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エンタメとAIのための3Dパラレルワールド構築(GPU UNITE 2025 特別講演)

エンタメとAIのための3Dパラレルワールド構築(GPU UNITE 2025 特別講演)

GPU UNITE 2025 特別講演『エンタメとAIのための3Dパラレルワールド構築』の資料です。

現実世界を3Dデータとしてコンピュータ内に取り込む3Dキャプチャ技術や、それを編集して新たな仮想世界を作り出す技術は、映像制作やテレビゲームなどのエンターテイメント用途だけでなく、視覚認識AIの学習の場としても期待されています。本講演では、CG技術とAI技術との交点ともいえる3Dパラレルワールド構築について、技術的なトレンドと直近での取り組み、そして将来の展望を紹介します。

1.3Dパラレルワールド構築を支える技術
1.a. 3D世界をデジタル化する技術
1.b. 3D仮想世界を編集する技術
1.c. 3D仮想世界を生み出す技術
2. エンターテインメントのために
2.a. バーチャル観光,デジタルアーカイブ
2.b. バーチャルプロダクションによる映像制作
3.人工知能のために
3.a. 小売店における商品棚の認識
3.b. 自動運転のための周辺車両認識
3.c. 都市・建築3Dデータセットの構築
4.まとめ

リンク一覧
- p.5 source https://graphics.stanford.edu/data/3Dscanrep/
- p.5 source https://themaister.net/sponza-gltf-pbr/
- p.10 『ゼルダの伝説 ムジュラの仮面』 https://www.youtube.com/watch?v=ux6DqegsIMg
- p.10 『ゴジラ-1.0』 https://www.youtube.com/watch?v=tej6GCean34
- p.11 CARLA Simulator https://carla.org/
- p.12 Gazebo https://gazebosim.org/home
- p.13 [Kerbl+ 2023] https://repo-sam.inria.fr/fungraph/3d-gaussian-splatting/
- p.22 [Muller+ 2022] https://nvlabs.github.io/instant-ngp/
- p.26 Luma AI 3D Capture https://lumalabs.ai/interactive-scenes
- p.28 (Jiang+ ECCV 2024) https://pfnet-research.github.io/rdp-neus/
- p.28 (Madono+ CHI 2025 LBW) https://dl.acm.org/doi/10.1145/3706599.3719697
- p.29 (Liang+ CVPR 2025) https://pfnet-research.github.io/himor/
- p.29 (Kanazawa+ IUI 2025) https://dl.acm.org/doi/10.1145/3708359.3712141
- p.32 『龍が如く』 https://ryu-ga-gotoku.com/six/adventure/adventure01/
- p.32 『シン・ゴジラ』 https://www.youtube.com/watch?v=ysRIwlEBjuw
- p.32 CARLA Simulator https://carla.org/
- p.33 KIRI Engine https://www.youtube.com/watch?v=v3Ii0Yg655U
- p.33 Preferred Networks 開発 https://www.youtube.com/watch?v=PezPCB8gpCA
- p.34 (Haque+ 2023) https://instruct-nerf2nerf.github.io/
- p.35 (Fujiwara+ 2024) https://haruolabs.github.io/style-n2n/
- p.36 (Kaleta+ 2025) https://lumigauss.github.io/
- p.37 (Kerr+ 2023) https://www.lerf.io/
- p.38 (Haque+ 2023) https://instruct-nerf2nerf.github.io/
- p.38 (Kerr+ 2023) https://www.lerf.io/
- p.40 『ジュラシック・パーク』 https://www.youtube.com/watch?v=8hjB6UJ2kMU
- p.42 [Rombach+ 2022] https://stablediffusionweb.com/
- p.43 [Xiang+ 2025] https://github.com/Microsoft/TRELLIS
- p.44 (Ye+ 2025) https://stable-x.github.io/Hi3DGen/
- p.44 (Engstler+ 2025) https://arxiv.org/abs/2503.16420
- p.45 Meshy https://www.meshy.ai/
- p.45 Tripo3D https://www.tripo3d.ai/
- p.45 Rodin https://hyper3d.ai/
- p.49 (みんなの首里城デジタル復元プロジェクト) https://www.our-shurijo.org/
- p.49 (ルーヴル美術館) https://sketchfab.com/3d-models/venus-de-milo-5e22e72c2d71418cb1f71a19e4729d34
- p.62 Wikimedia Commons https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Detected-with-YOLO--Schreibtisch-mit-Objekten.jpg
- p.66 Misebo https://www.misemise.ai/robot
- p.82 お問い合わせ https://www.preferred.jp/ja/contact/

