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情報科の「中核的な概念」を段階的に学ぶ指導計画の設計

 情報科の「中核的な概念」を段階的に学ぶ指導計画の設計

JAEIS2025の発表スライドです。

学習指導要領の改訂に向けた諮問では,各教科で「中核的な概念」等を中心とした内容の構造化が求められている.本稿では,情報科を初めて学ぶ高校生が情報科の「中核的な概念」を段階的に学べるよう設計したモデルを提案する.提案モデルでは,記号論を基礎として,先行する基礎情報学・社会システム論などに基づく授業実践の知見を取り入れた上で,情報Iの授業での実施を意識した教材を作成した.

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saireya

July 01, 2025
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  1. 背景 学習指導要領の改訂に向けた諮問(2024/12): 「各教科等の中核的な概念等を中心とした、目標・ 内容の一層分かりやすい構造化」が求められた 石井(2025)による試案: 「中核的な概念・方略(仮称)」 • 中核的な概念: 知識・技能の系列 •

    中核的な方略: 思考力・判断力・表現力の系列 ⇒「大量の内容を一方的に教え込むのではなく、 「真正の課題」を通して、中核的な概念を掘り下げて 質的に深く学ぶ(永続的理解)」 2 (参考) 石井(2025)「次期学習指導要領に向けた内容の重点化・構造化のあり方」 https://www.mext.go.jp/content/20250217-mext_kyoiku01-000040050_05.pdf
  2. アプローチ: どの項目に位置づけるか 「情報I」の単元 項目 1. 情報社会の問題解決 ア. 問題を発見・解決する方法 イ. 情報社会における個人の果たす役割と責任

    ウ. 情報技術が果たす役割と望ましい情報社会の構築 2. コミュニケーションと 情報デザイン ア. メディアの特性とコミュニケーション手段 イ. 情報デザイン ウ. 効果的なコミュニケーション 3. コンピュータと プログラミング ア. コンピュータの仕組み イ. アルゴリズムとプログラミング ウ. モデル化とシミュレーション 4. 情報通信ネットワークと データの活用 ア. 情報通信ネットワークの仕組みと役割 イ. 情報システムとデータの管理 ウ. データの収集・整理・分析 4 (参考) 文部科学省「学習指導要領」(2018) https://www.mext.go.jp/content/20230120-mxt_kyoiku02-100002604_03.pdf
  3. アプローチ: どの項目に位置づけるか 「情報社会の問題解決」の項目アで扱わない理由: • 学習者の負荷を考慮 「情報社会の問題解決」の項目アは「問題」の概 念、問題解決の手順・方法の学習を通して情報I の全体構成の理解を行うため、ここで科目内容に 関する概念を扱うと、学習者の負荷が大きい •

    実施時期を考慮 情報Iを1年生配当とする場合、情報Iは高校での 情報教育全体の導入として位置づけられる。後続 の項目イで扱う著作権・情報モラル・セキュリティ は入学後すぐに扱いたい内容のため、項目アの 内容を精選したい 5
  4. 先行実践 基礎情報学研究会による授業実践: • 基礎情報学・社会システム論に基づく授業 (旧課程の学校設定科目において実施) • 課題: 他の単元より「とても有意義だった(4)」が 少なく、「どちらかといえば有意義ではなかった (2)」が多い

    7 (出典) 藤岡ら(2018)「「情報I」実施を見据えた学際型・教科横断型情報教育の検討と実践」, 京都市立西京高校H29年度SGH研究開発実施報告書, p.75-86. https://www.edu.city.kyoto.jp/hp/saikyo/2017SGH.pdf 0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100% (1)情報セキュリティ (2)知的財産権 (3)情報 (4)コミュニケーション (5)ユニバーサルデザイン (6)メディアリテラシー (7)レポート作成 (8)プレゼンテーション (9)ビジュアルプログラミング (a)Excel(Excel関数,VBA) (b)プログラム自由製作 4 3 2 1
  5. 先行実践の課題に対する考察 • 初学者にとって分かりやすいモデルではない? • 生命情報: 「それによって生物がパターンをつくりだす パターン」 (定義が再帰的、「パターン」とは?) • 機械情報:

    「意味内容が潜在化した社会情報」 (情報は生命の中にしかないのに「潜在化」とは?) • モデルとして誤っているわけではないが、 初学者が理解しやすく説明できるよう単純化が必要 • 他の内容との関連を十分に説明できていない • 「中核的な概念」と他の内容との関係の説明が希薄 • 筆者(2018): モデルの改良提案 • コミュニケーションのモデルに関する図: 「分かりやすいが誤解を招く」(参加者コメント) 8 (参考) 大西(2018)「コミュニケーション/メディア概念と関連付けた情報概念の形式化」, 第11回全国 高等学校情報教育研究会全国大会. https://www.scribd.com/document/385336249
  6. 提案モデル • 記号論をベースに、基礎情報学・社会システム論 などの知見を取り入れたもの • 筆者(2016, 2018)を一部修正 • 初学者である高校生が理解しやすいよう、 定義を整理・モデルを単純化・順序を見直し

