令和3年7月公表の国税庁資料等を基にしたインボイス制度の説明です。 令和3年7月時点の情報を基にしていますので、詳細は国税庁等の公表情報を参考にしてください。
い ま 知 っ て お き た いイ ン ボ イ ス 制 度 の基 礎 知 識
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田中 慎 〔Shin Tanaka〕• 1982 大阪府東大阪市生まれ → 兵庫県三田市• 2001 兵庫県立北摂三田高校卒業• 2005 大阪市立大学 経済学部経済地理学専攻 卒業• 2005 税理士事務所勤務• 2012 税理士登録• 2014 VBAエキスパート Excel Standard 取得• 2015 中小企業診断士登録• 2016 税理士法人田中経営会計事務所 設立• 2017 京都市ソーシャルイノベーション研究所 SILK イノベーションコーディネーター〔非常勤〕• 2019 長野県立大学ソーシャル・イノベーション創出センター アドバイザリーメンバー
今日のゴール消費税とインボイス制度の概要を理解する
みなさんが確認すること①売手側自社がインボイスを発行できるか。すべきか。②買手側免税・簡易課税ではなく、インボイスの保存が必要か。③申請・登録手続システム改修・事前の届出のスケジュールの確認。
税理士にまかせてるから大丈夫日常業務に影響がないか知っておきたいです
インボイスを知るその前に消費税の基本的な仕組み
10,000円消費税1,000円消費税率は原則10%
2,000円消費税160円軽減税率は8%
お店の消費税納付額の計算方法消費税1,000円課税売上げに係る消費税額(売上税額)課税仕入れ等に係る消費税額(仕入税額)納付する消費税額- =消費税700円 消費税300円仕入税額控除売価10,000円 売価7,000円
10,000円消費税1,000円消費税の納税の仕組み7,000円消費税700円3,000円消費税300円300円納税400円納税300円納税
仕入税額控除の要件が変わります令和5年10月~~令和5年9月「仕入税額控除」の適用を受けるには帳簿や請求書等の保存が必要この保存すべき請求書が「適格請求書」いわゆるインボイスに変わる適格請求書等保存方式=インボイス制度インボイスの保存がなければ仕入税額控除ができない!
「仕入税額控除ができない」とはどういうことか消費税1,000円課税売上げに係る消費税額(売上税額)課税仕入れ等に係る消費税額(仕入税額)納付する消費税額- =消費税700円消費税1,000円仕入税額控除売価10,000円 売価7,000円※経過措置有インボイスじゃないと仕入税額控除ダメ消費税300円
だから多くの事業者に関係するインボイスインボイスを発行できない?じゃあ御社とは取引できません。
インボイスの概要
インボイスとは売手が買手に対し、正確な適用税率や消費税額を伝えるための手段登録番号や消費税額などの一定の事項が記載された書類や電子データ
結局インボイスってなに?なにか新しい書類をつくらないといけないのですか?
事業者の登録番号など必要事項を満たしていればインボイスになります(詳細は別途)結局インボイスってなに?
インボイスを発行できる事業者必要な内容を書けば誰でも発行できるんですよね?
インボイスを発行できる事業者インボイスを発行できるのは税務署長の登録を受けた「適格請求書発行事業者」のみ。「課税事業者」でなければ登録を受けることができません。
登録申請登録申請書審査登録番号などを通知国税庁HPで公表所轄税務署登録年月日以降にインボイスを交付できる
登録申請のタイミングは?早めに登録申請をしておきたいですねいつから申請ができますか?
登録申請のスケジュール令和5年10月1日令和3年10月1日令和4年令和5年3月31日登録申請OK10月1日から登録を受けるためには原則令和5年3月31日までに登録申請書を提出する必要インボイス制度導入※困難な事情がある場合には9月30日まで
免 税 事 業 者 とイ ン ボ イ ス 制 度
免税事業者とインボイス制度消費税納めてないんですけど登録できないんですか?
問題点は、、、消費税を納めていない免税事業者では登録番号はもらえません年間の課税売上が1000万円以下などで個人事業者等には免税事業者も多い
10,000円消費税1,000円免税事業者と多段階累積控除7,000円消費税700円3,000円消費税300円300円納税400円納税300円納税免税事業者
免税点制度の問題点免税事業者ズルくないですか?
