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ビデオゲームの所蔵実践

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November 04, 2020

 ビデオゲームの所蔵実践

@図書館総合展2020「図書館でデジタルゲームができる未来はくるのか?」
https://2020.libraryfair.jp/forum/2020/f213
日時:2020年11月4日
作者:福田一史

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November 04, 2020
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  1. ビデオゲームの所蔵実践 ゲームアーカイブ所蔵館連携に関わる調査事業より セッション「図書館でデジタルゲームができる未来はくるのか︖」 福⽥⼀史(⽴命館⼤学⼤学院 先端総合学術研究科) fukudakz@gmail.com

  2. 宣伝 • 図書館総合展フォーラム「ゲームの世界からこれからの図書館 を考える〜⽂化資源に対して図書館はどう向き合うのか〜」 • ⽇時︓2020年11⽉5⽇(⽊)15:00〜16:00 • 講師︓福⽥⼀史 • 主催︓キャリアパワー

    • 図書館総合展フォーラム「ボードゲームのカタログと未来︓図 書館でボドゲやりたいから⽬録が必要な件について」 • ⽇時︓2020年11⽉6⽇(⾦)10:30〜12:00 • 登壇者︓ウニゲームス、藤倉恵⼀、福⽥⼀史、⽇向良和 • 主催︓図書館とゲーム部
  3. 背景 & トーク概要 • ビデオゲーム(≒デジタルゲーム)は、図書館の所蔵品として⼀般 的なものになった。 • ⽇本のビデオゲーム⽂化は全世界で強い影響⼒を持つが、国内の図 書館ではそれらが所蔵・提供される事例はほとんど無い。 •

    参考︓2015年度 ゲームアーカイブ所蔵館連携に関わる調査事業報告書(pp. 30-41) • ゲームアーカイブ所蔵館連携に関わる調査事業での現地調査の結果 の⼀部を紹介する。その上で、ゲーム所蔵における実践的トピック を論じ、ビデオゲームを図書館に導⼊するための議論を提起する。 • ゲームアーカイブ所蔵館連携に関わる調査事業(RCGSウェブサイト)
  4. The Strong Museum of Play • ストロング遊戯博物館(NY) • 1968 年にドールハウスや⼈形などを含む⽇常品のコレクションを中⼼

    に設⽴。2006年に遊びに特化した博物館として開設。 • 4,500,000件の所蔵品。うちゲーム関連で55,000アイテム。 • 展⽰区画と保存区画に区分けされ、ゲームソフトは主に保存区画で所 蔵される。ゲーム以外にも開発資料なども所蔵される。 • 各年30〜50名程度の研究者を受け⼊れ。スカラーシップ制度運営のほ か、遊びやゲームの学術雑誌の発⾏も⾏う。 • ⽬録作成は博物館コレクション管理ソフトのARGUSを利⽤。
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  7. NYU GAME CENTER OPEN LIBRARY • ニューヨーク⼤学(NYU)の研究機関「ゲームセンター」の オープンライブラリー(ニューヨーク) • 所蔵ゲーム2,009件(うちテーブルトップゲーム239件)

    • 教育機関でもあり、20名程度の博⼠課程の学⽣、40〜50名程度の修⼠ 課程の学⽣、30名程度の学部⽣が⼊学 • カリキュラムで、歴史的に重要な作品のゲームプレイを学⽣に課す セッション(Recitation Session)が設定される • Atari2600以降の代表的ゲーム機を所蔵(貸し出し可・館内利⽤) • ⼤学図書館の所蔵とは別途管理されており、有料ソフト 「GamePedia」が⽬録の代わりに利⽤される
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  10. Cecil H Green Library, Stanford University • スタンフォード⼤学 セシル・H・グリーン図書館(CA) •

    ヘンリー・ローウッド博⼠を中⼼に、アーカイブ構築とそれを⽤いた研究の ためのプロジェクトチームが組織されている。 • 常時活⽤の区画では、ゲーム機とソフトウェアが所蔵されており、他のAV資 料と同様にその場で閲覧することや、3⽇間の貸し出しなどが可能。 • 別途、特別保存区画の保管施設でスペシャルコレクション(Stephen M. Cabrinety Collection など)が保存されている。 • デジタルアーカイブ化を進めており、物理的劣化に備え、データ抽出と保存 が⾏われている。 • メタデータについては、カルフォルニア⼤学サンタ・クルス校の司書らと共 同研究が進められる(GAMECIP など)
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  13. Computerspielemuseum • コンピュータ遊戯博物館(ベルリン) • 1997〜2000年に⾏われた展⽰をきっかけに活動がスタート。2011年までオン ライン博物館期間を経て、2011年より開館。 • Dr. Klaus Spieler⽒を中⼼に3名の常駐スタッフで運営する。

    • 所蔵品は22,000点ほど。年間10万⼈ほどの来場者数を記録する(2016年調査 時点)。 • 展⽰はワンフロアの構成で、前半がゲーム史、後半が特別展⽰を⾏う。 • 地下にコレクション保管室。多数のスチール製⼾棚にソフトとゲーム機を配 架する。雑誌や企画書・コンセプトアートなども所蔵品に含まれる。 • Collective AccessというDBを導⼊しすべてのコレクションを管理する。 ObjectをWorkやVersionで管理するというデータモデルを採⽤。
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  16. Institute of East Asian Studies, University Leipzig • ライプツィヒ⼤学 東アジア研究所(ライプツィヒ)