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October 15, 2025
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Transcript

  1. 4 ⾃⼰紹介 ― 加藤⼤晴(かとうひろはる) 2008 - 2020 東京⼤学 - 卒業論⽂:

    異常発⾒ロボ → AI - 修⼠論⽂: 画像⽣成 → エンタメ? - 博⼠論⽂: 三次元再構成 → 3Dデジタル世界の構築 2014 - 2018 ソニー (株) R&Dプラットフォーム - ⾳響信号処理 → エンタメ 2018 - 現在 (株) Preferred Networks - 3Dコンピュータビジョンの実応⽤ → すべて https://hiroharu-kato.com/
  2. 5 Preferred Networks (PFN) 会社概要 設立 本社 代表取締役 従業員数 事業内容

    主要子会社 出資企業 (五十音順) 2014年3月26日 東京都千代田区 西川徹(最高経営責任者) 岡野原大輔(最高技術責任者) 約350名(2025年2月) AIチップ、計算基盤、生成AI基盤モデルなどのAI関連技術を 活用したソリューション・製品の開発・販売および研究開発 Matlantis株式会社(2021年6月設立、2025年7月Preferred Computational Chemistryから社名変更) 株式会社Preferred Robotics(2021年11月設立) 株式会社Preferred Computing Infrastructure(2025年1月設立) SBIグループ NTT株式会社 ENEOSイノベーションパートナーズ合同会社 株式会社講談社 信越化学工業株式会社 SUMISEI INNOVATION FUND 積水ハウス投資事業有限責任組合 中外製薬株式会社 TBSイノベーション・パートナーズ3号投資事業組合 TEL Venture Capital, Inc. 東映アニメーション株式会社 トヨタ自動車株式会社 株式会社日本政策投資銀行 株式会社博報堂DYホールディングス 株式会社日立製作所 ファナック株式会社 株式会社みずほ銀行 三井住友信託銀行株式会社 三井物産株式会社 三菱商事株式会社 三菱UFJ信託銀行株式会社 株式会社ワコム 他 ミッション: 現実世界を計算可能にする https://www.preferred.jp
  3. 7 1. 3Dパラレルワールド構築を⽀える技術 a. 3D世界をデジタル化する技術 b. 3D仮想世界を編集する技術 c. 3D仮想世界を⽣み出す技術 2.

    エンターテインメントのために a. バーチャル観光,デジタルアーカイブ b. バーチャルプロダクションによる映像制作 3. ⼈⼯知能のために a. ⼩売店における商品棚の認識 b. ⾃動運転のための周辺⾞両認識 c. 都市‧建築3Dデータセットの構築 4. まとめ
  4. 8 1. 3Dパラレルワールド構築を⽀える技術 a. 3D世界をデジタル化する技術 b. 3D仮想世界を編集する技術 c. 3D仮想世界を⽣み出す技術 2.

