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分離化学工学 第3回

Hiromasa Kaneko
September 24, 2017

 分離化学工学 第3回

前回の復習
前回の復習
ヘンリーの法則
ラウールの法則
ラウールの法則
ラウールの法則 相対揮発度
ラウールの法則が成り立たないとき
今回の達成目標
蒸留とは
蒸留の例
蒸留の原理 (2成分で低沸点成分の濃縮)
単蒸留と多段蒸留
回分蒸留と連続蒸留
単蒸留(回分蒸留) 問題設定・物質収支
単蒸留(回分蒸留) 式変形
単蒸留(回分蒸留)レイリーの式
単蒸留(回分蒸留) 留出率
単蒸留(回分蒸留) ラウールの法則が成立
単蒸留(回分蒸留) 式変形
単蒸留(回分蒸留) 留出液の平均モル分率
今回の達成目標

Hiromasa Kaneko

September 24, 2017
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Transcript

  1. 前回の復習 分離したい︕ • 成分A と 成分B とを分離することを考える 液体と気体とが一緒にあることが多いよね、とりあえず液体+気体を 考えよう︕ Aだけ(Bだけ)多めに液体に溶かしちゃえば

    いいんじゃない︕︖ • ヘンリーの法則 Aだけ(Bだけ)多めに気化させちゃえば いいんじゃない︕︖ • ラウールの法則 2 液体 気体 A B A B
  2. ヘンリーの法則 Aは液体にほとんど溶けていないとする • A︓酸素、⽔素、窒素など 一定温度において、気体のAの分圧は液体のAの濃度に⽐例する • 式で表すと 3 液体 気体

    A B A B xA [-]︓液体中のAのモル分率 A A p Hc = A A p Kx = A A y mx = cA [mol・m-3]︓液体中のAの濃度 pA [Pa]︓気体のAの分圧 H[m3・Pa・mol-1], K[Pa], m[-]︓ヘンリー定数 yA [-]︓気体中のAのモル分率
  3. ラウールの法則 AとBとは似ているもの(同族)とする • ベンゼンとトルエン、メタノールとエタノールなど • 一般的に、沸点の低い(蒸発しやすい)成分をAとする 気体の分圧は液体のモル分率に⽐例する • 式で表すと 4

    液体 気体 A B A B xA , xB [-]︓液体中のA, Bのモル分率 pA , pB [Pa]︓気体のA, Bの分圧 A A A p P x = B B B p P x = ( ) A B 1 x x + = PA , PB [Pa]︓純物質A, Bの蒸気圧(飽和蒸気圧) ・・・AもしくはBしかないときの圧⼒
  4. ラウールの法則 AとBの気体のモル分率 yA , yB [-] を考える 5 液体 気体

    A B A B 気体のA, Bの分圧は、ダルトンの法則(Dalton’s low)より A A p y π = B B p y π = (気体のモル分率の⽐ = 分圧の⽐) より ( ) A B 1 y y + = A A A A p P x y π π = = A A A p P x = B B B p P x = B B B B p P x y π π = =
  5. ラウールの法則 相対揮発度 相対揮発度 α = (分離係数 = 相対揮発度) 6 A

    B P P ( ) A A A 1 1 x y x α α = + − 気体のモル分率を、 液体のモル分率と相対揮発度で表せた
  6. 蒸留の原理 (2成分で低沸点成分の濃縮) 11 x[-]︓低沸点成分の 液体のモル分率 y[-]︓低沸点成分の 気体のモル分率 T[K]︓温度 x, y

    [-] 0 1 x1 沸騰線 凝縮線 原液 平衡(蒸発) TF T1 y1 x2 平衡(蒸発) T2 y2 x3 T3 液体の 領域 気体の 領域
  7. 単蒸留と多段蒸留 単蒸留 • 加熱して蒸発 と 冷却して凝縮 とのセットが一回 多段蒸留 • 加熱して蒸発

