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アジャイル・スクラム勉強会_スクラムガイドとスクラム認定試験

 アジャイル・スクラム勉強会_スクラムガイドとスクラム認定試験

Satoshi Harada

February 01, 2023
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  1. スクラム開発入門
    スクラムガイドと
    スクラム認定試験
    アジャイル・スクラム勉強会
    Satoshi Harada

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  2. スクラムの歴史をおさらい
    ● The New New Product Development Game
    ► 1986年、野中郁次郎と竹内弘高がHarvard
    Business Reviewに掲載された論文
    ► 新製品開発のような不確実性の高いプロジェク
    トは変化に対応できない
    ► ラグビーのようにチーム内でパスを回し合いな
    がら、スピード感を持って自律的に行動してい
    く必要があると説いている
    ● アジャイルソフトウェア開発スクラム
    ► 野中氏、竹中氏の論文に着想を得て、Ken
    SchwaberとJeff Sutherlandが1995年に
    OOPSLAカンファレンスでスクラムを発表
    ► Jeff Sutherlandはその後、2001年のアジャイ
    ルソフトウェア開発宣言の場にも参加している
    ✔ 2010年にScrum Guideの初版が制定され、ス
    クラム開発の原則はこのScrum Guideに則っ
    ている

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  3. スクラムガイドとは
    ● スクラムガイドは、Jeff Sutherland と
    Ken Schwaber が 20 年以上かけて開発・
    進化・保守してきたスクラムを文書化した
    ものである。(Scrum Guide 歴史の章から
    抜粋)
    ● 公式の日本語版も公開されており、日本に
    おけるスクラム開発の原典としてはこの
    PDFファイルを指す
    ► https://www.scrumguides.org/docs/scr
    umguide/v2017/2017-Scrum-Guide-Jap
    anese.pdf
    ● 数年に一度改定されて内容が変わるので、
    最新版を参照すること
    ► 2020年8月現在、スクラムガイドは2017年
    版が最新

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  4. スクラム認定試験の種類
    ● 大前提
    ► 認定試験の合格証を持っていなくてもスクラムマスターの
    ロールを担うことはできるし、認定を持っていない凄腕ス
    クラムマスターも存在する
    ► 逆に、認定を持っているからといって優秀なスクラムマス
    ターであるとは限らない
    ✔ スクラムは経験を重視している。認定だけ持っていてスクラム
    の経験が無いスクラムマスターも存在する
    ● スクラム認定試験の種類
    ► Scrum Alliance
    ► Scrum.org
    ► Scrum.inc
    ✔ その他(LeSS、Scrum@Scale、などなど)

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  5.  
    ● 特徴
    2001年に設立された非営利団体。歴史が長いため、世界的に見て
    も日本国内でも最も知名度が高い。日本語トレーニングと日本語試
    験あり。
    日本国内だと、Scrumの資格を持っている=Scrum Allianceの資格
    を持っていると同義くらいのイメージ。
    ● おおまかな認定の種類
    ► Certified ScrumMaster (CSM)
    ► Certified Scrum ProductOwner (CSPO)
    ► Certified Scrum Developer (CSD)
    ● 認定試験の費用
    ► Certified ScrumMasterは、トレーニング・試験費用合わせて
    20万円ほど
    ► トレーニングを受けないと認定試験は受けられない

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  6.  
    ● 特徴
    スクラムガイドの著者のケン・シュエイバーが2009年に設立、日
    本語トレーニング提供無し&試験も英語。
    試験費用が安いため受験しやすいが、日本国内におけるScrum.org
    の知名度が低いので対外的なアピール度は弱い。
    ● おおまかな認定の種類
    ► Professional Scrum Master
    ► Professional Scrum Product Owner
    ► Professional Scrum Developer
    ✔ おそらく、認定区分はScrum Allianceに準じているのだと思う
    ● 認定試験の費用
    ► 認定試験のみで$150くらいらしい
    ► トレーニングを受けなくても認定資格だけ受けられる

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  7.  
    ● 特徴
    スクラムガイドの著者のジェフ・サザーランドが設立、日本で
    はKDDIが2019年から日本語トレーニングを提供。
    日本国内でスクラム開発を古くから推進しているKDDIが協力
    しているので、これから日本国内で存在感が増してくる可能性
    もある。
    ● おおまかな認定の種類
    ► Licensed Scrum Master Training
    ► Licensed Scrum Product Owner Training
    ● 認定試験の費用
    ► トレーニング・試験費用合わせて20万円ほど
    ► トレーニングを受けないと認定試験は受けられない

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  8. 結局どの認定がいいの?
    発足 知名度 試験費用
    2001年 ◎ 20万円〜
    2009年 △ $150
    2019年 ○ 20万円〜
    社外に向けてスクラムマスターの基礎知識を持っていることをア
    ピールする目的であれば、Scrum Allianceがベスト。
    ただ、これらのトレーニングや試験を受けても、スクラム開発の実
    戦スキルは身につかない。
    スクラムは失敗からの学習や改善を試みた経験など、学習や
    経験をベースにして身につくものなので、これらの認定は基
    礎知識を持っていることの証明くらいにしかならない。
    (悲しいですが認定ビジネスの側面もあります…)

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  9. 実戦的なスクラムマスターとは
    ※経験則ベースですが、あくまで主観的なイメージです
    ● スクラムの師に付き、実戦的な経験を積んでいる
    ► 無からスクラムの経験を積み、優秀なスクラムマスターになるのは大
    変難しい
    ► スクラムの経験が長い師に付いて、「こういうときはどうするとよい
    か」という経験をその理由・背景と一緒に学習するのが一番確実
    ● 守破離の守を守っている
    ► 武道と同様、基本的には型(スクラムフレームワーク)を守る
    ● 守破離の破や離に挑戦している
    ► 型を守るだけでは目的を達せないとき、破や離に挑戦していて(失敗
    する場合も多々あるが)成功・失敗の引き出しが多いスクラムマス
    ターが実戦で強い
    ● 改善マインドを持っている
    ► スクラムの目的は改善。スクラムをすることが目的ではない
    ● 黒子に徹している
    ► スクラムマスターは裏方であり、注目を浴びる綺羅びやかな役割では
    ない
    ► プロジェクトの成功や開発メンバーの成長に対して奉仕できる人がス
    クラムマスターには適している

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  10. 質問Time
    アジャイルマニフェストでは「プロセスやツー
    ルよりも個人との対話を」としていますが、ス
    クラムガイドでは開発のプロセス(役割分担や
    イベント)が定められています。
    これはアジャイルマニフェストと矛盾している
    のでしょうか?
    スクラムの守破離として、守はアジャイルマニ
    フェストやスクラムガイドといった基本の型に
    従うことを指しますが、破や離にはどのような
    アクションが考えられますか?

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