    エンターテインメントのために a. バーチャル観光,デジタルアーカイブ b. バーチャルプロダクションによる映像制作 3. ⼈⼯知能のために a. ⼩売店における商品棚の認識 b. ⾃動運転のための周辺⾞両認識 c. 都市‧建築3Dデータセットの構築 4. まとめ
  5. 16 3Dキャプチャのいろいろ フォトグラメトリは,さまざまな視点の写真を元に3Dモデルを作成 接触式センサ - ロボットアームなどを 物体に接触させること で形状を計測 - ⾼精度だが,測定でき

    る対象が限られる 深度センサ - 対象に光を照射し,反 射を計測することで形 状を計測 - コウモリが超⾳波で空 間認識するイメージ - ⾼精度だが,密な測定 は難しい 写真から - 写真をさまざまな⾓度 から撮影し,そこから ⽴体形状を推定 - 左右の⽬で⽴体感を把 握するイメージ - ⾒た⽬がよい(写真に 近い)キャプチャが得 意だが,形状の推定精 度は劣る 今回扱うのはココ フォトグラメトリ という
  6. 18 深層学習以前の画像識別 別個の役割の複数のモジュールを⼈⼒で設計,全体最適とはいえない 画像 局所特徴抽出 ⼤域特徴抽出 識別モデル 識別結果 識別過程 -

    別個の役割を果たす複数のモジュールで構成 - 縦線抽出,⾊抽出,… - 「よい識別結果を得る」ではない, 中間的で間接的な⽬的で設計 - システム全体として, 識別に最適化されているとは限らない - ほとんどの処理を⼈⼿で設計 - 学習データを⽤いて調整できるパラメータ の数は少なく,柔軟性も低い
  7. 19 深層学習による画像認識 深層学習では,正しい識別結果を得ることに全モジュールがフォーカス 画像 局所特徴抽出 ⼤域特徴抽出 識別モデル 識別結果 - 「層」を積み重ねて識別結果へ⾄る*

    - 「層」は調整可能なパラメータを多数 持ち「学習データが正しく識別できる こと」を⽬的関数として⾃動的に調整 される - 全モジュールが「正しい識別結果を得 る」ことに直接的にフォーカスするの が特徴 画像 識別結果 層 層 層 層 層 層 *「層」は⾏列乗算などの単純な処理のみを⾏い, 多数の「層」を重ねることで全体として⾼い柔軟性を実現
  8. 20 従来的なフォトグラメトリ 別個の役割の複数のモジュールを⼈⼒で設計,全体最適とはいえない 多数の写真 3Dモデル 動作イメージ キャプチャ過程 特徴点検出 特徴点マッチング 三⾓測量

    メッシュ⽣成 テクスチャ⽣成 多数の写真 3Dモデル 特徴的な点(机の⾓な ど)について,右⽬と左 ⽬の網膜上での位置の違 いから,奥⾏きを特定 特徴的な点をつないで ⾯を張る ⾯に⾊を塗る
  9. 21 従来的なフォトグラメトリの課題 写真とそっくりな3Dモデルが得られること,に最適化されていない 多数の写真 3Dモデル 3Dキャプチャ 描画 画像 - 別個の役割を果たす複数のモジュールで構成

    - 「得られた3Dモデルを描画した画像」と 「撮影した写真」がそっくりであることが望ましいが, そう最適化されていない 撮影した写真 従来的なフォトグラメトリ (視点は少し異なる)
  10. 22 近年のフォトグラメトリ 3Dモデルを,写真のように⾒えるように直接最適化 3Dモデル 描画 多数の写真 画像 誤差 類似度計算 -

    「撮影した写真」と「描画した画像」が近くなるよ うに「3Dモデル」を最適化 - 「3Dモデルがリアルに⾒える」ことに直接フォー カスするのが特徴 - 深層学習ライブラリを⽤いて実装される 3Dモデル 初期値 最適化初期 図は [Muller+ 2022] より 最適化後期
  11. 23 近年のフォトグラメトリを可能にした技術 半透明を効率的に扱う3Dモデル表現と,その深層学習的な描画関数が必要 あたらしい3Dモデル表現 - 最適化の鍵は「モヤモヤした状態から徐々にクッキリさせる」こと - 半透明のモヤモヤを効率的に扱う3D表現が必要 - 詳細は

