Upgrade to Pro
— share decks privately, control downloads, hide ads and more …
Speaker Deck
Features
Speaker Deck
PRO
Sign in
Sign up for free
Search
Search
会社員しながら本を書いてきた知見の共有
Search
Satoru Takeuchi
PRO
May 29, 2025
Technology
3
790
会社員しながら本を書いてきた知見の共有
以下動画のテキストです
https://youtu.be/K7X4q3TuvyU
Satoru Takeuchi
PRO
May 29, 2025
Tweet
Share
More Decks by Satoru Takeuchi
See All by Satoru Takeuchi
Rook: Intro and Deep Dive With Ceph
sat
PRO
1
110
デバイスにアクセスするデバイスファイル
sat
PRO
1
38
ファイルシステムのデータを ブロックデバイスへの操作で変更
sat
PRO
1
32
デバイスドライバ
sat
PRO
0
49
マルチスレッドの実現方法 ~カーネルスレッドとユーザスレッド~
sat
PRO
2
120
共有メモリ
sat
PRO
3
70
マルチスレッドプログラム
sat
PRO
3
59
Linuxのブートプロセス initramfs編
sat
PRO
2
88
Linuxのブートプロセス
sat
PRO
6
190
Other Decks in Technology
See All in Technology
生成AI時代の開発組織・技術・プロセス 〜 ログラスの挑戦と考察 〜
itohiro73
1
460
Enhancing SaaS Product Reliability and Release Velocity through Optimized Testing Approach
ropqa
1
220
SEQUENCE object comparison - db tech showcase 2025 LT2
nori_shinoda
0
110
怖くない!はじめてのClaude Code
shinya337
0
390
成長し続けるアプリのためのテストと設計の関係、そして意思決定の記録。
sansantech
PRO
0
120
MUITにおける開発プロセスモダナイズの取り組みと開発生産性可視化の取り組みについて / Modernize the Development Process and Visualize Development Productivity at MUIT
muit
1
16k
高速なプロダクト開発を実現、創業期から掲げるエンタープライズアーキテクチャ
kawauso
2
9.1k
LangSmith×Webhook連携で実現するプロンプトドリブンCI/CD
sergicalsix
1
230
SaaS型なのに自由度の高い本格CMSでサイト構築と運用のコスパ&タイパUP! MovableType.net の便利機能とユーザー事例のご紹介
masakah
0
110
Claude Code に プロジェクト管理やらせたみた
unson
6
3.8k
Connect 100+を支える技術
kanyamaguc
0
200
Lufthansa ®️ USA Contact Numbers: Complete 2025 Support Guide
lufthanahelpsupport
0
180
Featured
See All Featured
Refactoring Trust on Your Teams (GOTO; Chicago 2020)
rmw
34
3.1k
Making the Leap to Tech Lead
cromwellryan
134
9.4k
Large-scale JavaScript Application Architecture
addyosmani
512
110k
Evolution of real-time – Irina Nazarova, EuRuKo, 2024
irinanazarova
8
820
How to Create Impact in a Changing Tech Landscape [PerfNow 2023]
tammyeverts
53
2.9k
Creating an realtime collaboration tool: Agile Flush - .NET Oxford
marcduiker
30
2.1k
Art, The Web, and Tiny UX
lynnandtonic
299
21k
The Art of Delivering Value - GDevCon NA Keynote
reverentgeek
15
1.5k
Building Better People: How to give real-time feedback that sticks.
wjessup
367
19k
Rebuilding a faster, lazier Slack
samanthasiow
82
9.1k
Code Reviewing Like a Champion
maltzj
524
40k
Code Review Best Practice
trishagee
69
18k
Transcript
会社員しながら 本を書いてきた知見の共有 Mar. 29th, 2025 Satoru Takeuchi X: satoru_takeuchi 1
はじめに • 背景 ◦ 私は今の会社に入ってから 7年間で、副業として13冊の本を書いてきた ▪ 市販本(書店に並ぶような本 ): 5冊
▪ 同人技術書: 8冊 ◦ 本を書いてみたいという人がそれなりにいることを知った ◦ そこから本を書くようになった人も見てきた • はなすこと ◦ 本を書きたいと思った時から現在までの経験談 ◦ 本を書いたことがない &これから書いてみたいと思っている人向けのアドバイス • 前提 ◦ 会社で副業は許可されているものとする 2
経験談 3
なぜ本を書くようになったか 1. 15年ほど前から本を書きたいと思っていた a. 「Linuxカーネルを専門家以外にわかりやすく説明できないだろうか」 2. たまたまフリーの編集者のかた(Aさんとする)と知り合いだった 3. Aさんに頼んで出版社に繋いでもらって企画を通して市販本を書くことになった 4.
