Upgrade to Pro
— share decks privately, control downloads, hide ads and more …
Speaker Deck
Features
Speaker Deck
PRO
Sign in
Sign up for free
Search
Search
ページキャッシュの概念
Search
Satoru Takeuchi
PRO
November 01, 2020
Technology
0
240
ページキャッシュの概念
以下動画のテキストです
https://youtu.be/x15iXjCeJaY
Satoru Takeuchi
PRO
November 01, 2020
Tweet
Share
More Decks by Satoru Takeuchi
See All by Satoru Takeuchi
Rook: Intro and Deep Dive With Ceph
sat
PRO
1
110
会社員しながら本を書いてきた知見の共有
sat
PRO
3
790
デバイスにアクセスするデバイスファイル
sat
PRO
1
38
ファイルシステムのデータを ブロックデバイスへの操作で変更
sat
PRO
1
32
デバイスドライバ
sat
PRO
0
49
マルチスレッドの実現方法 ~カーネルスレッドとユーザスレッド~
sat
PRO
2
120
共有メモリ
sat
PRO
3
71
マルチスレッドプログラム
sat
PRO
3
59
Linuxのブートプロセス initramfs編
sat
PRO
2
88
Other Decks in Technology
See All in Technology
KubeCon + CloudNativeCon Japan 2025 Recap Opening & Choose Your Own Adventureシリーズまとめ
mmmatsuda
0
280
How Do I Contact HP Printer Support? [Full 2025 Guide for U.S. Businesses]
harrry1211
0
120
OSSのSNSツール「Misskey」をさわってみよう(右下ワイプで私のOSCの20年を振り返ります) / 20250705-osc2025-do
akkiesoft
0
170
Glacierだからってコストあきらめてない? / JAWS Meet Glacier Cost
taishin
1
160
Sansanのデータプロダクトマネジメントのアプローチ
sansantech
PRO
0
160
PO初心者が考えた ”POらしさ”
nb_rady
0
210
生成AI活用の組織格差を解消する 〜ビジネス職のCursor導入が開発効率に与えた好循環〜 / Closing the Organizational Gap in AI Adoption
upamune
7
5.3k
DatabricksにOLTPデータベース『Lakebase』がやってきた!
inoutk
0
110
IPA&AWSダブル全冠が明かす、人生を変えた勉強法のすべて
iwamot
PRO
2
150
Zero Data Loss Autonomous Recovery Service サービス概要
oracle4engineer
PRO
2
7.8k
生まれ変わった AWS Security Hub (Preview) を紹介 #reInforce_osaka / reInforce New Security Hub
masahirokawahara
0
470
改めてAWS WAFを振り返る~業務で使うためのポイント~
masakiokuda
2
260
Featured
See All Featured
The Illustrated Children's Guide to Kubernetes
chrisshort
48
50k
The Psychology of Web Performance [Beyond Tellerrand 2023]
tammyeverts
48
2.9k
Six Lessons from altMBA
skipperchong
28
3.9k
RailsConf 2023
tenderlove
30
1.1k
Art, The Web, and Tiny UX
lynnandtonic
299
21k
Intergalactic Javascript Robots from Outer Space
tanoku
271
27k
Building a Modern Day E-commerce SEO Strategy
aleyda
42
7.4k
Bash Introduction
62gerente
613
210k
CSS Pre-Processors: Stylus, Less & Sass
bermonpainter
357
30k
Building a Scalable Design System with Sketch
lauravandoore
462
33k
The Language of Interfaces
destraynor
158
25k
A better future with KSS
kneath
238
17k
Transcript
ページキャッシュの概念 Oct 31th, 2020 Satoru Takeuchi Twitter: satoru_takeuchi, EnSatoru 1
ページキャッシュ概要 • 課題 ◦ ストレージデバイスへのアクセスはメモリアクセスに比べて非常に遅い ▪ NVMe SSDへのランダムアクセス : 100倍以上遅い
▪ HDDへのランダムアクセス : 一万倍以上遅い ◦ システム全体の性能はストレージアクセスがボトルネックになる • 解決方法 ◦ ページキャッシュ: ストレージ上のデータを一時的にメモリ上に置いておく機能 ◦ ストレージデバイスへの見かけ上のアクセス速度をメモリアクセス速度と同等にする 2
ストレージからの読み出し • 次のような二段階の読み出しをする 1. 一旦ページキャッシュという領域に読み出す 2. プロセスのメモリに読み出す • 以下ファイルAの先頭から4KiB読み出す例 3
メモリ プロセスのメモリ XXXX ページキャッシュ ファイルAの0~4KiB: XXXX ストレージ ファイルA 読み出し 0~4KiB: XXXX 読み出し
二回目以降の読み出し • 既存のページキャッシュ上のデータを読み出す ◦ ストレージへのアクセスは発生しない ◦ 見かけ上の読み出し速度はメモリアクセス速度と同等 4 メモリ プロセスのメモリ
XXXX ページキャッシュ ファイルAの0~4KiB: XXXX ストレージ ファイルA 0~4KiB: XXXX 読み出し
ストレージへの書き込み • ストレージではなくメモリ上のページキャッシュという領域に書く ◦ 書いた後はすぐに復帰 ◦ 見かけ上の書き込み速度はメモリアクセス速度と同等になる • 以下、プロセスのデータをファイルAの先頭から4KiB書き込む例 5
メモリ プロセスのメモリ YYYY ページキャッシュ ファイルAの0~4KiB: YYYY ストレージ ファイルA 書き込み 0~4KiB: XXXX
その後の読み出し • ストレージではなくページキャッシュから読み出す ◦ 見かけ上の読み出し速度はメモリアクセス速度と同等に 6 メモリ プロセスのメモリ YYYY ページキャッシュ
ファイルAの0~4KiB: YYYY ストレージ ファイルA 読み出し ファイルA 0~4KiB: XXXX
ストレージへの反映 • メモリ上のデータはマシンの電源が消えると無くなってしまう • 以下のような契機で書き出し(ライトバック)をする ◦ ページキャッシュの大きさがカーネルが設定する閾値を超えた ◦ 一定時間の経過 7
メモリ プロセスのメモリ ページキャッシュ ファイルAの0~4KiB: XXXX ストレージ ファイルA 書き込み 0~4KiB: XXXX
ページキャッシュが有用なケース • 所定の期間内にアクセスするデータがキャッシュメモリ上におさまる ◦ 見かけ上のストレージアクセス速度はメモリへアクセス速度にできる ◦ システムの搭載メモリ量が増えるとキャッシュメモリに使える領域も増える • おさまらなくなればライトバック処理が頻繁に動くので性能が劣化 •
システム運用におけるヒント ◦ 読み書きするデータ量の増加に伴って性能が急激に劣化した。なぜだろう? ▪ データがページキャッシュに乗り切らなくなったせいかもしれない ◦ システムの性能を劇的に挙げる方法はないだろうか? ▪ データがページキャッシュに乗り切るようメモリ増強すると可能かもしれない
まとめ • メモリアクセス速度に比べてストレージへのアクセス速度は遅い • その速度差を吸収するのがページキャッシュ • データ量をページキャッシュに収められると最大の効果を発揮 • CPUの演算速度とメモリアクセス速度差については以下動画を参照 ◦
その7 キャッシュメモリ ◦ その13 キャッシュメモリの効果 • Latency Numbers Every Programmer Should Know ◦ https://colin-scott.github.io/personal_website/research/interactive_latency.html