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テーブルトップゲーム概念モデルの提案

fukudakz
November 06, 2020

 テーブルトップゲーム概念モデルの提案

@図書館総合展2020 フォーラム「ボードゲームのカタログと未来:図書館でボドゲやりたいから目録が必要な件について」
https://2020.libraryfair.jp/forum/2020/f218
日時:2020年11月6日
作者:福田一史

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November 06, 2020
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Transcript

  1. 自己紹介 • https://researchmap.jp/fukudakz • 博士(学術) • 立命館大学大学院 先端総合学術研究科 授業担当講師 •

    立命館大学ゲーム研究センター メンバー • メディア芸術情報基盤整備推進事業 有識者タスクチーム員 • 専門分野:ゲーム研究・メタデータ・ビジネス
  2. 背景 • 近年、数多くのテーブルトップゲームが創作され消費されるように なった。 • テーブルトップゲーム(Tabletop Game)とは、主に水平な平面で プレイするゲームである。コンピュータなどの機器を媒介として用 いず、資料そのものだけでプレイされる場合が多い。 •

    代表的なゲームタイプとしては、ボードゲーム・カードゲーム・テーブル トークRPGなどがあげられる。 • 図書館でもテーブルトップゲームを活用したイベントを企画するこ となどが一般化し、重要な資料の一種と認識されるようになった。 • 「図書館とゲーム部」 • 図書館流通センターでボードゲームのお取り扱いを開始しました。
  3. アプローチ • 大部分のテーブルトップゲームはビデオゲームと同様に複製型の創作物で あり、図書館資料と近しい性質を有すると考えられる。 • そのため、ここでは図書館資料を記述するための高次概念モデルである IFLA図書館参照モデルに基づきモデル開発を行う。 • Riva, Pat,

    Patrick Le Boeuf, and Maja Žumer. 2017. “IFLA Library Reference Model : A Conceptual Model for Bibliographic Information.” https://www.ifla.org/files/assets/cataloguing/frbr-lrm/ifla-lrm-august-2017_rev201712.pdf. • またビデオゲームと類似する特徴もあるため、そのデータモデルも参照す る。 • Jett, Jacob, Simone Sacchi, Jin Ha Lee, and Rachel Ivy Clarke. 2016. “A Conceptual Model for Video Games and Interactive Media.” Journal of the Association for Information Science and Technology 67 (3): 505–17. https://doi.org/10.1002/asi.23409. • 福田一史, 三原鉄也, 大石康介, and 細井浩一. 2019. “著作を含むビデオゲーム書誌データベースの構築:Omeka Sを用いた 「RCGS Collection 試作版」による所蔵書誌提供の事例.” じんもんこん2019論文集, no. 2019 (December): 77–84. http://id.nii.ac.jp/1001/00200982/.
  4. 1. 既存データベースの記述要素の分析 • 先述した「BoardGameGeek」と「ボドゲーマ」の記述要素を分析 した。 • BoardGameGeek • ボードゲームの特徴を踏まえた記述要素が選出されている。 •

    特に資料間の関連記述や内容の件名の記述を精密化している点に特徴がある。 ただし記述項目名の不明確さ(e.g. Type, Category, Family)など、件名の記 録には課題もある。 • ボドゲーマ • BoardGameGeekと記述要素の基本的構成は類似。少数精鋭の記述要素を採用。 • 統制された値と記述ルールで関連性の高い資料を再検索できることを想定し た設計と思われる。
  5. 2. サンプル資料の分析 • 60件のテーブルトップゲームをサ ンプル資料として、とりわけ奥付 に着目し分析を行った • 表記されるプレイヤー数やプレイ時間 や年齢などのドメイン特有の記述要素 を抽出

    • クレジット等から作成者や貢献者の役 割(デザイナー・アーティスト・翻 訳・造形など)を抽出し、主体との関 連を定義する上での要件とした
  6. 3. ワーキンググループでの要件抽出 • テーブルトップゲーム開発企業、図書館員・司書、ユーザ、研究者 らで組織。 9回のWGを開催し、各ステークホルダーの立場から議論。 • メカニクスは特にボードゲームの基礎的分類として多くのユーザに 認識されている •

    図書館での利用を考えるにあたり、イベントでの利用が想定される • イベントの参加者・時間・グルーピングに即したゲームを選択するため、対 象者・内容レーティング・プレイヤー数・プレイ時間などといった記述要素 は重要 • 一般的な物理的特徴としては、コンポーネントの集合であるという 点が指摘できる。それらを適切に記述できる必要性がある。
  7. データモデルのスコープ • 対象は創作されたテーブルトップゲームの作品・資料 • サブタイプとして定義されるゲームは: 1. ボードゲーム 2. カードゲーム 3.

    テーブルトークRPG 4. ウォーゲーム • 伝統的テーブルゲーム(例:将棋・囲碁・トランプ・バックギャモ ン)は、創作活動として位置づけがたいものであり、またそれらオ ブジェクトで複数の遊びが実現される。さらにユーザコミュニティ も非同一と認識されるべきである。そのため、これらの記述には別 のデータモデルが要される。
  8. 実体の定義 名称 定義 作品 個別の創作的内容 作品バリエーション 同一のゲーム経験を提供するコン ポーネントが示す記号やルールブッ クのテキストのセット パッケージ

    テーブルトップゲームの頒布単位、 内容や形式やデザインが違う場合、 区別して記録される 個別資料 実際に手にするもしくは見ることが できる資料現物 主体 作品の創作、パッケージの頒布など に権利を有するまたは貢献した個人 や団体 トピック 作品などの内容を記述するための件 名 表. 本モデルで定義される実体 • 作品から複数のローカライズ 版や頒布形式などの版違いが 実現・体現される • 概念モデルで定義される、実 体ならびにその定義は右表の 通りである