Upgrade to Pro
— share decks privately, control downloads, hide ads and more …
Speaker Deck
Features
Speaker Deck
PRO
Sign in
Sign up for free
Search
Search
GAE を利用したゲーム内通貨管理サービスの運用〜可用性を損なわないための工夫〜
Search
Takumasa Sakao
May 14, 2019
Technology
0
1.2k
GAE を利用したゲーム内通貨管理サービスの運用〜可用性を損なわないための工夫〜
Takumasa Sakao
May 14, 2019
Tweet
Share
More Decks by Takumasa Sakao
See All by Takumasa Sakao
k9s のプラグイン機構とモダンな watch コマンド、viddy の紹介
sachaos
0
1.3k
Cloud Run でシェルスクリプトを動かす
sachaos
0
2.6k
Go の静的解析ツールの作成と活用
sachaos
0
2.7k
レイトレーシングとGoroutine
sachaos
2
1k
OSSを作っている時に 考えていること ーUNIX哲学を添えてー
sachaos
2
470
GCPをフル活用したゲームログ収集基盤の構築
sachaos
6
2.9k
Other Decks in Technology
See All in Technology
AIチャットボット開発への生成AI活用
ryomrt
0
170
BLADE: An Attempt to Automate Penetration Testing Using Autonomous AI Agents
bbrbbq
0
290
【Pycon mini 東海 2024】Google Colaboratoryで試すVLM
kazuhitotakahashi
2
490
IBC 2024 動画技術関連レポート / IBC 2024 Report
cyberagentdevelopers
PRO
0
110
CysharpのOSS群から見るModern C#の現在地
neuecc
1
3.1k
安心してください、日本語使えますよ―Ubuntu日本語Remix提供休止に寄せて― 2024-11-17
nobutomurata
0
980
Python(PYNQ)がテーマのAMD主催のFPGAコンテストに参加してきた
iotengineer22
0
470
Why does continuous profiling matter to developers? #appdevelopercon
salaboy
0
180
Amazon CloudWatch Network Monitor のススメ
yuki_ink
1
200
VideoMamba: State Space Model for Efficient Video Understanding
chou500
0
190
B2B SaaSから見た最近のC#/.NETの進化
sansantech
PRO
0
670
マルチモーダル / AI Agent / LLMOps 3つの技術トレンドで理解するLLMの今後の展望
hirosatogamo
37
12k
Featured
See All Featured
ReactJS: Keep Simple. Everything can be a component!
pedronauck
665
120k
Exploring the Power of Turbo Streams & Action Cable | RailsConf2023
kevinliebholz
27
4.3k
JavaScript: Past, Present, and Future - NDC Porto 2020
reverentgeek
47
5k
StorybookのUI Testing Handbookを読んだ
zakiyama
27
5.3k
jQuery: Nuts, Bolts and Bling
dougneiner
61
7.5k
Into the Great Unknown - MozCon
thekraken
32
1.5k
Reflections from 52 weeks, 52 projects
jeffersonlam
346
20k
The Language of Interfaces
destraynor
154
24k
Building Applications with DynamoDB
mza
90
6.1k
[RailsConf 2023 Opening Keynote] The Magic of Rails
eileencodes
28
9.1k
Visualization
eitanlees
145
15k
Learning to Love Humans: Emotional Interface Design
aarron
273
40k
Transcript
GAE を利用した ゲーム内通貨管理サービスの運用 可用性を損なわないための工夫 酒とゲームとインフラと GCP 第10回
自己紹介 @sachaos (サカオスと読みま す)Twitter, GitHub やってます 所属: 株式会社アカツキ 技術基盤開発チーム 仕事:
GCP, Go キーボードレンタル業 最近あったつらいこと : Cloud Next 19 に参加して パスポートを紛失しました
ゲーム内通貨管理サービスの概要
ゲーム内通貨管理サービスの概要 • ゲーム内通貨(いわゆる石)を管理する • ストア(Apple App Store, Google Play Store)で発行されたレシートの検証
無償・有償を含むゲーム内通貨の残高の管理 • 複数のゲームにまたがって利用される
サービスの概観図 Cloud Datastore App Engine BigQuery ゲームプロジェクトA ゲームプロジェクトB ゲーム内通貨管理サービス 石の消費・付与・購入
ログの送信 プレイヤーの石の残高 使用済みレシートなどを管理 石の残高の問い合わせ レシートの検証 石を増減させる
サービスの特に重要な要件 • 石の購入、付与、消費トランザクションのログの完全性 ◦ 売上の計算、資金決済法の供託金の計算のため ◦ ログが欠損しては正しく計算ができない • 高可用性、高スケール性能 ◦
複数のゲームから利用されるものとなるため、高い可用性が求められる ◦ ゲームのピーキーなトラフィックに耐えられるスケール性能が求められる
サービスの特に重要な要件 • 石の購入、付与、消費トランザクションのログの完全性 ◦ 売上の計算、資金決済法の供託金の計算のため ◦ ログが欠損しては正しく計算ができない • 高可用性、高スケール性能 ◦
複数のゲームから利用されるものとなるため、高い可用性が求められる ◦ ゲームのピーキーなトラフィックに耐えられるスケール性能が求められる GAE + Datastore を採用
