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現実は、会話から生まれる。〜 1on1とチームの場を繋ぐ、社会構成主義的実践 〜

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June 21, 2026

現実は、会話から生まれる。〜 1on1とチームの場を繋ぐ、社会構成主義的実践 〜

「レトロスペクティブなどの改善の場で、なかなか本音が出てこない」「場を整えても、表面的な議論に終始してしまう」……。
こんな経験はないでしょうか?
多くのスクラムマスターやファシリテーターが直面するこの課題に対し、私たちは「場づくり」以外の手立てをどれだけ持っているでしょうか。

本セッションでは、社会構成主義という理論を補助線に、個人の内側にある「もやもや」をチームの「対話」へと繋ぎ込むシンプルだけれどパワフルなアプローチを提案します。

社会構成主義の視点に立てば、本音とは「個人の内側に隠された真実」ではなく、誰かと対話をするプロセスの中で「その都度立ち上がるもの」と捉え直すことができます。本セッションでは、チームという多人数環境で本音を出すハードルを下げるために、1on1を「新しい現実を試作する場」として活用するステップを解説します。

1on1での対話を通じて違和感に言葉を与え、それをチームの文脈へとリフレーミングしながら接続していくプロセスは、単なる悩み相談を超えた「チームビルディングの高度な実践」となります。特定の正解を押し付けるのではなく、現場の文脈に合わせた一つの「提案」として、明日から実践できるコツと注意点を共有します。

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June 21, 2026

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Transcript

  1. Target Audience • チームの会話が活性化せず、場づくりに限界を感じているスクラムマスター • メンバーの本音を引き出し、組織改善に活かしたいマネージャー・リーダー • 集団の話し合いをファシリテートし、相互理解を深めたい方 Learning Outcome

    • 1on1を「情報収集」ではなく、個人の現実を “立ち現わせる”会話空間として設計・運営できる • 1on1で立ち現われた現実を、本人の主体性を損なわずにチームの場へ接続する橋渡しができる • 「透明性→検査→適用」を、現実が生まれる場の積み重ねとして理解できる
  2. 私の関心の変化 BEFORE 私個人としての関心 「私が」知り、理解する 場づくりを中心とした取り組み。 チームで何が起きているかを、ファシ リテーターである私が把握しようとして いた。 → AFTER SMとしての関心 「チームが自分たち」

    でテーブルに出せる チーム自ら出して、検査して、適応す る。そのためには「出し慣れ」が要る。 練習の場が1on1。 7 この視点は、人類学に出会い自分が分厚いフィルターを通して世界を見ているとい う事に自覚的になり一層強くなっていったのでした。フィルターを外してみるとどんな 世界が広がっているんだろう。みんなはどんなフィルターをかけて世界を見ているん だろう、そんな調子でした。 あるとき、視点が変わりました。大事なのは、「私」が知ることではない。チームが自分たち で、自分たちの中で起きていることをテーブルに出して、検査して、適応できるようになるこ と。ものすごく当たり前なことなんですが、自分の関心がここから遠いところに向かっている ことに気が付き修正を試みました。
  3. なぜ、場を整えても出てこないのか 「本音」をめぐる誤解 本音は、個人の心の中に最初からあるも の。安全な場さえ整えば、そのまま取り出せ る── 最初からあるなら、場を整えれば出てくる はず!!という仮説 ・・・実際はそうならない。 多人数という「文脈」 発話は、相手を想定し聞き手に合わせて

    設計される 。チームの場では、全員の解釈 を同時に生き延びる言葉が要る。 だから語りは、最も無難な形に収束する。 勇気の問題ではなく、 構造の問題。 1on1では一人の聞き手を気にしていればいいシンプルな構造だが、 それが多数の聞き手を想定しなければいけなく仮、構造として複雑 になる。この複雑な構造が発話を制限していると考える。 ロシアの哲学者バフチン 対話理論・ポリフォニー論
  4. 言葉さがし:しっくりくるまで、一緒に「着替える」 まず、見ている景色を 共有してもらう 「なんか、もやっとす る」 → 言葉を当ててみる 「“しんどい”…ですか?」 → うーん、少し違う

    ⇄ 言い直してもらう 「“ずっと気を張って る”かも」 → 本人がしっくりき た言葉 「うん、しっくりくる」 言葉は、語るたびに着替える「試着品」。 SMの言葉は仮置き。── 本人がしっくりくるのが大事。 では、1on1ではどんなことをしているのか? まずはもやもやにフィットする言葉を一緒に探します。
  5. 橋渡し:チームに繋ぐ、 3つのポイント 01 合意なしに出さない 語ってくれたことは、あく までその本人のものなの で、合意なしに勝手に公 開しない。 02 代弁しない

    本人が自分の言葉で出して もらうようにする。 03(準備) 構造の言葉に育てる 事実から入れる形に。 「誰が」より「何が課題か」 へ注意を向ける。 もやもやにフィットする言葉が見つかったら、個人のもやもやをチー ムの仕組みを主語とした構造の課題につながるかを試みます。
  6. 橋渡しの例:会議で「流される」感覚 説明のための架空のケースです 語り もやもや~。「会議で何か言っても、流される気がする」 そのままだと、個人の感じ方の問題で終わってしまう。 ↓ 解きほぐし 「“流される”のは、どんな進行のとき ?」 議題が詰まって、決定を急いでいる時だと見えてくる。

    ↓ リフレーミング 「出た意見の “置き場”が、会議の設計にない」 個人の感覚が、チームの会議設計の課題になる。 個人のもやもやをチームの仕組みを主語と した構造の課題にリフレーミングし、チーム にとっての改善のきっかけとします。 リフレーミングは本人の合意を取りながら慎重に 行ってください
  7. 個人→チームへ合流時の 2つの変換と2つのポイント 主語の変換 「私が/あの人が」 → 「私たちの仕組 みが」 評価の変換 「もやもや・不満」 →

    「チームの課題の最 初のサイン」改善のきっかけ 多声性(ポリフォニー)の担保 チームの中には多くの違う見方があり、自 分の見方は数ある中の一つの見方に過 ぎないことを知る。これが、チームとして の意味付けを促す 。 SMは「橋渡し役」 単に情報を運ぶのではなく、本人が語れ る言葉を整え合流できる橋を架ける。SM はあくまで橋渡し役。
  8. SMの立ち振る舞い 関係性の質=「応答の質」 1on1やチームでの会話で、受け止められ るという経験が少しづつ関係性を作る。 自己開示は「招待」 単なる内面の公開ではなく「この場ではこ ういう語りが可能だ」というメッセージ。 自己開示の注意 3点 ①強要しない

    ②開示のコストは同じでないと自覚 ③自分語りで場の中心を奪わない 撤退の兆しを観察 メンバーが私を経由せず直接言葉を使い 始めたら、1on1をラボとして使うのはや める。 関係性がないと、1on1でもやもやが出てこな いとあきらめるのではなく、会話を始めること で関係性を築き始めることが出来る!
  9. SM自身のバイアスを検査する SMに都合のいい物語へ誘導されていない「保証はない」 と認めることから始め る。自覚的であれ。 01 対話の中で 仮置きで言葉を渡し、捨て る自由を本人に残せてい るか。 02

    外の視点を借りる 自分のケースを外の視点 に晒し、見えない偏りを拾 う。 03 結果での検査 リフレーミングを経た言葉 がチームで共有され、チー ムが動きやすくなったか。 社会構成主義に基づく対話は、他者の意味づけに影響を与えう る強い実践です。だからこそ「合意なく出さない/代弁しない/本人 の主体性を最優先する」という倫理とセットで扱ってください