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(新米)エンジニアリングマネージャーのしごと #RSGT2023

bayashi
January 11, 2023

(新米)エンジニアリングマネージャーのしごと #RSGT2023

Regional Scrum Gathering Tokyo2023の登壇資料です。

エンジニアリングマネージャーのしごと
https://www.amazon.co.jp/dp/4873119944

エラスティックリーダーシップ
https://www.amazon.co.jp/dp/4873118026/

HIGH OUTPUT MANAGEMENT
https://www.amazon.co.jp/dp/B01MU055XH/

成人発達理論による能力の成長 ダイナミックスキル理論の実践的活用法
https://www.amazon.co.jp/dp/B0739Q42P5/

マネジメント3.0
https://www.amazon.co.jp/dp/B0B8GCPWP4/

bayashi

January 11, 2023
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Transcript

  1. (新米)
    エンジニアリング
    マネージャーのしごと
    Regional Scrum Gathering Tokyo 2023
    Kei Ogane 2023/01/11

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  2. 自己紹介
    ばやし@bayashimura
    フォースタートアップス株式会社
    エンジニアリングマネージャー
    CSM/CSPO/CAL1
    最近ハマっていることは国道を復旧する
    ことです(デス・ストランディング)

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  3. こんなサービスの開発やってます

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  4. 今日の話
    2022年7月にSTARTUP DBチームに
    EM(エンジニアリングマネージャー)として
    参加しました
    何もわからない中で色々学びつつ
    - エンジニア感が抜けなかったり
    - 指揮統制したり
    - 権限移譲に悩んだり
    した話を時系列順に語っていければと思います
    (タイトルはオマージュです) エンジニアリングマネージャーのしごと
    ―チームが必要とするマネージャーになる方法
    James Stanier (著), 吉羽 龍太郎 (翻訳),
    永瀬 美穂 (翻訳), 原田 騎郎 (翻訳), 竹葉 美
    沙 (翻訳)

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  5. - エンジニア気分抜けてない期
    - 指揮統制型期
    - MTG参加しすぎて嫌になってる期
    - マイクロマネジメントと放任の狭間期

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  6. - エンジニア気分抜けてない期
    - 指揮統制型期
    - MTG参加しすぎて嫌になってる期
    - マイクロマネジメントと放任の狭間期

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  7. 参加した直後
    STARTUP DBチームにEMとして参加したはいいけど、
    何をすればいいかもよくわからない状態
    とりあえず簡単なチケットを
    やらせてもらうことに

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  8. 参加した直後
    STARTUP DBチームにEMとして参加したはいいけど、
    何をすればいいかもよくわからない状態
    とりあえず簡単なチケットを
    やらせてもらうことに
    よーし良いチームを作るために、自己組織化させるぞー。
    とりあえず開発の状態を見るために自分でもチケットやってみよう
    当時考えてたこと君

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  9. 軽いチケットやる
    チケットの上の方のやつ取ろう
    やることはチケットの中身見ればやることわかるだろう
    出来たしPR(Pull Request)だそう。他の人の書き方参考にしよう
    よし、PR出したぞ。ここは自動でレビューがアサインされるのか

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  10. 軽いチケットやる
    チケットの上の方のやつ取ろう
    → カンバンボードがぐちゃぐちゃで優先順位が一列じゃない!
    やることはチケットの中身見ればやることわかるだろう
    → 中身何も書いてない!
    出来たしPR(Pull Request)だそう。他の人の書き方参考にしよう
    → 大量に放置されたPRある!ほぼ説明書いてない!
    よし、PR出したぞ。ここは自動でレビューがアサインされるのか
    → 誰も見ない!

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  11. 軽いチケットやる
    チケットの上の方のやつ取ろう
    → カンバンボードがぐちゃぐちゃで優先順位が一列じゃない!
    やることはチケットの中身見ればやることわかるだろう
    → 中身何も書いてない!
    出来たしPR(Pull Request)だそう。他の人の書き方参考にしよう
    → 大量に放置されたPRある!ほぼ説明書いてない!
    よし、PR出したぞ。ここは自動でレビューがアサインされるのか
    → 誰も見ない!
    情報の整理整頓からやっていくかー。
    情報がみんな認識しやすい形に出来たら、
    良い感じに自己組織化したチームになるだろう

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  12. 観察していると、これまでは個人が自身の
    状態を把握することしかしていなかった
    (ため整理整頓されていなくても困らなかった)
    これからは
    チーム全員がチームの状態を把握して欲しい
    そのためにも
    - カンバンボード
    - チケット(PBI)
    - PR
    などを整理整頓し、全員が全員の状態を把握できるよう
    にまで認知負荷を減らすことを目指す
    整理整頓で状態を把握できるようにする

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  13. とりあえず整理整頓
    - 放置されているPRのマージ or 削除
    - 不要なブランチ、チケットの削除
    - カンバンボードの整理整頓
    - チケット、PRのフォーマット決め
    - 整理整頓自動化できるところは自動化
    e.g.) 期限が過ぎたらブランチ自動削除
    目につく汚れは徹底的にお片付けだ!!

