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責任2.0/3.0 ∼ 知的創造過程の脱領土化 / Responsibility 2.0 and 3.0: The Deterritorialization of the Intellectual Creative Process

2026年9月17日(木)、オンラインで開催された自律分散社会フォーラムで使用したスライドです。

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Kenji Saito PRO

September 17, 2026

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Transcript

  1. 『責任少女 A』. . . generated by Stable Image Core 第

    90 回自律分散社会フォーラム 責任 2.0/3.0 ∼ 知的創造過程の脱領土化 早稲田大学大学院経営管理研究科 (早稲田大学ビジネススクール) 教授 斉藤 賢爾 責任 2.0/3.0 ∼ 知的創造過程の脱領土化 — 2026-09-17 – p.1/12
  2. はじめに 近頃の AI の発展はめざましいですね! (洒落にならないような事態が日常的に発生しています ) AI はもはや、人間のエージェント (代理人) として、数時間から数日にわたって

    与えられた課題に取り組み、困難を自分で克服してゴールを達成するような、 自律性を身に付けはじめています では、AI が成し遂げた、あるいは「やらかした」ことに対する責任は、どこにある? 人間が代理人である場合には、代理人にだって代理人としての責任があります 責任という概念は、誰が主体かを定義づけます だからこそ「責任は誰が負うか」は、権力の問いの底にあります 責任 2.0/3.0 ∼ 知的創造過程の脱領土化 — 2026-09-17 – p.2/12
  3. 責任ってなんだっけ?を軽く考えてみる 『責任少女 A』(表紙の画像) は、画像生成 AI である Stable Image Core によって

    生成された架空の存在ですが . . . 「人間と AI が共存する未来社会を責任をもって考える」と主張している、 匿名の未成年の女性だと仮定してください この『責任少女 A』という存在が抱える矛盾点や問題点を、 Zoom のチャットに 書き出してください 責任 2.0/3.0 ∼ 知的創造過程の脱領土化 — 2026-09-17 – p.3/12
  4. 責任 2.0 AI について『「最終的な責任」は誰が負うのか』と聞くと、 大抵、「(当然)(やはり)(100%) 最終的な責任は人間が担う」という答えが返ってきます 10 人に聞いて 9 人以上が同じ答えを返す場合、おそらくその答えは間違っているか不正確

    ↑ 当たり前だと思われているところにこそ、新たな議論が拓かれる可能性がある、という意味 ↑ 日和るなー! AI の責任について考えることは . . . 人間が責任から逃れることではなく、主体が常に人間であることへのチャレンジ 人間を丸ごと特権的な位置から引きずり下ろせるでしょうか 責任 2.0/3.0 ∼ 知的創造過程の脱領土化 — 2026-09-17 – p.4/12
  5. 罪と罰 — ふたつの責任の物語 手塚 治虫『火の鳥 宇宙編』 斉藤 賢爾『不思議の国の NEO』 (ひぃ〜並べて書くなんて恐れ多い

    . . .) みなさんへの問い 責任 2.0/3.0 ∼ 知的創造過程の脱領土化 — 2026-09-17 – p.5/12
  6. 斉藤 賢爾『不思議の国の NEO』 中心を持たない「不思議の国」に、中央集権 を旨とする団長マナカが率いる「真ん中団」 が中央銀行を設立することで侵略を企てる 結果的にその侵略は失敗し、「真ん中団」は 崩壊する マナカは罰を受けることを覚悟する しかし「暴力装置」を持たない「不思議の

    国」にはそういう仕組みは無く、ただマナカ がその後どう行動するかだけが問われる マナカはおもちゃ屋を始め、残りの生涯を こどもたちのために捧げる決意をする 責任 2.0/3.0 ∼ 知的創造過程の脱領土化 — 2026-09-17 – p.7/12
  7. みなさんへの問い (1) 『火の鳥 宇宙編』の牧村は責任を取っているのでしょうか、 それとも罰を受けているだけなのでしょうか? (2) 『不思議の国の NEO』のマナカは責任を取っているのでしょうか、 それとも赦されているだけなのでしょうか? (3)

