Upgrade to Pro
— share decks privately, control downloads, hide ads and more …
Speaker Deck
Features
Speaker Deck
PRO
Sign in
Sign up for free
Search
Search
LLM活用の壁を超える:リクルートR&Dの戦略と打ち手
Search
Recruit
PRO
February 27, 2026
Technology
450
1
Share
LLM活用の壁を超える:リクルートR&Dの戦略と打ち手
2026/2/27に、RECRUIT TECH CONFERENCE 2026で発表した三田の資料になります。
Recruit
PRO
February 27, 2026
More Decks by Recruit
See All by Recruit
巨大プラットフォームを進化させる「第3のROI」
recruitengineers
PRO
2
710
データ戦略を加速させる プラットフォーム エンジニアリングと進化的アーキテクチャ
recruitengineers
PRO
2
35
まなび領域における生成AI活用事例
recruitengineers
PRO
2
210
AI時代にエンジニアはどう成長すれば良いのか?
recruitengineers
PRO
1
370
AIを用いたカスタマーサポートの業務プロセス・組織変革の実現
recruitengineers
PRO
1
190
問い合わせ自動化の技術的挑戦
recruitengineers
PRO
2
290
「Air ビジネスツールズ」のクライアントサポートにおける生成 AI 活用
recruitengineers
PRO
0
140
AI活用のためのアナリティクスエンジニアリング
recruitengineers
PRO
2
210
SaaS事業のデータマネジメント事例
recruitengineers
PRO
0
170
Other Decks in Technology
See All in Technology
[最強DB講義]推薦システム | 基礎編
recsyslab
PRO
1
180
社内エンジニア勉強会の醍醐味と苦しみ/tamadev
nishiuma
0
230
今年注目する!データ分析プラットフォームでのAIの活用
nayuts
0
150
PicoRuby as a Multi-VM Operating System
kishima
1
190
Cortex Codeのコスト見積ヒントご紹介
yokatsuki
0
100
AgentCore Managed Harness を使ってみよう
yakumo
2
170
独断と偏見で試してみる、 シングル or マルチエージェント どっちがいいの?
shichijoyuhi
1
110
マルチエージェント × ハーネスエンジニアリング × GitLab Duo Agent Platformで実現する「AIエージェントに仕事をさせる時代へ。」 / 20260421 GitLab Duo Agent Platform
n11sh1
0
180
AIコーディング時代における、ソフトウェアサプライチェーン攻撃に対する防衛術(簡易版)
soysoysoyb
0
110
AI와 협업하는 조직으로의 여정
arawn
0
500
M5Stack CoreS3とZephyr(RTOS)で Edge AIっぽいことしてみた
iotengineer22
0
270
No Types Needed, Just Callable Method Check
dak2
1
1.5k
Featured
See All Featured
Visualizing Your Data: Incorporating Mongo into Loggly Infrastructure
mongodb
49
9.9k
Redefining SEO in the New Era of Traffic Generation
szymonslowik
1
280
Leading Effective Engineering Teams in the AI Era
addyosmani
9
1.9k
Git: the NoSQL Database
bkeepers
PRO
432
67k
What the history of the web can teach us about the future of AI
inesmontani
PRO
1
530
How to Grow Your eCommerce with AI & Automation
katarinadahlin
PRO
1
170
Design and Strategy: How to Deal with People Who Don’t "Get" Design
morganepeng
133
19k
Build The Right Thing And Hit Your Dates
maggiecrowley
39
3.1k
Exploring the relationship between traditional SERPs and Gen AI search
raygrieselhuber
PRO
2
3.8k
Embracing the Ebb and Flow
colly
88
5k
The Straight Up "How To Draw Better" Workshop
denniskardys
