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『プロダクト戦略』を紐解く — 言語化・組織実装・実行までのリアル —
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Shun Ikeda
April 24, 2025
Business
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『プロダクト戦略』を紐解く — 言語化・組織実装・実行までのリアル —
Shun Ikeda
April 24, 2025
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Transcript
````1 『プロダクト戦略』を紐解く — 言語化・組織実装・実行までのリアル —
©Timee inc 2 池田 俊 経歴 2024年6月 入社 2012年にグーグル日本法人に入社、 2015年に同社米国マ
ウンテンビュー本社に転籍。Google 検索や YouTube をはじ めとする主要製品や欧米で展開する新規事業等のグロース マーケティング・事業戦略推進を幅広く担当。株式会社タイ ミーでは2020年1月より顧問として組織の成長を支援したの ち、2024年6月よりタイミーに参画。 取締役 CPO 2024年6月~ 執行役員 CSO 2024年11月~ 執行役員 CPO 2025年1月~ 取締役 CPO 役割
タイミーとは 3 「働きたい時間」と「働いてほしい時間」を マッチングするスキマバイトサービス 従来の「求人サイト」でも「派遣」でもない
タイミーの実績 スキマ バイト No.1 ※1※2[調査委託先]マクロミル[調査方法]インターネット調査[調査時期]2025年1月31日~2025年2月4日[調査対象]直近1年以内に スキマバイトを経験したことのある18~69歳の男女1033人(※2のみ直近1年以内に2回以上働いた経験があるスキマバイトサービス を聴取) ※3 2024年12月時点 ※4 2024年12月時点
利用率 ・リピート率 ※1 ※2 導入事業者数 159,000企業 ワーカー数 1,000万人 ※4 ※3
会社の歴史 5 ▪ ワーカー数
業界を超えて広がるタイミー タイミーは多くの業界で活用されるサービスに成長し、物流/小売/飲食の各業界TOP10社の半数以上がタイミーを導入中。 現在導入事業者数は159,000企業※1 335,000拠点以上※2になり、様々な業界に広がっています。 6 ※1 2024年12月時点 ※2 2024年12月時点
Mission 「はたらく」を通じて 人生の可能性を広げる インフラをつくる 時間にとらわれず、好きな場所で、好きな仕事を。 少し前には考えられないような自由な働き方を、タイミーは提供しています。 この新しい「はたらく」は、ただ自由であることにその魅力を留めません。 「働く」を通じた、多くの人との出会いと経験の積み重ねは、自分自身の新たな 価値を発見し、可能性を広げる糧になると私たちは信じています。 タイミーは、新しい「はたらく」インフラとして、一人ひとりが自分の可能性を広げていける
社会を目指します。 7
会社説明はさておき ..
少し前のタイミーがどうなっていたか
10 タイミーは急成長企業ならではの「エネルギー」と「スピード」で溢れる一方、 事業部・マーケティング・プロダクトそれぞれの部門が自律的に活動する傾向が強く、連携と いう面においては発展の余地がある状況 マーケティング 事業部 プロダクト
11 なぜか?もちろん色々複合的な理由はあるが、大きな理由は 全社戦略の不在 マーケティング 事業部 プロダクト 全社戦略
楽器に例えると、優秀なミュージシャンが集まってそれぞれが自由に演奏している状態 ただし「コード進行」や「テンポ」が十分に連携されておらず、時に違う曲を演奏してしまってい ることもあるが、強力なソロの繋ぎでなんとか演奏が成り立っていた
創業期はむしろそんなカオスでよかった(横の連携なんか気にしている暇はなかった) しかし、組織規模が拡大し、サービスの提供価値も多様化するなかで、 「属人的な連携」や「偶然の連携」では限界が見え始めていた これからのフェーズでは、 「再現性のある連携」 や「意図を共有し合う仕組み」 が不可欠
では、どうしたか
目指したのはジャズ。コード進行やテンポを整えた上で、即興が生まれる環境づくり。 全体の方針や制約は明確にしつつ、各組織の自発的なイノベーションはむしろ推奨する そのために推進した3つのこと
