を送付してます。 ヒアリング回答す ると、SmartHRの 拡張属性にデータ が入ります 完了したら、 Webhook欲しい! SmartHRの中の人 お願いします!! 拡張属性を更新す ることで、後続作 業へのトリガーに しています。
  14. © NOT A HOTEL, Inc. プロパティで状況を⾒える化しています。 フィルターを使って • 来⽉⼊社予定を⼀覧化 •

    PC⼿配が済んでない社員を⼀覧化 • Slackログインまだの⼈を⼀覧化 などを使って状況を⾒える化しています。
  15. © NOT A HOTEL, Inc. PC⼿配関係 • 「購⼊する」、「配送する」は、オペレータにアウトソーシングしてます。 ◦ マニュアルを作って動いてもらっています。

    • 社員は在庫割当する or しないを判断するだけ。(これもAI化したい) • キッティングはLCMサービスを活⽤しています。 ◦ 近々LCMへの依頼も⾃動化する予定です。 • ブログも書いてるので、⾒てください!
  16. © NOT A HOTEL, Inc. PC⼿配関係 • Macbook希望→Macbookを選択すると⼿配 状況が「完了」に。 •

    「Windows」を選択すると、Notionの⾃動 化機能でWebhookを⾶ばして、E3ライセン スにアサインを⾃動化しています。
  17. © NOT A HOTEL, Inc. SaaSアカウント作成の⾃動化 • 内定後に、すぐにOktaアカウント、Slackアカウントを発⾏しています。 • API経由でSmartHRの情報を参照し、APIでOktaアカウント作成を実施しています

    • 初⽇にOktaプロフィールを⾃動更新して、社員として必要なSaaSに招待し、権限設定されます。 ◦ 属性に応じて必要なSaaS(Googleドライブ、Notion、1Passwordなど)アカウント作成 ◦ 権限も、属性に応じてドライブ、Notionページなど⾃動的に付与され ◦ Slackチャンネルにも招待されます。 • Oktaのプロビジョニング機能を活⽤して⾃動化しているので、アカウント発⾏関係でやることあ りません。 ◦ IdPは早めに整備するのがオススメです。SaaSアカウント個別に作ってられないでしょう。 ◦ SCIMが駄⽬でもAPI使えるSaaSは極⼒アカウント作成を⾃動化してます
  18. © NOT A HOTEL, Inc. Slackにサインアップしたら、検知してWelcomeメッセージ • 同じ部署のメンバーもメンションしてWelcomeを促進! • ⼊社前の不安なことがあれば、Slackで解決してもらう

    • リモートの会社なので、当⽇の朝の動きを伝える • ⼊社前に連絡必要なことも、連絡できるようにするための措置です
  19. © NOT A HOTEL, Inc. なぜ⾃動化を推進するのか なぜ⾃動化(SaaSOps)を進めるのか • 空いた時間を、新しいカイゼンに時間を使いたい •

    ミスが無くなるので、余計な仕事が増えない • 私たちの業務負荷を軽減しながら、⾼品質な作業を繰り返し実⾏できる • 社員数の増加に反⽐例して、⼩さいITチームで組織を⽀えられます • 繰り返しのオペレーションやれるけど、なによりも楽しくない • ⾃動化の設計→実⾏で狙いどおりに動くと楽しいというのもある
  20. © NOT A HOTEL, Inc. なぜ⾃動化を推進するのか AI時代はSaaSOps、オペレーション⾃動化はやりやすい • iPaaS(Workato、n8n, Zapierなど)が使える。環境を準備しなくてよく

    なった • 必要なステップだけ、コードを書けば良い • API連携が必要なケースも、AIがコードを書いてくれるようになった。 • 必要なステップだけならシンプルなコードなので、メンテナンスもAIとやれ ば良い • 実装⽅針やHowについても、AIと相談することができるようになった
  21. © NOT A HOTEL, Inc. まとめ • すぐに⾃動化に⾶びつかない • 最⼤の効果を上げるためには、シンプルなフローを作りあげるのが最も⼤事

    • プロセスを正しく整理して、コンテキストをチームで同期する • 多くのケースでは、作業時間よりも待ち時間の⽅が⻑い • ⾃動化する時は、イベントドリブンにする • 今の時代、SaaSOpsは難しくない。どんどんチャレンジしよう