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アンケート調査の基礎

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November 07, 2024

 アンケート調査の基礎

アンケート調査の基礎についてのスライドです。

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saireya

November 07, 2024
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  1. (参考) 自己紹介: 大西 洋(Ohnishi Hiroshi) 専修免許状(情報)・一種免許状(数学) 所持 学位: 修士(情報学)@京大情報学研究科 (2015)

    2 (参考) Researchmap https://researchmap.jp/h.ohnishi 所属 職位 業務内容 2014-2020 京都市立西京高校 非常勤講師(27H) 情報科・総合的な探究の時間 教育推進部(SGH事業) 2019-2020 大阪府立東百舌鳥高校 非常勤講師 情報科 2020-2021 京都市立京都堀川音楽高校 非常勤講師(27H) 情報科・数学科 学事情報部・生徒部・教務部 2021-2024 関西大学 教育推進部 非常勤嘱託職員 文章に関する個別相談担当・運営 2024-現在 ノートルダム清心女子大学 専任講師 情報デザイン学部の授業科目 情報科の教職課程担当 など 現在 河合塾にて共通テスト対策講座「情報I」への助言 など 2020-現在 京都大学にて教職科目「情報科教育法II」のゲスト講師を担当 2024 『マーク式基礎問題集 情報I』(河合出版・共著)を執筆・刊行
  2. アンケートを実施する流れ 7 (参考) 甲南大学「社会調査工房オンライン 1.アンケート法」(2023/10時点) http://kccn.konan-u.ac.jp/sociology/research/01/frame.html 企画 • テーマ・調査目的の確定、仮説の設定・調査項目の決定 •

    調査対象・抽出方法・調査方法・スケジュールなどの決定 設計 • 質問紙を作成 (質問文・選択肢・回答方法) 実施 • サンプリング、依頼文・挨拶状の作成、必要物の用意 • 調査の実施・質問紙の回収 分析 • 質問紙のチェック・データ入力 • 単純集計・データ分析 報告 • 調査概要の明記 • 調査目的に即して分析を取りまとめ・発表(レポート・報告書・プレゼンテーション)
  3. 2. 調査の設計: 質問文の文言 × 問題がある質問文の例: • 質問文が長い ➢ 「近年における先進国の共通の課題として少子高齢 化が挙げられ、マスメディアでも多くの報道がなされ、

    現在では日本でも内閣の基本方針として少子高齢化 の解決のための施策が重点項目となっていることが 国民に支持され、食事では好き嫌いをしないことが大 事だとされますが、あなたはピーマンを食べられます か?」 11
  4. 2. 調査の設計: 質問文の文言 × 問題がある質問文の例: • 複数の事柄を問う(ダブルバーレル質問) ➢ 「電話やメールやモールス信号で友達や家族と通信 するのは好きで得意ですか?」

    • 誘導がある(威光暗示効果・ハロー効果) ➢ 「多くの専門家がネコの癒し効果について綿密に調 査し、癒し効果があることを解明しましたが、あなたは ほんの少しでもネコに癒し効果があると思います か?」 12
  5. 2. 調査の設計: 回答方法 • 選択法(複数回答) 選択肢の中からいくつか選んで答える Q. あなたが好きな動物は何ですか? □ いぬ

    ねこ さい □ うし • いくつでも回答できるので回答しやすい • 選択肢の順位付けが不明で分析しにくい 13
  6. 2. 調査の設計: 回答方法 • 選択法(単一回答) 選択肢の中から1つだけ選んで答える Q. あなたが最も好きな動物は何ですか? ◦ いぬ

    ◉ ねこ ◦ さい ◦ うし • 回答が1つに定まるので分析しやすい • 回答が1つに絞りきれないと回答しにくい 14
  7. 2. 調査の設計: 回答方法 • 順位法 選択肢のそれぞれの順位を答える Q. 好きな順に順位を書いてください。 [ 4

    ] いぬ [ 1 ] ねこ [ 2 ] さい [ 3 ] うし • 順位が1つに定まるので分析しやすい • 明確な順位が定まらないと回答しにくい 15
  8. 2. 調査の設計: 回答方法 • 一対比較法 選択肢を対にして比較した結果を答える Q. あなたが好きな動物はどちらですか? (いぬ・ねこ) (いぬ・さい)

