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2018年度 分離化学工学 第8回

2018年度 分離化学工学 第8回

連続多段蒸留塔 問題設定
q線
q線の導出1
q線の導出2
q線の導出3
前回の問題
連続多段蒸留塔
解説
こんな回答もありました
今回の達成目標
ガス吸収
装置の例
装置の例
ガス吸収のモデル
二重境膜説
二重境膜説 境膜?
二重境膜説 設定
二重境膜説 駆動力(推進力,driving force)
二重境膜説 定常状態における(物質)流束
二重境膜説 駆動力
二重境膜説 気液界面の特徴量
ヘンリーの法則
二重境膜説 気液界面・ヘンリーの法則
二重境膜説 界面の特徴量を消去
二重境膜説 界面の特徴量を消去
二重境膜説 再びヘンリーの法則
二重境膜説 pA* って何?
二重境膜説 pA* って何?
二重境膜説 係数×(駆動力)
二重境膜説 総括物質移動係数
二重境膜説 他の総括物質移動係数
二重境膜説 式変形
二重境膜説 総括物質移動係数の式
二重境膜説 濃度・分圧の関係
二重境膜説 物質移動抵抗
二重境膜説 なぜ抵抗?
問題①
問題②
問題③
今回の達成目標
ヒント①
ヒント②
ヒント③

Hiromasa Kaneko

January 27, 2019
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Transcript

  1. 連続多段蒸留塔 問題設定 1 缶出液 留出液 ・・・ ・・・ F [mol・s-1]︓原料の流量 xF

    [-]︓低沸点成分の原料 (液体)のモル分率 W [mol・s-1]︓缶出液の流量 xW [-]︓低沸点成分の 缶出液のモル分率 D [mol・s-1]︓留出液の流量 xD [-]︓低沸点成分の 留出液のモル分率 V [mol・s-1]︓濃縮部の蒸気流量 L [mol・s-1]︓濃縮部の液体流量 V’ [mol・s-1]︓回収部の蒸気流量 L’ [mol・s-1]︓回収部の液体流量 R [-]︓還流⽐ ( = L / D ) D xD W xW V R=L / D L xn V yn L’ xm V’ ym L 濃縮部 回収部 原料 F xF , q
  2. 連続多段蒸留塔 問題設定 2 缶出液 留出液 ・・・ ・・・ xn , xm

    [-]︓低沸点成分の n,m段目の液体の モル分率 yn , ym [-]︓低沸点成分の n,m段目の蒸気の モル分率 q [-]︓原料の液体の割合 上から1段、2段、・・・と数える D xD W xW V R=L / D L xn V yn L’ xm V’ ym L 濃縮部 回収部 原料 F xF , q
  3. q線 3 濃縮部の操作線と回収部の操作線との交点が、 で表されることを示してみよう F 1 y x 1 1

    q x q q = − + − − ・・・ q 線 また、q 線が (xF , xF ) を通ることを示してみよう
  4. q線の導出1 4 D y x L D x V V

    = + 濃縮部操作線 より、 D D y x x V L = − 回収部操作線 W ' y x ' ' L W x V V = − は、 ( ) 1 ' V q F V = − + ' L Fq L + = より、 ( ) ( ) W y x 1 1 L Fq W x V q F V q F + = − − − − − ( ) ( ) { } W x 1 y Wx L Fq V q F = + − − − よって、
  5. q線の導出2 5 D D y x x V L =

    − ( ) ( ) { } W x 1 y Wx L Fq V q F = + − − − を と F D W Fx Dx Wx = + に代入すると ( ) ( ) { } F y x x 1 y Fx V L L Fq V q F = − + + − − − 整理すると ( ) ( ) F F 1 y= x 1 y= x q F Fq Fx q q x − − + − − +
  6. q線の導出3 6 ( ) F 1 y= x q q

    x − − + q = 1 のとき、 F 1 y x 1 1 q x q q = − + − − F x=x q ≠ 1 のとき、
  7. 解説 考え方 • モデルをつくるときに仮定したことは成り⽴っているか︖ ⁃ 物質収支 ⁃ 気液平衡 • ラウールの法則

    • 実験データを使用したときは、補間 • モデルをつくるときに考慮していなかったことは︖ 9
  8. ガス吸収 気体を液体(吸収液)と接触させて、気体の中にある液体に溶ける 成分を、液中に溶かすことで分離 • sodastream 気体の混合物から • 有用な成分を回収 • 有害な成分を除去

    物理吸収︓物理的に溶かす、溶解度の差を利用 • アセトンを水で吸収 • アンモニアを水で吸収 • ナフタレンを炭化水素オイルで吸収 化学吸収︓溶かしてから反応させる、反応性の差を利用 • 硫化水素を水酸化ナトリウム水溶液で吸収 • 二酸化炭素をアミン類で吸収 13
  9. ガス吸収のモデル ガス吸収の現象はとても複雑 現象を説明するためにいろいろな方法で単純化され、 モデルが提案された • 二重境膜説 ⁃ もっとも一般的 ⁃ シンプルでわかりやすい

