Upgrade to Pro — share decks privately, control downloads, hide ads and more …

開発組織発 AI駆動経営

Avatar for freee freee
September 03, 2025

開発組織発 AI駆動経営

2025/09/02にfindy社主催で開催された、AI*開発組織summitにおける、フリー株式会社CTO横路の登壇資料です。

Avatar for freee

freee

September 03, 2025
Tweet

More Decks by freee

Other Decks in Technology

Transcript

  1. 3 全社 あらゆる創 活動・組織活動 動力源を
 AIファーストな形で再設計・再実装し、
 AIが進化すれ するほど顧客価値が高まり、 
 そ

    過程で全社 事業及びメンバー 成長を加 できるような、
 AI Ready なサービス・組織・文化・プロセスを構築する
 freee 、今年から AIネイティブカンパニーへシフト 

  2. 4 CFOが経営判断を下すに 、ヒト・モノ・カネ 
 経営資源 情報を一元化して集めてつなぐ必要がある。
 すべて ビジネス活動がつながるコア業務が会計な で、
 freee

    会計を最初 プロダクトとして選び、創業した。
 創業から思い描き続けてきた、 AI CFO構想
 freee 前身:旧CFO株式会社 ロゴ

  3. 5 AI、プロダクト、サービス ちからで、スモールビジネスをよくする。
 freee ビジョン実現とプロダクトエンジニア プライドをかけて、 
 社内外 あらゆる業務課題を、 


    圧倒的な情熱と顧客解像度をもとに、 
 現場から解決していく 。
 満を持して、プロダクトとして AIネイティブ全社経営に向き合う 

  4. 6 アジェンダ 
 01. freee ミッションと AI
 02. AIネイティブカンパニーに至った背景 


    03. これまで 失敗と学び 
 04. これから チャレンジ 
 05. プロダクトとして 全社経営 

  5. 13 freee AIエージェント 、認証/認可やUIも含め、freee 各 SaaS プロダクトと完全統合。
 プロンプトやAIエージェント 振る舞いを継続評価&改善できる、本番品質 AIエージェント基盤。


    あらゆる業務・業種で、freee 自ら質 高い顧客体験を素早く丁寧に磨き込んでいく。
 freee AI プラットフォーム 
 やるべきことが自動で 
 見たいデータを見たい粒度で 
 やるべきことがひとつに 
 機能 AIエージェント 
 「freee AI(β)」
 統合
 flow
 Communication
 flow
 Work flow
 Data flow

  6. 18 アジェンダ 
 01. freee ミッションと AI
 02. AIネイティブカンパニーに至った背景 


    03. これまで 失敗と学び 
 04. これから チャレンジ 
 05. プロダクトとして 全社経営 

  7. 23 freee 壮大なミッション 早期実現に向けた、ギアチェンジ 
 • freee いま、AIで顧客に統合体験価値を届け じめた かりで、ミッション実現に

    まだ時間がかか る。一方で、これから台頭するAIネイティブスタートアップ 、freeeを含む既存企業と1人あたり売上高が 1〜2桁異なり、これ も ごとを実現するスピードに直結する。ビジョン実現を加 させる千載一遇 こ モメンタムを味方につけるために、freeeもギアチェンジを行う。
 
 社会インフラとして 責任:顧客価値を届け続けるために、変わり続ける 
 • freeeが社会インフラとして、テクノロジーでよりよいスモールビジネス 働き方を市場に届け続けるため に、AIが進化すれ するほど生産性が上がるように、われわれ 働き方そ も も時代に合わせてアッ プデートしていく。
 
 これまで AI活用で得られた自信と基盤、そしてさらなるチャレンジ 
 • こ 1年 取り組みと成果から、特にfreee自身 業務をAIでアップデートする過程で、顧客 課題解決 にAIを活用するため プラクティスを発明・習熟するよい循環ができたし、AIで顧客に価値を届ける質・ 量・スピードを上げられる自信がついたから、こ タイミングでさらなるチャレンジに踏み切った。
 2025年:AIネイティブカンパニーへ シフト 

