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土壌センシングにおける IoT技術活用(発表資料)

土壌センシングにおける IoT技術活用(発表資料)

農業情報学会 2024年度 年次大会
オーガナイズドセッション

土壌センシングにおける IoT技術活用
2024.05.26 (Sun)

K.Masaki

May 26, 2024
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Transcript

  1. 株式会社 B&B Lab. IoT System R&D Innovator 株式会社B&B Lab. 代表取締役

    眞崎 康平 中村 真理 2024.05.26 (Sun) 農業情報学会 2024年度 年次大会 オーガナイズドセッション 土壌センシングにおける IoT技術活用
  2. 株式会社 B&B Lab. IoT System R&D Innovator Agenda 1. 会社紹介

    2. 開発の経緯 3. 技術開発 4. 検証 5. まとめ、今後の展開
  3. 株式会社 B&B Lab. IoT System R&D Innovator 〇概要 ・設立 2018年1月

    ・資本金 300万円 ・主な業務 IoT機器の開発(農業、自然エネルギー関連) http://b-and-b-lab.jp/ 〇代表取締役 眞崎 康平(まさき こうへい) :ハードウェア開発担当 業務キャリア ・SONY半導体(鹿児島、熊本、福岡)で10年弱、イメージセンサ開発に従事 対応領域 画像処理ソフトウェア開発、ハードウェア制御(Visual C++, VBA) 製品評価手法開発(CCD/CMOSイメージセンサ) ハードウェア開発(アナログ、デジタル) ・風力発電パワーコンディショナ開発(4年) 九州大学 応用力学研究所との産学協働プロジェクトにて レンズ風車向けパワーコンディショナ(制御器)開発 大電力、高電圧回路設計 ・その他 医療ベンチャーetc. 〇共同設立者 中村 真理(なかむら しんり):クラウド、ファームウェア担当 業務キャリア ・バーテンダー ・診療放射線技師 ・ LINE API Expert 会社概要
  4. 株式会社 B&B Lab. IoT System R&D Innovator 100m 制御盤 実証実験農場

    16 ch 自動潅水コントローラー(製品版 開発中) サイズ: 130x80x70mm システム全景 弊社では2022年よりアスパラガス向け自動潅水システムを開発中 電磁弁及び散水パイプ 福岡県 JA 大城
  5. 株式会社 B&B Lab. IoT System R&D Innovator 自動潅水のための土壌水分のセンシング実験を実施 (1/2) 温度、水分、電気伝導度(肥料)をセンシング

    データはRS485経由でマイコンに取り込み WiFi経由でクラウド送信するシステムを開発 中国製の安価な土壌センサを入手し、実験農場でモニタリングの実証実験 試作1号機 試作2号機 2022年 9 月より実験開始
  6. 株式会社 B&B Lab. IoT System R&D Innovator 自動潅水のための土壌水分のセンシング実験を実施 (2/2) 実験で得られた知見

    ・地温データは安定して取得 ・土壌水分は再現性のよい 絶対値の取得が難しい 2022年 9 月より実験開始 自動潅水への適用が難しい
  7. 株式会社 B&B Lab. IoT System R&D Innovator (株)竹村電機製作所 土壌水分計 DM-8

    https://www.demetra.co.jp/product/soil-moisture/dm-8/ 株式会社ニッポーHPより https://www.nippo-co.com/nogyo-controller/nogyo-012/ 土壌の水を吸う力を 圧力(負圧)に変換して測定 指標としては pF が用いられる。 テンシオメーター法とは? (1/2) 市販製品例 測定値はブルドン管式 圧力計で測定
  8. 株式会社 B&B Lab. IoT System R&D Innovator 地方独立行政法人 北海道立総合研究機構 Web公開資料より

    https://www.hro.or.jp/upload/13654/3v2.pdf pFの換算式 参考 pF = log10 (P) P:負圧 [cm 水柱]
  9. 株式会社 B&B Lab. IoT System R&D Innovator 開発方針 ・安価で入手性のよい部品を用いる ・精度、再現性のよい構成

    個体差調整不要 ・UECS(ユビキタス環境制御システム)との連携を考慮 PF計圧力計 取り付け部 ノズル センサ ヘッド 1. 測定部は実績のある市販測定装置を流用 2. センサコア部分について開発 3.データ処理 市販のプロトタイピング環境 を活用 M5Stack ・All in One ・WiFi内蔵 ・Arduino 環境で開発可能 →UECS移植可能
  10. 株式会社 B&B Lab. IoT System R&D Innovator 開発した測定手法の原理 土壌マトリックス ポテンシャル

