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一年半同じチームで色んなふりかえりをやったので手法と学び紹介していく

bayashi
October 02, 2021

 一年半同じチームで色んなふりかえりをやったので手法と学び紹介していく

bayashi

October 02, 2021
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Transcript

  1. 一年半同じチームで色んなふりかえりを
    やってきたので手法と学び紹介していく

    Scrum Fest Mikawa 2021

    2021/10/2 Kei Ogane


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  2. 尺の都合上、各ふりかえり手法の

    細かいルールに関しては省きます。

    興味湧いたら参照元を見てからやってね。


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  3. ばやし@bayashimura
    フォースタートアップス株式会社
    エンジニア
    最近結婚して名字が変わりました
    が変わらずばやしでやっていこう
    と思います
    (村林 → 大金)
    CSM/CSPO/CAL1
    自己紹介


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  4. 今日話す内容

    うちのチーム、一年半も色んな

    ふりかえりたくさんやったなぁ


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  5. 今日話す内容

    紹介したろ!


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  6. うちのチームの話

    元々KPTをずっとやっていた。

    挙手制のKPTで、発言者は偏り

    雰囲気はお通夜みたいだった。


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  7. うちのチームの話

    これはあんまり良くないなー

    そうだ、次のふりかえりで
    DPAやって

    場作りをしよう

    入社したての僕


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  8. DPA(Design the Partnership Alliance)

    ふりかえりの場作りのプラクティス。 

    「どんな雰囲気でふりかえりをやっていきたいか」 

    についてみんなで合意を取る。 


    やり方

    1. 「どんな雰囲気でふりかえりをやっていきたいですか?」 

    「その雰囲気を作り出すために何をしますか?」 

    などの質問をして自由に話してもらう 

    2. ひとつの問いに対して3〜5分ほど話したら 

    問いに対する答えの合意を取り、次の問いに移る。 

    参考: https://qiita.com/viva_tweet_x/items/97e819c626979b78947a 


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  9. DPAをやった結果


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  10. DPAをやった結果

    変な感じになる


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  11. 変な感じになった考察

    「問題点を潰す場なのに、何だこの意識高いやつ...」って空気が蔓延していた。アバン
    ギャルド過ぎた。自分のファシリも良くなかった。チームに参加したてで信頼関係が構築
    できてない状態で「みなさんはふりかえりに対してどうのぞみたいですか?」って怖いよ
    ね。分かる。そもそもDPAのふりかえりのファシリしたことないくせに、初回の信頼貯金貯
    めなきゃいけないタイミングでなんでやっちゃったんだ。完全に舞い上がってた。チーム
    の状態を観察できてなかった。いやでも「積極的に発言したいですね」っていう意見に対
    して発言したくないタイミングもあるから発言するかどうかは自分に決めさせてほしいっ
    ていう意見が出たのはよかったな。意外と失敗してないのかも。いやでも明らかに変な
    空気になってたよな。俺ふりかえりして初めてなんだけどあんな空気。会社辞めるか。


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  12. 変な感じになった結果

    ダメだ、完全に心折れた

    みんながいつもやってる

    KPTやろう


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  13. KPT

    Keep

    Problem
 Try

    みなさんお馴染みKPT 

    Keep: 続けたいこと

    Problem: 問題

    Try: チャレンジすること 

    をみんなで出してふりかえる 

    ポイント

    - 一番有名

    - 続けるとお通夜になりがち 

    お菓子美味しい
    
 朝会で雑談する

    みんなでプロダクト触
    る時間良き

    テスト失敗してるやつ
    が放置されてる

    CIでテスト失敗したら
    マージ出来ないように
    する

    参考: http://objectclub.jp/download/files/pf/KPT_TIPS.pdf 


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  14. KPTをやった結果


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  15. KPTをやった結果

    まぁまぁ盛り上がる

    今までやっていた挙手制KPTから 

    - 個々でアイディアを出す時間をとる 

    - みんなに均等に話してもらう 

    - 前回のDPAで場作りが出来ていた 

    に変えた結果が功を奏したかも 

    盛り上がってるしその後も 

    何回かKPTを続ける 


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  16. KPTをやり続けた結果

    KPT盛り上がってるけど、

    以前に比べて改善につながってる
    感ないな...

