Developers Summit 2022 Summer の登壇資料です https://event.shoeisha.jp/devsumi/20220721/session/3832/
「全社でアジャイル!」を広げるために Retty株式会社 常松祐一 2022/7/21
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自己紹介 顧客にとって価値のあるプロダクトを、チーム一丸となって協力し、短期間にリリースする開発体制のあり方を模索しています。常松祐一 (つねまつ ゆういち) ● Engineering Manager ● Software Engineering Coach ● Agile Development SNSアカウント ● tunepolo : ● tune : https://user.retty.me/3946697/
Rettyのアジャイルな文化醸成に関する取り組み
2019年から大規模スクラム(LeSS)を開始 「1プロダクトをみんなで作る!」Rettyでの大規模スクラム(LeSS)導入記Rettyの開発組織をぶっ壊して、LeSSを導入した話をPO視点で書きました
アジャイルな開発に関する発信 ● カンファレンス登壇 x 27回 ● 自社勉強会の開催 x 5回 ● テックブログ執筆 x 10件
変化の激しい飲食業界に身を置くからこそアジャイル ● 感染症影響に加え、世界情勢や円安を起因とした原価高騰・コスト増加問題も。● 外食習慣自体への変化、情報収集や購買価値観の多様化が起きている。新型コロナウイルスによる営業自粛・時短営業Horizontalなプロダクトの普及とお店探しの多様化テイクアウト・デリバリーの普及で中食・外食に変化Photo by Robert Anasch on Unsplash Photo by Jeremy Bezanger on Unsplash
現状の認識
「全社でアジャイル!」とは言えない 総務 営業 企画 開発※組織イメージ図従業員数 165名(2021年6月末時点)アジャイル!!アジャイル!?
Photo by Maranda Vandergriff on Unsplash● 「対立がある」「壁がある」ではない。 ● 基本的な考え方が共有できていない。 ○ 小さく出す、フィードバックを得る。 ○ アウトカムとアウトプットの違い ● 価値を感じてもらえた成功体験が少ない。 「総務・営業まで含めてアジャイル!」ではない
Photo by Nik Shuliahin 💛💙 on Unsplash● 変化に追従する動きが途切れる。 ○ 時間軸の違い。 ○ ゴールの見直し。 何が問題なのか
Photo by Kevin Chen on Unsplash● 会社規模が大きくなってから文化を変えることはより難しい。 ● アウトカムに目を向けて、変化に追従できる組織でありたい。 この先も文化を守り成長していくには正念場
「全社でアジャイル!」を阻害する要因
重きを置く項目の違い 短期・数字・目標・達成 長期・探索・改善・運用
Photo by Olesya Yemets on Unsplash● プロジェクトの遅延や失敗。 ● 実現されなかった要望。 ● 不信感。 過去の失敗経験
「感じてもらう価値」を生み出す余力がない ● 優先順位で議論をすると、マイナスを0にする開発は負けてしまう。 ○ ちょっとした不具合、ちょっとした機能改善など ● 現場に近いほど、マイナスの影響が大きい。
取り組みに多大なコストがかかる ● ほとんどの問題は既存の枠組みに起因している。 組織構成・目標設定・コミュニケーション設計 ● 必要なもの ○ 【時間】片手間で対処できるものが少ない。 ○ 【理解】問題を正しく捉えられるだけの視座が必要。 ○ 【権限】既存の枠組みを変更できる権限が必要。
「全社でアジャイル!」のための打ち手 ※直近1年の取り組み
打ち手の順番 余力を作る信頼を得る目的を揃える文化を広げる考え方を揃える行動を変える※実際はいろんな打ち手に並行して取り組みましたが、再現性を持たせるために整理するとこんな順番になるかと
1. 開発の余力を作り、信頼を貯める ● オフショア・業務委託に入ってもらい、開発力を増強。 ● マイナスを0にする取り組みを継続的に実施し、信頼を貯める。 ○ 不具合の根本修正 ○ 管理画面の整備 ● エンジニアが要望を吸い上げる会議に参加したり、 気軽に要望が投げられるSlackチャンネルを設置 余力を作る信頼を得る
2. アドバイザーを入れ、既存の枠組みを揉む余力を作る ● 社外メンバーが入ることで、議論のバランスが取れた。 ● 「全社でアジャイル」の経験は無い中で引き受けていただきましたが、いつも一緒に悩んでいただいて感謝しています。 ● 角谷さんの経験を聞くことで、自分達の課題が普遍的で難しいことにチャレンジしているのだと再認識できる。 2021年9月から月1〜2程度の壁打ちを定期開催させてもらっています余力を作る
3. 開発方針をすり合わせ続ける ● プロダクト・事業にとってあるべき姿を描いた上で、 大まかな優先順位や、いつ開発に着手するのかを摺合せていく。 ○ 毎週・隔週・毎月・毎四半期・・・ ○ PdM、EM、営業企画、事業企画など巻き込み進めていく ● 会話の機会がすごく増えた。 ● 結果に結びついているかでいうとまだ… 目的を揃える
4. 同じ数字・同じ目標を追える枠組みを作る 目的を揃える● 「共通目標を定め、全職種が意識する」では無い。 ● 職種(開発・企画・営業)や利害関係(ユーザー)を超えて、意識できる目標を置く。 ● 目標の作り方より、ビジネススキームや組織体制の問題。
5. 同じ情報を持てるための仕組み 学びやノウハウを共有する社内勉強会 定量・定性分析の民主化● ユーザーインタビューのオペレーションのフロー化● Big Queryを活用したデータ分析のためのトレーニングhttps://note.com/tnkdaito/n/n8f8017352ddb考え方を揃える
6. 全体のボトルネックを明確にする ・バリューストリームマップを一緒に描く ・小さくリリースしていきたいことを何度も伝える 考え方を揃える
7. 握っていたコントロールを渡してしまう 開発期日ユーザー課題リリース日開発優先順位● お互いが「自分達の業務をコントロールできている」と思える状況を作る。 行動を変える
8. 開発を伴わないユーザーインタビュー ソリューション案(解像度低いやつ)を洗い出して営業資料に落とし込み、提案を行いながら課題の大きさについて検証する。行動を変える
9. 共通の価値観を持つためのレゴスクラム研修の実施 CFO採用営業開発IR・経営企画室室長レゴで街をつくろう!スクラム開発の解像度をあげるレゴスクラム研修文化を広げる
【再掲】打ち手の順番 余力を作る信頼を得る目的を揃える文化を広げる考え方を揃える行動を変える※実際はいろんな打ち手に並行して取り組みましたが、再現性を持たせるために整理するとこんな順番になるかと
最初の一歩を踏み出すあなたへ
Photo by Kevin Chen on Unsplash「時間」「理解」「権限」はまだ足りないが、現場をよりよくしていきたいあなたへ・・・ 1番大事なものは「具体的に目的を揃える」です 目的さえ揃っていればいつでも立ち戻れますし、周囲を巻き込んでいくときの強い道標になります。 最初の一歩を踏み出すあなたへ
まとめ
まとめ Photo by Hannah Busing on Unsplash● 一朝一夕にはできない。 ● 「覚悟」「根気」に加え、「余力」が必要。 ● 目的や考え方を揃えていく。 ● 人ではなく構造や仕組みに働きかけていく。 ● 目的が一番大事。アジャイルは目的では無い。