著作権法改正とICT教育の推進/2019-jmel

第14回医療系eラーニング全国交流会
2019年12月21日於広島大学

Transcript

1. 著作権法改正とICT教育の推進 広島大学 情報メディア教育研究センター／情報科学部 隅谷孝洋 <sumi@riise.hiroshima-u.ac.jp> 第14回医療系eラーニング全国交流会 (2019/12/21) http://bit.ly/19jmel
2. 自己紹介：隅谷孝洋・1964年岐阜県生・広島大学准教授 2 1990 1995 2000 2005 2010 2015 総合科学部 情報メディア教育研究センター 情報教育 共用端末 LMS コンテンツ作成支援 ePF eラーニング支援 動画作成支援 著作権処理 2016年から、 AXIES-csdの著作権TFで活動してます https://axies-csd-cr.blogspot.jp ©
3. ICT活用教育の推進… 3 1980 1990 2000 2010 1982年 PC9801 1984年 Macintosh PC AT 1977年 AppleII 1995年 Windows95 1990年 Windows3.1 1989年 FM Towns 2001年 Mac OS X 2009年 Windows7 2015年 Windows10 2007年 iPhone 2008年 Android 1994年 Amazon 1998年 Google 2004年 FaceBook 2011年 LINE 2001年 Wikipedia 1993年 R 1989年 NeXTSTEP 1995年 WebCT 1999年 Moodle 2003年 教科「情報」 1998年 メディア授業 1996年 SCS 2003年 著作権法改正 (同時公衆送信に権利制限） プログラム教育 　一般情報教育 DS LMSの普及 PowerPointの普及 HyperCard流行 2001年 インターネット授業 2010年 iPad 2012年 MOOC(edX)
4. 教育の情報化を推進するために ‣ 2018年著作権法第35条が改正された 4
5. 著作権法35条（授業の過程での利用）での 複製や 公衆送信 5 授業・教材での 他人の著作物 の利用 例えば、写真・図表・文章 などを書籍やネットから 複製 プリント配布 スライド投影 ライブ授業配信 VOD授業配信 LMSに掲載 一斉メール OK OK OK NG NG NG OK OK OK 昨年の法改正でOKに！ ただし、施行は2021年度（予定）
6. 著作権法の原則はシンプル ‣ 著作物を利用する権利は著作者が保持 ✓ 利用したい場合は，許可が必要 ‣ 特定の状況では，許可なしで利用できる ✓ これを「権利制限」という 6
7. 著作権 (財産権) 人格権 著作者の権利は人格的な利益を守る著作者人格権と、 経済的な利益を守る著作権に分類されている。 7 ஶ࡞ݖ ✓ 公表権 ✓ 氏名表示権 ✓ 同一性保持権 ✓ 複製権 ✓ 上演権・演奏権 ✓ 上映権 ✓ 公衆送信権 ✓ 公の伝達権 ✓ 口述権 ✓ 展示権 ✓ 譲渡権 ✓ 貸与権 ✓ 頒布権 ✓ 翻訳権・翻案権 ✓ 二次的著作物の創 作・利用権 ஶ࡞ऀ 〇〇権とは，「勝手に〇〇されない権利」
8. 「学校では、自由にコピーできる」の根拠 なんでも自由なわけではありません 8 ʢֶߍ鱢鱳ଞ鱳ڭҭػؔ鱰鱏鱖鲐ෳ੡౳ʣ
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9. 授業の過程における「公衆送信」（第35条の2） 9 ୈࡾेޒ৚
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10. そもそも公衆送信とは？ 10 ୈೋ৚
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11. 35条2で権利制限の対象になっている「公衆送信」は、制限がある 「同時中継的な公衆送信」のみが対象 11 ओձ৔ ෭ձ৔ ෭ձ৔ ෭ձ৔ ෭ձ৔ ෭ձ৔ ෭ձ৔ 同時 中継 これ以外の公衆送信は権利制限の対象にならない