    よしTimeLineやろう


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  17. TimeLine

    事実と感情を書き出すふりかえり手法。 

    日付の順に事実を書き出していき、 

    は事実に付随する感情の付箋を貼っていく。 


    ポイント

    - 事実と感情を分けて考えやすい 

    - 日付を書くことで直近のことにフォーカスすることを避ける 

    参考: https://developers.freee.co.jp/entry/timeline-is-a-good-retrospective-method 


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  18. TimeLine

    4/1
 4/8

    リリース

    リリース

    テスト

    障害発
    生

    ロール
    バック

    モブプロ

    4/2
 4/3
 4/4
 4/5
 4/9
 4/10
 4/11
 4/12

    モブプロ

    新機能

    目標達成

    みんなで

    ランチ

    みんなで

    ランチ

    障害報告

    開発マイルス
    トーンOK

    ログイン

    機能出来た

    スプリントレ
    ビュー

    部長来ないレ
    ビュー

    ふりかえり

    楽しい

    正直行き
    たくない

    やばかっ
    た

    秒でロー
    ルバックで
    きたの良
    い

    最高

    楽で良い

    レビューや
    らなくて良
    い?

    良い

    学び深い


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  19. TimeLineをやった結果


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  20. TimeLineをやった結果

    これもまぁまぁ盛り上がる。 

    - KPTではごっちゃになりがちだった 

    事実と感情を分けて考えられる 

    - スプリント全体を思い返すことで 

    序盤の出来事にもフォーカスできる 

    などの理由からTimeLineにハマる。 

    TimeLineを続ける。


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  21. TimeLineをやり続けた結果

    TimeLine良いけど、

    もっと盛り上がりたいな。

    ゲームみたいなふりかえりしたい

    このLike to Likeっての良さそう


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  22. Like to Like

    やり方

    1. 事前に「天才」「危険」「コラボレーション」などのワードが 

    書かれた性質カードを用意しておく 

    2. 各々「始めること」「続けること」「止めること」についてを各3枚書く 

    3. 性質カードを一枚引き、出てきた性質カードに一番当てはまるものを一枚だす 

    4. みんなで話して一番それに当てはまるものを選んでいく 


    ポイント

    - ゲーム感覚で楽しいふりかえり 

    - 性質カードにはポジティブな言葉を多めに入れておくのおすすめ 

    - 周りにふりかえりの結果共有するときはこういう手法であることを伝えてね(経験談) 

    参考: アジャイルレトロスペクティブズ(書籍) 


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  23. Like to Like

    性質カード
    ペアプロ

    ATDD

    朝会

    デプロイ

    採用活動

    フロントエンド

    スプリントレ
    ビュー

    TypeScript

    ふりかえり


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  24. Like to Like

    性質カード
    ペアプロ

    ATDD

    朝会

    デプロイ

    採用活動

    フロントエンド

    スプリントレ
    ビュー

    TypeScript

    ふりかえり

    おぞましい

    場に一枚出す 


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  25. 性質カード

    ペアプロ

    ATDD

    採用活動

    フロントエンド

    スプリントレ
    ビュー

    TypeScript

    おぞましい

    おぞましいに合致する
    のはこれかなー 

    あんまりないけど、 

    強いて言うなら... 

    朝会

    ふりかえり

    デプロイ

    場に一枚出す 


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  26. Like to Likeをやった結果


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  27. Like to Likeをやった結果

    すごい盛り上がる。チームから 

    - ふりかえりってゲームみたいで面白い 

    - ふりかえりがスプリントの楽しみ 

    という言葉が出てくる。 

    この辺りから

    「ふりかえりってチームをポジティブに 

    する効果すごいな」 

    と感じ始める


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  28. Like to Likeをやり続けた結果

    Like to Like最高に盛り上がったし
    チームもふりかえりに前のめりだ。
    そろそろファシリ自分やらなくてもい
    いかも。疲れたし


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  29. ファシリテータ変えてみて

    今日のふりかえりは 

    象、死んだ魚、嘔吐

    をやってみたいと思います
 何その怖い名前のやつ...