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  14. この時はまだ知る由もなかった
    全体を把握せず、目についた問題点に飛びついたツケが
    すぐに襲ってくることを

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  15. - エンジニア気分抜けてない期
    - 指揮統制型期
    - MTG参加しすぎて嫌になってる期
    - マイクロマネジメントと放任の狭間期

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  16. 見知らぬ締切
    整理整頓したり開発が便利になる何かを
    作っていたある日、PdMから見知らぬ締切を
    共有される
    自分が知ったのは突然だったが
    PdMは前々から共有していたし
    自分以外の開発陣も知っていた
    が、誰もが誰かがやってるだろうと思っていて
    何も進んでいなかった
    そういえば○○機能
    の開発は来月の
    リリースに向けて
    順調ですか?
    ら、来月の
    リリース!?

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  17. どっちを選ぶ?
    ちょっと無理を
    して間に合わせる
    締め切りなんてやめようっ
    て説得する

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  18. どっちを選ぶ?
    ちょっと無理を
    して間に合わせる
    締め切りなんてやめようっ
    て説得する

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  19. どっちを選ぶ?
    ちょっと無理を
    して間に合わせる
    締め切りなんてやめようっ
    て説得する
    「厳しい締切はチームやプロダクトにダメージを与える」という言葉を
    受け入れてもらうためにはまずチームや自分への信頼貯金かなぁ。
    多分一ヶ月くらいだし、やるか...

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  20. そういえばこういう時に
    あの本ではこうしろって書いてあったな

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  21. Elastic Leadership
    エラスティックリーダーシップ
    ―自己組織化チームの育て方
    Roy Osherove (著), 島田 浩二 (翻訳)
    チームに学習する時間がない状態を
    サバイバルと定義している。
    (中略)
    このフェーズでの主な戦略は、ゆとり時
    間を作ることによってサバイバルフェー
    ズから抜け出すことだ。
    ゆとり時間を手に入れるためには、
    指揮統制型のリーダーシップを取ること
    が最も必要だ。

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  22. 指揮統制型プレイングマネジメント
    対応する人を4人程度に絞り、
    チームの成長も、自己組織化も一旦全部無視
    して対応することを決定
    シニアマネージャに締め切り以外のすべてを任せ
    自分が指示出しつつ、自分がやった方が速そうな
    やつは自分がやる
    なんとか間に合わせる
    締切対応班
    すみません
    こっちに完全
    集中します。
    あとは任せた
    シニアマネージャ
    おっけー

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  23. - エンジニア気分抜けてない期
    - 指揮統制型期
    - MTG参加しすぎて嫌になってる期
    - マイクロマネジメントと放任の狭間期

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  24. チーム分割
    気づけば、エンジニア14名、
    プロダクトマネージャ2名、
    デザイナー3名の大所帯になっていた
    締切対応でpendingしていたチーム分割に着手
    色々整理したけどやっぱり誰が何やってるか理解しづらいなぁ。
    みんなも混乱してる、チームを分割しよう

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  25. どう分割したか
    もともとサービスは社内向けと社外向けの2つに分割されていたので、
    それに沿って分割
    ヒアリングして要望聞きつつ、バランスを踏まえてチームを構成
    社内向けチーム 社外向けチーム

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  26. MTG参加しまくり期
    チームが増えたことでMTGの総数は二倍に
    全部のMTGに参加し、一日中MTGで埋まる日々になる

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  27. MTG参加しまくり期
    チームが増えたことでMTGの総数は二倍に
    全部のMTGに参加し、一日中MTGで埋まる日々になる
    今日も一日中MTGだけど自分が主体じゃないし発言すべきなんだろうか。
    俺なんの仕事してるんだろ...

