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姫路市 -都市OSの「再実装」-

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January 15, 2026

姫路市 -都市OSの「再実装」-

1. 「表層」の繁栄と「深層」の限界 人口50万人の地方都市・姫路市は今、一見するとかつてない繁栄の中にあります。駅北口から姫路城へ続く大手前通りはウォーカブルな空間へと変貌し、関西の「買って住みたい街ランキング」で3年連続1位を獲得するなど、洗練された都市景観と高い居住快適性を誇っています。 しかし、その華やかな表層の皮一枚下では、人口増加時代に設計された「昭和の都市OS(社会システム)」が耐用年数を迎え、悲鳴を上げています。建設業の56.1%が後継者不在という「事業承継クライシス」、黒字でも廃業せざるを得ない地場産業、そして水道インフラを直す資金はあっても「直す人がいない(夜間対応はボランティア頼み)」という構造的な矛盾が顕在化しています,,。

2. 古いOSからの脱却:3つの構造転換 本書(本レポート)では、この危機を乗り越えるため、姫路市が取り組むべき「都市OSの再実装(アップデート)」を以下の3つの視点から解き明かします。
• 経済の再実装(事業承継とM&A): 駅前の商業施設(消費の場)と、それを支える足元の産業(生産・維持の場)の断絶を埋めるため、単なる延命ではない「M&A」や「脱ファミリー経営」による産業の新陳代謝を促進します。仕事はあるのに会社が消える「黒字廃業」を防ぎ、インフラ維持の担い手を確保することは、都市の生存条件そのものです,。
• 観光の再実装(通過型から滞在型へ): 「世界遺産を見て終わり」という「安売り」からの脱却です。姫路城の入城料を2.5倍(2,500円)へ改定し、その収益を原資にナイトタイムエコノミーや高付加価値な体験を創出します,。単なる数合わせの観光から、外貨を確実に稼ぎ地域に還元する「稼ぐ観光」への転換を図ります。
• 公共の再実装(ボランティアからプロフェッショナルへ): 「夜間待機は無償」「積算は手計算」といった行政・インフラ現場のアナログな慣習を、DX(デジタル・トランスフォーメーション)と適切な対価構造へ書き換えます,。また、学校や公民館といった「ハコモノ」についても、総論賛成・各論反対の壁を乗り越え、人口減少に合わせた「小さくても豊かな機能」への再編を断行する覚悟が問われています。

3. 未来への投資とリスク 姫路市は今、手柄山の新駅・アリーナ整備による「第2の都心」形成や、不登校支援にメタバースを活用する「教育のアップデート」など、次世代を見据えた積極投資を行っています,,。 一方で、行政の技術力低下による入札ミスや、ガバナンスの欠如、見えないインフラの老朽化といったリスクも潜んでいます,。

【結論】 姫路市が直面しているのは、単なる一地方都市の課題ではありません。「人口ボーナス期に作られた古いOSを、いかに民間の活力とテクノロジーで『高付加価値・高効率・持続可能』な新しいOSへと書き換えるか」,。 この「再実装」の成否こそが、日本の地方都市が生き残るための共通の解となるのです。

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January 15, 2026
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