239
140k
Dominate Local Search Results - an insider guide to GBP, reviews, and Local SEO
greggifford
PRO
0
150
Transcript
RECRUIT TECH CONFERENCE 2026 LLM活用の本質:「作る視点」と「使う視点」 LLM活用の壁を超える: リクルートR&Dの戦略と打ち手 データ推進室 三田 雅人
三田 雅人 料理・テニス・ゲーム 経歴 / Career 理化学研究所、CyberAgent AI Labの研究者を経て、 2025年にリクルートにキャリア採用入社。
専門は、自然言語処理、計算心理言語学。 R&D組織にてLLMのプロダクト実装を推進。 2025年言語処理学会年次大会にて最優秀賞受賞。 趣味 / Hobbies プロダクト開発 データ推進室 データテクノロジーラボ部 R&Dグループ 2
リクルートにおけるR&D体制 - WhaleLM - 限られたLLM専門リソースを集中し、R&Dから事業実装のできるチームを育成、 全社レベルの事業優先度の高い中長期プロジェクトにアサイン R-ICT GPT 既製LLMの事業活用 OpenAI(Azure)のGPTシリーズ
中心でプロダクト適用、 Prompt Engineeringがメイン WhaleLM PoC ~ 事業実装 DS/MLEが中心でより高度なモデリング が必要かつ事業クリティカルになりうる LLM活用を推進 3
LLM活⽤フェーズが進み、ニーズがシャープに⾼難易度に 4 • カーセンサー ◦ チャットではなく既存UXに組み込み ➔ システム性能要件(レイテンシ等)が高い ◦ 効果直結の打ち手が明確:
レコメンド再ランキング/レコメンド軸提案 • HR キャリアアシスタントAI ◦ LLMがコア機能 ◦ SLM置換でインパクト大:コスト最適化+UX向上 ※画像はイメージです
⾼度なLLM活⽤でインパクト創出するための⽅針 領域施策実行 共通機能 検証/開発 施策・機能の 横展開 R&D モジュール の切り出し 領域側で
モジュール適用 横展開 機能の高度化 高度化した機能を逆輸入 R&Dから施策化 5
LLM活用の壁 • 非機能要件への対応(レイテンシ/スループット/コスト) ◦ 既存UXに組み込むには応答速度と安定運用が必須(=品質とのトレードオフ) ◦ ➔ 小型化・高速化・運用設計で“必要十分な品質”を保ちながら最適化 • 出力の制御性・指示追従性(フォーマット遵守/一貫性)
◦ 期待通りの形式・粒度・制約で出させないと、後段処理やUIが壊れる (=自由度とのトレードオフ) ◦ ➔ 運用側の制約設計に加え、学習で指示追従性を底上げして、狙い通りの出力を安定化 6
非チャットUIにおける生成文表示 • 課題:LLMで品質の高い生成文は実現できるがレイテンシやコスト面で△ ◦ 例: Gemini-2.5-flashを用いて推薦文を生成 ▪ 想定リクエスト量(30RPS)を保証するためには約970万円/月*1 ▪ レイテンシ:
1380ms/件(5000ms/5件) • 打ち手:SLMおよび推論高速化技術の活用 ◦ 例:SFT・知識蒸留・投機的デコーディング...など ◦ ➔ 性能改善しつつ約17.5倍高速化&運用料金を98.5%削減 モデル 最低要件遵守率 (%) ↑ レイテンシ (ms) ↑ 月額 (¥) ↓ 実タスク GPU=10 GPU=3 gemini-2.5-flash 97.4 1380 N/A N/A 9,700,000 llm-jp-3-150m w/ 蒸留・推論高速化 99.4 79 258 472 145,800 7 *1. 入力トークン:700, クエリあたりの出力レスポンステキストトークン数:150 設定における見積もり(2026年2月時点)
知識蒸留における忠実性改善 • 課題:「ショートカット学習」 ◦ 生徒モデルが教師モデルの推論・出力形式を真似せず、独自フォーマット/冗長回答 に逃げる(=忠実性の低下) • 打ち手:Adaptive Z-score Weighting
(AZ-Weighting) を提案 ◦ 学習中の損失履歴から各サンプルのZ-scoreで難易度を動的に推定 ◦ 教師との乖離が大きい(ショートカットしがちな)サンプルに勾配重みを強めて教師 分布へ寄せる ➔ フォーマット追従性(strict-match)が改善 モデル flexible-extract strict-match GKD [Agarwal+24] 68.69 43.85 w/ AZ-Weighting 69.75 47.16 JSAI2026 発表予定 8 例: GSM8K
まとめ:LLMをプロダクトに“組み込む”ためのR&D • ミッション:LLM専門人材・知見を集約し、R&D〜事業装着を一気通貫で推進する体制を 構築し、全社優先度の高い中長期テーマに集中投下 • 壁① 非機能要件(レイテンシ/スループット/コスト) ◦ SLM+推論高速化で“必要十分な品質”を保ちながらレイテンシ・コスト最適化 •
壁② 制御性・指示追従性(形式遵守/一貫性) ◦ 知識蒸留における忠実性を向上させるための道具立てを研究開発 • R&Dの提供価値: ◦ 横断組織として横展開:成功パターンをモジュール化(学習・推論・評価)して 複数領域・プロダクトへ再利用 ◦ ゼロイチで技術を作る:既存技術では解消が難しいギャップに対しては、 研究アプローチにより新技術を創出して課題解決に向けた道具立てを整備 9