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リーン・スタートアップの理論と実践

 リーン・スタートアップの理論と実践

リーン・スタートアップに至る歴史から始まり、なぜリーン・スタートアップが必要なのか、基礎と実践、運用の仕方を解説

Miz Kushida

May 09, 2019
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  1. © 2019 Mizuho Kushida My Background NOW 2016 2015 2002

    2018 保険マッチング CEO | エンジニア 生命保険・健康保険業界 ITコンサルティング システム開発 プロジェクト・マネージャ 野村総合研究所 介護向けIoTデバイス 事業部長 VP of Design Product Manager 生命保険 グローバルプロジェクト VP補佐 プログラム・マネージャ メットライフ生命 2 2019 リーン・ スタートアップ支援 Product Manager 米国
  2. 11 引用: ※10 カネヴィン・フレームワーク 秩 序 系 非 秩 序

    系 自明系 混沌系 煩雑系 複合系 非秩序系にある新たな事業では 秩序系でのやり方とは異なる方法論が必要
  3. 13 1900 1950 Lean Agile Design Thinking Systems Thinking Management

    1911年 フレデリック・テイラー 科学的管理法 1939年 ウィリアム・デミング 統計的工程管理法 1912年 ヨーゼフ・シュンペーター 経済発展の理論 1942年 サイバネティックス会議 1946年 ピーター・ドラッカー Concept of the Corporation 1926 McKinsey 1945年 フォン・ベルタランフィ 一般システム理論 1960 トヨタ生産方式(TPS) 引用: ※0
  4. 14 1980 Lean Agile Design Thinking Systems Thinking Management 1963年

    トヨタの全工場で かんばん方式が採用 1960 1970 1965年 ケネス・アンドルーズ ビジネスポリシー 1967年 フィリップ・コトラー マーケティングマネジメント 1972年 ドネラ・メドウズ(ローマクラブ) 成長の限界 1977年 クリストファー・アレグザ ンダー パタン・ランゲージ 1963 BCG 1975 Microsoft 1976 Apple 1990 1980年 マイケル・ポーター 競争の戦略 1987年 ピーター・ロー デザインシンキング 1986年 野中郁次郎 他 The New New Product Development Game 1975年 大前研一 企業参謀 引用: ※0 1967年 エベレット・ロジャース イノベーション普及学
  5. 2003年 D.J.Snowden 他 The new dynamics of strategy 1990年 ジェームズ・ウォマック

    他 リーン生産方式が、世界の自 動車産業をこう変える 15 2010 Lean Agile Design Thinking Systems Thinking Management 1990 2000 1997年 クレイトン・クリステンセン イノベーションのジレンマ 1990年 ピーター・センゲ 学習する組織 2003年 Stanford x SAP x IDEO d.school設立 1998 Google 1994 Amazon 2004 Facebook 2005 YouTube 2006 Twitter 1993年 ジェフ・サザーランド Object-Oriented Programming, Systems, Languages & Applications 2001年 アジャイルソフトウェア開発 宣言 2009年 ティム・ブラウン デザイン思考が世界を変え る 2006年 ジェフ・ライカー他 The Toyota Product Development System 2005年 スティーブ・ブランク アントレプレナーの教科書 2011年 エリック・リース The Lean Startup 2004年 チャン・キム 他 ブルーオーシャン戦略 2016年 クレイトン・クリステンセン ジョブ理論 2012年 アッシュ・マウリャ Running Lean 引用: ※0 1991年 ジェフリー・ムーア キャズム 1995年 ジェフリー・ムーア トルネード 2009年 オットー・シャーマー U理論 2010 Instagram
  6. 出版年:2011年(米国) 著者: エリック・リース(Eric Ries)40歳 シリアルアントレプレナー、ブロガー、etc. 略歴: • エール大学で共同創業 • シリコンバレーでソフトウェア・エンジニア