12. 著作権法35条（授業の過程での利用）での 複製や 公衆送信 12 授業・教材での 他人の著作物 の利用 例えば、写真・図表・文章 などを書籍やネットから 複製 プリント配布 スライド投影 ライブ授業配信 VOD授業配信 LMSに掲載 一斉メール OK OK OK NG NG NG OK OK OK 昨年の法改正でOKに！ ただし、施行は2021年度（予定）
13. 2018年度の著作権法第35条改正の内容 13 ೨઄ኬ࿨֭ ӠӠᆷล OK ೨઄ኬ࿨֭ ӠӠ၍ಐ୰೾ຽම OK ӽӿ ඞ ӻ ஶ ӽӿ ඞ Ӽ ஶ ӽӿ ඞ ӻ ஶ ӽӿ ඞ Ӽ ஶ ӽӿ ඞ ӽ ஶ ೨઄ኬ࿨֭ ӠӠᆷลՒ୰೾ຽමՒ୰֭࿿༥ OK එ਋֭୰೾ຽම֪֣փ֥֮ ӠӠᇸൌઞ ב౫ᆻօ֧֒ ֖֞֟၍ಐ୰೾ຽම֪֣փ֥֮ ӠӠᇸൌઞ֭౫ᆻփᆊጅ ༌ ӻӺӾ ඞ֭ ӻӻӻԁ ֦࠿փ֩֨בਊ࿊ ूฝ ଵபེ֭ఢଚሓ ूฝེఢଚሓ ӼӺӻԂӹӿӹӼӿ ֊׈ ӽ Ⴉࡒၾ֪౮ப 未施行
14. 指定管理団体：SARTRAS 2019年2月に指定 14 ूฝེఢଚሓ ӻӺӾ ඞ ӻӻ ஶ֭ զ౪࿊৉ጫཆ໲է ೨઄ኬ࿨୰೾ຽමᇸൌઞ့৉ጫ੤वӨӲԢԋԡԣԡԋԢӴ ශᇍ ੱࡱེఢଚ੤ਢव ସ୤့ ੱࡱེఢଚ੤ਢव ഞᄟ ੱࡱེఢଚ੤ਢव ౽ॲ૷ട့ ੱࡱེఢଚ੤ਢव ࣿॼ့ ੱࡱེఢଚ੤ਢव ࢭໂ့ ੱࡱེఢଚ੤ਢव ེఢଚ৉ጫཆ໲ ེఢଚೄ ੱࡱ৿৘ ᇸ ൌ ઞ ౫ ᆻ ᇸ ൌ ઞ ᇀ ვ ᇀ ვ 意見交換
15. 意見交換の場：著作物の教育利用に関する関係者フォーラム ‣ 権利者団体と教育機関団体の意見交換 ‣ ガイドライン作成を目指す ✓ 教育機関の範囲 ✓ 授業の範囲 ✓ 権利者の利益を不当に害しない範囲 ✓ などなど 15
16. 補償金額の決まり方 16 ౪࿊৉ጫཆ໲ ԄԢԋԡԣԡԋԢӨӲ Ӵ ੱࡱጦዿ֪৘֘׊ེఢଚ့৉ጫ੤ਢव ᇌӠँӠྃ ੱࡱ৘૒ཆ໲ ᇌँලਢव ࡝ଣౙփ ࡝ଣ୪হ Ӳ Ӵ Ӳ ӴӨེఢᆾ֭ੱࡱጦዿ֪৘֘׊৘૒ೄ؊מ՛؞ؕ Ӳ ӴӨ೨઄ኬ࿨୰೾ຽමᇸൌઞ့৉ጫ੤व https://kyoiku-forum.sakura.ne.jp https://sartras.jp ᇸൌઞॽ෇ษ ᇸൌઞॽႡई ࡝ଣ࿓ഞ ಂኴ း෇ ็ጵമᅏӨӲӼӺӻԃӹӺӻӹӼӼ ็ጵ ӴӨ ӼӺӻԂӹӻӻӼӺӻԃӹӺӽ
17. 5 z\“(Mq)  • a(ck+ dn‹obu(Šˆ$ZFWU(Šˆ5g "‹oš(ZF¥¤'U2U]u ?7BAo‚3!!1  ) 8@:>pJ(£ #)rS¦Šˆ'/2ZFWU0 (EcŽv5GP'i ,(|žgR. EcgRi432     ‹oš(ZF¥¤'U2U]u?7BAMm   
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18. 著作権法35条（授業の過程での利用）での 複製や 公衆送信 18 授業・教材での 他人の著作物 の利用 プリント配布 スライド投影 ライブ授業配信 VOD授業配信 LMSに掲載 一斉メール OK OK OK OK OK OK 授業 NG NG NG NG NG NG ネット 公開 公開 講座 一般 講演会 全学むけ コンテンツ
19. 著作権法上の適法な「引用」が成立する条件（第32条） 19 公表された著作物 公正な慣行に合致 必要最小限 ‣必然性 ‣主従関係 ‣明瞭な区別 ‣原型を保持 ※学術論文での「引用」とはやや異なる 出所の明示（48条） ʢҾ༻ʣ
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20. 引用も曖昧 20 スターニャーズのこのタマゴッパー のデザインは，アメリカのポップカルチャに 大きな影響を与えました… さあ今日は宇宙について学ぼう！ 適法引用 きっと適法引用じゃない 出典：スターニャーズ・エピソード1 出典：スターニャーズ・エピソード1
21. 制度導入後何が変わるのか？ ‣ 補償金を支払う大学では，他者著作物を 利用した教材の公衆送信が可能に… ‣ 便利にはなるが，教育がガラリと変わる わけでもない ‣ ICTをいかした教育を拡大して，教育の 質向上に繋げていかなければ！ 21