10,000円消費税1,000円インボイス制度がはじまると7,000円消費税700円3,000円消費税300円300円納税400円納税300円納税免税事業者インボイスじゃないと仕入税額控除ダメ1,000円納税免税事業者と取引したくない
免税事業者とは(課税売上高1000万円以下)売上800万円消費税80万円売上1200万円消費税120万円売上1500万円消費税150万円売上1800万円消費税180万円免税事業者 免税事業者 免税事業者 課税事業者1期 2期 3期 4期
インボイス制度導入後は売上800万円消費税80万円売上1200万円消費税120万円売上1500万円消費税150万円売上1800万円消費税180万円免税事業者 免税事業者 免税事業者 課税事業者1期 2期 3期 4期課税事業者インボイス発行するために免税事業者でも課税事業者を選択
免税事業者が消費税の課税事業者になるには売上要件などを満たさず免税事業者が課税事業者になるためには事前に課税事業者選択届出書を提出する必要があるただし、今回は経過措置あり
免税事業者に対する経過措置令和5年10月1日令和5年10月1日を含む課税期間中に登録を受ける場合は、登録を受けた日から課税事業者となる経過措置登録申請免税事業者 課税事業者消費税申告課税事業者選択届出書の提出は必要ない3か月分の消費税3月31日
登録を受けるにあたっての留意点登録を受けるかどうかは事業者の任意(お客さんが消費者のみなど)登録を受けると事業者免税点制度の適用なし(課税売上高1000万円以下でも課税事業者)
簡易課税の適用を受けたい課税売上高5000万円以下なら簡易課税が適用できますか?
原則課税の消費税申告消費税1,000円課税売上げに係る消費税額(売上税額)課税仕入れ等に係る消費税額(仕入税額)納付する消費税額- =消費税700円 消費税300円仕入税額控除売価10,000円 売価7,000円
簡易課税の消費税申告(課税売上高5000万円以下)消費税1,000円課税売上げに係る消費税額(売上税額)課税仕入れ等に係る消費税額(仕入税額)納付する消費税額- =仕入税額控除売価10,000円 消費税みなし仕入率40%~90%
免税事業者に対する経過措置(簡易課税)令和5年10月1日登録申請免税事業者 課税事業者令和5年分から適用を受ける簡易課税制度選択届出書は12月31日まで簡易課税OK
話が難しくなる点 ※資料未反映消費税課税事業者消費税免税事業者インボイス発行事業者インボイス消費税※免税事業者のままでもOK
イ ン ボ イ ス の 記 載 事 項
インボイスとは売手が買手に対し、正確な適用税率や消費税額を伝えるための手段登録番号や消費税額などの一定の事項が記載された書類や電子データ必要事項を記載していればインボイス(手書きでもOK)
①インボイス発行事業者の氏名又は名称及び登録番号②取引年月日③取引内容(軽減税率の対象品目である旨)④税率ごとに区分して合計した対価の額(税抜き又は税込み)及び適用税率⑤税率ごとに区分した消費税額等⑥書類の交付を受ける事業者の氏名又は名称インボイスの記載事項赤字が今回追加された3つ
不特定多数の方に販売をする場合小売業・飲食店業・タクシー業等の場合も一緒ですか?
適格簡易請求書(簡易インボイス)でOKインボイスに比べて⑥書類の交付を受ける事業者の氏名又は名称が不要また「消費税額等」と「適用税率」はいずれかの記載でOK
①インボイス発行事業者の氏名又は名称及び登録番号②取引年月日③取引内容(軽減税率の対象品目である旨)④税率ごとに区分して合計した対価の額(税抜き又は税込み)⑤税率ごとに区分した消費税額等又は適用税率適格簡易請求書(簡易インボイス)の記載事項赤字が今回追加された2つ
メールで届いた請求書はOK?紙ではなくメールで届く請求書も記載事項を満たせばインボイスですか?