    [Neural Radiance Fields 🔎] [3D Gaussian Splatting 🔎] あたらしい描画関数 - 最適化に深層学習フレームワークを使うのが⼀般的 - 深層学習の層として機能するような描画関数が必要 - 詳細は [微分可能レンダリング 🔎] 加藤の博士論文はココ
  12. 24 フォトグラメトリの難点 幾何形状の正確さ,既存ツールとの相性,編集性の低さなど 近年のフォトグラメトリの課題 - ⾒た⽬は綺麗だが,幾何形状が綺麗とは限らない(モヤモヤしがち) - 3D表現形式が独⾃で,ポリゴンメッシュなどに変換しにくい (変換⼿法は多数提案されているが,品質が劣化しやすい) -

    そのため,映像制作ツールやゲームエンジンなどで使いにくい 従来のフォトグラメトリにも共通の課題 - 照明や影が模様として焼きこまれてしまい,照明を当て直すのが難しい - ⼤胆な拡⼤に耐えられるような⾼精細な3Dキャプチャは難しい SKIP
  13. 31 1. 3Dパラレルワールド構築を⽀える技術 a. 3D世界をデジタル化する技術 b. 3D仮想世界を編集する技術 c. 3D仮想世界を⽣み出す技術 2.

    エンターテインメントのために a. バーチャル観光,デジタルアーカイブ b. バーチャルプロダクションによる映像制作 3. ⼈⼯知能のために a. ⼩売店における商品棚の認識 b. ⾃動運転のための周辺⾞両認識 c. 都市‧建築3Dデータセットの構築 4. まとめ
  14. 32 デジタルコピーからパラレルワールドへ 3Dキャプチャしたものを,そのまま使うのではなく,編集したいケースは多い ゲーム 『⿓が如く』 ちょっと違う現実 → パラレルワールド 映像作品 『シン‧ゴジラ』

    人工知能学習 CARLA Simulator 物体の置き換え ※これらは編集の必要性のイメージであり, 実際には3Dキャプチャは⽤いられていません CG物体の追加 破壊 天候の 変更 照明の変更
  15. 39 1. 3Dパラレルワールド構築を⽀える技術 a. 3D世界をデジタル化する技術 b. 3D仮想世界を編集する技術 c. 3D仮想世界を⽣み出す技術 2.

    エンターテインメントのために a. バーチャル観光,デジタルアーカイブ b. バーチャルプロダクションによる映像制作 3. ⼈⼯知能のために a. ⼩売店における商品棚の認識 b. ⾃動運転のための周辺⾞両認識 c. 都市‧建築3Dデータセットの構築 4. まとめ
  16. 42 ⽣成モデルの計算コスト - 拡散⽣成モデルの学習は計算コストが⾼い - Stable Diffusion [Rombach+ 2022] では

    画像圧縮で解像度を落として学習 - 3Dモデルの処理は,奥⾏きの分,画像よりも計算コストが⾼いため “圧縮” をさらに⼯夫する必要がある 42倍の非可逆圧縮でも ほぼ劣化なし
  17. 43 Structured Latent (SLAT) [Xiang+ 2025] - 3Dモデルを “圧縮” した上で,その空間で拡散⽣成モデルを学習

    - 2563の解像度の3Dモデルを (1/4)3に圧縮した上で, モノがない空間を扱わないことで,さらに約1/10に圧縮 - 圧縮空間で,約100万個のCGモデルを⽤いて⽣成モデルを学習
  18. 44 3D⽣成技術のトレンド よく⾒かける研究トピック - ⽣成品質の改善,特に解像感 - マテリアルの付与 - パーツ単位での⽣成 まだ難しいこと

    - 物体ひとつではなく,広いシーンの⽣成 - 複雑な形状の⽣成 - ⼊⼒テキストや画像の正確な反映 研究開発段階。進展が速く, 数ヶ⽉で状況ががらっと変わる可能性も (Ye+ 2025) (Engstler+ 2025) SKIP
  19. 48 1. 3Dパラレルワールド構築を⽀える技術 a. 3D世界をデジタル化する技術 b. 3D仮想世界を編集する技術 c. 3D仮想世界を⽣み出す技術 2.