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  28. そんな中とある2つの書籍に出会う

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  29. ナッジング
    ナッジングとは、議論に対して自身の
    観点を提供することで、決定に影響を
    与えることです。たとえば、ある特定
    のソフトウェアを作るか買うかという
    議論に関わっていて、その状況につい
    てどう感じるかを明確にするような場
    合です。
    エンジニアリングマネージャーのしごと
    ―チームが必要とするマネージャーになる方法
    James Stanier (著), 吉羽 龍太郎 (翻訳),
    永瀬 美穂 (翻訳), 原田 騎郎 (翻訳), 竹葉 美
    沙 (翻訳)

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  30. マネージャーにとってのミーティング
    HIGH OUTPUT MANAGEMENT(ハイアウトプット マネジメ
    ント) 人を育て、成果を最大にするマネジメント
    アンドリュー・S・グローブ (著), ベン・ホロウィッ
    ツ (その他), 小林 薫 (翻訳)
    ミドルマネジャーの仕事の大部分は情
    報やノウハウの提供であり、物事を処
    理する望ましい方法を自分の感じたと
    おりに監督下にあるグループに伝える
    ことである。
    マネジャーは意思決定もするし、人の
    意思決定の援助もする。この基本的な
    マネジャーの仕事は両方とも、膝を交
    えての話し合いのとき、したがって
    ミーティングを通じてのみ遂行でき
    る。

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  31. ミーティングへの態度の変容
    マネージャーはミーティングの場に出て
    ナッジングや情報提供をすることで、
    チームのアウトプットを良くしていく理解
    自分のミーティングに対する態度を改める

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  32. 自分にとってのミーティング
    マネージャーはミーティングの場に出て
    ナッジングや情報提供をすることで、
    チームのアウトプットを良くしていく理解
    自分のミーティングに対する態度を改める
    ミーティングもマネージャーとしての大事な価値提供の場なんだな

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  33. ミーティングでマネージャーが
    口を挟むのってチームの成長の邪魔じゃない?
    己の中のマネージャー不要論者

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  34. スキャフォールディング
    スキャフォールディング
    一人では出来ないことを支援者が一時的に支援す
    ることで学習者ができるようになること
    e.g.) 補助輪
    スキャフォールディングには
    - 直接的スキャフォールディング
    - 間接的スキャフォールディング
    があり、直接的スキャフォールディングは手取り
    足取り教えてあげること(e.g. ペアプロ)

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  35. 成人発達理論による能力の成長
    ダイナミックスキル理論の実践的活用法
    加藤 洋平 (著)
    間接的スキャフォールディング
    マネジャーが仕事のコツを口頭で説明
    することや、仕事の進め方の枠組みを
    紙に書いて示して上げることは、間接
    的なスキャフォールディングに該当し
    ます

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  36. スキャフォールディングをミーティングの中で
    ミーティングの中で間接的スキャフォールディングをしていく
    導くか答えを言うかは状況に応じて使い分ける。
    「その機能が追加されることで、ユーザはその機能をどう活用す 
    る想定ですか?」
    「ユーザに直接聞いちゃえばいいんじゃないですか?」
    「この処理をここに追加しちゃえば解決しそうですね」
    「ホワイトボードを使って図を書いてみましょうか」

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  37. ミーティングに参加しナッジングをすることが
    価値貢献に繋がると理解し、多用しはじめる
    そんな中

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  38. - エンジニア気分抜けてない期
    - 指揮統制型っぽい期
    - MTG参加しすぎて嫌になってる期
    - マイクロマネジメントと放任の狭間期

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  39. 確かにそうすればいいで
    すね
    こうすればいいんじゃな
    いかな〜
    ある日の光景

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  40. 大丈夫ですか?
    ある日の光景

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  41. 大丈夫ですか?
    ある日の光景
    あ...自分に許可を求めるようになってる...
    最初は自己組織化するチームを作りたかったのに、
    いつの間にやらマイクロマネジメントしてたんだ

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  42. ナッジングの力に溺れる
    ナッジングで全てをコントロールしようとしていた
    アウトプットすべてが自分の思い通りになっていないと
    ナッジングをしていた自分に気が付く
    その果てに
    チームから自分の許可を求める姿勢を感じ取る

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  43. コントロールを手放す
    慌ててアウトプットに執着するのを止めて、失敗を許容する
    「決めるのは皆さんです」
    「失敗しても大丈夫ですよ」
    と何回も言う
    多分一時期はMTGの2回に1回くらいは言ってた
    ナッジングの頻度も「気になったら絶対言う」から
    「本当にやばい」 or 「良い成長のタイミング」の時だけに控える

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  44. コントロールを手放す
    慌ててアウトプットに執着するのを止めて、失敗を許容する
    「決めるのは皆さんです」
    「失敗しても大丈夫ですよ」
    と何回も言う
    多分一時期はMTGの2回に1回くらいは言ってた
    ナッジングの頻度も「気になったら絶対言う」から
    「本当にやばい」 or 「良い成長のタイミング」の時だけに控える
    これできっと良い感じに自己組織化してくれるだろう

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  45. 失敗を許容し自由を与えたその結果

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  46. 自己組織化するチーム
    この機能、使用用
    途よくわかりませ
    んね?まぁ作りま
    すか。
    開発時間確保したい
    から○○さん以外
    プランニング出なく
    て良いのでは?

