本レポートは、civicship トランザクションログの定性分析を通じ、コミュニティ内の価値循環構造を解明した資料です。2025年9月から2026年1月にかけての「IZUとDAO」「KIBOTCHA」「琴平デジタル町民」のデータを対象とし、従来のKPI(流通総額やDAU)では見落とされがちなコミュニティの「体温(civicship)」を可視化しています。
主な分析内容と発見:
1. 焚き火モデル (The Bonfire Model) の提唱
コミュニティを「焚き火」に見立て、その構成要素を以下の4つに定義しました。
・Amplifier (増幅者/ふいご):自分の利益より場の盛り上がりを重視し、ポイントを再分配して循環を促す役割。
・Peer Hero (現場のヒーロー/薪):料理や運転、掃除など、実質的な価値を提供する役割。
・Consumer (恩恵享受者/当たりに来る人々):価値を体験しポイントを消費するゲスト。
・Points (熱量):単なる決済手段ではなく、感謝や承認を表す「熱量」。
2. データから見る価値の傾向
分析の結果、どのような行為に価値(ポイント)が置かれているかが判明しました。
・Food is King:コメントの約4割以上が飲食(賄い、野菜など)に関連しており、圧倒的な主要通貨となっています。
・Mobility Matters:約25%が「送迎」や「運転」への対価であり、移動コストのシェアがコミュニティ維持に必須となっています。
・Shadow Work Visibility:通常は金銭的報酬が発生しにくい「掃除」や「親切」に対しポイントが送られ、見えない貢献が価値化されています。
3. ポイントの役割とインサイト
・感情の潤滑油:ポイントは機能的な対価としてだけでなく、「謝罪(ごめんね)」や「挨拶」、「関係修復」など、人間関係を滑らかにするツールとして使われています。
・美徳の正体:プロのスキルだけでなく、「気配り」や「汗(泥臭い作業)」が高く評価されています。
4. 提言
コミュニティの持続には、「報酬(Payment)」というメンタルモデルを「恩送り(Gift)」へ書き換えることが重要です。具体的なアクションとして、増幅者が疲弊しないための支援(ボーナス付与)、感謝される行動のメニュー化(クエストリスト化)、感謝の解像度を上げるためのタグ活用などが提案されています。