    • IMVUを共同創業。リーン・スタートアップの原型 ◦ 投資家兼顧問にスティーブランク • Kleiner Perkins(Venture Capital), etc... リーン・スタートアップ 引用:※1 “起業に伴うチャンスを 現実のものとするマネジ メント原理が必要” 16
  7. 関連している概念・方法論 リーン生産方式 デザイン思考 顧客開発 アジャイル開発 実践的かつ創造的な問題解 決もしくは解決の想像につ いての形式的方法であり、 将来に得られる結果をより 良くすることを目的とする

    ※定義はwikipediaより引用。一部編集。 Toyota Production SystemがUSで研究され編 み出された方式。トヨタ生 産方式の「ムダ取り」に着 目 Steve Blankによって開発 されたビジネスモデルのテ スト検証手法。「オフィス を出ろ」で有名。顧客の ニーズを現地現物で調査す る手法 迅速かつ適応的に製品を開 発する手法。アジャイルソ フトウェア開発宣言にある ように、変化への対応等に 重心をおく 17
  8. その他の例 26 実例 検討すべき問い 価値仮説 例1)顧客は職人の手による高品質レモネード を求めている 例2)ドローン配送なら、値段が高くても買っ てもらえる Q1)ターゲット顧客にとって価値のある提案

    か? Q2)お金を出して買ってくれるか? Q3)リピートしてくれるか? 成長仮説 例1)顧客が製品に惚れ込み、仕事仲間などに 口コミを広げてくれるはずだ 例2)仕事仲間の分や会議用として必ず複数の レモネードを購入してくれるはずだ Q1)製品の価値が確認された後、成長に向け てどういうメカニズムをさいようするか。 Q2)パイロット時に学んだことが、他のセグ メント・地域で応用できるか同確認できるか? Q3)どうしたら口コミを推進できるか?どう したら報酬的なものを与えられるか? 引用:※1
  9. 例2. 革新会計 IMVUのケース ファネル型評価尺度 + コホート分析 35 • 顧客の登録数 •

    アプリのDL回数 • 試用回数 • リピート回数 • 販売数量(有料会員数)
  10. 圧倒的優位性 簡単にコピーや購 入ができないもの 独自価値提案(UVP) あなたの差別化要因 と注目に値する価値 を説明した単位で明 確な説得力のある メッセージ リーン・キャンバス

    | Lean Canvas 40 課題 上位3つの課題 ソリューション 上位3つの機能 顧客セグメント ターゲットにする 顧客 主な指標 計測する主要活動 チャネル 顧客への経路 コスト構造 顧客獲得コスト、流通コスト、人件費など 収益の流れ 収益モデル、LTV、収益、粗利 プロダクト マーケット 既存の代替品 ハイレベル・ コンセプト アーリー・ アダプター
  11. フェーズ 41 課題フィット Customer Problem Fit ソリューション フィット Problem Solution

    Fit PMF Product Market Fit 引用:※7 ジョブ理論を使った独自価値づくり エスノグラフィック・インタビュー による帰納法的課題探索:なぜ禁止
  12. 例. CloudFire 42 課題 大量の写真や動画 の共有には時間が かかる。 子供がいると自分 の自由な時間がな い。

    写真や動画に対す る外部からの溶融 が強い。 ソリューション 高速でアップロー ド不要の共有 優れた通知ツール 独自価値提案(UVP) あなたの写真や動画 を高速に共有 顧客セグメント 親御さん 親戚や友達 主な指標 獲得:登録 活性:最初のギャ ラリーと登録 定着:写真共有 収益:有料登録 紹介:招待 圧倒的優位性 コミュニティ チャネル 友達 託児所 誕生日会 アドワーズ ハイレベル・ コンセプト 写真や動画を アップロード不 要で共有 アーリー・ アダプター 幼い子供を持つ 親御さん ※ ファイル共有サービス。著者のアッシュが創業し、後にセルアウトしたプロダクト ※ コストと収益は割愛 出所)※4
  13. 財務視点 6.VCF Value Control Factors 顧客に価値が提供できる ているか? プロダクト等でコント ロールできる要素は何 か?