    ⁃ 実際の結果とのズレが問題にならない程度 ⁃ 熱の移動現象でも用いられる • 浸透説 ⁃ 非定常の現象解析に使用 • 表面更新説 ⁃ 非定常の現象解析に使用 • 境界層理論 ⁃ 界面近傍で使用 16
  10. 二重境膜説 設定 19 気液界面 液体(液相) 気体(気相) ガス境膜 液境膜 ガス本体 液本体(バルク)

    pA , yA pAi , yAi cAi , xAi cA , xA δG δL pA [Pa]︓Aのガス本体の分圧 yA [-]︓Aのガス本体のモル分率 pAi [Pa]︓Aの気液界面での分圧 yAi [-]︓Aの気液界面でのモル分率 δG [m]︓ガス境膜の厚み cA [mol・m-3]︓Aの液本体の濃度 xA [-]︓Aの液本体のモル分率 cAi [mol・m-3]︓Aの気液界面の濃度 xAi [-]︓Aの気液界面のモル分率 δL [m]︓液境膜の厚み
  11. 二重境膜説 駆動⼒(推進⼒,driving force) 成分が移動するためには駆動⼒(driving force)が必要 • 分圧の差 • 濃度の差 ⁃

    水は低いところに流れる、坂があると転がる、 香りが拡散する、と同じ https://datachemeng.com/drivingforce/ 20 気液界面 液体(液相) 気体(気相) ガス境膜 液境膜 ガス本体 液本体(バルク) pA , yA pAi , yAi cAi , xAi cA , xA δG δL
  12. 二重境膜説 定常状態における(物質)流束 21 気液界面 液体(液相) 気体(気相) ガス境膜 液境膜 ガス本体 液本体(バルク)

    pA , yA pAi , yAi cAi , xAi cA , xA δG δL 定常状態において(物質)流束は一定 ( ) ( ) ( ) ( ) A G A A L A A y A A x A A i i i i N k p p k c c k y y k x x = − = − = − = − NA [mol・m-2・s-1]︓Aの(物質)流束 kG , kL , ky , kx ︓境膜物質移動係数
  13. 二重境膜説 駆動⼒ ガス境膜︓分圧の変化が直線的と仮定したところ 液境膜︓濃度の変化が直線的と仮定したところ → A の移動を (係数)×(分圧の差) or (濃度の差)

    と表現できる︕ 定常状態 (仮定) • あたかも変化がないように⾒える状態 → ガス本体から液本体まで A が一定速度で移動 22
  14. 二重境膜説 気液界面の特徴量 23 ( ) ( ) ( ) (

    ) A G A A L A A y A A x A A i i i i N k p p k c c k y y k x x = − = − = − = − 流束 NA を求めたいが、気液界面に関する特徴量(pAi , cAi , yAi , xAi )は わからない・・・ 気液界面は 『気液界面では常に気液平衡が成り⽴つ』 ことに着目
  15. ヘンリーの法則 一定温度において、気体のAの分圧は液体のAの濃度に⽐例する • 式で表すと 24 液体 気体 A B A

    B xA [-]︓液体中のAのモル分率 A A p Hc = A A p Kx = A A y mx = cA [mol・m-3]︓液体中のAの濃度 pA [Pa]︓気体のAの分圧 H[m3・Pa・mol-1], K[Pa], m[-]︓ヘンリー定数 yA [-]︓気体中のAのモル分率 M M K m H c c π = = (ヘンリー定数に関する関係式)
  16. 二重境膜説 気液界面・ヘンリーの法則 気液界面でヘンリーの法則が成り⽴つとすると 25 A A i i p Hc

    = A A i i p Kx = A A i i y mx = ( ) ( ) ( ) ( ) A G A A L A A y A A x A A i i i i N k p p k c c k y y k x x = − = − = − = − これらを使って、流束の式 から、気液界面に関する特徴量(pAi , cAi , yAi , xAi )を消去する
  17. 二重境膜説 界面の特徴量を消去 26 まずは、 ( ) ( ) A G

    A A L A A i i N k p p k c c = − = − A A i i p Hc = を使って、気液界面に関する特徴量(pAi , cAi , yAi , xAi )なしに NA を表してみよう
  18. 二重境膜説 界面の特徴量を消去 27 ( ) ( ) G A A

    L A A i i k p p k c c − = − A A i i p Hc = より、 ( ) ( ) G A A L A A G A L A A L G i i i k p Hc k c c k p k c c k k H − = − + = + よって、 ( ) ( ) G A L A A L A A L A L G A A L G A A L G G L 1 1 i k p k c N k c c k c k k H p Hc k k p Hc H k k H k k   + = − = −   +   − = = − + +
  19. 二重境膜説 再びヘンリーの法則 28 ( ) A A A G L

    1 1 N p Hc H k k = − + 仮に、液全体と気液平衡関係にある気相があるとし、 そのAの分圧を pA * とすると、ヘンリーの法則より A A * p Hc = ( ) A A A G L 1 * 1 N p p H k k = − + よって、
  20. 二重境膜説 pA * って何︖ 30 気液界面 液体(液相) 気体(気相) ガス境膜 液境膜

