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20220203QbookSeminar_levii

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株式会社レヴィ

February 23, 2022
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Transcript

  1. Copyright levii Inc. All rights reserved. 株式会社レヴィ • JAXA宇宙科学研究所で研究していた仲間で創業 •

    宇宙をはじめ、システム開発の現場で培った経験を活かして、 真に価値あるシステムの実現に本気で取り組む • システムデザインのためのフレームワークを構築し、価値あるシス テムの構築に誰もが取り組むことのできる世界を目指しています!
  2. Copyright levii Inc. All rights reserved. 自己紹介 南部 陽介 株式会社レヴィ 代表取締役(共同創業者)

    JAXA宇宙科学研究所で宇宙工学研究を行い博士号を取得後、 大阪府立大学で専門分野である宇宙構造物の研究に従事する と共に、超小型衛星開発プロジェクトの責任者を務め、シス テムズエンジニアリングの実践に関する研究を進める。 M-Vロケット 射場上空風測定
  3. Copyright levii Inc. All rights reserved. 内容 • なぜ「制約」に着目するのか •

    「制約」に関する問題を引き起こす3つの分断 • 衛星開発で直面した「制約に対する認識の分断」 • 分断を解消するには?
  4. Copyright levii Inc. All rights reserved. 【参考】Qbook に掲載中 南部 陽介

    株式会社レヴィ 共同創業者兼代表取締役 JAXA宇宙科学研究所で宇宙工学研究を行 い博士号を取得後、大阪府立大学で専門 分野である宇宙構造物の研究に従事する と共に、超小型衛星開発プロジェクトの 責任者を務める。東京大学大学院工学系 研究科航空宇宙工学専攻修了(博士)。 萩原 利士成 株式会社レヴィ 共同創業者 JAXA宇宙科学研究所で宇宙物理学の研究 を行い博士号を取得後、サイボウズ株式 会社に入社。cybozu.comのインフラ開発 に従事し、データ分析基盤の構築やNeco プロジェクトのオーガナイザーを行いな がら副部長を務める。東京大学大学院理 学系研究科物理学専攻修了(博士)。 著者 https://www.qbook.jp/column/20220201_1297.html
  5. Copyright levii Inc. All rights reserved. 制約からくる要求は、認識のズレを生みやすい システムが満たすべき要求は、ニーズから来る要求だけで なく、様々な「制約」から来る要求がある 機能

    要求 非機能 要求 ニーズ 制約 ステークホルダが やりたいこと 外部環境・規制・ 事故の回避 システム要求 システム 妥当性確認 妥当性確認 検証 顧客やユーザー への価値提供に 直結する要求 制約から導出さ れる要求
  6. Copyright levii Inc. All rights reserved. 制約の例:温度計と体温計 対象物の温度を 測定する技術 人の体温を

    測定する製品 制約の壁 「薬機法」 近しい技術を活用した装置であればニーズは満たせる しかし、「制約」が異なるため、システムが満たさないと いけない要求が異なる
  7. Copyright levii Inc. All rights reserved. 制約の例:非機能要求 企業の特定部 門が比較的限 られた範囲で

    利用している システム 企業活動の 基盤となる システム 国民生活・社 会経済活動の 基盤となる システム 社会的影響度 ほとんどない 限定的 極めて大きい 1年間で数時間 程度の停止を 許容。 1年間で1時間 程度の停止を 許容。 1年間で数分程 度の停止まで しか許容でき ない。 制約
  8. Copyright levii Inc. All rights reserved. 「正しいシステムが作れているか?」という観点では区別すべき ニーズと制約とでは、 • それ自体を見出す方法

    • システム要求への落とし込みの方法 • 妥当性の確認方法 が異なる! 正しいシステムを作るために、 あえて「制約」に焦点を当てて考えてみしょう!
  9. Copyright levii Inc. All rights reserved. 制約に関わる3つの分断 開発チーム ステークホルダ 対象