  8. 24 アジェンダ 
 01. freee ミッションと AI
 02. AIネイティブカンパニーに至った背景 


    03. これまで 失敗と学び 
 04. これから チャレンジ 
 05. プロダクトとして 全社経営 

  9. 25 AIネイティブカンパニー化 方法論 、各企業 現在地やスタンスで大きく異なる。
 できる限り汎用的な学びとして抽象化するつもりですが、ご注意ください。
 
 
 • 中期計画を含め、あらゆる課題・議論

    、顧客価値を出発点とするカルチャー 
 • 創業13年で、出自として クラウドネイティブな組織
 • 対象顧客 、B2C寄り 個人事業主、B2B寄り SMB、アドバイザーが混在
 • エンタープライズ向け カスタマイズ開発 やっていない
 • プロダクト たくさんあるが、事業として SaaS + 金融事業 2つしかない
 • マルチプロダクトによる統合価値を最大化するために、アプリ・データ・開発基盤に これ まで大きく投資してきた
 ※前提:freee 属性について 

  10. 26 とるリスク・とらないリスク 線引き 、トップダウンでしか決められない 
 
 成功事例: AI特区による AIツール 検証と標準化

    
 • スキルとリテラシー あるメンバーから構成されるAI特区で、顧客価値創出 最前線であ る実際 プロダクト開発 現場で新ツールを検証 し、そ 結果をもって標準ツール選定・ 全社適用をすることで、譲れない最低限 品質と最大スピードを確保。予算承認・購買申 請・セキュリティチェックを一括処理化
 
 失敗事例:非エンジニアまで含めた Cursor全社配布 本検討 
 • 顧客データ保護 ため 判断でNGとしたが、こ スピードでも ごとが動いている に、 配布しない機会損失(顧客価値を届けるスピードに直結) を踏まえ、配布しないという選択 肢をなくした状態で「どうすれ 配布できるか」を徹底的に考えて迅 に動くとか 、こ と き 出来なかった。反省しかない。
 やるリスク・やらないリスクを、顧客価値から考え抜き、決める 

  11. 27 できない理由 山ほどある。セキュリティ・法務チームと一緒に頭をひ る。
 freeeで PSIRTが主導し、安全に事故れる環境をベースに、スケーラブルな仕組みづくりをリード。
 
 「みんなが事故る前に、先に小さく事故ってガードレールを引き、最 で高 道路をつくる」

    
 「やる」と決めた上で、どうやれ できるかを考える 
 実証実験場
 をつくる
 歩道と車道を
 分ける
 交通ルールと安全装置
 を整備する
 高 道路 設置と
 規制緩和
 01
 02
 03
 04

  12. 29 LLM Proxy がオブザーバビリティ ハブに 
 • 社内LLM基盤を通して、モデルプロバイダと 接続するプロキシサーバを構築
 •

    プロキシで 入力 マスキングと出力 ガー ドレールを構築
 ◦ 実行コマンドを解析し 、危険なパターンを チェック。さらにLLMでリスクレベルを判定
 ◦ MCPも同様に制限 
 • 従業員ごと、ツールごと token数やリクエ スト数を計測 し、より詳細な利用状況やコスト 内訳を評価
 Raw Output
 Raw Input
 Safe Input
 Safe Output
 Proxy
 PC
 Model
 Provider

  13. 31 AIが進化すれ 解決する課題 多い で、最初から作り込みすぎない。
 
 Gemini 2.5 でメガトークン 時代が到来して以降

    、
 まず 人力で整理したコンテキストを食わせてデモして、
 磨き込む価値が明確になったも だけ、
 RAGを組んだりAIエージェント化したりする が
 ベストプラクティスになってきた。
 AI時代こそ、 YAGNI (機能 必要になるまで 追加しない ) 