    ガス本体 液本体(バルク) pA , yA pAi , yAi cAi , xAi cA , xA A A i i p Hc = A A i i y mx = ヘンリーの法則 A A * p Hc = A A * p Hc = A A * y mx = A A * y mx = ヘンリーの法則 ヘンリーの法則 ガス本体にも気液界面が あるとすると・・・ 液本体にも気液界面が あるとすると・・・
  21. 二重境膜説 係数×(駆動⼒) 駆動⼒ or 推進⼒ or ドライビングフォース(driving force) 31 (

    ) ( ) ( ) ( ) A G A A L A A y A A x A A i i i i N k p p k c c k y y k x x = − = − = − = − ( ) A A A G L 1 * 1 N p p H k k = − + これは、 の形に似ている、つまり、NA = 係数 × (駆動⼒) で表される
  22. 二重境膜説 総括物質移動係数 32 よって、 ( ) A G A A

    * N K p p = − G G L 1 1 H K k k = + とすると、 KG ︓総括物質移動係数
  23. 二重境膜説 他の総括物質移動係数 33 ( ) ( ) ( ) (

    ) A G A A L A A y A A x A A * * * * N K p p K c c K y y K x x = − = − = − = − KG , KL , Ky , Kx ︓総括物質移動係数 KG と同様にして、 KL , Ky , Kx の式も導いてみよう ただし、ヘンリーの法則より A A * p Hc = A A * y mx = A A * y mx = yA * [-]︓液全体と気液平衡関係にある気相があると したときの、そのAのモル分率 cA *[mol・m-3], xA *[-] ︓ガス全体と気液平衡関係にある液相があると したときの、そのAの濃度, モル分率 A A i i p Hc = ( ) A A i i p Kx = A A i i y mx = (界面)
  24. 二重境膜説 式変形 34 ( ) A A A G L

    1 1 N p Hc H k k = − + A A * p Hc = より、 から、 ( ) ( ) A A A G L A A G L 1 * 1 1 * 1 1 N Hc Hc H k k c c Hk k = − + = − +
  25. 二重境膜説 式変形 35 より、 ( ) ( ) y A

    A x A A i i k y y k x x − = − A A i i y mx = ( ) ( ) x A y A A x A A x A x y A A x y A A x y y x 1 1 i k x k y N k x x k x k k m y mx k k y mx m k k m k k   + = − = −     +     − = = −     + +   よって、 ( ) ( ) y A A x A A i i k y mx k x x − = − x A y A A x y i k x k y x k k m + = +
  26. 二重境膜説 式変形 36 A A * y mx = (

    ) A A A y x 1 1 N y mx m k k = − + より、 ( ) A A A y x 1 * 1 N y y m k k = − +
  27. 二重境膜説 式変形 37 ( ) A A A y x

    1 1 N y mx m k k = − + より、 A A * y mx = ( ) ( ) A A A y x A A y x 1 * 1 1 * 1 1 N mx mx m k k x x mk k = − + = − +
  28. 二重境膜説 総括物質移動係数の式 38 ( ) ( ) ( ) (

    ) A G A A L A A y A A x A A * * * * N K p p K c c K y y K x x = − = − = − = − G G L L G L y y x x y x 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 H K k k K Hk k m K k k K mk k = + = + = + = +
  29. 二重境膜説 濃度・分圧の関係 39 pA , yA pAi , yAi cAi

    , xAi cA , xA c, x cA *, xA * pA *, yA * p, y 液相駆動⼒ (液相基準) 総括駆動⼒ (気相基準) 総括駆動⼒ 気相駆動⼒ 液本体 界面 (ガス本体) ガス 本体 界面 (液 本体) 気液平衡線 p = Hc, y = mx
  30. 二重境膜説 物質移動抵抗 物質移動係数の逆数・・・・物質移動抵抗 • ガス側の抵抗 + 液側の抵抗 40 G G

    L L G L y y x x y x 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 H K k k K Hk k m K k k K mk k = + = + = + = + 全体の抵抗 ガス側の 抵抗 液側の 抵抗
  31. 問題① 42 25℃, 1 気圧で空気中のNH3 を水で吸収させるとき、気相(ガス)の 総括物質移動係数 Ky が0.18 mol・m-2・s-1であった。また

    NH3 の液相の物質移動係数 kx は 1.5 mol・m-2・s-1であった。 ky はいくつか︖また、NH3 が水に溶けるときの気相の抵抗の割合は いくつか。 次に、この操作条件で O2 と NH3 の kx と ky の値が変わらないと 仮定すれば、O2 が溶解するときの気相の抵抗の割合はいくらか。 ただし、NH3 -水系で m = 0.90, O2 -水系で m = 4.4×104 とする。 オーム社『新体系化学⼯学 分離⼯学』p.98【例題4.8】にもとづいて作成
  32. ヒント① 物質移動係数の式を使おう︕ NH3 が水に溶けるときの気相の抵抗の割合 • 1/ky は︖ • ガス側の抵抗は︖ •

    液側の抵抗は︖ O2 が溶解するときの気相の抵抗の割合 • 1/Ky は︖ O2 -水系での気相の抵抗の割合︓1.7×10-4 46