デジタル北海道主催の「G空間情報利活用推進セミナー」での発表資料です。
Open Data北海道のG空間情報をオープンデータにするためには?北海道総合政策学部情報政策課主査 喜多 耕一
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Open Data自己紹介• 1972年生まれ(札幌オリンピックの年)• 北海道職員 林業技師• 森林室及び振興局林務課に勤務• 今までは森林土木(治山、林道)を担当• 2018年4月から現職• 今はオープンデータの推進を担当• GIS、地図が好き
Open Data自己紹介• 1972年生まれ(札幌オリンピックの年)• 北海道職員 林業技師• 森林室及び振興局林務課に勤務• 今までは森林土木(治山、林道)を担当• 2018年4月から現職• 今はオープンデータの推進を担当• GIS、地図が好きオープンソースGISのQGISの本も書いちゃいました。
Open Data520ページ!
Open DataWeb地図の利用
Open Data突然ですが
Open DataGoogleMapは、皆さん使ったことありますよね引用:GoogleMap
Open DataGoogleEarthも、使ったことありますよね引用:GoogleEarth
Open DataYahoo地図も、使ったことありますよね引用:Yahoo!地図
Open Dataこれらの地図をスクショして、報告書などに使ったことはありますか?https://www.illust-pocket.com/illust/1819〇〇位置図 〇〇空中写真報告書引用:GoogleMap、GoogleEarth
Open DataほとんどのWeb地図は、無断で報告書や書籍などに利用することはできません
Open Dataしかし、Googleマップ、GoogleEarthの利用規約では、報告書には使っていいと書いてある
Open Data日本のGoogleMapの地図はゼンリンの地図を使っています。Googleは良くても、ゼンリンの利用規約でダメ!ZENRIN引用:GoogleMap
Open Dataゼンリン住宅地図をコピーして使ってはいけないことは誰でもわかりますねそれと同じです引用:http://www.intermap.co.jp/productservice/housingmap/ゼンリン住宅地図/
Open Data特に帰属表示を消してしまうことは悪質と判断されるので気をつけてGoogleやZENRINなどの帰属表示を消す行為は×引用:GoogleMap
Open Dataじゃあ報告書に使える地図は?• 自分で購入した地図(デジタルマップルとか)• 自由に使える地図
自由に使える地図?!あるの?フリー素材ぱくたそ(www.pakutaso.com)
自由に使える地図フリー素材ぱくたそ(www.pakutaso.com)オープンデータ
Open Dataオープンデータってなに?
Open Dataところで「オープンデータ」って聞いたことありますか?Pixabay(https://pixabay.com)
Open Dataオープンデータとは国や自治体が保有するデータを、市民が自由に使えるようにインターネットなどで公開しているもの。自由な二次利用(商用利用も含む)が可能。
Open Dataオープンデータの定義• 誰でも自由に二次利用できるライセンスで公開されたデータ• インターネットを通じて誰でも入手することができるデータ• 機械判読しやすい形式で公開されたデータ
自治体の情報って、ホームページに公開されているし、開示請求しても入手できますよね?フリー素材ぱくたそ(www.pakutaso.com)
Open Dataオープンデータの定義• 誰でも自由に二次利用できるライセンスで公開されたデータ• インターネットを通じて誰でも入手することができるデータ• 機械判読しやすい形式で公開されたデータ問題はここ!
Pixabay(https://pixabay.com)著作権とライセンス
Open Data引用:北海道森町のホームページ(http://www.town.hokkaido-mori.lg.jp/bunya/morimachi/)
Open Data引用:北海道森町のホームページ(http://www.town.hokkaido-mori.lg.jp/bunya/morimachi/)このホームページの写真は誰でも自由に使えますか?
Open DataPDFなどでホームページに公表されている情報は自由に使えますか?http://www.pref.hokkaido.lg.jp/sm/sum/unyou/h301205miriyouti.pdf
答えは「No」です!Pixabay(https://pixabay.com)
ホームページには(C)マークがあります引用:北海道森町のホームページ(http://www.town.hokkaido-mori.lg.jp/bunya/morimachi/)
コピーライトは、「このページの情報は著作権があるので勝手に使えません」というマーク引用:北海道森町のホームページ(http://www.town.hokkaido-mori.lg.jp/bunya/morimachi/)
ホームページの情報は勝手に利用することはできません!