    • 東アジア研究所内にゲームラボ「jGames Initiative」が設置され、コレ クションの管理を⾏う。 • ライプツィヒ⼤学図書館の所蔵物として登録されており、DBへの登録 仕様の検討などをすすめる。メディア芸術データベースの書誌データ を利⽤。 • メタデータを活⽤したビデオゲームの研究情報基盤構築を⽬的として、 図書館員らと研究プロジェクト「diggr」を推進。
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  18. Bibliothèque nationale de France • フランス国⽴図書館(パリ) • 1993年よりゲームを納本対象とする。これまでに100,000アイテムが納 本済。また1993年以前も寄贈や購⼊などにより収集する。 •

    マルチメディアコレクション担当職員が管理。技官スタッフと収集ス タッフが担当。 • 保管はBnFの基準に従い、摂⽒20度湿度30%を保つ。 • 全タイトルを対象とするエミュレーション⽤ソフトの開発とイメージ データの保存を進めている。 • 利⽤者は所蔵品全てにアクセス可能である。ゲームをプレイするため の部屋も設置されている。
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  20. ⽴命館⼤学ゲーム研究センター • Ritsumeikan Center for Game Studies (RCGS) • https://www.rcgs.jp/

    • 1998年から始まった「ゲーム・アーカイブプロジェクト」を前⾝とし て、2011年設⽴ • 幅広く遊びやゲームを対象とした総合的研究を推進 • ゲーム11,000点、雑誌・図書・攻略本など関連資料6,000点を所蔵 • データモデル開発、所蔵品の⽬録作成、画像撮影など実施 • 2019年よりオンライン⽬録「RCGSコレクション」を提供
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  22. ゲーム所蔵における実践的な論点 1. 保存 2. ⽬録 3. 提供

  23. 1. 保存 • コレクションの保存環境としてはアメリカ議会図書館のAV資料のProper Care等が指針に • ホームコレクション︓涼しめ、⽐較的乾燥 • 10年保存︓摂⽒約18〜21度、45〜50% •

    永久保存︓摂⽒約7〜10度、30〜40% • ⼀部の素材では劣化が進んでおり、修復の必要性がある場合も • フロッピーディスクやケーブルに⽤いられるゴム素材などに劣化例多し • 収集資料の選択基準として物理的特徴やアクセスや利⽤の簡便さがあげられる • Robson, Diane, scott Nicholson, and Darlene Mcpeek. 2014. “The State of the Game: ALA Games and Gaming Round Table.” In Games in Library: Essays on Using Play to Connect and Instruct. McFarland Publishing. • アーケードゲームは物理的なサイズが⼤きい場合が多く、図書館のオペレーションには 向いていない側⾯もある • ただし耐久性が⾼く、破損部品の流通も進んでおり、オペレーションに向いている側⾯も。
  24. 2. ⽬録 • 解釈やコツが求められる場合もあるが、図書やAV資料と同様に出版物であるた め、⽬録作成経験を持つ司書であれば、⼀般図書などと同レベルの識別的要素を 記述する作業⾃体はあまり問題が⽣じない • 実際の運⽤では、細則などを策定することも有⽤だと想定される • サンプルとしては、「国⽴国会図書館オンライン」や「RCGSコレクション」の書誌が参

    考になる(NDL書誌サンプル, RCGS書誌サンプル) • “Best Practice for Game Cataloging”(Online Audiovisual Catalogers Inc.)や”ゲームカタ ロギングマニュアル”(RCGS)などの資料も参照可能 • ただし⼤⼿の図書館向け書籍販売企業などが取り扱うようになれば、書誌データ も提供されるようになるかも︖ • メディア芸術分野の書誌作成などデータ化に取り組む場合は、⽂化庁のアーカイ ブ推進⽀援事業での予算獲得の可能性も
  25. 3. 提供 • コミュニティ作りのためワークショップなど参加型企画は有効 • アメリカ図書館協会の「International Games Week」 • マインクラフトのワークショップなども世界的に⼈気の取り組み

    • ゲーム機などの「陳腐化」は最⼤の課題 • ただし、レトロゲームが⼈気を得るように、⼀定期間を置くことで新 たに価値が⽣じることも • 著作権について、ビデオゲームはAV資料などと同様に上映され る著作物として認識されており、貸与については補償⾦制度な どを整備する必要性も︖
  26. なぜビデオゲームを所蔵するのか︖ • ビデオゲームに関わる教育・調査・研究のため • ビデオゲームに関わる教育(専⾨家育成) • シリアスゲーム(社会問題解決のためのゲーム)を⽤いた教育・啓発プログラム • 知的財産権に関わる先⾏事例の調査 •

    ファンコミュニティを獲得するため • ビデオゲームや映像・⾳楽やその作成者などに関わるあらゆるリソースが対象となり得るため、そ れらについてより深く知ることができる • さらに新しいファン作品や創作が期待できる • 図書館を変えるため • 新しい種類のリソースの管理や運⽤のために、新しいプロセスを開発することで、図書館の新しい 可能性にリーチする • これまでにリーチしなかった新しいユーザに訴求するとともに、ビデオゲームをきっかけに図書館 の機能の再発⾒の機会を創出
  27. おわりに︓オープンクエスチョン • なぜ⽇本の図書館コミュニティにとってビデオゲームはその範 疇の外のリソースと認識されているのか • 近年、ボードゲームを活⽤したイベントは、図書館の活動の⼀種とし て認識が進んでいる。しかし、ビデオゲームは今も埒外。 • マンガや⾳楽や視聴覚資料は対象なのに、なぜビデオゲームはその対 象とならないのか︖

    • イメージが悪いから︖ • ビデオゲームと図書館を接続するために、最適な戦略とはどのような ものか︖