  14. 33 アジェンダ 
 01. freee ミッションと AI
 02. AIネイティブカンパニーに至った背景 


    03. これまで 失敗と学び 
 04. これから チャレンジ 
 05. プロダクトとして 全社経営 

  15. 34 すべて 、こ 問いをあらゆる観点で解像度高く考え抜き、 
 実行強度高くやりきることに尽きる 
 
 
 ・つ

    に最新AIがあらゆるコンテキストに適切にアクセス、解釈できる
 ・AIで業務を効率化した成功体験があり、再現可能なアプローチとリーダーが存在
 ・みんながAIを使いこなせるようになっている(意欲、スキル、ツール、プロセス)
 ・AIが何をやってるか、人間が理解しレビューできる
 ・AIがや いことをしそうなとき 、気づいて止められるようになっている
 ・売上あたり/業務あたり 原価が、人件費から通信費に大きくシフトしていく
 
 など
 AIが進化するほど顧客価値 /生産性が高まると 、どういう状況か? 

  16. 35 • セキュリティ、コスト 観点
 ◦ 開発基盤、モニタリング環境 構築
 ▪ AI共通基盤
 •

    LLM Proxy、オブザーバビリティ 、AIエージェントフレームワー ク、コンテキストエンジニアリング基盤(RAG、メモリ、ツール)
 ▪ 評価駆動開発
 • プロンプト x LLM出力 x AIエージェント ふるまい
 • オンライン・オフライン x 自動・手動
 AIネイティブカンパニー 基礎となる高 道路 整備 

  17. 36 • 財務 観点
 ◦ 短期
 ▪ まず 小さく検証して実績を出しちゃう(実 いち

    ん大事)
 ▪ 定額モデル を使い倒す(Gemini Pro / Claude Max)
 ◦ 中長期
 ▪ 顧客価値サイド
 • 顧客価値から逆算した AIサービス 原価目標 を置き、AIモデルやコ ンテキストエンジニアリング手法、UI 試行錯誤が必要
 ▪ 生産性サイド
 • IT予算 中から 拠出だけでなく、生産性改善を踏まえた人件費と トレードオフ について 議論が必要
 AIネイティブカンパニー 基礎となる高 道路 整備 

  18. 38 すべて freeeメンバーが AIを使いこなせるように 
 • 組織 観点
 ◦ マネジメント層がAIを使うこと

    本質を理解し、活用を推進
 ◦ みんながAIを業務で使いこなせるため 仕組みやプロセス 整備
 ◦ あらゆる業務に関するノウハウ 可視化・言語化
 ◦ AIファーストで業務を再設計・実装できる人 育成

  19. 39 アジェンダ 
 01. freee ミッションと AI
 02. AIネイティブカンパニーに至った背景 


    03. これまで 失敗と学び 
 04. これから チャレンジ 
 05. プロダクトとして 全社経営 

  20. 41 AIエージェント基盤活用や評価駆動開発 トレーニング&実践、コンテキスト統合 ために、
 プロダクト・データ・Corporate ITチームを横断した特命プロジェクトを組成
 そ 上で、プロダクトエンジニアが社内外 業務課題を 


    AIファーストで解決する を、 freee 当たり前に 
 ステップ① AIを使って⽇々の業務を⾃動化する ステップ② AIを使ってプロダクトを作る ステップ③ ⾃分のチームで⼀番AIを使っている⼈材になる ステップ④ チーム全体のAI活⽤を推進 社内基盤 リソースの活⽤ 評価駆動開発/ LLMOpsを理解
  21. 42 全社経営陣 隣に座り、経営戦略と実行そ も を
 コンテキストエンジニアリングで純度高くAI向けに錬成することで
 全社経営 AIネイティブ化をリードし、
 全社 思考と実行

    OSを育てる。
 CTO 、全社経営 コンテキストエンジニアリングにトライ 
 (経営陣たちが、AIを使いこなすために コンテキストを育てる必要があることに気づいていく様子。ここからが勝負!)

  22. 43 freee 、今年からAIネイティブカンパニーへシフト。
 これまで育ててきた構 化データ資産とAI活用基盤をもとに、
 創業当初から思い描いてきたAI CFO 実現に向け、
 圧倒的な顧客解像度をもって、
 プロダクトとして

    AIネイティブ全社経営に向き合う。
 すべて 「スモールビジネス ためになるか?」という問いを起点に
 全社AI推進を加 させていく。
 まとめ