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気液界面と自由エネルギー / Gas Liquid Surface

kaityo256
January 13, 2022

気液界面と自由エネルギー / Gas Liquid Surface

気液界面の密度プロファイルにtanhが現れる話。

kaityo256

January 13, 2022
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Transcript

  1. 9 27 ある状態のエネルギーをE、温度をTとすると、 その状態の出現確率は以下に比例する 𝑘𝐵 exp(−𝛽𝐸) ボルツマン定数 -ε exp(𝛽𝜖) 𝛽

    = 1/𝑘𝐵 𝑇 逆温度 液相(左)が出現する確率は気相(右)が出現する確率の 倍 液相の出現確率の方が大きい
  2. 10 27 気相 液相 通り 通り 液相が出現する確率 = 2𝑉𝑒𝐾 2𝑉𝑒𝐾

    + 𝑉(𝑉 − 5)/2 𝐾 = 𝛽𝜖 周期境界条件 V=L x Lの格子を考える 2𝑉 𝑉 𝑉 − 1 2 − 2𝑉
  3. 11 27 状態の数は気相の方が多い 気相 液相 2𝑉 𝑉 𝑉 − 1

    2 − 2𝑉 状態数 L=3の時 18 18 L=10の時 200 4750 L=20の時 800 79000
  4. 18 27 自由エネルギーはこんな形になっていそう 𝐹 𝜌 = 𝑎𝜌4 − 𝑏𝜌2 ※変数変換で奇数次を落としている

    b>0の時 密度 極小点は一つ 気相と液相の区別はなくなる b<0の時 極小点が2つ →気相と液相 (超臨界状態) 自由エネルギーの微分がゼロとなる点が平衡状態
  5. 20 27 自由エネルギーが局所自由エネルギーの積分で書けるとする 𝐹 𝑓 = ∫ 𝑓 𝑥 𝑑𝑥

    局所自由エネルギーが、局所密度の関数になっていると仮定 𝑓 𝜌(𝑥) 密度の全系にわたる積分が粒子数 𝑁 = න 0 𝐿 𝜌𝑑𝑥
  6. 21 27 𝑓 𝜌 = 𝑎𝜌4 − 𝑏𝜌2 局所自由エネルギーもこう書けてると仮定 𝐹

    𝜌 を極小化する密度分布はステップ関数になる 𝑥 𝜌 𝜌 𝑓
  7. 22 27 𝑓 𝜌 = 𝑎𝜌4 − 𝑏𝜌2 + 𝑐2

    𝑑𝜌 𝑑𝑥 2 𝑥 𝜌 密度が急激に変わるのは 非物理的 密度変化に対するペナルティ項を追加
  8. 23 27 最終的に自由エネルギーは以下のようになった 𝐹 𝜌 = න 𝑎𝜌4 − 𝑏𝜌2

    + 𝑐2 𝑑𝜌 𝑑𝑥 2 𝑑𝑥 一般に、自由エネルギー密度を局所秩序変数φの関数として 𝐹 𝜙 = න 𝑎𝜙4 − 𝑏𝜙2 + 𝑐2 𝑑𝜙 𝑑𝑥 2 𝑑𝑥 と表すことが多い。これをφ4 (ファイフォー)模型と呼ぶ 自由エネルギーの変分がゼロとなる点が平衡状態
  9. 24 27 𝛿𝐹 = 4𝑎𝜙3𝛿𝜙 − 2𝑏𝜙𝛿𝜙 + 2𝑐2𝜙′𝛿𝜙′ 𝐹

    𝜙 = න 𝑎𝜙4 − 𝑏𝜙2 + 𝑐2 𝑑𝜙 𝑑𝑥 2 𝑑𝑥 変分をとる 部分積分 𝛿𝐹 = 4𝑎𝜙3𝛿𝜙 − 2𝑏𝜙𝛿𝜙 − 2𝑐2𝜙′′𝛿𝜙 = 4𝑎𝜙3 − 2𝑏𝜙 − 2𝑐2𝜙′′ 𝛿𝜙 =0
  10. 25 27 2𝑐2 𝑑2𝜙 𝑑𝑥 = 4𝑎𝜙3 − 2𝑏𝜙 a

    = 1/2, b = 2の時 𝑐2 𝑑2𝜙 𝑑𝑥 = 𝜙3 − 2𝜙 𝜙 𝑥 = tanh(𝑐(𝑥 − 𝑥𝑐 )) この常微分方程式の解は これを「キンク解」と呼ぶ ※変数変換で係数を落とせる 𝑁 = න 0 𝐿 𝜙𝑑𝑥 𝑥𝑐 は以下の条件から決まる
  11. 26 27 𝜌 𝑧 = tanh 𝑥 − 𝑥𝑐 𝜆

    𝐹 𝜙 = න 𝑎𝜙4 − 𝑏𝜙2 + 𝑐2 𝑑𝜙 𝑑𝑥 2 𝑑𝑥 x 密度 𝜆 = 1/𝑐 𝜆 c:界面張力の強さ λ:界面の幅の長さ