GAE + Datastore • GAE: GCP が提供している PaaS の Google
App Engine Datastore: GCP が提供している サーバーレスのデータベース • GAE 99.95%, Datastore 99.9% の可用性 • 高いスケール性能 • Service, Version, Traffic Splitting, タスクキューなどの 運用が考えられている設計・機能
GAE の運用における工夫 • 多段カナリアデプロイ • タスクキュー処理サービスのオンラインでの分離
多段カナリアデプロイ
カナリアデプロイ • GAE の機能である Traffic Splitting を使用することにより バージョンごとにトラフィックを任意の割合で振り分ける事が可能 • ゲーム通貨管理サービスでは
新しいバージョンを 1% のトラフィックをカナリアに流すようにしていた 100% 0% 99% 1% 0% 100%
カナリアデプロイの不安要素 • 複合的な条件で起こるバグは検知しにくい。 • トラフィック増加によって発生する問題も検知できない。
多段カナリアデプロイ • 1% => 10% => 50% => 100% でカナリアデプロイを行う。
• 1% ではAPIが正しく機能しているかを調べる • 10% では複合的要因で発生する論理的な問題を発見する • 50% では大規模なトラフィックで発生する問題を調べる
動的に min_instances を設定する • トラフィックの割合を上げる際に 適切な数のインスタンスが立ち上がっている必要がある ◦ 立ち上がっていないと loading request
となりレイテンシが高くなる • トラフィックの割合を上げる前に現在立ち上がっている インスタンス数に応じた min_instances を設定することにより、 予めインスタンスを作成した上で割合をあげる • min_instances は API を通して動的に変更可能 ◦ https://github.com/gcpug/nouhau/issues/56
タスクキュー処理サービスの オンラインでの分離
ログの送信方法 • push タスクキューを使用してログを非同期に BigQuery へ転送 • push キューはそれぞれが 300/sec
の頻度で捌くものを 80 個作成し 合計で 24,000/sec のログの転送を可能にしている • Transactional Task Enqueuing を使用 ◦ Datastore のトランザクションに Task のエンキュー操作を含めることができる ◦ いままで 2700万レコード超をこの機構で送信したが欠損は 0 %! ◦ BigQuery へ Streaming Insert する際にエラーが起こるが push キューであれば自動でリトライしてくれるので、最終的には書き込みが成功する
ログの送信方法 概観図 1. ログ吐き出しを伴う リクエストを処理する
ログの送信方法 概観図 1. ログ吐き出しを伴う リクエストを処理する 2. ログ吐き出し処理を タスクキューへ流し レスポンスを返す
ログの送信方法 概観図 1. ログ吐き出しを伴う リクエストを処理する 2. ログ吐き出し処理を タスクキューへ流し レスポンスを返す 3.
タスクキューが再度リクエスト
ログの送信方法 概観図 1. ログ吐き出しを伴う リクエストを処理する 2. ログ吐き出し処理を タスクキューへ流し レスポンスを返す 3.
タスクキューが再度リクエスト 4. タスクの処理で BigQuery への書き込みをする
タスクキューを処理する サービスが同じことによる問題 • BigQuery への送信という待ちが大きくなるリクエストが ゲームからのリクエストと同じリクエストキューを使用する。 ◦ 不必要にゲームからのリクエストのレイテンシに影響する可能性 • 可観測性の問題
◦ GAE のダッシュボードで確認できる指標 (レイテンシ etc)に ログ送信のタスク処理も含まれてしまう
このようにしたい 1. default サービスが ログ吐き出しを伴う リクエストを処理する
このようにしたい 1. default サービスが ログ吐き出しを伴う リクエストを処理する 2. ログ吐き出し処理を タスクキューへ流し レスポンスを返す
このようにしたい 1. default サービスが ログ吐き出しを伴う リクエストを処理する 2. ログ吐き出し処理を タスクキューへ流し レスポンスを返す
3. タスクキューが Task Handler サービスへ リクエストする
このようにしたい 1. default サービスが ログ吐き出しを伴う リクエストを処理する 2. ログ吐き出し処理を タスクキューへ流し レスポンスを返す
3. タスクキューが Task Handler サービスへ リクエストする 4. Task Handler サービスが BigQuery への書き込みをする
サービスを分割する際の要求 • オンラインで、かつログを欠損させることなくサービスの分割をしたい • カナリアを適用して一定の割合のリクエストは 分割されたサービスを使用するようにしたい。
オンラインでサービスを分割する戦略 1. Task の作成時にタスクを処理するHostを指定する 2. 処理する先をキューに指定する
Task の作成時に タスクを処理するHostを指定する • Task が処理先の Host を持つことになるので、 万が一 Host
を間違えた場合 Task は永遠に滞留する • 復旧する際には滞留した Task から手作業で BigQuery に格納するということが必要になる
Task の作成時に タスクを処理するHostを指定する • Task が処理先の Host を持つことになるので、 万が一 Host
を間違えた場合 Task は永遠に滞留する • 復旧する際には滞留した Task から手作業で BigQuery に格納するということが必要になる 万が一の場合の復旧に工数がかかるためボツ
処理する先をキューに指定する • 滞留した場合でもキューを変更することで処理先を変更することができる ◦ queue.yaml の target はオンラインで変更することが可能 ◦ Task
が滞留した状態で向き先を変更しても破棄されることはない • queue.yaml の分割された 80 個のうちの一つのキューを変えて カナリアデプロイをすることができる 1つだけ新しいサービスに向ける 全て新しいサービスを使用する
まとめ • GAE などの GCP のサーバレスサービスを効果的に使用することによって スケーラブルで高可用性のあるアプリケーションが作成可能です • さらに高可用性を保ったままサービスを提供するために 以下のことを行いました
◦ 多段カナリアデプロイ ◦ オンラインでのサービス分割
ご清聴ありがとうございました