Open Data同じようにWeb地図も自由に使うことはできません
みなさんは、他人のHPの情報を勝手にコピペしてはいけません!コピペダメ!絶対!フリー素材ぱくたそ(www.pakutaso.com)
Open Dataホームページの情報には「著作権」があります
Open Data「著作権」は自動的に発生します。なので、特に指定しなければすべての著作権を主張する「コピーライト©」が適用されます
Open Dataしかし、著作権者は「著作権を放棄しないけど自由に使っていい」ライセンスを指定することができます
Open Data自由に使えるライセンスを指定した情報がオープンデータです
Open Data著作権は法律で決まっているライセンスは自分で決められるホームページのライセンス著作権を放棄(日本では法律があるのでできない)
Open Data(C)と(PD)の間を埋めるライセンス著作権を持ったまま、自由なライセンスを指定著作権は法律で決まっているライセンスは自分で決められる
Open Dataクリエイティブ・コモンズCreative Commons出所の表示をすれば自由に使えるオープンデータのライセンス
Open Data地図情報のオープンデータ
自由に使える地図フリー素材ぱくたそ(www.pakutaso.com)オープンデータどういうものがあるの?
Open DataOpenStreetMapオープンストリートマップ
Open DataOpenStreetMapオープンストリートマップ地図のWikipediaと言われるWebサービスで世界中の有志(マッパー)が地図を書いている地図データは自由に利用することができる地図のライセンスはCC-BY-SA(表示とライセンスの継承)
Open Data見た目がイマイチと言う意見もありますが報告書などには自由に使えます!GISデータのダウンロードも可能
Open Data地理院地図
Open Data地理院地図の「白地図」や「空中写真」など測量法の適用にならないものは、「政府標準利用規約」によるオープンデータ。「標準地図」なども使い方によっては表示のみで利用可能。地理院地図
Open Data空中写真は、出所表示で自由に使えます。田舎は古い写真が多いですが・・・
Open Data北海道胆振東部地震の空中写真もいち早く公開して、自由に使えるようにしている
Open Dataこの空中写真を使って(二次利用して)オープンデータを作成した事例
Open Data
Open Data北海道胆振東部地震発生後、地理院地図の空中写真を使って、崩壊地のトレースを行い、オープンデータで公開
Open Data斜面崩壊6,100地物以上
Open Dataたくさんのところで利用していただけた↑酪農学園大学金子氏が厚真町に斜面崩壊位置図を寄贈 ↑寒地土木研究所村上氏の報告(土砂災害シンポジウム)
Open Dataたくさんのところで利用していただけた↑北海道の林務部局での災害対応資料作成業務↑胆振総合振興局森林室現地調査状況
Open Data北海道の地図情報のオープンデータ
Open Data北海道もオープンデータの取り組みを行っています!
Open Data北海道と道内市町村が共同でデータを登録できるポータルサイト
Open Data「GIS」というタグをクリックしてみよう
Open Data現在は3件のデータセットが登録されています
Open Data現在は3件のデータセットが登録されています津波と森林のGISデータ
Open Data津波浸水想定をGISで表示した例ひなたGIS https://hgis.pref.miyazaki.lg.jp/hinata/hinata.html
Open Data森林情報をGISで表示した例ひなたGIS https://hgis.pref.miyazaki.lg.jp/hinata/hinata.html
Open Data北海道のGISデータのオープンデータはとりあえずこれだけ
Open Data道内市町村の地図情報のオープンデータ
Open Data18市町村/179市町村
Open Data位置情報データを公開している市町村
Open Data室蘭市室蘭市フォトギャラリー http://www.city.muroran.lg.jp/main/org1400/photogallery.html
Open Data室蘭市全国でもいち早くGISデータをオープンデータとして公開G空間情報オープンデータのパイオニア室蘭市フォトギャラリー http://www.city.muroran.lg.jp/main/org1400/photogallery.html
Open Data室蘭市のオープンデータのページ
Open Data室蘭市のオープンデータのページ• 都市計画現況図、都市計画図• 地番図• 道路台帳図• AED設置事業所• 砂箱• 避難所• 津波浸水想定図• 土砂災害警戒区域、がけ崩れ危険区域• 消防水利• ゴミ袋販売店• 赤ちゃんの駅• 橋梁• 照明灯• 投票所 など、多数のGISデータが公開
Open Data航空写真オルソもオープンデータ(USBメモリ等で提供)ひなたGIS https://hgis.pref.miyazaki.lg.jp/hinata/hinata.html
Open Data森町森町ホームページ http://www.town.hokkaido-mori.lg.jp/docs/2017070700059/
Open Dataひぐまっぷ/北海道森町 http://www.town.hokkaido-mori.lg.jp/docs/2016070600017/
Open Data北海道オープンデータポータル https://www.harp.lg.jp/opendata/dataset/241.html位置情報付きCSVでも公開