    (いぬ・うし) (ねこ・さい) (ねこ・うし) (さい・うし) • 2つを比べるだけなので回答しやすい • 結果に矛盾が生じうるので分析しにくい 16
  9. 2. 調査の設計: 選択肢の数(𝑛件法) Q. あなたはウナギ派ですか? それともアナゴ派ですか? 選択肢: ◦ ウナギ派である ◦

    どちらかといえばウナギ派である ◦ どちらともいえない ◦ どちらかといえばアナゴ派である ◦ アナゴ派である 18
  10. 2. 調査の設計: 選択肢の数(𝑛件法) Q. あなたはナメコ派ですか? それともシメジ派ですか? 選択肢: ◦ ナメコ派である ◦

    どちらかといえばナメコ派である ◦ どちらかといえばシメジ派である ◦ シメジ派である 19
  11. 2. 調査の設計: 選択肢の数(𝑛件法) • 選択肢の個数を偶数にする(4件法・6件法) ⇒ 中間選択肢がなくなる ⇒ 回答者が必ずどちらかの立場になる ⇒

    明瞭な結果になりやすくなる • 選択肢の個数を奇数にする(3件法・5件法) ⇒ 中間選択肢が設けられる ⇒ 中立の回答者が答えやすくなる ⇒ 不明瞭な結果になりやすくなる 20
  12. 2. 調査の設計: 中間選択肢の選択理由 中間選択肢の選択理由は「中立」以外にもある • 回答不能や無回答 • 「わからない」「答えたくない」「答えにくい」 「関心が無い」「条件によって異なる」 …などがありうる

    • 満足化原理 • 回答が難しい・億劫である場合に 回答者が満足するための逃げ道 • 回答の際の目安 • 中間カテゴリを選ぶことは簡便な選択 • どの回答カテゴリを選ぶかを判断する際の 原点や基準になる 21 (参考) 増田・坂上, 調査の回答における中間選択――原因,影響とその対策, 2014, 心理学評論, Vol.57, No.4, p.472-494
  13. 2. 調査の設計: 選択肢の文言 リッカート尺度: 文の内容への同意の程度を、 5段階程度でラベル付けした選択肢として提示する • Strongly Approve (5)

    • Approve (4) • Undecided (3) • Disapprove (2) • Strongly Disapprove (1) ※順序尺度であり間隔尺度ではない 22 (参考) R. Likert, A Technique for the Measurement of Attitudes, 1932, Archives of psychology, No.140, p.1-55
  14. 2. 調査の設計: 選択肢の文言 23 (参考) 脇田, Likert法における回答選択枝のレイアウトが選択枝間の心理的距離に与える影響, 2012, 関西大学社会学部紀要, Vol.43,

    No.2, p.135-144. Likert(1932) 例1 例2 例3 例4 5 Strongly Approve 同意する とても そう思う そう思う 同意する or そう思う 4 Approve どちらかといえ ば同意する そう思う やや そう思う (ラベルなし) 3 Undecided どちらとも いえない どちらとも いえない どちらとも いえない (ラベルなし) 2 Disapprove どちらかといえ ば同意しない そう思わない あまり そう思わない (ラベルなし) 1 Strongly Disapprove 同意しない 全く そう思わない そう思わない 同意しない or そう思わない 特 徴 文言が対称になっている (5~4と1~2の間隔がほぼ同じ) 文言が非対称になっている 間隔が ほぼ均等 文言の選び方で回答者の回答が変化したり、 分析の妥当性が変化したりする可能性がある
  15. 2. 調査の設計: 尺度水準 24 (参考) S.S.Stevens, On the Theory of

    Scales of Measure, 1946, Science, Vol.103, No.2684, p.677-680, doi:10.1126/science.103.2684.677. 尺度水準 可能な 演算 計算可能 な統計量 特徴 例 質的 データ qualitative data 名義 尺度 nominal scale = 最頻値 各項目を区別できる 背番号 電話番号 ダミー変数 順序 尺度 ordinal scale <, > 最大値 四分位数 項目間に順序が存在する 順位 等級 硬度 量的 データ quantitative data 間隔 尺度 interval scale +, − 平均 分散 項目間の差に意味がある 日付 摂氏温度 比例 尺度 ratio scale ×,÷ 変動係数 項目間の比に意味がある 絶対的なゼロが存在する 質量 長さ 絶対温度
  16. 2. 調査の設計: 内容面での注意事項 • 個人情報は、特に必要がない限り直接尋ねない • 氏名・住所・メールアドレス・SNSのアカウント名など • 集めてしまうと、データを管理する責任が大きくなる •

