ドキュメントを作ったり多言語化したりする仕事には、どんな知識が必要で、それをどのように学べば良いのでしょう?学ぶための一つの手段として、テクニカルライターが働きながら学べる大学や大学院があります。実際に働きながらフランスのストラスブール大学のオンライン大学院に通っているテクニカルライターが、講座の内容や、それがどのように仕事に役立つかなどについて紹介します。
テクニカルライターが働きながら学べる大学院澤井 真佑子サイボウズ株式会社
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澤井 真佑子▌2018年からサイボウズでテクニカルライター マニュアルやヘルプを書く 製品のUIテキストを書く それらを他の言語に展開する▌前職はAIベンチャー(1年)、専業主婦(7年)など▌2020年、ストラスブール大の大学院に入学
サイボウズ:グループウェアの開発・販売、 チームワーク研修など中小企業グループウェア 業務アプリ作成プラットフォーム大企業向けグループウェア メール共有システム71,000社以上 21,000社以上6,200社以上 11,200社以上
サイボウズのライティングチーム4開発本部Garoon kintone Office ・・・Writer Writer Writer WriterTechnical Communication Team(テクニカルコミュニケーションチーム)製品ごとの開発チームに属し、UIテキスト、マニュアル/ヘルプ、リリースノートなどのライティングと翻訳を担うメンバー募集中!
今日のお話▌こんな人向け 働きながら大学院に通うことに興味がある人 テクニカルライターに必要な知識を体系的に学びたい人▌内容 実際に大学院で学んでいるテクニカルライターが、講座の内容を具体的に紹介します
紹介する内容▌どんな大学院に通ってる?▌先生、生徒はどんな人たち?▌授業の形式、内容は?▌英語でできるもの?▌仕事に役立ってる?
大学院を知るきっかけ
未経験からテクニカルライターになって困ったこと▌ 学ぶべきことが多い Webに関する知識、コンテンツ設計、翻訳管理の手法…▌ 一般的なやり方が分からない 翻訳管理など新しい仕事はトライアンドエラーになりがち。他社はどうやってる?▌ 英語の力不足を感じる 1人でやるのも大変。試験などの差し迫った目標があれば頑張れる気がする
Twitterで大学院の存在を知る▌2020年1月 Twitterで存在を知る▌2020年3月 入学申し込み▌2020年4月 受講開始!
紹介する講座▌ Master TCLoc フランス、ストラスブール大学大学院の講座 専門:テクニカルコミュニケーション&ローカリゼーション 授業は全部英語 完全オンラインで、世界中から受講できる 時差のため、日本からだと録画視聴になることが多い
授業の構成▌民間(ドイツtekom社)のeラーニング 講義などはなく、8ヶ月間、ひたすら資料を読む 期末に試験があり、合格すると認定資格が与えられる▌大学の講義 1つの講義の受講期間は約3ヶ月 ライブ授業が3,4回。すべて録画・公開される(日本の深夜が多い)
科目 2020 20213 4 5 6 7 8 9 10 11 12 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12tekom認定資格※LocalizationProfessionalwritingWeb tools andlanguagesVisualcommunicationProjectmanagementContent Strategy授業スケジュール※tekom:ドイツのテクニカルコミュニケーションの団体
先生はどんな人たち?▌実際に現場でその仕事をしている人が多い コンテンツ戦略のコンサルタント、翻訳会社のPM など 実際に扱った案件を例示しながら講義が進む▌アメリカやイギリス、ギリシアなどいろんな国からリモートで講義する人が多い
生徒はどんな人たち?▌属性 テクニカルライター、翻訳者、翻訳会社PM これらにキャリアチェンジしたい人▌地域 フランスとドイツで約半分。その他ヨーロッパ諸国、北米、南米、中東、アジア など。日本人は私が1人目