Open Data森町の位置情報オープンデータ• ヒグマ出没情報• 観光施設一覧• 選挙投票所• 字界データ• 指定緊急避難場所• 公共施設一覧• 医療機関一覧• 介護サービス事業所一覧• AED設置箇所一覧
Open Data札幌市DATA-SMART CITY SAPPORO https://data.pf-sapporo.jp/
Open Data札幌の位置情報オープンデータいまのところは、まだ位置情報付きオープンデータは少ない。今後、都市計画図などのGISデータを公開したいとの話も聞いています。空中写真も公開の準備をしているとのこと。札幌市のオープンデータは、役に立つデータがたくさん出てきそうですので、期待です。
Open DataDATA-SMART CITY SAPPORO https://data.pf-sapporo.jp/札幌市のオープンデータプラットフォームDATA-SMART CITY SAPPORO
Open Dataその他の市町村の位置情報付きオープンデータ
Open Data避難場所、避難所• 函館市• 旭川市• 小樽市• 八雲町• 音更町• 鹿追町
Open DataAED設置場所• 旭川市• 新篠津村• 八雲町• 音更町• 鹿追町
Open Dataその他にも位置情報付きデータはいくつかありますがまだまだ少ないです。
Open DataG空間情報をオープンデータにするメリット
Open Data行政がG空間情報をオープンデータにすると、どんなメリットがあるでしょう
例1ハザードマップの作成
Open Datahttp://www.city.sapporo.jp/kikikanri/higoro/fuusui/documents/12_minamisawa.pdf
Open Data地図データ集めて!はい!マジで紙地図をトレースしデータにしますやっと納品です市町村役場地図は紙しか無いね北海道庁
Open Dataどうしてこうなるか?
Open Data地図データ集めて!はい!地図は紙しか無いねマジで紙地図をトレースしデータにしますやっと納品です市町村役場 北海道庁担当者がGISデータがあることを知らない
Open Data地図データ集めて!はい!地図は紙しか無いねマジで紙地図をトレースしデータにしますやっと納品です市町村役場 北海道庁作業にはコストがかかる
Open Data防災データがオープンデータになっていると
Open Data地図データ集めて!はい!地図は紙しか無いねマジで紙地図をトレースしデータにしますやっと納品です市町村役場 北海道庁この部分が必要なくなります
Open Data地図データをダウンロードしようもらったデータをGISで整理!納品です手間とコストを大幅にカット市町村役場
例2避難所、避難場所の位置情報
Open Dataオープンデータは東日本大震災から普及が拡大しました
Open Data道路通行可能データや電力のデータなどのビッグデータがオープンにPixabay(https://pixabay.com)
Open Datahttp://sinsai.infoIT技術者たちが震災後4時間ほどで立ち上げた震災情報を集約するWebサイト
Open Datahttp://sinsai.info避難所などの情報を共有できるが・・・
Open Datahttp://sinsai.info避難所情報がオープンデータでではなかった・・・
Open Data2018.12.14オープンデータ化支援研修@那須烏山 オープンデータの定義と意義(補足資料)避難所情報を利用可能の回答があったのは30自治体中9自治体のみ
Open Data2018.12.14オープンデータ化支援研修@那須烏山 オープンデータの定義と意義(補足資料)避難所情報を利用可能の回答があったのは30自治体中9自治体のみ避難所情報がオープンデータになっていればもっと早く情報を伝えられた
Open Dataオープンデータは災害時にこそ威力を発揮するPixabay(https://pixabay.com)
Open Data北海道胆振東部地震でボランティアの方がマッピングした給水所の位置情報(ひなたGIS)https://hgis.pref.miyazaki.lg.jp/hinata/hinata.html
Open Data北海道胆振東部地震でボランティアの方がマッピングした給水所の位置情報(ひなたGIS)https://hgis.pref.miyazaki.lg.jp/hinata/hinata.html事前に施設位置がオープンデータになっていれば簡単にマッピングができた
Open DataG空間情報のオープンデータは今後の防災には不可欠
Open Data災害時に、自治体には余裕がない善意の人たちのために事前に準備しておくことが必要
Open DataG空間情報をオープンデータにするための課題
Open Data北海道のG空間情報のオープンデータがなかなか進まない
1.担当者がGISデータが あることを知らない
Open DataGISのデータが他に使えるなんて知らない!https://www.gis.pref.shizuoka.jp/
Open DataGISを使える人材の育成が必要
Open DataGISが使える=「システムが操作できる」浅野和仁氏「自治体GISの勘違い(1)」から引用
Open DataGISが使える=「システムが操作できる」とは限りません浅野和仁氏「自治体GISの勘違い(1)」から引用
Open DataGISが使える=「的確な指示ができる」で構いません浅野和仁氏「自治体GISの勘違い(1)」から引用
Open DataオレはGIS使えないからペイントソフトかCADで作って!