    基本的に、年齢・性別・自治体くらいで十分なはず • 性別の選択肢は「男性」「女性」だけにしない • 性の多様性に配慮し、「その他・答えない」のような 選択肢を設けておく • 必要がなければ尋ねなくてもよいが、実際に アンケートを行うときには収集・分析したいことが多い • その他、倫理面に配慮する (後で扱います) 26
  17. 3. 調査の実施: 実施前に必要な手順 1. 質問紙に問題がないか確認する ➢ 自分で確認 ➢ 教員などに確認してもらう ➢

    数名に対して予備調査を実施する (予備調査の終了後に、回答に困る質問や 気になったことがないか尋ねる) ⇒ 修正すべき点が見つかれば修正 ※見切り発車で行った調査が不十分な場合は、再調査が必要 2. 調査場所・調査対象についての許可を得る ➢ 路上・駅前 (警察の許可が必要) ➢ 駅構内・商業施設などの私有地 (所有者の許可が必要) ➢ 教室 (担任や学年主任の許可が必要) • 休憩時間に広報を行う場合も同様 • 探究活動で活動場所が分かれているときに行う場合、 その教室を担当する教員の許可が必要 ※実施直前ではなく1週間以上の余裕を持って依頼する ※依頼時には広報内容の説明や質問紙の提出も必要になる 28
  18. 3. 調査の実施: 対象のサンプリング • 全数調査 • 対象の集団の全員に調査を実施する • 理想的だが現実的でないことが多い •

    標本調査 • 対象の集団から標本(sample)を抽出(sampling)し、 標本となった人に調査を実施する • 標本の抽出は偏りが生じにくい方法で行う • 無作為抽出(random sampling): 完全にランダムに標本を選ぶ 29
  19. Q. 次の調査手法は適切でしょうか? 1. 幅広い回答が集まるよう、SNSアカウントに回答 を依頼する文章とWebフォームのURLを投稿し た。 2. 真剣に調査に取り組んだ回答を集めるため、同 学年の親しい友人に回答を依頼した。 3.

    多くの回答が集まるよう、回答者にギフトカード を渡すことを伝えて回答を募った。 31 回答者が「あなたのフォロワー」に偏るのでは? 回答者があなたの意図を忖度するのでは? 回答者が報酬目的で適当に答えるのでは?
  20. Work: Googleフォームの作成画面を開く Googleフォームの作成画面を開いてみましょう 手順: 1. Safariを開いてGoogleにアクセス 2. 右上の「 」→「フォーム」をタップ 3.

    左上の「新しいフォームを作成」 →「空白のフォーム」をタップ この後、画面構成の説明を行います。 実際のフォーム作成は次の時間に 行います。 32
  21. 倫理的配慮: Neumanによる指針 • 調査協力者に、不必要あるいは回復不可能な 危害を与えない • 可能なときには、調査に先立って 参加への自発的な同意を得る ⇒ インフォームド・コンセント

    (十分に情報を示された(informed) 上での合意(consent)) • 不必要に、協力者の自尊心を傷つけたり、 品位を貶めたり、有害な情報を公表したりしない 42 (参考) 南,社会調査における倫理問題とフィールド調査 : 協力拒否と結果の代表性, 2003, コミュニケーション紀要, Vol.16, p.1-28, https://seijo.repo.nii.ac.jp/records/316
  22. (参考) 社会調査協会倫理規程 一般社団法人社会調査協会は、定款第4条に基づき、会員が社会調査 の全過程において遵守すべき倫理規程を定める。 会員は、質の高い社会調査の普及と発展のために、本規程を十分に認 識して遵守し、調査対象者および社会の信頼に応えなければならない。ま た社会調査について教育・指導する際には、本規程にもとづいて、社会調 査における倫理的な問題について十分配慮し、調査員や学習者に注意を 促さなければならない。 社会調査の実施にあたっては、調査者の社会的責任と倫理、対象者の