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  47. 自己組織化するチーム
    この機能、使用用
    途よくわかりませ
    んね?まぁ作りま
    すか。
    開発時間確保したい
    から○○さん以外
    プランニング出なく
    て良いのでは?
    自己組織化はしてるけど、なんか違う方向に行ってる気がする...
    うーんこの事象をどう解釈すればいいんだろ...

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  48. そんな中とある書籍に出会う
    (一ヶ月振り二回目)

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  49. 望む方向に自己組織化する
    マネジメント3.0
    適応力の高いチームを育むための6つの視点
    藤井 拓 (翻訳), Jurgen Appelo (著)
    自己組織化は、ベストプラクティスに
    なりえない。これはチームを含む、あ
    らゆるシステムの「デフォルトプラク
    ティス」である。(中略)
    自己組織化だけでは十分ではないので
    ある。少なくともそのシステムの全員
    にとって価値ある方向に自己組織化を
    舵取りするために少しのマネジメント
    が必要である。

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  50. 自己組織化するチーム
    この機能、使用用
    途よくわかりませ
    んね?まぁ作りま
    すか。
    開発時間確保したい
    から○○さん以外
    プランニング出なく
    て良いのでは?
    自己組織化が失われるのを恐れてマネジメントを放棄してたな...
    「ビジネス価値に向き合い、自分たちで計画を立てて
    それを遂行するチーム」になってほしいなー

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  51. 自己組織化するチーム
    この機能、使用用
    途よくわかりませ
    んね?まぁ作りま
    すか。
    開発時間確保したい
    から○○さん以外
    プランニング出なく
    て良いのでは?
    少しのマネジメントとして目的と制約を与えてみるか...

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  52. 目的を割り当てる
    元々プロダクトやチームの目的は存在していた
    が、浸透しているとは言いづらい状態だった
    そこで目的の解像度を上げるために色々と取組
    - 何故この目的なのかの説明
    - ナッジングの中で目的への言及
    - ユーザと直接触れ合う機会の創出
    - ロードマップと目的との関係説明と整合性合わせ
    - (ここで気がつくが自分たちも意識できていなかった)

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  53. 制約を与える
    明確なスプリントゴールを立て
    て、それを達成することを目指し
    てください(制約)
    スプリントゴールはビジネス価値
    に基づいたものを設定してくださ
    い(制約)

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  54. 今回、スプリントゴール
    達成出来なかったです
    ね...デイリースクラムで
    計画に対する進捗話せて
    ない?
    顧客理解を深めないと手
    戻りや確認が大量発生し
    ますね...
    ユーザヒアリング一緒に
    やります?
    特定の方向に自己組織化させる

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  55. 今回、スプリントゴー
    ル達成出来なかったで
    すね...デイリースクラ
    ムで計画に対する進捗
    話せてない?
    顧客理解を深めない
    と手戻りや確認が大
    量発生しますね...
    ユーザヒアリング一
    緒にやります?
    良い議論してる...
    知識としては知っていたけど放任しすぎても関与しすぎても
    良い感じにならないというのはこういうことか...
    特定の方向に自己組織化させる

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  56. 新米エンジニアリングマネージャーのしごと
    色々なことが起こりましたが、
    チームの反応や本などから
    学びっぱなしの半年間でした
    新米エンジニアリングマネージャーの
    大事なしごとのひとつは
    チームと一緒に自分も育てていく
    ことかもしれませんね

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  57. 尺の都合で入らなかったところ
    - 育成採用頑張ってる話
    - 1on1の話
    - 自分を管理、成長する話
    - どっちのチームに入るかは本人に決めてもらう話
    - ビジネスサイドと交流する話
    - 課題図書制度でみんな負債(積読)を抱えるようになった話
    - 埋蔵金で信頼貯金稼ぎ
    収まらないよ!!

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  58. View Slide