Open DataオレはExcelしか使えないから、Excelで作って・・
Open Dataこのデータは重要だからGISで使えるように作ってください!
Open DataGISが使える=「的確な指示ができる」こういう人材を増やす必要がある浅野和仁氏「自治体GISの勘違い(1)」から引用
Open Data発注者と受注者の技術レベルが乖離しすぎているかも
Open Data受注者からもぜひ提案してあげてください
2.GISシステムの ベンダーロック
Open Data北海道にはたくさんの専門GISがあります
Open DataこれらのGISの多くは地図の共有化なんて全く考えていません
Open Data特定のソフトでしか利用できない形式のデータも多い
Open Dataベンダーロックされててデータのエクスポートがきちんとできないとか
フリー素材ぱくたそ(www.pakutaso.com)
Open Data10年も経てば、OSも変わって、ソフトの更新も必要
Open Data更新が必要なのに・・・
Open Data予算がなくて更新ができない・・・
Open Data結果データが使えなくなる
Open Dataソレダメ!フリー素材ぱくたそ(www.pakutaso.com)
Open Data貴重なGISデータがきちんと使い続けられるようGISに対する意識を上げることが必要
3.自治体のインターネット 分離
Open Data自治体の職場のパソコンはインターネットから分離されています
Open Dataファイルをインターネットに送ることもできません
Open DataGISデータをオープンデータにしようとしても、インターネットに持っていけない
Open DataG空間情報センターにも保存できない
Open Data私の持論としてオープンデータの公開は予算をかけずに行わないといけない
Open Dataできるだけ既存の仕組みを使って、無料で出来ないと予算がなくなったらオープンデータができなくなる
Open Data今の所、大量のGISデータを保存・公開できる方法が無いところが問題です
Open Data今日話したことのまとめ
Open DataWeb地図の利用• GoogleMap、Yahoo地図などのWeb地図は自由に使えません• 自由に使える地図もあります(OpenStreetMap、地理院地図)
Open Dataオープンデータとは• ホームページの情報は自由に使えない• オープンデータは、行政の持つ情報を自由に二次利用できるライセンスで公開したデータ
Open Data自由に使える地図とは• 自由に使える地図はあります• OpenStreetMapと地理院地図• 報告書には、自分で買った地図か、自由に使える地図を使いましょう
Open Data北海道のオープンデータの取り組み• 北海道オープンデータポータルあります!• GISデータは、津波浸水想定と森林情報• 市町村のオープンデータは、現在18市町村• いくつかの位置情報のついたデータが有り
Open DataG空間情報をオープンデータにするメリット• ハザードマップの作成など、行政コストを減らすことが可能• 事前に準備しておくことで、災害時の自治体の負担を軽減でき善意の人たちに役に立てる
Open DataG空間情報をオープンデータにするための課題• 担当者がGISデータがあることを知らない→GISを使える職員を増やしたい• GISシステムのベンダーロック→GISはデータが一番大事。データを使い続け られるようにしたい• 自治体のインターネット分離→予算をかけずにデータを置ける場所を作れな いか、検討が必要
Open Dataおわりますありがとうございました