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事業者間調整の行間を読む 調整の具体事例

事業者間調整の行間を読む 調整の具体事例

標準化・ガバメントクラウド移行に関する事業者間調整の例としてデジタル庁から連携要件が示され、リファレンスが出るとされました。しかしそれがあればうまくいくのか、連携要件以外は大丈夫?、マルチベンダでは?と疑問もあると思います。直面している課題を共有することで少しでもお役に立てばと思い事例紹介をさせていただきます。

※自治体クラウド勉強会(第2回)の登壇資料です
 https://gov-cloud.connpass.com/event/334097/
※本アカウントではなくF氏による資料を代理でアップロードしてます

Sugii Masakatsu

November 01, 2024
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Transcript

  1. About Me 2 F氏 2017年に某地方の地場ベンダに入社。業務SEやインフラSEを経て、 現在はガバクラ(OCI)担当マネージャーを兼務。 統合運用管理補助者として各ASPと目下 事業者間調整に奮闘中。。 ※私がOCI担当なこともあり資料が若干OCI視点強めになっている点ご容赦ください・・・ へーしゃについて(私の所属)

    某県のいわゆる地場ベンダーです。AWS・OCIを取り扱います。 開発は行っておらず、複数社様のパッケージを担いで運用保守をしています。 自社データセンターで自治体クラウドを提供していますが、標準化対象業務はガバクラへの 移行を行うことになり、庁舎~ガバクラの統合運用管理補助を行うことに。
  2. へーしゃの標準化・ガバクラ対応状況 5 AWS NWアカウント OCI 運用管理補助者 (弊社) 保守エリア 自治体 クラウド

    ガバクラ接続 回線(NaaS) A市 利用端末 FastConnect DC運用 ガバクラ接続回線 ASP・ガバクラ運用管理 NW運用管理 庁舎~DC回線 AWS APSアカウント B市 DirectConnect 弊社の役割 利用端末
  3. へーしゃの標準化・ガバクラ対応状況 へーしゃが取り扱うパッケージ(一例) 6 ・・・ 健康管理(D社) 介護福祉(C社) 総合行政(B社) 総合行政(A社) ・・・ 自社クラウド

    自社クラウド 自社クラウド 自社クラウド 現在 ・・・ 標準化後 稼働基盤(標準化前後) 自治体別導入状況 ・・・ C B A 自治体 ・・・ 10万 5万 1万未満 人口規模 ・・・ AWS OCI OCI 住基 ・・・ AWS OCI OCI 税 ・・・ AWS AWS AWS 福祉 ・・・ IBM IBM IBM ◦◦業務 自社・自治体内でマルチクラウド・マルチベンダ状態に
  4. マルチベンダ・マルチCSPのへーしゃが直面しているあらゆる調整事項 システム間 連携 NW関連 全体設計 ・連携要件 ・技術要件 ・運用設計 ・NWアカウント管理 ・CIDR調整

    ・回線調達 ・コスト管理 ・非機能要件への適合 ・責任分界点の整理 And so on・・・ 11 標準化・ガバクラでの課題と調整の必要性
  5. マルチベンダ・マルチCSPのへーしゃが直面しているあらゆる調整事項 システム間 連携 NW関連 全体設計 ・連携要件 ・技術要件 ・運用設計 ・NWアカウント管理 ・CIDR調整

    ・回線調達 ・コスト管理 ・非機能要件への適合 ・責任分界点の整理 And so on・・・ 12 標準化・ガバクラでの課題と調整の必要性 なるほど、、 調整が必要なわけだ・・・
  6. 調整すべき事項は連携要件だけではなく技術要件含めた幅広い調整が必要 16 -「履歴管理・最新フラグ」が事業者間調整 の例として自治体に説明されたが、調整事 項はそれだけだろうか 出典:第2回共通機能等課題検討会 I think... No..! ・・・

    今後発生するであろう事業者間調整の一例 事業者間”調整”の具体事例 ~システム間連携の調整~ あらゆる課題に対して関係者間の調整は発生する -リファレンスに基づいて調整した結果、発 生する新たな費用はどうするのか -連携元・先システムそれぞれで前提がある 中で柔軟な対応が可能だろうか -双方の事業者が譲れない場合はどうしたら よいのか 調整難易度:シングルベンダ<マルチベンダ<マルチクラウド
  7. 事業者間”調整”の具体事例 ~システム間連携の調整~ 各システムで前提とする方式が決まっている 18 AWS OCI 共通機能(庁内データ連携)アカウント OCI Object Storage

    業務システム イ 業務システム ロ 業務システム ハ カスタムアプリ 総合行政システムアカウント 福祉系システムアカウント ◦◦システムアカウント ガバクラ以外のCSP バケットが置かれるCSP 利用者側のCSP パターンA:CSPの認証認可を利用 パターンC:カスタムアプリを介した認証認可 File Storage データの保管場所 ファイルサーバを利用する場合はSFTP等にて接続 OBに対してSFTPを利用する案も? ※便宜上、各CSPの論理区分け単位 を「アカウント」と呼称します。 三者三様の前提を自治体が主体となって「事業者間調整」する。 その為には自治体のリーディングが必要。 パターンC -S3前提 ⇒カスタムアプリ対応が必要。 パターンA -プリンシパル認証等を利用して アクセス可能。 ガバクラ以外のCSP -ファイルサーバなどが有効?
  8. 事業者間”調整”の具体事例 ~NW関連~ NW関連のステークホルダーは多岐にわたり調整事項も多い 21 OCI ガバメントクラウド -X社共同利用方式、コンパートメント分離 自治体A AWS ガバメントクラウド