    システム 分断 サブ システム サブ システム 開発者 開発者 分断 制約に対する 認識の分断 あるべき姿に 関する分断 分断 森の視点と木 の視点の分断
  10. Copyright levii Inc. All rights reserved. 今日のテーマは「制約に対する認識の分断」 開発チーム ステークホルダ 対象

    システム サブ システム サブ システム 開発者 開発者 分断 制約に対する 認識の分断
  11. Copyright levii Inc. All rights reserved. 制約に対する認識の分断の例 「安全である」ために満たすべき制約の認識が異なっており そこから導出される要求に差異が生じる 展開アンテナが

    誤展開して、宇 宙ステーション を傷つけてしま う バネの復元力も大 したことないし、 大したリスクでは ないだろう ケースの溝に引っか かって、放出軌道が 変わると、宇宙ス テーションにぶつ かって、すごく危険 だ。 三重冗長で誤 展開を防止す る 誤展開の防止機 能は持たない 展開 アンテナ 人工 衛星 設計 選択肢
  12. Copyright levii Inc. All rights reserved. 例えば... ゴール(安全であることの保証)と具体的な設計解を関連 付けて議論する https://balus.app/workspaces/QRORMUUfpbhGAQbGJWuv5/view-models/1ZBDa-OttrvDfFhditcCF

    こんなの起きます? 以前にそういう衛星が あったそうだよ。 深刻に捉えすぎでは? 引っかかって十分な相対速度 が得られず、ISSから離れら れないと、ぶつかる可能性が 結構高まるみたいだよ。 この意図の要求だと、今 やっている実験ダメかも しれません。
  13. Copyright levii Inc. All rights reserved. 制約の認識を揃えることは難しい • 制約を見つけ出す作業は、属人的になることが多い •

    誰かが制約を見つけたとしても、その制約に対する認識 を揃えることがまた難しい 「制約の見つけ方」は、様々な手法がある。 一方で、「制約に対する認識の合わせ方」は、解説記事も 少ない。
  14. Copyright levii Inc. All rights reserved. 場 x 定型化されたコミュニケーションは分断の解消に有効 •

    視点が違う/ずれている場合、一方的な伝達ではうまく伝わらない事 が多い • 定型化されていないと、参加しづらい、後から分からない
  15. Copyright levii Inc. All rights reserved. 脅威度に対する認識を揃えるために 脅威度 = 影響度

    × 可能性 脅威度を定義して、リスク対応の「なぜ?」と「どうやって?」 をつなげる その脅威が発生する可能性はどの 程度だろうか? その脅威が発生すると、どの程度 の損失や損害を及ぼすのだろう か?
  16. Copyright levii Inc. All rights reserved. 脅威度の例 巨額の損失や 人命の損失 対策が十分で

    はない 高額な損失や 人の損害 発生を妨げる 管理策が取ら れている ある程度の 損失 発生を防止す る、あるいは 著しく妨げる 管理策が取ら れている × × × 脅威度「高」 のリスク 脅威度「中」 のリスク 脅威度「低」 のリスク 可能性 高 可能性 中 可能性 低 影響度 高 影響度 中 影響度 低
  17. Copyright levii Inc. All rights reserved. 脅威度によってリスクをマッピングする 可能性 高 可能性

    中 可能性 低 影響度 高 影響度 中 影響度 低 脅威度「高」 のリスク 脅威度「中」 のリスク 脅威度「低」 のリスク 脅威度「中」 のリスク 脅威度「低」 のリスク 脅威度「中」 のリスク 脅威度「低」 のリスク 脅威度「低」 のリスク 脅威度「低」 のリスク
  18. Copyright levii Inc. All rights reserved. 対処すべきリスクがどれかの合意をとる 可能性 高 可能性

    中 可能性 低 影響度 高 影響度 中 影響度 低 脅威度「高」 のリスク 脅威度「中」 のリスク 脅威度「低」 のリスク 脅威度「中」 のリスク 脅威度「低」 のリスク 脅威度「中」 のリスク 脅威度「低」 のリスク 脅威度「低」 のリスク 脅威度「低」 のリスク 脅威度がこの領域に入る ものが対処すべきリスク
  19. Copyright levii Inc. All rights reserved. リスクの対策 優先的に対処すべきリスクが決まったら、リスクの原因を特定 し、対策を決定します。 ベンダーに業務