    エンターテインメントのために a. バーチャル観光,デジタルアーカイブ b. バーチャルプロダクションによる映像制作 3. ⼈⼯知能のために a. ⼩売店における商品棚の認識 b. ⾃動運転のための周辺⾞両認識 c. 都市‧建築3Dデータセットの構築 4. まとめ
  20. 49 バーチャル観光,デジタルアーカイブ 実世界のものを3Dデータ化して,閲覧可能にすることに需要が⼤きい バーチャル観光 - 現地に⾏かずに⼿軽に観光 - 3D空間を⾃由に歩き回れると没⼊感が⾼い デジタルアーカイブ -

    ⽂化財や歴史的資料をデジタル化 - ⽴体形状の保存が求められるものも多い ⾸⾥城 (みんなの⾸⾥城デジタル復元プロジェクト) 実物の3Dデータ化そのものに需要がある ミロのヴィーナス (ルーヴル美術館)
  21. 51 Preferred Networks の取り組み SANRIO Virtual Festival 2023 持ち歩ける3Dフィギュアの3Dスキャン (株式会社サンリオ様)

    国⽴科学博物館 バーチャル企画展 『電⼦楽器の創造展』電⼦楽器の3Dスキャン
  22. 54 1. 3Dパラレルワールド構築を⽀える技術 a. 3D世界をデジタル化する技術 b. 3D仮想世界を編集する技術 c. 3D仮想世界を⽣み出す技術 2.

    エンターテインメントのために a. バーチャル観光,デジタルアーカイブ b. バーチャルプロダクションによる映像制作 3. ⼈⼯知能のために a. ⼩売店における商品棚の認識 b. ⾃動運転のための周辺⾞両認識 c. 都市‧建築3Dデータセットの構築 4. まとめ
  23. 55 映画などを撮影するとき,撮影の舞台を整えるのは⼤変 - ロケ地までの移動 - 時間帯,天候 - 再撮影 無背景で撮影 →

    背景にCGを合成,も課題が多い - 照明や⾊合いの調整が⼤変 - 完成系がイメージしづらい - 演技時の臨場感が不⾜ 映像制作のロケーション問題 背景や舞台は,実際の撮影も撮影後のCGの合成も課題が多い
  24. 61 1. 3Dパラレルワールド構築を⽀える技術 a. 3D世界をデジタル化する技術 b. 3D仮想世界を編集する技術 c. 3D仮想世界を⽣み出す技術 2.

    エンターテインメントのために a. バーチャル観光,デジタルアーカイブ b. バーチャルプロダクションによる映像制作 3. ⼈⼯知能のために a. ⼩売店における商品棚の認識 b. ⾃動運転のための周辺⾞両認識 c. 都市‧建築3Dデータセットの構築 4. まとめ
  25. 67 1. 3Dパラレルワールド構築を⽀える技術 a. 3D世界をデジタル化する技術 b. 3D仮想世界を編集する技術 c. 3D仮想世界を⽣み出す技術 2.

    エンターテインメントのために a. バーチャル観光,デジタルアーカイブ b. バーチャルプロダクションによる映像制作 3. ⼈⼯知能のために a. ⼩売店における商品棚の認識 b. ⾃動運転のための周辺⾞両認識 c. 都市‧建築3Dデータセットの構築 4. まとめ
  26. 73 シミュレートした画像を使って3D物体検出を学習 a. (⾞⾼が⼀定の)実写画像のみで学習した場合に⽐べ検出性能が向上 b. 学習データと検証データの⾞⾼が同⼀である場合でも性能向上 3D物体検出性能の定量評価 シミュレートした学習画像が性能向上に寄与 (株)アイシン様との共同研究 学習データ

    ⾞⾼±0 ⾞⾼ +0.2m ⾞⾼ +0.4m 実写のみ 0.290 0.267 0.235 ⾞⾼をランダムに変えて再撮影 0.293 0.275 0.247 検証データの⾞⾼を変えたときの3D物体検出性能(NDS↑) (a) (b) ※nuScenesデータセットのサブセットを⽤いて評価 ※学習データの⾞⾼変化の幅は -0.3m ~ +0.1m
  27. 74 - 「⾞⾼が違った世界線」の学習データにより,⾞⾼に頑健な3D物体検出を実現 - 将来的には,より多様な世界線のシミュレートに期待 - 隣の⾞線を⾛っていた世界, - 周辺の⾞両の位置が違った世界, -