電子インボイスとは?インボイスは紙での交付に代えて電磁的記録つまり電子データで提供できる電子インボイス電子データのまま保存でOK ※電子帳簿保存法の改正関連の留意点あり
【注意】消費税の端数処理ルール「税率ごとに区分した消費税額等」に1円未満の端数が生じる場合一の適格請求書につき、税率ごとに1回の端数処理をします。(切上げ、切捨て、四捨五入は任意の方法でOK)
複数の書類による対応請求書・納品書など相互の関連が明確な複数の書類でインボイスの記載事項を満たしてもOK
売 手 側 の 注 意 点
インボイス発行側の義務①相手側の求めに応じインボイスを発行する義務②値引き等の場合、返還インボイスを交付する義務③誤りがあった場合、修正インボイスを交付する義務④①~③の写しを保存する義務(一覧表等でもOK)
返還インボイス売上値引きや返品があった場合の返還インボイスの交付義務。
返還インボイス前月の売上値引きを差し引いて請求する場合、インボイスと返還インボイスそれぞれに必要な記載事項を記載して1枚の請求書で交付OK。
修正インボイス交付したインボイスに誤りがあった場合①あらためて新しいインボイスを交付。②当初交付した関連性を示して修正箇所のみを明示した書類を交付等
委託販売等における特例委託者及び受託者の両方がインボイス発行事業者なら受託者のインボイスを委託者に代わって交付OK。
交付義務が免除される取引①3万円未満の公共交通機関による旅客の運送②卸売市場での生鮮食料品の委託販売③農協や漁協に委託して行う農林水産物の販売④3万円未満の自動販売機などでの販売⑤郵便切手による郵便サービス(ポストに投函)
買 手 側 の 注 意 点
簡易課税制度を選択している場合消費税1,000円課税売上げに係る消費税額(売上税額)課税仕入れ等に係る消費税額(仕入税額)納付する消費税額- =仕入税額控除売価10,000円 消費税みなし仕入率40%~90%今まで通りインボイスの保存は要件ではない
仕入税額控除の要件(原則課税)消費税1,000円課税売上げに係る消費税額(売上税額)課税仕入れ等に係る消費税額(仕入税額)納付する消費税額- =消費税700円 消費税300円仕入税額控除売価10,000円 売価7,000円
保存が必要となる請求書等①売手が交付するインボイス又は簡易インボイス②買手が作成する仕入明細書等(相手方の確認済)③電子インボイス
インボイスがもらえない(仕入先は課税事業者)仕入先からインボイスがもらえない場合、どうしたらよいでしょうか?
仕入明細書による対応仕入明細書を作成することで仕入税額控除の適用を受けることができる。ただし、相手方の確認を受けたものに限られる。
帳簿のみの保存で仕入税額控除が認められる場合①3万円未満の公共交通機関による旅客の運送(航空機除く)②3万円未満の自動販売機などでの販売③郵便切手による郵便サービス④簡易インボイスの記載事項を満たした入場券が回収される取引⑤古物営業・質屋・不動産宅建事業者がインボイス発行事業者以外から棚卸資産として取得する取引⑥再生資源などをインボイス発行事業者ではない方から取得する取引⑦従業員に支給する通常必要として認められる出張旅費・宿泊費・日当及び通勤手当
3万円未満の課税仕入の場合、請求書などをもらえないときは請求書等の保存がなくてもOKでは?3万円未満の課税仕入れでやむを得ない事情があるときインボイス制度導入後
軽減税率対象や税率ごとの区分を追記してよかったのでは?もらった請求書の記載事項が足りなかった場合インボイス制度導入後
インボイス制度がはじまると免税事業者との取引はやめるか、値引きしてもらった方がいいですか?
令和5年10月1日令和11年10月1日3年令和8年10月1日免税事業者から仕入れる場合の経過措置3年80% 控除可能 50% 控除可能
経過措置期間中の免税事業者からの仕入れ(当初3年)消費税1,000円課税売上げに係る消費税額(売上税額)課税仕入れ等に係る消費税額(仕入税額)納付する消費税額- =消費税700円消費税440円仕入税額控除売価10,000円 売価7,000円※経過措置700円×80%=560円消費税300円
みなさんが確認すること①売手側自社がインボイスを発行できるか。すべきか。②買手側簡易課税制度を選択しておらずインボイスの保存が必要か。③申請・登録手続システム改修・事前の届出のスケジュールの確認。
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