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地方学生の成長を加速させる支援とは 〜新雪プログラムでの開発経験と修了後の展望〜
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Takafumi Akiba
November 04, 2025
Education
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24
地方学生の成長を加速させる支援とは 〜新雪プログラムでの開発経験と修了後の展望〜
Komekaigi 2025 で登壇発表を行った際の資料です.
Takafumi Akiba
November 04, 2025
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Transcript
北海道情報大学大学院 経営情報学研究科 修士課程2年 秋葉 貴文 地方学生の成長を加速させる支援とは 〜新雪プログラムでの開発経験と修了後の展望〜
自己紹介 2 秋葉 貴文 北海道情報大学大学院 経営情報学研究科 修士2年 湯村研究室 新雪クリエータ(2023) 研究テーマ
• 電子ペーパー • IoT • 低消費電力設計
地方学生の成長を加速させる支援とは 新雪について • 北海道の若手IT人材の発掘と育成を行う「北海道版未踏プログラム」 • 新雪という名前には、 「これから遠くの未踏峰を目指す若いクリエイタの第一歩を応援する」 といった意味が込められている 誰かが昔に通ったかもしれないけど 自分にとっては足跡すらついてない新雪
3 https://shinsetsu.hokkaido.jp/about
地方学生の成長を加速させる支援とは 新雪はなぜあるのか? • 新雪のモデル ◦ IPAが実施する未踏事業 • 未踏事業 ◦ 卓越したIT人材を発掘し、
育成するプロジェクト ◦ 「独創的なアイディアと技術を持つ人材を発掘・育成する」 という発想のもとで実施されている 未踏事業について 4 https://www.ipa.go.jp/jinzai/mitou/koubo/
地方学生の成長を加速させる支援とは 新雪はなぜあるのか? ~未踏は地方でも~ • AKATSUKIプロジェクト ◦ 経済産業省が実施 ◦ IT分野を中心に優れたアイデアや技術を持つ 地方の若い人材を発掘・育成
新雪プログラムはAKATSUKIプロジェクトの支援を受けて実施されている 5 https://mitouteki.jp/r5/special/conference/
修了後の取り組みと展望 新潟版未踏的人材育成事業 ETSUZAN ~未踏は地方でも~ 6 • 新潟県内の学生や若手を対象としたIT人材発掘・育成を行うプロジェクト • 夢中になって開発に取り組める環境は地方に少なく、 経験格差が生まれている現実を解消したいという思いが込められている
「NOT、ビジコン。奇人、求む。」 がキャッチコピー https://etsuzan.org/
地方学生の成長を加速させる支援とは 新雪によるサポート 1. 最大150万円の開発資金 2. PMによるコーチング 3. 新雪・未踏とのコミュニティ 7
地方学生の成長を加速させる支援とは 新雪では何をするのか? • 6ヶ月にわたり、開発をPMの指導の下行う • 1プロジェクトあたり、最大150万円の支援金が出る 採択例 MR流体を用いた触覚ディスプレイと 制御ソフトウェアの開発 (2024年度新雪採択プロジェクト)
LTooL 思い立ったときにLTができるプレゼ ンテーションツールの開発 (2023年度新雪採択プロジェクト) 粘菌の自動培養を目的とした 「粘菌無限ランニングマシーン」 (2023年度新雪採択プロジェクト 2024年度IPA未踏採択プロジェクト) https://www.ipa.go.jp/jinzai/mitou/it/2024/nl10bi 0000006qh1-att/seikashosai-oc-2.pdf 8 https://www.do-johodai.ac.jp/contests/9696306/ https://ltool.gachal.net/
地方学生の成長を加速させる支援とは スケジュール 6月中旬 提案書〆切 A410枚以内 最終面接 (Zoom) 説明10分 質疑20分 1月
成果発表会 11月 8合目会議 9月中旬 ブースト会議 開発期間およそ6ヶ月 PMと定期的なMTG 7月上旬 書類審査 通過連絡 8月上旬 採否通知 2月 開発報告書 9 9月中旬 ブースト会議 11月 8合目会議