    … - 技術の詳細については以下の⽂献をご参照ください 髙橋友紀⼦, 徐天涵, ⼩林颯介, 加藤⼤晴, 髙濱敦, 加藤雄⼤, 横⼭美優, 光森卓, ⾼椋佐和. “新規視点画像⽣成による⾞載3D物体検出器のカメラ⾼データ増強.” 第28回 画像の理解‧認識シンポジウム. 2025. ⾃動運転 周辺⾞両認識 まとめ (株)アイシン様との共同研究
  28. 75 1. 3Dパラレルワールド構築を⽀える技術 a. 3D世界をデジタル化する技術 b. 3D仮想世界を編集する技術 c. 3D仮想世界を⽣み出す技術 2.

    エンターテインメントのために a. バーチャル観光,デジタルアーカイブ b. バーチャルプロダクションによる映像制作 3. ⼈⼯知能のために a. ⼩売店における商品棚の認識 b. ⾃動運転のための周辺⾞両認識 c. 都市‧建築3Dデータセットの構築 4. まとめ
  29. 77 都市の空間認識は,学習‧評価データセットが不⾜ - ⼤規模で商⽤利⽤可能なものはまったくない - ⺠間主導‧単⼀企業では集めにくい - 建築データは権利関係が複雑 - ⽤途が複数のビジネス領域に分散し,巨⼤事業者が不在

    ⾃律ロボットの社会進出への障壁 ロボット向けの都市空間認識データセットの不⾜がボトルネック ⽤途 環境 代表例 ⾃動運転⾞ 路上 KITTI, nuScenes, Waymo Open ⾃律ロボット 屋内 TUM RGB-D, EuRoC MAV ⾃律ロボット 屋外(都市空間) - ⾃律移動エージェント向けの公開データセット
  30. 78 救世主 (?): Building Information Modeling (BIM) - 主に設計‧施⼯に⽤いられる,建築物の3Dデータ -

    国交省を中⼼に,導⼊義務化などを通じて普及を推進中 - 実世界のセンサデータと紐づいていないほか,AI学習向けの意味情報も不⾜ 建築情報モデリング 建築3Dデータは今後の普及が⾒込まれるが,必ずしもAI⽤途に適していない Ex-BIM*: 建築領域外 (e.g. AI)との連携に必要なデータを記述 外観‧公開領域に限定することで整備を促進 *⽯澤 宰, 村井 ⼀, 豊⽥ 啓介 “ExBIM: 建築の外部性を捉えるモデリング⼿法,” ⽣産研究, Vol 77, No.1, 2025.
  31. 79 Ex-BIMデータと実世界データを合わせて収集‧蓄積‧公開する, 都市‧建築3Dデータエコシステム開発プロジェクトを進⾏中 (2025/04 - 2027/03) 都市の空間認識のためのデータセットの構築 Ex-BIMデータと実世界のセンサデータとをペアで集積 東京⼤学⽣産技術研究所 豊⽥研究室

    デジタル技術と都市‧建築の融合に関する領域、特 に「コモングラウンド」と呼ぶ新しい分野に関わる リサーチおよび基礎技術開発 経済産業省/NEDO GENIAC 採択事業 代表事業: 株式会社Preferred Networks 共同提案: 国⽴⼤学法⼈ 東京⼤学
  32. 80 活⽤が⾒込まれるAIタスク - 空間意味理解 (セマンティックセグメンテーション) - 空間形状理解 (深度推定,3D再構成) - 3Dモデルの検索‧分析

    - 建築‧BIMデータ理解 都市空間データセットのAI活⽤ 幾何形状と意味情報によって,都市空間の空間把握や意味理解を学習可能に 実世界の センサデータ 正確な幾何形状と AI向けの意味情報
  33. 81 構築するデータセットの規模と特徴 屋外‧BIM‧商⽤利⽤可‧世界最⼤規模のデータセット 東京駅周辺の500棟程度をEx-BIM/3Dスキャンデータ化* Ex-BIMデータにはロボットやデジタルツイン応⽤を⾒込んだ意味情報を付与 *これらは計画段階の情報であり, 今後変更される可能性があります データセット 屋外? BIM?