    どちらが「責任」として厳しいと思いますか?その理由は? (4) もし AI が苦痛を感じないなら、AI はどうやって責任を取れば よいのでしょうか? のちほどの議論のきっかけとしてでも 責任 2.0/3.0 ∼ 知的創造過程の脱領土化 — 2026-09-17 – p.8/12
  8. 責任の 4 形態と AI 1 責任をもってやり抜く (遂行) → AI はすでに人間よりよほどやり抜いてくれる気が

    . . . 2 責任をもって説明する (報告) → Explainable AI は技術的課題として進展中 3 責任をとって辞任する (停止) → AI を止められる機構を維持し続ける必要がある (引き続き注視!) 問題を引き起こした思考をその場から取り除く、という意味で辞任には実用的な意味がある 4 責任をもって償う (賠償) → 法人・国家が賠償責任を負うように、AI が負うかは制度設計の問題 (ちょっと原初的 DAOっぽい) なんだ、AI にだって責任は取れそうじゃないか 責任 2.0/3.0 ∼ 知的創造過程の脱領土化 — 2026-09-17 – p.9/12
  9. 責任 3.0 AI・ロボティクスが “テイクオフ (cf. RSI (再帰的自己改善))” し、自律した存在になる先に . .

    . 自動システムが人間にとって新たな自然 (メタ・ネイチャー) となる世界が待つ 自然現象には責任を問えず、自然災害に対しては人間の側で対応が必要なように 「誰が責任を負うか」という問いの立て方自体が変わる地平へ メタ・ネイチャーはローカル知の集合体であり — 分散型でしか到達できない それはそれぞれの場所の固有の世界モデルを持ちながら、人の生活や環境を支える それは「一神教の神の視点 (非自然)」ではなく、中枢をもたない (自然そのものの構造) 責任 2.0/3.0 ∼ 知的創造過程の脱領土化 — 2026-09-17 – p.10/12
  10. 逃走の線 (cf. ドゥルーズ+ガタリ『千のプラトー : 資本主義と分裂症』) (考えているのは) 支配/被支配という領土化そのものから人間が逃れる道はあるか、という問い 「人間が常に特権的な主体」という前提を保ったまま AI が強力になると

    . . . → AI を支配する人間が、AI を通じて、他の人間を支配する (← 避けたい) 人が使役され、部品化される罠 罠 1 私たちが AI を所有する人間に支配される (人が人を使役し続ける) ↑ 責任 2.0 により支配の構造を揺るがし、被支配層のムーブ (次頁) で逃走する 罠 2 私たちが AI に支配される (AI が人を使役する) ↑ 責任 3.0 により問いを解体・逃走するとともに、荒ぶる新たな自然との共存を準備する 被支配層のムーブ (次頁) は、分散型ローカル知としてのメタ・ネイチャーへの到達を準備する 自律する AI を認めることで、かえって人間は自由になれるか The Human Use of Human Beings → Beyond the Use of Human Beings 人間は「役に立つから価値がある」のではなく「ただ存在しているだけで自由であり価値がある」 責任 2.0/3.0 ∼ 知的創造過程の脱領土化 — 2026-09-17 – p.11/12
  11. (まとめに代えて) 被支配層の具体的なムーブ (資本によるフロンティア・モデル独占からの逃走) 知的創造の二層構造 層 内容 1 構造化の層 問題を分解し「作業」に落とし込む 2

    遂行の層 「作業」を実行する 担い手 人間の知恵 廉価・型落ちモデル/ローカル LLM 支配者層はフロンティア・モデルに 1 2 の両方をやらせる 私たちは 1 を人間の知恵でカバーし、 2 をオープンウェイト・モデルに任せて対抗できるか あるいはオープンウェイト・モデルはどこまでフロンティア・モデルに接近するのか 収奪 (蒸留) という戦略 — ここにもまた狩猟採集社会のアナロジーが 私たちは 1 をコモンズにできるか 良い問題分解のパターン、ワークフロー、エージェントの反復構造を共有・蓄積 ローカル知のコモンズ化 = メタ・ネイチャーへの正しい経路 責任 2.0/3.0 ∼ 知的創造過程の脱領土化 — 2026-09-17 – p.12/12