    -X社共同利用方式 -アカウント分離 AWS ガバメントクラウド -自治体A 単独利用方式 -アカウント分離 ベンダX NaaS 自治体B 自治体C AWS ガバメントクラウド -Y社共同利用方式 -NW分離 Compartment 共通 Compartment 自治体A Compartment 自治体B LGCS AWS ガバメントクラウド -自治体C 単独利用方式 -アカウント分離 自治体 接続回線 ガバメントクラウド NW管理 ASP 自治体C 自治体B 自治体A ベンダXのDC経由 LGCS ガバクラ接続回線 (利用無し) X社 共同利用方式 X社 共同利用方式 OCI NW管理 C 単独利用方式 (利用無し) A 単独利用方式 CSP-A NW管理 CSP:AWS Y社共同利用方式 (ネットワーク分離) CSP:OCI X社共同利用方式 (コンパートメント分離) CSP:OCI X社共同利用方式 (コンパートメント分離) 業務アカウント① (利用なし) (利用なし) CSP:AWS X社共同利用方式 (アカウント分離) 業務アカウント② (利用なし) (利用なし) CSP:AWS Y社共同利用方式 (ネットワーク分離) 業務アカウント③ OCI NW運用管理補助者 AWS NW運用管理補助者 庁内NW業者 J-LIS ベンダX 既存回線業者 ASP-X社 ASP-Y社 各登場人物の狭間タスク/責任分界点の調整、誰が行うの?? 左図のまとめ ガバクラ全体NW設計(CIDR重複対策など) -自自治体だけでなく関連自治体とのCIDR調整も必要 -自治体は各ステークホルダーの作業範囲/責任分界点 を把握しておく必要がある -そのためには構成・方式・技術実装など、自治体側 にもかなりのスキルが要求されることに。 ガバクラ運用管理補助者 ステークホルダーの例
  9. 事業者間”調整”の具体事例 ~NW関連~ NW運用管理補助者の担当範囲を確認しタスクに抜け漏れが無いか確認が大事 22 ガバクラNW管理のために -NWアカウント単独利用か共同利用か(メリデメ検討) -単独利用時はGCASユーザ管理、運用管理補助者と調整 -各ASPアカウントへの適切な権限管理と調整 -各ASPアカウントとの接続方式の調整(TGW、PrivateLink) -共通機能(データ連携等)は誰がどこに構築するのか調整

    -ガバクラ全体(関連自治体含む)のCIDR調整 NW管理と密接に関係する調整事項が多岐にわたるが NW運用管理補助者はどこまでやってくれるのか NW運用管理補助者の担当範囲を把握することが重要 回線調達のために(すでに完了しているフェーズ) -帯域や可用性などの性能・非機能要件の評価 -コスト評価 -調達先検討(LGCS?独自調達?ASPに依頼?) -マルチCSP時の接続検討(GMCN使う?) 名前解決・証明書管理の調整 -DNS管理、レコード管理の主体は誰か -DNS持たないシステムの名前解決の調整 -庁舎側DNSの設定追加/変更 -証明書管理、許可する通信プロトコル OCI ガバメントクラウド -X社共同利用方式、コンパートメント分離 自治体A AWS ガバメントクラウド -X社共同利用方式 -アカウント分離 AWS ガバメントクラウド -自治体A 単独利用方式 -アカウント分離 ベンダX NaaS 自治体B 自治体C AWS ガバメントクラウド -Y社共同利用方式 -NW分離 Compartment 共通 Compartment 自治体A Compartment 自治体B LGCS AWS ガバメントクラウド -自治体C 単独利用方式 -アカウント分離 自治体 接続回線 ガバメントクラウド NW管理 ASP OCI NW運用管理補助者 AWS NW運用管理補助者 庁内NW業者 J-LIS ベンダX 既存回線業者 ASP-X社 ASP-Y社 ガバクラ全体NW設計(CIDR重複対策など) ガバクラ運用管理補助者 ステークホルダーの例
  10. 事業者間”調整”の具体事例 ~ガバクラ全体設計・調整~ 非機能要件の標準への適合確認 -可用性はASPが提供するシステム構成のみではない -回線周り、NW障害にも対応できるのか -自治体所在地の地理的要件も考慮が必要 ガバクラ全体の管理・調整は総合的な知識・技能が必要 24 インシデント発生時の対応フローの策定 -登場人物が多いので責任分界点を明確に

    -連絡経路・指揮系統などの定義が必要 ガバクラのランニングコスト最適化 -コストと可用性はトレードオフ、ASPがどこまで対応できるのか -非機能要件への適合を自治体がどう判断するか(補助金にも絡む) 単独利用方式と共同利用方式の検討と管理 -自治体でどこまでグリップするのか(したいのか)