    と 冷却して凝縮 とのセットが複数回 • 回数を設計することで目的のモル分率(濃度)を達成 12
  8. 単蒸留(回分蒸留) 問題設定・物質収支 ウイスキーの蒸留などに利用 14 液体 気体 y [-] F [mol]

    x [-] F [mol]︓蒸留器内の液体の量 x [-]︓低沸点成分の 液体のモル分率 y [-]︓低沸点成分の 気体のモル分率 t [-]︓時刻 スチーム 蒸留器 製品 冷却⽔ コンデンサー 低沸点成分の物質収支 ( ) d d d d Fx F y t t = 低沸点成分の 液体が減った (蒸発した)量 低沸点成分の 気体が増えた量 =
  9. 単蒸留(回分蒸留) 式変形 15 ( ) d d d d Fx

    F y t t = ( ) d d d d d d d d d d d x F F F x y t t t F x x F y F F x y x F + = + = = − ( ) d d F x F y x = − 式変形して、左辺をFで、右辺をx(とy)で整理してみよう 最初の状態 (F = F0 , x = x0 ) からある時刻 t の状態 (F = Ft , x = xt ) まで積分すると、 ( ) 0 0 1 1 d d t t F x F x F x F y x = − ∫ ∫ 左辺を変形してみよう
  10. 単蒸留(回分蒸留)レイリーの式 16 ( ) 0 0 1 1 d d

    t t F x F x F x F y x = − ∫ ∫ [ ] 0 0 0 0 1 d ln ln ln ln t t F F t t F F F F F F F F F = = − = ∫ よって、 ( ) 0 0 1 ln d t x t x F x F y x = − ∫ レイリー(Rayleigh)の式 [液体の量、気体・液体のモル分率 との関係式]
  11. 単蒸留(回分蒸留) 留出率 17 留出率 β [-]︓最初の原料のモル数と蒸留器から出たモル数との⽐ 0 0 0 1

    t t F F F F F β − = = − ( ) 0 0 1 ln d t x t x F x F y x = − ∫ ( ) ( ) 0 1 ln 1 d t x x x y x β − = − ∫ β を使うと、
  12. 単蒸留(回分蒸留) ラウールの法則が成⽴ 18 ラウールの法則が成り⽴つとき、 ( ) 1 1 x y

    x α α = + − α [-] ︓相対揮発度 ( ) 0 0 1 ln d t x t x F x F y x = − ∫ ( ) 0 0 1 ln d 1 1 t x t x F x F x x x α α =   −     + −   ∫ 右辺を整理して積分記号なしで 表現してみよう レイリーの式は となる
  13. 単蒸留(回分蒸留) 式変形 19 ( ) ( ) ( ) {

    } ( ) ( )( ) ( ) 0 0 0 0 0 0 1 1 1 ln d d 1 1 1 1 1 1 1 1 d d 1 1 1 1 1 ln 1 ln 1 t t t t t x x t x x x x x x x x x F x x F x x x x x x x x x x x x x x x α α α α α α α α α α α + − = =   − − − −     + −   + −   = = +   − − − −     = − − +   − ∫ ∫ ∫ ∫ F0 と x0 は最初の状態でわかっているので、 xt か Ft のどちらか分かれば、もう一⽅も分かる 0 0 0 1 1 ln ln ln 1 1 t t t F x x F x x α α   − = − +   − −  
  14. 単蒸留(回分蒸留) 留出液の平均モル分率 製品(留出液、出てきてたまったもの)のモル分率 xD はいくつか︖ 時刻 t のときの、マスバランスとマテリアルバランスを考え、導いてみよう︕ 時刻 t

    のときの、製品(留出液)の液体の量を Dt [mol] とおいて マスバランス・マテリアルバランスの式をたて、消去する 20 マスバランス(物質収支) 0 t t F F D − = 低沸点成分のマテリアルバランス(物質収支) 0 0 D t t t F x F x D x − = 0 0 0 0 D 0 t t t t t t F x F x F x F x x D F F − − = = −