    人権の尊重やプライバシーの保護、被りうる不利益への十二分な配慮な どの基本的原則を忘れては、対象者の信頼および社会的理解を得ること はできない。調査対象者の協力があってはじめて社会調査が成立するこ とを自覚し、調査対象者の立場を尊重しなければならない。会員は、研究 の目的や手法、その必要性、起こりうる社会的影響について自覚的でなけ ればならない。 本規程は、社会調査協会会員に対し、社会調査の企画から実施、成果の 発表に至る全過程において、社会調査の教育において、倫理的な問題へ の自覚を強く促すものである。 43 (参考) 社会調査協会「倫理規程」 (2023/10時点) https://jasr.or.jp/chairman/ethics/
  23. (参考) 社会調査協会倫理規程 第1条 社会調査は、常に科学的な手続きにのっとり、客観的に実施され なければならない。会員は、絶えず調査技術や作業の水準の向上に努め なければならない。 第2条 社会調査は、実施する国々の国内法規及び国際的諸法規を遵守 して実施されなければならない。会員は、故意、不注意にかかわらず社会 調査に対する社会の信頼を損なうようないかなる行為もしてはならない。

    第3条 調査対象者の協力は、法令が定める場合を除き、自由意志による ものでなければならない。会員は、調査対象者に協力を求める際、この点 について誤解を招くようなことがあってはならない。 第4条 会員は、調査対象者から求められた場合、調査データの提供先と 使用目的を知らせなければならない。会員は、当初の調査目的の趣旨に 合致した2次分析や社会調査のアーカイブ・データとして利用される場合 および教育研究機関で教育的な目的で利用される場合を除いて、調査 データが当該社会調査以外の目的には使用されないことを保証しなけれ ばならない。 第5条 会員は、調査対象者のプライバシーの保護を最大限尊重し、調査 対象者との信頼関係の構築・維持に努めなければならない。社会調査に 協力したことによって調査対象者が苦痛や不利益を被ることがないよう、 適切な予防策を講じなければならない。 44 (参考) 社会調査協会「倫理規程」 (2023/10時点) https://jasr.or.jp/chairman/ethics/
  24. (参考) 社会調査協会倫理規程 第6条 会員は、調査対象者をその性別・年齢・出自・人種・エスニシティ・ 障害の有無などによって差別的に取り扱ってはならない。調査票や報告書 などに差別的な表現が含まれないよう注意しなければならない。会員は、 調査の過程において、調査対象者および調査員を不快にするような発言 や行動がなされないよう十分配慮しなければならない。 第7条 調査対象者が年少者である場合には、会員は特にその人権につ

    いて配慮しなければならない。調査対象者が満15歳以下である場合には、 まず保護者もしくは学校長などの責任ある成人の承諾を得なければなら ない。 第8条 会員は、記録機材を用いる場合には、原則として調査対象者に調 査の前または後に、調査の目的および記録機材を使用することを知らせ なければならない。調査対象者から要請があった場合には、当該部分の 記録を破棄または削除しなければならない。 第9条 会員は、調査記録を安全に管理しなければならない。とくに調査票 原票・標本リスト・記録媒体は厳重に管理しなければならない。 第10条 本規程の改廃は、一般社団法人社会調査協会社員総会の議を 経ることを要する。 45 (参考) 社会調査協会「倫理規程」 (2023/10時点) https://jasr.or.jp/chairman/ethics/
  25. 7時間目の流れ 1. 最初の15分程度で、Googleフォームを使って 各自で1つアンケートを作成する (質問数、質問内容、回答形式はお任せします) 2. 作成したWebフォームのURLをAirDrop・メール などで他の生徒に送り、数分で回答してもらう 3. 回答した生徒に、回答に困った質問はないか、

    不親切な点はないか、などの意見を尋ねる (アンケートの最後に記述式で尋ねてもよい) 4. 意見を踏まえてフォームを修正し、 別の生徒に回答してもらう(2~4を繰り返す) 5. 回答がいくつか集まったら、回答を締め切り、 結果分析画面で集計結果を確認する 46