地方学生の成長を加速させる支援とは ブースト会議・八合目会議 ブースト会議 • クリエータ同士の初回の顔合わせ • やる気をブーストするための会議 • 自分のプロジェクトの紹介をする 10
八合目会議 • 途中の開発成果を共有・発表 • しっかりデモが完成してる人も多い • 成果発表でさらに完成度が上がる人も多い
地方学生の成長を加速させる支援とは 11 スケジュール 6月中旬 提案書〆切 A410枚以内 最終面接 (Zoom) 説明10分 質疑20分
1月 成果発表会 11月 8合目会議 9月中旬 ブースト会議 開発期間およそ6ヶ月 PMと定期的なMTG 7月上旬 書類審査 通過連絡 8月上旬 採否通知 2月 開発報告書 1月 成果発表会
地方学生の成長を加速させる支援とは 成果発表会 • 新雪プログラムの〆のイベント ◦ Youtubeで配信(アーカイブあり) ◦ 口頭発表とデモ展示がある ◦ 外部からの聴講も可能
12 • 発表後には交流会がある ◦ 軽食が用意され交流の場 ◦ 作ったものを触ることができる ◦ 製作者と直接話すことができる
地方学生の成長を加速させる支援とは 成果発表会 2024年度成果報告会 YouTube 2023年度成果報告会 YouTube 13
地方学生の成長を加速させる支援とは 新雪での取り組みについて 14
地方学生の成長を加速させる支援とは 挑戦のきっかけ • 初公募,応募だった ◦ 指導教員からの提案をきっかけに応募を決意 • 支援金の額,自由度が高い • 省電力なIoTデバイス開発に集中して取り組める環境
15 新雪でやりたいことに集中して取り組みたい
待機電力不要なネットワーク更新型電子ペーパーサイネージ 採択プロジェクトの紹介 16 待機電力不要なネットワーク更新型電子ペーパーサイネージ
待機電力不要なネットワーク更新型電子ペーパーサイネージ デジタルサイネージの世界 電子ペーパーサイネージ(EPS) • 電子ペーパー技術を使用したデジタルサイネージの一種 • 低消費電力で静止画の表示が得意 • 電子ペーパーは画面更新時のみ電力を消費する デジタルサイネージ
• デジタル技術を活用した看板 • 広告や情報をデジタル形式で表示する • 画像、動画など多様な形式に対応している 17
待機電力不要なネットワーク更新型電子ペーパーサイネージ 電子ペーパーサイネージ(EPS)の更新方式 • 電子ペーパーは画面の更新時以外で電力消費をしない • 電子ペーパー制御PCの常時通信待機が必要 18 電子ペーパー制御PCが電力を消費してしまうのは もったいない!
待機電力不要なネットワーク更新型電子ペーパーサイネージ 提案内容 ノーマリーオフ・ネットワーク更新型電子ペーパーサイネージ (Normally-off Network Electronic Paper Signage : NNEPS
) EPSをノーマリーオフ化することで消費電力を削減する 画面の更新が必要なときにEPSを起動する 19
待機電力不要なネットワーク更新型電子ペーパーサイネージ NNEPS開発年表 6月中旬 提案書〆切 A410枚以内 最終面接 (Zoom) 説明10分 質疑20分 1月
成果発表会 11月 8合目会議 9月中旬 ブースト会議 PMと定期的なMTG 7月上旬 書類審査 通過連絡 8月上旬 採否通知 2月 開発報告書 Ver.1開発期間 Ver.2開発期間 20 • Ver.1:応募時に提案した手法で実装 • Ver.2:開発期間中に別の手法を用いて実装
待機電力不要なネットワーク更新型電子ペーパーサイネージ Ver.1:ノーマリーオフ化 EPSのノーマリーオフ化とは... 電子ペーパー制御PCの電源のON/OFFを制御すること 電子ペーパーディスプレイ • 画面の更新時のみ電力を消費する 電子ペーパー制御PC • 電子ペーパーの画面更新処理を行う
電子ペーパーディスプレイ 21 起動指示 起動 起動完了を通知 更新コンテンツ送信 更新! オフ
待機電力不要なネットワーク更新型電子ペーパーサイネージ Ver.1:課題 • EPS1台に対して電源制御プラグ1台が必要になる • 電源制御プラグは、電子ペーパー制御PCより待機電 力は低いものの多少の電力消費がある 通信を待つためにずっと電力消費が必要だよ... 22
待機電力不要なネットワーク更新型電子ペーパーサイネージ Ver.2:複数のEPSを管理する • EPS1台に対して電源制御プラグ1台が必要 ◦ 待機電力の削減はできるが効果が薄い • 1台の電源制御PCで複数台のEPSを制御する • 電源制御プラグの代わりにリレーモジュールを操作する
23
待機電力不要なネットワーク更新型電子ペーパーサイネージ Ver.2:電源管理部分を作る • M5Stack ◦ リレーモジュールを操作する ◦ Groveケーブルで接続 • M5Stack用リレーモジュール