    あみだで決まったファシリテーター 


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  30. 象、死んだ魚、嘔吐

    参考: https://no-kill-switch.ghost.io/elephants-dead-fish-vomit/ 


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  31. 象、死んだ魚、嘔吐

    AirBnb*1でやってると評判のふりかえり手法。 

    象: みんなが見てみぬふりをしている問題 

    死んだ魚: 今は放置しているが放っておくと問題が発生するもの 

    嘔吐: 色々遠慮して言わないこと 

    をそれぞれ挙げていくふりかえり 

    ポイント

    - メタファーと切り口のおかげで気づけてなかった問題が出てくる 

    - とんでもない爆弾でてくることもあるから気をつけてね 

    *1: https://www.amazon.co.jp/dp/B071F38ZXZ/ 


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  32. 象、死んだ魚、嘔吐をやった結果


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  33. 象、死んだ魚、嘔吐をやった結果

    盛り上がる。まるでダンスフロアだ。 

    ファシリテータの人が 

    「吐き出してください!」 

    と念押ししてた甲斐もあってか 

    とんでもない嘔吐が出てきてビビる。 

    このときに

    「僕が一番、ファシリを上手く出来るんだ!」 

    と思い上がっていたことに気がつく。 


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  34. ファシリテータを交代した結果

    色んな人が色んなスタイルで

    ファシリするの凄い良いな。

    これからずっとあみだでいい、

    いやあみだがいい


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  35. ここから今日まで

    あみだで決まったファシリテータが

    毎回色んなふりかえりを持ってくるようになる


    今も色んな側面で

    色んな影響をふりかえりが与えてくれる


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  36. ということでやってきたふりかえり手法


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  37. Start Stop Continue

    Start: 始めること

    Stop: やめること

    Continue: 続けること 

    を挙げるプラクティス。海外だと一番有名(らしい) 

    KPTに似てるけど、より具体的な行動について言及す
    る


    ポイント

    - 行動や出来事のみに着目してふりかえられる 

    Continue

    Start

    Stop

    参考: https://www.retrium.com/retrospective-techniques/start-stop-continue 

    モブプロやってみ

    コミットメッセージで

    fix bug

    要件をチケット

    以外に書く

    午後のティータ
    イム

    会話しない

    時間作ってみる

    迷ったらダイスで

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  38. StarFish

    Stop

    Start

    Less of

    More of 

    Continue

    参考: https://www.funretrospectives.com/starfish/ 

    モブプロやってみ

    要件をチケット

    以外に書く

    朝会の時間

    自動テスト

    みんなで

    ティータイム

    朝会でのタ
    スクの授受

    自動テスト

    UXについて
    の議論

    コミットメッセージで
    fix bug


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  39. StarFish

    Start,Stop,Continueに追加で 

    more of : より多くすること 

    less of : より少なくすること 

    を挙げるプラクティス。 

    more of と less of があることで、よりアイディアが出しやすくなる 

    ポイント

    - 減らしたい、止めたいが出てきたときにムッとしないこと 

    - 止める?減らす?で悩んだりするけど、そんな気にしない 


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  40. Mad Sad Glad

    参考: https://www.retrium.com/retrospective-techniques/mad-sad-glad 

    部屋が狭い

    ネット通信が重
    い

    開発環境ふっ
    とんだ

    新機能が

    大人気

    PS5が

    買えない

    PS5が

    買えた

    コミットメッセージからwhy
    が伝わらない

    ○○機能途中まで
    作ったけど、中止
    
 TypeScript最高

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  41. Mad Sad Glad

    Mad: 怒り

    Sad: 悲しみ

    Glad: 喜び

    の付箋を出す

    ポイント

    - より個々の感情に目を向けたふりかえり 

    - Madとかでギスギスしがちだからけんかしないようにね 


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  42. 闇鍋

    箱にみんなで話し合いたい付箋を入れる 

    そこからランダムに付箋を選び、 

    15分かけてその話をする 


    ポイント

    - 無記名の方が過激なものがでてくる 

    - 議論中に誰が書いたか分かるときもあるけど紳士協定 

    - みんながふりかえりに慣れたらやると良い 

    参考: https://www.ryuzee.com/contents/blog/7138 


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  43. Fun Done Learn

    Fun
    Done
    Learn
    参考: https://qiita.com/yattom/items/90ac533d993d3a2d2d0f 