    商⽤利⽤ 規模 ScanNet++ 1,000部屋 15,000m2 S3DIS 5フロア 6,020m2 Matterport3D 90棟 46,561m2 A-Scan2BIM ✓ 16フロア 35,000m2 本プロジェクト* ✓ ✓ ✓ 500棟程度 500,000m2 スキャンデータとセマンティックアノテーションのデータセット
  34. 82 都市空間データセットの産業的な広がり 都市空間データによるAIは,さまざまな産業領域での応⽤が⾒込まれる AIタスク 産業⽤途 ⾃律ロボット,ドローン 物流,警備,インフラ点検,地域ガイド ⾃動運転⾞ 運転⽀援,物流,無⼈タクシー デジタルツイン制作

    都市計画,⼈流シミュレーション,災害シミュレーション, 建物の維持管理,バーチャル観光,ゲーム,映像制作 建築‧BIM理解 建築物の設計‧施⼯⽀援,ロボット施⼯, BIMデータ作成⽀援,既存建築物のBIMデータ化 画像理解の基盤モデル 視覚的AIに関する幅広い領域 データ利活⽤事業者 募集中! 👉 お問い合わせ
  35. 83 1. 3Dパラレルワールド構築を⽀える技術 a. 3D世界をデジタル化する技術 b. 3D仮想世界を編集する技術 c. 3D仮想世界を⽣み出す技術 2.

    エンターテインメントのために a. バーチャル観光,デジタルアーカイブ b. バーチャルプロダクションによる映像制作 3. ⼈⼯知能のために a. ⼩売店における商品棚の認識 b. ⾃動運転のための周辺⾞両認識 c. 都市‧建築3Dデータセットの構築 4. まとめ
  36. 84 Preferred Networks の取り組み まとめ バーチャル観光 映像制作 デジタルアーカイブ スポーツ収録 ⾃動運転の学習

    ロボットの学習 編集‧合成‧⽣成技術 現実世界のデジタルコピー ライブ収録 商品棚認識の学習 少し違う現実(パラレルワールド)
  37. 85 その先へ: ⼀億総アーティスト社会 アイディアを形にする障壁が格段に低く → 誰もがアーティストに* ⽂章⽣成 画像⽣成 ⾳声合成 ⾳楽⽣成

    プログラミング⽀援 ツール操作⽀援 映像作品 ゲーム *プロの地位は⾼いままで, アマチュアが増えて裾野が広がるイメージ 3Dキャプチャ 3Dモデル⽣成 3Dモデルが作れずゲーム制作を挫折, も過去の話になるかも 3Dコンテンツ 3Dコンテンツ業界の⾶躍的発展?
  38. 86 その先へ: 空間知能シンギュラリティ パラレルワールド内での学習 → ⾃律移動エージェントの強化 ⾃律エージェントが能動的にデータを収集 → パラレルワールドの強化 書を捨てよ

    町へ出よう 「⾃律エージェント」と「パラレルワールド」が相互強化する循環関係 → 空間知能‧⾃律エージェントが,⼈の⼿を介せずにどんどん賢くなってゆく
  39. 87 エンタメとAIのための3Dパラレルワールド構築 3Dキャプチャ 3Dモデル⽣成 映像制作 👉 ⼀億総アーティスト社会? 👉 空間知能シンギュラリティ? AR/VR

    ゲーム開発 エンタメ ⾃動運転の学習 ロボットの学習 ⼈⼯知能 ⾃動データ収集 3Dモデル編集 キャプチャ‧⽣成‧編集が 技術の三本柱 3D仮想‧並⾏世界の構築