    47 47 1.顧客 4.ありたい姿(To-Be) 顧客が望む変化/進化 を達成した状態 ※プロダクトビジョン 3.独自価値 2.課題(As-Is) 5.VAM(価値評価指標) Value Assessment Metrics ToBeを達成できている か? 7.FAM(財務評価指標) Financial Assessment Metrics 事業計画を達成できてい るか? 8.FCF Financial Control Factors FAMを達成するためにコ ントロールできる要素は 何か? 定性的視点 定量的視点 価値視点 顧客視点 引用: ※6 凡例)リーン・キャンバスにない項目 Value Canvas
  14. 顧客のTo-Beを定義 To-Be 顧客が望む変化 As-Is 顧客の現状 顧客の状態 Gap (価値) • プロダクトは顧客をTo-Beにするために存在

    • To-Beを明確に定義し、仮説検証で実験し学ぶ プロダクトで 解決できるか 実験し学ぶ 48
  15. KGI & KPI 49 KGI (Key Goal Indicators) 最終的な数値目標 引用:※5

    KPI (Key Performance Indicators) 事業成功の鍵を数値目標 で表したもの 事業の成功は定義 されているか? 実験しながら鍵を 模索しているか?
  16. メトリクス・マッピング 51 管理会計 トラクション 等 成長仮説(AARRR等) 管理会計を行動にブ レークダウンした指 標(セグメントごと の提案数等)

    プロダクトで直接計 測不可の場合はアン ケート等も用いる ※リーン・キャンバ スにない項目 価値仮説 等 ※独自価値に繋がり 制御できる要素でプ ロダクトごとに異な る。PMFのExitまで に特定する
  17. フェーズ w/Value Canvas 54 課題フィット CPF ソリューション フィット PSF PMF

    ソリューション仮説 (別途管理) PMF突破までは バケツの穴を塞ぐこ とを優先する
  18. 従来のプロセスと課題 PDCAの限界 57 戦略 計画 実行 チェック 改善 仮説である戦 略の妥当性の

    検証が見過ご されがち バッチサイズ が大きく、学 びの速度が遅 くなりがち Issue #1 Issue #2
  19. 仮説の階層と主な問い 59 戦術 Tactics 戦略 Strategy 構造 Architecture 世界観 Paradigm

    パラダイムの洞察し、描かれ た社会の変化 パラダイムを構築する系や前 提の仕組みの洞察 事業を実現するためにモデル 化されたパターン 体験できる具体的な形となっ た機能群 製品 Product 定量・定性的な指標と因果関 係のある行動群 なぜその世界を創るべき なのか? 階層 概要 主な問い レバレッジ・ポイントは 何か? 持続可能な事業形態か? ビジョンを実現できるか? 事業を成功させるための 方法と指標は明確か? プロダクトの機能は、意 図通り使われているか? 1F 2F 3F 4F 5F
  20. 仮説の階層と主な成果物例 60 戦術 Tactics 戦略 Strategy 構造 Architecture 世界観 Paradigm

    パラダイムの洞察し、描かれ た社会の変化 パラダイムを構築する系や前 提の仕組みの洞察 事業を実現するためにモデル 化されたパターン 体験できる具体的な形となっ た機能群 製品 Product 定量・定性的な指標と因果関 係のある行動群 パラダイム図 階層 概要 主な成果物例 Causal Loop Diagram Lean/Value Canvas ビジネスモデル図 KGI/KPI/KSF、各種施策 プロダクト、サービス 1F 2F 3F 4F 5F
  21. OODAループ型仮説検証プロセス スペクトルフレームワーク 62 認識 Orient 外部環境 分析 Value Canvas Solution