    9 (参考) 大西(2018)「コミュニケーション/メディア概念と関連付けた情報概念の形式化」, 第11回全国 高等学校情報教育研究会全国大会. https://www.scribd.com/document/385336249 予稿の節 内容 位置づけ 2.1 科学理論と記号 基礎的な概念 2.2 情報 中核的な概念 2.3 コミュニケーション 2.4 メディア 2.5 デザイン 発展的な概念
  7. 受け手B 送り手A 提案モデルの全体像 10 生命情報 (𝜀, 𝛽) 生命情報 (𝜀, 𝑑𝐵

    (𝑒𝐴 𝛽 )) 1. 情報の選択 2. 表現の選択 4. 理解の受容の選択 次の コミュニケーション 社会情報 (𝑒𝐴 (𝛽), 𝛽) 符号化(encode) 機械情報 (𝑒𝐴 (𝛽), 𝜀) 3. 理解の選択 社会情報 (𝑒𝐴 (𝛽), 𝑑𝐵 (𝑒𝐴 𝛽 )) 復号(decode) 前の コミュニケーション 伝播メディア 成果メディア × (参考) 大西ら(2016)「コミュニケーション・情報・メディアの統合モデルに基づく教育実践」 http://www.scribd.com/doc/299911454
  8. 科学的なモデルの構築 • 「情報の科学的な理解」における「科学的」とは? • モデルの提案にあたり、またモデルを授業で扱う にあたり、科学理論の枠組みを説明する必要 • 科学哲学で扱われる領域 (高校までの教科ではあまり扱われない) •

    Pascal(1728): 「無定義語」と「公理」の必要性を提唱 11 (参考) B.Pascal「幾何学的精神について」(1728, 1844) (『メナール版パスカル全集 第1巻』(1993, 白水社)所収, p.394-400, 417-422) 定義・証明なし 定義・証明あり 概念 無定義語 定義語 命題 公理 定理
  9. 無定義語と公理: 表現と内容・恣意性 • 「情報の科学的な理解」を目指すのだから、 「情報」を無定義語にすることはできない • 記号論における「表現」「内容」を無定義語、 「恣意性」を公理とする • 定義なしだと想起しづらいので、イメージを紹介

    • 表現: 多くの生命が直接に知覚できるもの • 内容: 多くの生命が直接に知覚できないもの • 厳密な定義ではないが、認識を共有できればよい • 恣意性: 表現と内容の対応関係に必然性はない 12 (参考) Saussure『新訳 ソシュール 一般言語学講義』, 研究社(2016) (町田訳) Hjelmslev『言語理論序説』ゆまに書房(1998), p.32-37 (林訳)
  10. 記号の定義 • 記号論の定義に基づき、 「記号」を表現と内容の組と定義 • 後に示す社会情報と同じ概念だが、いきなり「社会情 報」といっても伝わりにくいので、まず「記号」を定義 • 定義はSaussureにより、用語はHjelmslevによる 記号

    ≔ (𝛼, 𝛽) 𝛼: 表現, 𝛽: 内容 • 「情報」だとみなしたいものは、記号だけではない • 「内容」がない「表現」だけのもの: 数値・ビット列などの「データ(data)」 • 「表現」がない「内容」だけのもの: 生命の内部にある信号・記憶など • 記号の定義を拡張することが必要 13 (参考) Hjelmslev『言語理論序説』ゆまに書房(1998), p.32-37 (林訳)
  11. 記号概念の拡張による情報の定義 • 記号の定義を拡張し、 「情報」を表現と内容の組と定義 • ただし、𝛼または𝛽の一方は空列𝜺でもよいとする • 𝜺は「何もない」ことを表すオートマトン理論の記号 • 定義は筆者(2018)により、用語は基礎情報学による

    (類似の定義は先行するものが多数ある) 生命情報 ≔ 𝜀, 𝛽 𝛽: 内容 社会情報 ≔ 𝛼, 𝛽 𝛼: 表現, 𝛽: 内容 機械情報 ≔ 𝛼, 𝜀 𝛼: 表現 14 (参考) 大西(2018)「コミュニケーション/メディア概念と関連付けた情報概念の形式化」, 第11回全国 高等学校情報教育研究会全国大会. https://www.scribd.com/document/385336249
  12. 内容・表現間の写像 • 内容・表現間の写像を定義 • 符号化(encode): 内容に表現を対応づけること 内容𝛽に表現𝛼を対応付けることを𝛼 = 𝑒(𝛽)と表す •