当時無職だったので、気合を入れて2ヶ月くらいでガッと一気に書けた 5. 2018年無事出版: 技術評論社の「Linuxのしくみ」 a. 今は増補改訂版が出ています 6. この後、数か月後に今の会社に入社 a. 書籍の執筆がきっかけになったわけではない 4
会社員になった後 • 1冊目がそこそこ売れたので、それが名刺代わりになって、色々な出版社から声が かかるようになった • Kさんに同人技術書も書いてみないかと誘われた • 無職と会社員はわけが違うので「どうすればいいんだろう」となる ◦ 会社から貰っている給料ぶんの仕事をする責任がある
◦ 一日中精魂尽き果てるまで書き続けるということはできない ◦ 会社の仕事と執筆を両立できるのか …? 5
決して無理をしないようにモードを切り替えた • 「疲れたら」ではなく「疲れていそう」とわかったら中断 • 気が乗らなければ中断 ◦ 執筆の天使が降りてくるのを待つしかない。書けないものは書けない • 無理すると自分の健康も損なうし、会社員としての責務を果たせない ◦
そうなったら本末転倒 6
うまく執筆サイクルが回せている理由 • 物書きをしているとリラックスできる性格(性質?)である ◦ ハッカーが一日中コード書いてるようなもの ◦ しんどいとそうでもないので「心身の疲労を感じない状態」を保つのが重要 • 市販本 ◦
「凄く書きたい!」という強い意志があるものしか書かない ◦ 数百ページ書くのは長期戦なので、情熱を持続させ続ける必要がある • 同人誌は「誰かの役に立つかも」くらいの気持ちで書いたものがある程度溜まれば 本にするというやりかたを貫いている • 「書かなければならない」という義務感を持たない • 執筆業は締め切りが比較的融通が利く(あくまで比較的) ◦ 会社員としての仕事と執筆業、両方にハードデッドラインがあったら倒れていただろう 7
本を書いてよかったこと • 市販本は書店に並ぶので感動する • 技術同人誌をオフラインイベントで売るとダイレクトに反応が得られて良い • フィードバックがうれしい ◦ 良いものも悪いものも嬉しい ◦
自分の作品を読んでくれただけで嬉しい • 💰おかねがもらえます(額は売れ行きによる)💰 8
本を書きたい人へのアドバイス 9
市販本を出したいんだが、どうすれば? • 出版社は常に書ける人を求めているらしい ◦ 誰が本を書きたいのか、書き切れるのかはわからないので、「既に書いた人」「既に書いた人が紹 介した人」は需要がある • 持ち込み窓口を設けているところもある ◦ e.g.
技術評論社 https://gihyo.jp/site/inquiry/manuscript ◦ 原稿を全部書き上げてから持ち込む猛者もいるらしい • 既に本を書いたことがある知り合いがいれば、コンタクトをとってみるといいかもし れない 10
同人技術書を出したいが、どうすれば? • オンライン、オフライン問わずプラットフォームは沢山あるので好きなのを選べばよ い ◦ e.g. BOOTH, Kindle Direct Publishing,
技書博、コミケ ◦ 経験者に聞いてみるとよいだろう • 物理イベントに一度参加してみることをお勧めする ◦ 会場の熱気がすごくてパワーをもらえる ◦ どういうものが同人技術書として成立するのか感覚が掴めるかも • 📝 本スライドを書いた2025/5/29の3日後、2025/6/1に丁度技術書典18のオフライ ンイベントがあります ◦ https://techbookfest.org/event/tbf18 11
進め方のいい案は? • キャッチーかつ数百ページ書けそうな、かつ、具体的な大ネタがある ◦ 最初から市販本を狙う ◦ 大変そうなら一部書いて同人技術書にする • それ以外 1.
blogなどで何らかのものを好きなときに投稿する ▪ ちょっとしたことでいい。やらなければ始まらない ▪ 「こんなことでも?」というものでも需要があったりしてびっくりする 2. ネタが溜まってきたら同人技術書にする 3. そのうちどっかの出版社から声がかかって市販本を書くことになるかもしれない ▪ そういうルートで本を書くようになった人を何人も知っている ▪ 「自分が書きたいもの」と「市場で受け入れられそうなもの」は一致するとは限らないので「必 ずできる」なんてことは言えない 12
とくに書きたいものがないんだが? • ネタが無ければ無理して書かなくていい • 執筆は人生の中のたくさんある選択肢の一つにすぎない 13
まとめ • 情熱駆動で書くとよい • 市販本はかなりの熱量と時間が必要 • 技術同人誌については一度物理イベントに行ってみるとよい • 無理せず健康第一 14