1. 戦略の言語化 (コード進行を整える)
まずは何より、全社戦略を言語化することから着手 数ヶ月間、経営や現場を巻き込みながら発散と収束を繰り返す 最後に1週間、1人で籠り1ページのNotionに一筆書き
戦略の基本的な構成要素:戦略のカーネル 診断 現在の状況や問題を理解し、課題を明確化する プロセス 基本方針 診断に基づいて設定される方向性や指針。目指 すべきゴールを示す 一貫した行動 基本方針に従って具体的に取るべき行動や施策 を計画する
“良い戦略は、単純かつ明快である ” • Mobile first (Google, 2010) • AI first(Google,
2016) • 一兆で一丁あがり(楽天 , 2004)
全社戦略が完成したあとは、それに接続させる形でのプロダクト戦略の書き起こし 通称ビルドトラップ本の概念「戦略的意図」と「プロダクトイニシアチブ」を活用 戦略的意図 (Strategic Purposes) • 「なぜそれを行うのか?」に焦点 • プロダクトやビジネスの長期的な方向性や目的 •
例: 顧客のオンボーディング体験を改善し、リテンション率を向上 プロダクトイニシアチブ (Product Initiatives) • 「何をどのように行うか?」に焦点 • 戦略的意図を達成するための具体的な行動計画 • 例: ユーザーインターフェースの改善、オンボーディング動画の導入
2. 組織構造の強化 (ステージ配置を整える)
戦略テーマごとにDRIを決める = 責任所在の明確化 DRI = Directly Responsible Individual 直接責任者。その戦略テーマの遂行と結果創出に責任を持つ 「全体のDRI」「機能ごと(プロダクト・マーケなど)の
DRI」「スポンサー」を決定 戦略テーマ 1 全体DRI: XX プロダクト DRI: XX マーケDRI: XX 事業部DRI: XX スポンサー : XX 戦略テーマ 2 全体DRI: XX プロダクト DRI: XX マーケDRI: XX 事業部DRI: XX スポンサー : XX 戦略テーマ 3 全体DRI: XX プロダクト DRI: XX マーケDRI: XX 事業部DRI: XX スポンサー : XX
23 プロダクト開発組織においては、実組織と仮想組織を分けて運営 実組織 仮想組織( Tribe/Squad)
24 仮想組織上でプロダクト DRIがクリアになっていることで、価値創出の推進力を担保 実組織 仮想組織( Tribe/Squad) プロダクト DRI(戦略1)
25 実組織 仮想組織( Tribe/Squad) New! 全社戦略を描いた戦略チームを「戦略マネジメント部」としてプロダクト本部に移管 目的は全社戦略と一気通貫したものづくり。 「全社戦略」をプロダクト本部がローリングする 体制が完成
3. 横連携の強化 (インタープレイを整える)
最後に「インタープレイ(相互連携)」。全社戦略が言語化されたタイミングで脱サイロのため に新しい連携手段を立ち上げていった • マネジメントレイヤーでのインタープレイ ◦ 最重要テーマは取締役:PJオーナーで顔を突き合わせ続ける(週次 ~隔週) ◦ 主要テーマは「三味同体」定例で部署横断でゴリゴリ進捗を追う(月次) ◦
全社戦略は経営合宿でローリング( 3ヶ月に1回) • 現場レイヤーでのインタープレイ ◦ 事業部からのプロダクト要望回収(毎日) ◦ 部署横断の部長会(月次) ◦ 全社への定期的な開発テーマ共有( 3ヶ月に1回) ◦ プロダクト本部メンバーによる地方支社飲み行脚(半年に 1回)
戦略は浸透してこそ意味がある。効果的なコミュニケーションは “強調&探索型” 秘密主義型 特定&応答型 強調&探求型 説明&説得型 スプレーお祈り型 コミュニケーション量 浸透効果
最後に、改めてここまでの振り返り。 地に足のついた戦略実行に向けて重要なことは、 • コード進行を整える(浸透する戦略を言語化する) • ステージ配置を整える(戦略を適切に運用・実行するための組織を作る) • インタープレイを整える(組織間の相互連携を強化する) これら制約の中で、あとは PdMに自由な即興で思いっきり暴れ回ってもらっています
5月8日にタイミー本社で双方向なディスカッションイベントをやるので是非! connpass QRコード
ありがとうございました。
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