    圧力 [hPa] ※1000cm水柱 = 980hPa 圧力センサ 圧力[hPa] → 電圧 [V] 接続アダプタ 市販測定装置 電圧 [V]→デジタル値 16bit ADコンバータ 電気的 インターフェイス 処理系 (IoTプロトタイピング 環境) 基板 標準ケーブル (Grove 規格)
  11. 株式会社 B&B Lab. IoT System R&D Innovator 概算コスト 13,200円 pF

    測定部 圧力センサ 850 円 ADコンバータ 380 円 電源IC 40 円 基板 30円 ??円 接続ノズル 6,900 円 3Dプリンタで製作 データ処理(M5Stack) 概算 22,000円程度 センサ部単体だと1500円位?
  12. 株式会社 B&B Lab. IoT System R&D Innovator 設計の詳細 回路図 ADコンバータ

    3.3Vレギュレータ ADレンジ Gain = 1 2.7mV/hPa pF 2.3 ※圧力センサデータシートより pF 2.6 pF 2.8 DM-8測定範囲 pF 2.85 測定 pF 範囲を支障ない範囲で限定( pF 2.85まで )することで 製作上のバラつきを回避する設計にし部品の精度スペックをそのまま生かす設計 をリーズナブルに実現 参考: ・圧力センサ ± 1.75% FS ・ADコンバータ ± 0.05% DM-8 アナログ式 テンシオメータ CAD 3Dイメージ 製造データ公開予定
  13. 株式会社 B&B Lab. IoT System R&D Innovator 精度検証方法 (1/2) 各所で使用実績のあるpF測定部を流用するため、

    センサの検証は pF値 と数式で紐づけられている圧力値(負圧)が正しく測定 できるかが検証できればよい 密閉容器に 絶対圧センサ (BME280)を封入 テスト用センサ をビニール パイプで接続 ※過渡応答の影響を少なくするため出来るだけゆっくり動かす 大きなシリンジを用い真空に引く 検証対象センサ 大気圧を 絶対圧センサ (BME280)で測定 2つの センサの 差を テスト圧力 (負圧) と想定 測定ジグは レーザーカッター 等を用いアクリルで製作 高精度で 絶対圧力測定可能 (±1.0 hPa)
  14. 株式会社 B&B Lab. IoT System R&D Innovator 絶対圧 測定時大気圧 1013.6hPa

    シリンジを引いた際の時系列データ 精度検証方法 (2/2) 圧力 vs センサデジタル出力(散布図) 市販の安価なセンサと比較的簡単な工作で製作可能なジグで 精度検証が可能なことが示された
  15. 株式会社 B&B Lab. IoT System R&D Innovator まとめ ・安価かつ再現性の高い土壌水分の測定手段を開発すること が出来た。

    ・フィールドでの運用での検証や 構成要素の信頼性を高める改良を今後行う必要がある。 ・IoTを活用した土壌水分測定のプロトタイプを示すことが 出来た。 プロトタイプイメージ ※UECS 対応済み
  16. 株式会社 B&B Lab. IoT System R&D Innovator 的確な土壌センシングデータの出力 イメージとして、土壌の各地個別の性質に合わせて センサノードが%

    表現で現在の土壌の水分量出力 →より抽象度の高い数値を用いるほうが自動潅水の ポリシーをより一般化しやすい。議論もより進む 抽象度の高いメタデータをUECSネットワークに流して 潅水制御を行う(潅水制御はシンプルとなる) 今後の展開 (1/3)
  17. 株式会社 B&B Lab. IoT System R&D Innovator 実現手段1:複数種類のセンサの組み合わせ ・pF で絶対測定

    ・電気的測定方法で応答性を確保 今後の展開 (2/3) 課題 一説では応答時間 数時間? 測定用の水補給作業時のノイズの除去 応答は数秒と早いが、絶対値の測定が苦手
  18. 株式会社 B&B Lab. IoT System R&D Innovator (例)弊社開発の電力モニタ装置のユーザーインターフェイス構築例 ( Webインターフェイス

    ) ※データ可視化はChart JSライブラリを使用 今後の展開 (3/3) 実現手段2:エッジデバイス側での測定パラメータ反映 的確な測定データを抽出するためには ・ユーザーフレンドリーな設定I/F ・ローカルの測定データを閲覧しながら最適な設定を探索 エッジ側に強力なマイコン(ESP32等)が利用可能なので実装可能 これらが 必要