◦ 電気回路のオン/オフを切り替える リレーモジュールを操作する • M5Stackが受信メッセージに応じてオンオフを切り替える • リレーモジュールがオンの状態ではLEDが点灯 24
待機電力不要なネットワーク更新型電子ペーパーサイネージ Ver.2:操作部分を作る • Webページから操作する • 画像の追加・削除・閲覧、NNEPSコンテンツ更新ができる 25
待機電力不要なネットワーク更新型電子ペーパーサイネージ 評価 比較した既存手法と提案手法 • 既存手法 • 1台 • 提案手法 •
NNEPS Ver.Bを使用 • リレーモジュールにEPSを1台接続した場合と2台接続した場合の2パターン • 1台接続:NNEPS-1 • 2台接続:NNEPS-2 • NNEPSの消費電力は、電子ペーパー制御PCと電源制御PCが消費する電力を合計した 実験条件 • 動作時間:1時間 • 更新頻度:5分に1回 26
待機電力不要なネットワーク更新型電子ペーパーサイネージ 成果 NNEPS-1は既存手法と比較して約33%の電力量を削減した 27
待機電力不要なネットワーク更新型電子ペーパーサイネージ 新雪プログラムを通じて得たこと 1. ひとりでプロジェクトをやり遂げた経験 2. 学びや成果をアウトプットする習慣 28
待機電力不要なネットワーク更新型電子ペーパーサイネージ ひとりでプロジェクトをやり遂げた経験 個人プロジェクトの大変さ • 開発、プレゼン、報告資料――すべてをひとりで担当 ◦ 自分で進捗を管理しながら着実に進めていく力が求められる ◦ そのぶん、技術力・思考力・表現力など、さまざまな力が自然と身に付く 開発期間
• 実装したい機能は無限に湧き出てくるが、時間には限りがある ◦ 追加すべき機能に優先順位を付けて、やるべきことを見極める判断力が大事 ◦ 限られた期間で成果を出すには、まずはコア機能の完成を目指す やり遂げた経験は、自信と新たな挑戦につながる 29
待機電力不要なネットワーク更新型電子ペーパーサイネージ 学びや成果をアウトプットする習慣 ライトニングトーク(LT)発表 • 札幌のIT勉強会でLT発表を行う ◦ 質疑応答や懇親会でフィードバックをもらう ◦ 新しい視点や考えを広げるきっかけになる 文章執筆
• 技術ブログの執筆 ◦ 文章としてわかりやすくまとめる練習になる ◦ 色々な人にみてもらう機会になる • 論文を書く ◦ 研究成果の共有 ◦ 論理的に整理して文章を執筆する訓練になる 30
修了後の取り組みと展望 31 修了後の取り組みと展望
修了後の取り組みと展望 32 活動の広がり ① 研究活動 • 成果を研究論文にまとめて発表 ◦ 国内研究会・国際会議で発表 ◦
ジャーナル掲載の招待を受ける • 発展させた内容での研究 ◦ 国内外の学会で発表 ◦ 人の移動を通信媒介としたコンテンツ 配送についての取り組み
修了後の取り組みと展望 33 活動の広がり ② IT勉強会・カンファレンス • Hardening 2024 Convolutions 参加
◦ セキュリティ競技会 • TechRAMEN Conference ◦ プロポーザル採択 ◦ LT 登壇発表 • M5 Japan Tour 2025 Spring Hakodate ◦ LT 登壇発表 • NT函館 ◦ 作品展示
修了後の取り組みと展望 活動の広がりと気づき 34 • 採択を目指して全力で取り組む姿勢 ◦ 結果にかかわらず、その過程で確実に得られる力がある ◦ 考えを言語化し、文章として伝える力は他の場面でも役に立つ •
「自分で考える時間」と「周りの人とのディスカッション」 ◦ 自分で考え抜くことがとても大切 ◦ 周りの意見を聞くことで視野を広げる • 周りの人の助けがあって活動ができている ◦ 気づきやきっかけを与えてくれる人の存在 ◦ 困っている時にサポートしてくれる環境
修了後の取り組みと展望 35 広げ、つなげる活動 35 学内に伝える • 学内の新雪プログラム説明会で自身の経験に ついて発表 • 学内誌・大学HPの記事に掲載
新雪主催のハッカソンを運営 • テーマ 「使いたい技術・学びたい技術を使ってものづくり」 • 2Daysで開催 • 好きな技術で遊ぶ・試す・学ぶ雰囲気で軽に参加できる
修了後の取り組みと展望 36 さいごに • 地方でも挑戦できる ◦ 支援やきっかけがあれば、成長の機会はどこにでもある ◦ 新雪を通じて、行動力・思考力・発信力を磨くことができた •
成長を支えたのは人とのつながり ◦ きっかけを与えてくれる人がいた ◦ 視野を広げてくれる人がいた • 支援の連鎖をつくるために ◦ 一人の支援が、次の挑戦を生む ◦ 周囲に前向きな変化を促す行動を取っていきたい