    復号(decode): 表現に内容を対応づけること 表現𝛼に内容𝛽を対応付けることを𝛽 = 𝑑(𝛼)と表す • 変換(convert): 表現に別の表現を対応付けること 表現𝛼に表現𝛼′を対応付けることを𝛼′ = 𝑐(𝛼)と表す • ある符号と別の符号を対応付けることは、 ここでは変換と定義している 符号化𝑒: 内容 ⟶ 表現 復号𝑑: 表現 ⟶ 内容 変換𝑐: 表現 ⟶ 表現 15 (参考) 大西(2018)「コミュニケーション/メディア概念と関連付けた情報概念の形式化」, 第11回全国 高等学校情報教育研究会全国大会. https://www.scribd.com/document/385336249 恣意性がある ので、1:1の 対応がある わけではない
  13. コミュニケーション • 符号化・復号の概念を含むモデルを定義 • Luhmannのモデルの一部を筆者(2018)が変更 • モデルと情報・符号化・復号との対応付けは、 筆者(2018)によるもの • 単純化のため送り手A・受け手B間の流れとして説明

    • 4つの選択からなるモデルとして定義 1. 送り手側: 情報の選択 (𝜀, 𝛽) 2. 送り手側: 表現の選択(符号化) (𝜀, 𝛽) ⟼ (𝑒𝐴 (𝛽), 𝛽) 3. 受け手側: 理解の選択(復号) (𝑒𝐴 𝛽 , 𝜀) ⟼ (𝑒𝐴 (𝛽), 𝑑𝐵 (𝑒𝐴 𝛽 )) 4. 受け手側: 理解の受容の選択 16 (参考) Luhmann(1992)「What is Communication?」, Communication Theory vol. 2 no. 3, pp. 251-259, Blackwell Publishing Ltd, doi:10.1111/j.1468-2885.1992.tb00042.x 恣意性がある ので、1:1の 対応がある わけではない
  14. 受け手B 送り手A コミュニケーション: モデルの(疑似)シーケンス図 17 (参考) 大西ら(2016)「コミュニケーション・情報・メディアの統合モデルに基づく教育実践」 http://www.scribd.com/doc/299911454 生命情報 (𝜀,

    𝛽) 生命情報 (𝜀, 𝑑𝐵 (𝑒𝐴 𝛽 )) 1. 情報の選択 2. 表現の選択 3. 理解の選択 4. 理解の受容の選択 次のコミュニケーションに継続 or コミュニケーションが断絶 社会情報 (𝑒𝐴 (𝛽), 𝛽) 符号化(encode) 社会情報 (𝑒𝐴 (𝛽), 𝑑𝐵 (𝑒𝐴 𝛽 )) 復号(decode)
  15. コミュニケーションの媒介としてのメディア • コミュニケーションにおいて情報を媒介するものと メディアを定義し、媒介する情報の別により分類 • 伝播メディア: 機械情報を物理的に媒介 • 成果メディア: 社会情報を論理的に媒介

    • (生命情報を媒介するメディア: 存在しない) • 定義はLuhmannにより、 基礎情報学との対応付けは西垣(2012)による 18 (参考)西垣(2012)『生命と機械をつなぐ知――基礎情報学入門』(高陵社書店), p.108-109 ISBN:4771109958
  16. 受け手B 送り手A (再掲) 提案モデルの全体像 19 生命情報 (𝜀, 𝛽) 生命情報 (𝜀,

    𝑑𝐵 (𝑒𝐴 𝛽 )) 1. 情報の選択 2. 表現の選択 4. 理解の受容の選択 次の コミュニケーション 社会情報 (𝑒𝐴 (𝛽), 𝛽) 符号化(encode) 機械情報 (𝑒𝐴 (𝛽), 𝜀) 3. 理解の選択 社会情報 (𝑒𝐴 (𝛽), 𝑑𝐵 (𝑒𝐴 𝛽 )) 復号(decode) 前の コミュニケーション 伝播メディア 成果メディア × (参考) 大西ら(2016)「コミュニケーション・情報・メディアの統合モデルに基づく教育実践」 http://www.scribd.com/doc/299911454
  17. コミュニケーションの意図とデザイン • 発展的な概念として、情報デザインの導入として、 デザインに関する内容を配置 • メディアは事物をありのままに媒介することはできない 性質があるからデザインが必要、という流れで導入 • デザインに関する典型的な事項 •

    デザインの定義 (Ralph&Wandの定義、Randの定義) • デザインとアートの違い • 送り手の意図の重要性 (Luhmann) • 介入: 意図した行動を起こさせるためのコミュニケーション (Luhmann) • 「形態は機能に従う(Form follows function)」(Sullivan) • アフォーダンスとシグニファイア (Gibson, Norman) • デザインの具体例を提示 20
  18. アフォーダンスとシグニファイア • アフォーダンス(affordance): 人間とモノの間にある「◦◦できる」という関係 • シグニファイア(signifier): ※フランス語でsignifiant アフォーダンスがあることを人間に示すもの 21 表現