    ○○機能

    リリース

    TypeScriptの
    型すげー

    〜さんにガンダムの
    話題を振ると長い

    みんなで

    ランチ

    Playwrightで
    e2eテスト

    〜のドキュメン
    ト最新に更新

    〇〇の

    監視作った


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  44. Fun Done Learn

    Fun: 楽しかったこと 

    Done: 完了したこと

    Learn: 学んだこと

    を出す。楽しかったし学んだものは重なっている部分に貼る 

    ポイント

    - FunとDoneとLearnがそれぞれ何なのかをみんなで話し合ってもいいかも 

    - 改善アイディアを出したいときは、真ん中の重なるところにいれるためにはどうすればよいのか考え
    るてみるといいかも


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  45. 帆船のふりかえり

    参考: https://tune.hatenadiary.jp/entry/2020/03/02/100000 

    アクティブユーザ数
    を2倍にする

    このままデータ増加する
    とマイグレーション終わら
    なくなる

    変更容易性が低い

    ○○の監視できてない

    政府の〜の方針

    機能をコンポーネ
    ント化した

    お金稼げてない

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  46. 帆船のふりかえり

    自分たちが船に乗っているとみたてて、島(目標やゴール)に到達するための速度を上げる追い風、速度
    を遅くしている錨、見えている課題である岩を考えるふりかえり。 


    ポイント

    - 最初にみんなで島を考えてから他のやつ出すと良いかも 

    - 目標をみんなで再確認できるのは特筆すべきポイント 


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  47. Lean Coffee

    その場でアジェンダを決める会議形式。 

    話しあいたいものをみんなで出して、投票して、上から話していく。 

    7分話したら、話を続けるか投票して都度判断していく 


    ポイント

    - 何も準備しなくても出来るから、いざという時のために身につけておいて損はない 

    - アイディアを出すところのサポートはないからそこは他の手法と組み合わせても良いかも 

    - 「あ、意外とみんなこの話題興味ないんだな」ってわかるからよい 

    参考: https://www.slideshare.net/araratakeshi/lean-coffee-60156736 


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  48. Good Bad Feel Fact

    Good
    Bad
    Feel Fact
    参考: https://t-and-p.hatenablog.com/entry/good-bad-fact-emo 

    モブプロ

    開発がマンネ
    リ化してきた

    自動テストがこ
    けてる

    みんなで

    ランチ

    ふりかえり盛り上
    がってる

    1on1楽しい

    モブプロ


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  49. Good Bad Feel Fact

    Good,Badという感情の軸とFeel,Factという事実の2軸でグラフを作り、 

    そこにスプリントで出た色んなものをマッピングをしていくプラクティス。 


    ポイント

    - FeelとFactという軸があることで、 

    - 同じ出来事でもGoodよりに置く人もいればBadよりに置く人もいて、感じ方の違いに気がつける 


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  50. Speed Car

    参考: https://www.funretrospectives.com/speed-car/ 


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  51. Speed Car

    自分たちがレーシングカーだとして 

    - エンジン: 自分たちを加速させるもの 

    - パラシュート: 速度を緩めるもの 

    を挙げるふりかえり。バリエーションとして落とし穴を付け加えるのもある。 

    ポイント

    - KPTっぽいけどメタファーが効いてる 

    - 帆船のふりかえりっぽいけど目標には言及しない 


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  52. 死亡前死因分析

    参考: https://bayashimura.hateblo.jp/entry/2021/09/07/092801 


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  53. 死亡前死因分析

    計画に取り組む前に「自分たちの計画が失敗した」と仮定して 

    失敗原因を探るプラクティス。 


    うちでやった際は

    「あなたが一週間休みをもらって、戻ってきたら開発チームみんなが青ざめた顔でバタバタしていました。何が
    起こったかを簡単にまとめてください」って問いかけて、各々で出てきた内容をみんなで聞き話し合い、どうにか
    できそうなところはどうにかした。 


    ポイント

    - より失敗したと仮定することでリアルな計画のリスクが出てくる 

    - 物語のディテールを細かく書くと盛り上がる 


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  54. 最後に学び


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  55. 色んなふりかえりをやった結果

    ふりかえりって色んな性質があることに気がつく 

    - 目の前の課題に目を向ける 

    - 目標に立ち返る

    - 心理的安全性を高める 

    - 自分たちの強みに気づく 

    - ポジティブになる

    - チームの状態に気がつく 

    - 議論の訓練になる

    - etc...


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  56. 色んなふりかえりをやった結果

    色んな手法に色んな効果があって、 

    色んな良いところがあるけれど。 

    チームが楽しみながら自分たちのことを 

    見つめて、話し合える状態を作れるなら 

    なんでもいいのかも。 

    その状態に達し、それを継続するための 

    色んなふりかえり手法だったのかも。 

    そんなことを思う秋の夜長です。 


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