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ITエンジニアのための住所システムのお話

 ITエンジニアのための住所システムのお話

和歌山のITコミュニティ Wacker で発表したスライドです。

Takayuki Miyauchi

October 22, 2020
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Transcript

  1. 先日イケてるベンチャー企業の Geolonia が 住所データを公開してとても話題になりました。 • 最大10万PV/日以上の閲覧 • はてなブックマークで累計3,000以上 • 日経新聞、TechCrunch、InternetWatch

    など多くのメディアで紹介 2 おかげさまでこの2ヶ月間で64件の政府 関係、自治体、大学、企業、団体の皆様 からのお問い合わせをいただきました。
  2. 日本には2つの住所システムがあることに
 気づいてました?
 7 目的 例 地番住所 土地を指す住所 ◦◦市◦◦町◦◦番地 住居表示住所 住居を指す住所

    ◦◦市◦◦丁目◦◦番◦◦号 • 例えば法務局の登記簿に記載されている住所は地番住所。 • 郵便の宛先として使う住所は住居表示住所。 • 住居表示住所を導入していない自治体もある。 • 「Geolonia 住所データ」がカバーしているのは住居表示住所のみ。
  3. なんでそんなことに? • そもそも住所という仕組みは GPS の衛星が飛び回る前の時代から存在している。 • 土地と建物の関係は必ずしも 1:1 とは限らない。 8

    • 左の例では、▪ が地番住所の境界で、 ▪が 住居住所の境界。 • このように複数の地番をまたがる住居や、 ひとつの地番を共有する住居がありえる。 わかりやすくするためにかなり大雑把な説明です。 ちなみに地番住所の区画のひとつひとつは「筆」という単位を使用します。 「筆」は土地の売買等によって合体したり分割されたりすることがあり、それぞれ「合筆」「分筆」と呼ばれ、それによっ て地番住所が変更されます。
  4. システム上の問題点 住所はプログラマーが期待するような一意なシステムではない。 • 住人が引っ越していなくても、住居住所の整備による変更が起こりうる。 ◦ たとえば東京都町田市では町ごとに順次住所の整理を行っている。 (例)町田市△△町1234番地56 → 町田市〇〇〇一丁目〇番〇号 ◦

    ビフォーアフターを予測することが困難な変更であり、たとえば正規表現等による置換等でどうにか なる問題ではない。 • 文字列としての「ゆれ」以外にも、「住居表示」か「地番」かによる「ゆれ」が生じる。 ◦ たとえば建築確認申請等で誤って住居住所が入力されるなど。 9
  5. ローマ字/英語表記問題 いろいろ混乱はあるが、アプリケーションの国際化では、国土地理院にならい「ヘボン 式」でいい気がする。。。(たぶん) • だけど Minami-Alps (南アルプス市) という例外もあるので、なんでもかんでもロー マ字に変換すればすむわけではなさそう。。。 •

    「東京都港区」は「Minato city, Tokyo」だけど「大阪市港区」は「Minato ward, Osaka」などのように東京23区だけは別扱いだったりする。 参考: 国土地理院「地名等の英語表記規定」 https://www.gsi.go.jp/common/000138865.pdf 11
  6. 住所に関連する Geolonia の取り組み • 特定の地図サービスへのロックインがなく地番住所にも対応したジオコーダーの整 備。 ◦ 様々な企業や団体と連携してのデータ集め。 • 住居住所

    ⇔ 地番住所の相互変換を実現するための様々なアクション ◦ 政府、自治体、関係団体との交渉など。 • 住所の変更をトラッキングするためのシステム開発。 ◦ 新旧住所の変換 ◦ 住所の正規化エンジンの開発 13 たとえばこれらの課題を解決して不動産IDを実現するだけでも、 経済効果が数千億円以上と言われています。
  7. 開発における戦略 • 無料版をオープンソースで公開して、コミュニティのみなさんと数年かけて育ててい きたい。 ◦ 住所マスター ◦ 住所正規化エンジン ◦ ジオコーダー

    • エンタープライズ向けには当面の間、パートナー企業のみなさんと連携し有料版 として提供。 • 政府や自治体がオープンデータ化してくれればもっとうれしいけど、じっと待たなく てもなにかしら前には進められる気がする。。。 14