英語でできる?▌入学時のレベル(私の場合) 英語で話しかけられたとき、何を言われてるかは分かる 英語のミーティングは半分くらい分かる TOEICは800後半くらいだった▌卒業に必要なレベル 口頭試験が何度かあるので、話す練習は必須 修論は、15-20枚程度の英文を書く必要がある
働きながらできる?▌ほとんどの生徒がフルタイムの仕事をしている▌私の場合 平日の夜は動画や資料でインプットする 週末や連休は提出課題に取り組む 英語自体の勉強も必要だったので、流暢な人に比べるとより時間が必要だった
個人的に良かった授業3選
Project Management▌ 座学のほかに、実際に生徒4,5人でグループを作ってプロジェクトを実行する▌ プロジェクトで扱うテーマは、生徒が提案し、投票で決める テーマの例:「UIテキストのスタイルガイドを作る」「Word文書をCMS(MadcapFlare)に移行する」「論文執筆のマニュアルを作成する」など
Project Management▌ 私のチームのテーマ:「Word文書をCMS(MadcapFlare)に移行する」 インド人、フランス人、コロンビア人、日本人(私)の4人 Asana、Slackなどを使って進行 週1回、ミーティングでタスクの進捗状況を確認
Localization▌Localization関連だけで講義が3つある CAT(翻訳支援)ツールの基礎知識 翻訳プロジェクトの進め方、ベンダーとの付き合い方 ソフトウェアの多言語ローカライズ
Localization▌ 翻訳プロジェクトの進め方に関する講義 翻訳関連の用語や価格の算出方法などの解説 ケーススタディを通して、どのような事前準備をすれば問題を回避できるか学ぶ▌ 試験 先生と生徒の2人で20分間、ロールプレイをする 先生が顧客、生徒は翻訳会社PM。適切な会話をして商談をまとめる
Localization▌ ソフトウェアの多言語ローカライズの講義 Android Studio(Androidアプリの開発環境)を使い、アプリの多言語化に関するトピック(string metadata, string pluralization,continuous localization など)を解説▌ レポート 多言語化されていないサンプルアプリを自分の環境にインストールし、それを多言語化するために必要な準備をレポートにまとめる
How to create instructional videos▌ソフトウェアの操作解説の動画を作る講義 Camtasia(動画作成ソフト)を使用 先生が実際に動画を作って見せる 違和感を持たれやすいポイントなど注意点の解説がありがたかった 最後に、生徒が動画を作って提出し、講評してもらう
その他▌今月(2021年9月)開講の授業も面白そう Plain Language(平易な英語) Content Strategy
実際、業務に役立ってる?
役立った講義の例▌ 動画作成についての講義 講義内容を要約し、社内で勉強会を開催 実際に動画を作り、ヘルプサイトに設置した▌ Terminology(用語管理)の講義 用語管理の手法や、代表的なソフトウェアが紹介された 取り上げられた用語管理ソフト(TermWeb)をチームでも導入
周囲とのコミュニケーション
会社、チームとのコミュニケーション▌ 開始時 時短勤務(週30時間)とし、業務時間外に学習 授業料は自己負担▌ 途中から 大学院に限らず、誰でも1日1時間程度は自己学習にあてて良いことにした(実際にやるのは難しいが) 授業料の大部分を会社負担にしてもらった
やってみてよかったこと
▌(やりきれば…)修士号が取得できる▌仕事に必要な知識を体系的に学べる▌専門家に直接教われ、視野が広がる▌同じ職種の人とグループワークなどで交流できる▌英語はかなり鍛えられる▌転職活動で有利な気がする期間中に希望の転職を叶える人もちらほら
最後に:採用してます!TCチームに興味を持った方へ 募集要項https://cybozu.co.jp/company/job/recruitment/list/technical_writer.htmlカジュアルにお話しするのも大歓迎!チームメンバーにDMください😀😀あて先: @naoh_nak @mayukoat「サイボウズ テクニカルライター」で検索すると下記の募集要項にアクセスできます👀👀