    知識がない 受け入れテスト 時に不具合指摘 が多発する 業務に精通した 人を事前にアサ インする リスクの原因 リスク リスクの対策
  20. Copyright levii Inc. All rights reserved. リスクの原因を回避あるいは軽減できる対策を考える 可能性 高 可能性

    中 可能性 低 影響度 高 影響度 中 影響度 低 脅威度「高」 のリスク 脅威度「低」 のリスク 脅威度「低」 のリスク 回避 軽減
  21. Copyright levii Inc. All rights reserved. リスクの原因を回避あるいは軽減できる対策を考える 可用性の計画・ 方式等の実装確 認・テスト計画

    等を工程ごとに 確実に検証する 現行システムの 動作の調査や ソースコードの 解読を行い、ド キュメントを最 新化する 要件定義書(主 に業務プロセス フロー図)を基 に、業務とシス テムの関係を再 レビューする 業務に精通した 人を事前にアサ インする 回避 リスクの原因を生み出さないように する予防策 軽減 リスクの原因を無効化し、リスク事 象の発生確率を減少させる予防策 リスクの根本的な原因に作用する ため、大きな変革を必要とするが 効果が大きい対応となる 現状に配慮しながら実施する比較 的穏やかな対応となる
  22. Copyright levii Inc. All rights reserved. レヴィが考える 真の原因 レヴィが着目した課題 =

    分断 新規事業、組織改革、DXプロジェクト、製品開発、... なぜこんなにも失敗するのか? 新規事業・ 組織改革・DXな どの失敗 認識のズレ = 分断 スキル不足 プロセス不備 マネジメント ミス 一般的に原因と 考えがち レヴィが提唱す る捉え方 → システムに対する認識のズレ = 分断が原因 例) 業務の DX 分断 業務担当者 設計者・開発者 業務の視点がなくシス テムに目が行きがち あるべき姿ではなく 今の業務を考えがち DX推進 組織の戦略には詳しい が業務には詳しくない 分断のせいで、 現状理解も、あるべき姿もズレて 「現場の反発でプロジェクトが頓挫」 「お金をかけて事業成長には繋がらない システムを作成」 「トップダウンで現場では使えない業務 プロセス」 などの結果になりがち。 81
  23. Copyright levii Inc. All rights reserved. レヴィのソリューション 事業 業務担当者 設計者・開発者

    DX推進 業務 IT 業務担当者 設計者・開発者 DX推進 1. システムの全体を表現する 場を用意して、何を対象にし ているか全員が指差し確認で きるように 2. DX でズレがおきやすい、 業務や課題をモデルとして簡 単に可視化できる 3. ファシリテーションをしな がら全員で一緒にモデルを作 りフィードバックをし合う システム工学の知見 = 「システムとして捉えモデルを使って視点を表現 する」を手軽に利用するためのツールやメソッドを使って、チームが分 断を解消するための場を作りだす。 83
  24. Copyright levii Inc. All rights reserved. Balusの使いこなしを支援するサービス/理論体系 活用/定着に導き、モデリングをチームの力にする トレーニング/コンサルティング 分断を解消するための具体的なノウハウをレベルや目的

    に応じて丁寧に伝えます。実際の業務の中でお客様とレ ヴィが一緒になって分断の発見/解消を実践するような 伴走型のサービスも提供しています。徹底的にお客様の 立場に立って分断の解消をサポートします。 理論体系
  25. Copyright levii Inc. All rights reserved. まとめ • 制約に対する認識の齟齬は、誤解された、あるいは誤っ たシステム要求を生む

    • その結果、時として大きな手戻りを引き起こす • 制約をうまく扱うためには、見出すことだけでなく、制 約に対する認識を合わせることに注意を払う • 制約の構造を可視化して、対話をすることで、制約に対 する認識の分断を発見したり、解消したりすることがで きる 続編 第2話「あるべき姿の分断」もQbookに掲載中 https://www.qbook.jp/column/20220201_1297.html