    内容 (参考) J.Gibson(1986)『生態学的視覚論』サイエンス社(古崎訳), p.137-138 D.Norman(2013)『The Design of Everyday Things: Revised and Expanded Edition』 + - × ÷ Affordance 人間(user)が 電卓で各種の 計算を行える、 という関係 Signifier それぞれの 計算を行える ことを示すもの (interface)
  19. 評価: 教育実践 • 前述の提案モデルに基づき教材を開発 • 使用した教材はWebで公開 https://info-programming.github.io/concept/ • 時間の都合上、本日は紹介を割愛 (8月の全高情研分科会で詳しく紹介)

    • 開発した教材を用い、50分×5回の講座を試行 • 対象者: 地方私立大学の学部1・2年生 • 自由参加で、各回3名の学生が参加 (ただし、回により参加学生が異なる) 22 (参考) 大西「ミニ講座「情報学の基礎概念」」(2025) https://info-programming.github.io/concept/ 4/23(水) 5/7(水) 5/21(水) 6/9(月) 6/23(月) 科学理論 と記号 情報 コミュニ ケーション メディア デザイン 予稿2.1 予稿2.2 予稿2.3 予稿2.4 予稿2.5
  20. 評価: 講座参加者を対象として実施した調査 • アンケート • 各回の講座の終了後に参加者に対して実施 • 5回とも3名の回答が得られた (回収率:100%) •

    項目: 講座の内容全般、講座で扱った概念・用語 • インタビュー (実施予定) • 最終の第5回に参加した3名の学生を対象とする (3名とも、3回以上の講座に参加) • 項目: 高校での学習内容、講座の感想 • 回答者の基本情報 • 学年: 1年生2名、2年生1名 • 1年生は「情報I」、2年生は「情報の科学」を履修 23
  21. アンケート調査: 講座の内容全般について 「0:あてはまらない」から「3:あてはまる」の4段階の 回答結果を合計 (上限: 5回 × 3名 × 3点

    = 45点) 24 9 2 9 9 7 8 9 4 9 9 7 9 8 6 9 9 9 9 9 2 9 9 8 9 6 1 9 9 8 8 0 9 18 27 36 45 分かりやすかった 既に知っている 事柄が多かった 今後の 役に立ちそうだ 身近で 応用できそうだ 多くの人に 価値がありそうだ 一般的な現象を 広く説明できそうだ 第1回 第2回 第3回 第4回 第5回
  22. アンケート調査: 講座で扱った概念・用語について 「理解できた」「具体的な例を示す」「他者に説明で きる」の3観点で、0~3の4段階の回答結果を合計 (上限: 3観点 × 3名 × 3点

    = 27点) 25 9 8 9 9 9 9 8 8 8 8 9 9 9 9 8 9 9 9 9 9 9 9 9 9 9 9 6 5 9 9 9 9 7 8 8 8 8 8 8 8 7 8 8 8 8 8 8 8 9 8 9 9 5 5 7 7 8 8 8 8 8 8 8 8 8 8 7 8 8 8 8 8 8 8 9 7 9 9 0 9 18 27 無 定 義 語 公 理 表 現 内 容 記 号 恣 意 性 情 報 生 命 情 報 社 会 情 報 機 械 情 報 符 号 化 復 号 変 換 可 逆 性 情 報 の 選 択 表 現 の 選 択 理 解 の 選 択 理 解 の 受 容 の 選 択 メ デ ィ ア 伝 播 メ デ ィ ア 成 果 メ デ ィ ア 現 実 イ メ ー ジ デ ザ イ ン 介 入 ア フ ォ ー ダ ン ス シ グ ニ フ ァ イ ア 理解 例示 説明 第1回 第2回 第3回 第4回 第5回
  23. 結論 • 情報科における「中核的な概念」として情報・コ ミュニケーション・メディアを想定し、これらを体系 的に学習するためのモデルを構築 • 上記の概念を授業で学ぶために、これらを段階 的に学べる教材を作成 • 大学生を対象とする自由参加型の講座を行い、

    アンケート評価を実施し、一定の評価を得た 今後の課題: • インタビュー調査の実施、より大規模な調査 参考文献: • 大西「情報学基礎 補助資料」 https://info-programming.github.io/informatics/ 26 (画像素材の出典) acspike「male user icon」https://openclipart.org/detail/4749 dagobert83「female user icon」https://openclipart.org/detail/1646 みふねたかし「いらすとや」https://www.irasutoya.com