    目標 Goal 仮説 Hypothesis 検証 Experiment 観察 Observe 決定/行動 Decide/Act フィード バック 気づき Insight ループ1 事業の進捗のループ ループ2 事業解像度を 高めるループ • 事業価値を中心としたループ • ループ1とループ2を切り離しつつも、行き来する • 目標を達成しつつ、新たな気づきも得続ける メタ認知 引用:※8
  22. PMF 目標設定の例 63 CPF PSF 顧客セグメントと課 題に合致するユー ザーが存在すること 価値により、ユー ザーの課題を解消

    し、To-Beの状態に変 化できていること ユーザーにとって Must Haveか?ユー ザー獲得から収益化 までの流れが確立し ているか? 引用:※3, 7 ソリューション仮説 (別途管理)
  23. 仮説とは 64 定義 目標達成に必要だが まだ事実を確かめられていない 必要条件 目標 Goal 仮説 Hypothesis

    仮説 Hypothesis 仮説 Hypothesis 仮説 Hypothesis 仮説と目標の関係 例. • プロダクトを使うことで、ユー ザーのToBeを達成できる • プロダクトによりユーザーの課 題・ペインが解消される • VCF(KPI)を改善がVAM(KGI)に 寄与する 反例や無関係と思われる ことを事実確認すること も含む VAM/VCF/FA M/FCFごとの 定量的目標を 定める
  24. 検証の仕方 #1 65 仮説 Hypothesis 検証 Experiment 検証と仮説の関係 検証 Experiment

    検証 Experiment 引用:※9 評価基準 • 定量・定性基準を 明記 • VCF, FCFなどの コントロールファ クターも活用する
  25. 検証の仕方 #2 66 仮説 Hypothesis 検証 Experiment 検証と仮説の関係 検証 Experiment

    検証 Experiment 引用:※9 左記に加え、以下を 明確にする • 定性的事実 • 定量的事実
  26. OODAループ型仮説検証プロセス スペクトルフレームワーク(再掲) 69 認識 Orient 外部環境 分析 Value Canvas Solution

    目標 Goal 仮説 Hypothesis 検証 Experiment 観察 Observe 決定/行動 Decide/Act フィード バック 気づき Insight ループ1 事業の進捗のループ ループ2 事業解像度を 高めるループ • キャンバスを中心としたループ • ループ1とループ2を切り離しつつも、行き来する • 目標を達成しつつ、新たな気づきも得続ける メタ認知 引用:※8 課題、価値、ToBe、 メトリクスと、目標が ループの基軸
  27. 75 ※0 境祐司「Design Thinking」 https://speakerdeck.com/youjisakai/dezainsi-kao-falsegai-yao-toadobe-xdfalsehuo-yong-nituite ※1 エリック・リース 「リーン・スタートアップ」 ※2 アリステア・クロール他

    「Lean Analytics」表2-1, 表2-2 ※3 アッシュ・マウリャ「実践リーンスタートアップ」 ※4 アッシュ・マウリャ「実践リーンスタートアップ」図3−9 ※5 中尾隆一郎 「最高の結果を出すKPIマネジメント」 ※6 櫛田瑞穂 「”バリュー・キャンバス”によるプロダクトの価値の見える化」 https://note.mu/miz_kushida/n/n0ebc33981772 ※7 田所 雅之「起業の科学 スタートアップサイエンス」 ※8 櫛田瑞穂「仮説検証フレームワーク SPECTRUM(スペクトル)」 https://note.mu/miz_kushida/n/n75103cead68a ※9 アレックス・オスターワルダー他「バリュー・プロポジション・デザイン」 ※10 Cynefin framework Wikipedia https://en.wikipedia.org/wiki/Cynefin_framework ※11 アリステア・クロール 他「LEAN ANALYTICS」 ※12 デイブ・マクルーア https://www.slideshare.net/dmc500hats/startup-metrics-for-pirates-long-version References: