Upgrade to Pro
— share decks privately, control downloads, hide ads and more …
Speaker Deck
Features
Speaker Deck
PRO
Sign in
Sign up for free
Search
Search
チームの状態を「即興性」の視点からふりかえってみよう
Search
Takao Utsumi
April 07, 2023
Education
0
1.7k
チームの状態を「即興性」の視点からふりかえってみよう
ふりかえりカンファレンス2023
https://confengine.com/conferences/furikaeri-conference-2023/proposal/18204
Takao Utsumi
April 07, 2023
Tweet
Share
Other Decks in Education
See All in Education
1113
cbtlibrary
0
260
コンセプトシェアハウス講演資料
uchinomasahiro
0
390
Human Perception and Cognition - Lecture 4 - Human-Computer Interaction (1023841ANR)
signer
PRO
0
720
お仕事図鑑pitchトーク
tetsuyaooooo
0
2.3k
Design Guidelines and Models - Lecture 5 - Human-Computer Interaction (1023841ANR)
signer
PRO
0
690
Stratégie de marketing digital - les fondamentaux
martine
0
100
H5P-työkalut
matleenalaakso
4
36k
脳卒中になってしまった さあ、どうする
japanstrokeassociation
0
730
20241004_Microsoft認定資格のFundamentals全部取ってみた
ponponmikankan
2
340
HCL Domino 14.0 AutoUpdate を試してみた
harunakano
0
1.8k
CompTIA Security+ SY0-601 Resumo
mariliarochas
2
2.6k
1106
cbtlibrary
0
420
Featured
See All Featured
5 minutes of I Can Smell Your CMS
philhawksworth
202
19k
Imperfection Machines: The Place of Print at Facebook
scottboms
265
13k
The Art of Delivering Value - GDevCon NA Keynote
reverentgeek
8
1k
jQuery: Nuts, Bolts and Bling
dougneiner
61
7.5k
Sharpening the Axe: The Primacy of Toolmaking
bcantrill
38
1.8k
I Don’t Have Time: Getting Over the Fear to Launch Your Podcast
jcasabona
28
2k
The Pragmatic Product Professional
lauravandoore
31
6.3k
JavaScript: Past, Present, and Future - NDC Porto 2020
reverentgeek
47
5k
Done Done
chrislema
181
16k
Side Projects
sachag
452
42k
Making the Leap to Tech Lead
cromwellryan
133
8.9k
How to Think Like a Performance Engineer
csswizardry
20
1.1k
Transcript
チームの状態を「即興性」の 視点からふりかえってみよう ~素早く学習できるチームになるために~
内海隆雄 インプロバイザー Improvisation(即興)の専門家として、 人やチームの「即興性」を 引き出す仕事をしています。 インプロアカデミー代表 群馬大学非常勤講師 メディア出演:NHK『あさイチ』等
活動歴 10年以上の活動歴。 100回以上の舞台経験。 1000回以上のワークショップ経験。 アジャイル業界にはRyoさんに誘われて。 • RSGT 2022『インプロヴィゼーション ふりかえりの新世界』 • ふりかえりカンファレンス
2022『THE MAKING of インプロふりかえり』 今日の内容は「インプロとは?」「ワークショップの様子は?」よりも、 「即興性とは何か?」「そこからチームを眺めてみたらどうなるか?」について。 Photo by Takahiro Ito
今日の流れ • 15:00- 自己紹介 • 15:05- インプロとは? • 15:10- 即興性の3要素
• 15:15- 即興性が高いと何が起こるのか? • 15:20- 即興性から見るチームの8類型 • 15:30- 即興性を高めるには? • 15:40- まとめ
今日の流れ • 15:00- 自己紹介 • 15:05- インプロとは? • 15:10- 即興性の3要素
• 15:15- 即興性が高いと何が起こるのか? • 15:20- 即興性から見るチームの8類型 • 15:30- 即興性を高めるには? • 15:40- まとめ
インプロとは? Improvisation = 即興 即興演劇:台本のない中で お互いを受け入れあい 表現しあいながら ストーリーを生み出していく パフォーマンス。
インプロの展開 俳優訓練 ↓舞台にしても面白いのでは? 舞台表現 ↓一般の人にも役立つのでは? 一般教育 スクール・学校教育・企業研修 Keith Johnstone(1933~2023)
インプロの基本思想 「大人は萎縮した子供」 Keith Johnstone 人は本来即興できる。実際、子供達は自然に歌ったり踊ったり演じたりし ている。しかし、大人になるにつれて評価や対立や失敗を恐れるようにな り、即興(表現・コミュニケーション・チャレンジ)できなくなる。
心理的安全性も恐れを扱うもの 心理的安全性の定義(他の定義もある) "A shared belief held by members of a
team that the team is safe for interpersonal risk taking." 「このチームでは対人関係のリスクをとっても 安心であるという、チームメンバーに共有された信念」
これを見た内海「インプロの話……⁉」 対人関係のリスクとは 「無知」だと思われるリスク 質問や相談をすると、「そんなことも知ら ないのか」と思われるかもしれない。 「無能」だと思われるリスク 失敗や間違いを認めると、「そんなことも できないのか」と思われるかもしれない。 「邪魔」だと思われるリスク 新しい意見を出すと、議論の邪魔をしてい
ると思われるかもしれない。 「批判的」だと思われるリスク 率直にNoと言うと、批判をしていると思 われるかもしれない。
即興性と心理的安全性は鶏と卵の関係 心理的安全性は優しいイメージがあるので、取り入れやすいが、踏み込みづらい。 即興性は怖いイメージがあるので、取り入れづらいが、踏み込みやすい。 エイミー・エドモンドソン「それは鶏と卵の話です。心理的安全性を高めて即興 性を高めるのか、それとも即興性を高めて心理的安全性を高めるのか。答えはど ちらもイエスだと思います。どこから始めるかは問題ではありません。」 Psychological Safety. Improvisation.Science: Interview
with Amy Edmondson https://youtu.be/GSq5_mZprjg?t=990
今日の流れ • 15:00- 自己紹介 • 15:05- インプロとは? • 15:10- 即興性の3要素
• 15:15- 即興性が高いと何が起こるのか? • 15:20- 即興性から見るチームの8類型 • 15:30- 即興性を高めるには? • 15:40- まとめ
「即興性」に対するよくある誤解 • 面白いことを言うもの • 目立とうとするもの • うまいことやるもの こういう即興も無しではないが、怖くなる……。
インプロで大事にしていること • 面白いことを言うもの→自然に出てきたものを大事にする(自発性) • 目立とうとするもの→パートナーといい時間を過ごす(利他性) • うまいことやるもの→思い通りにいかないことを楽しむ(挑戦性) 「ちゃんとやろう」を手放していく学び。 そうしたら即興性が引き出される。
理想は • 自発性 • 利他性 • 挑戦性 の3要素全てが発揮されている状態。 挑戦性 即興性の3要素
利他性 自発性
「思ったことが言えている」 「直感に従えている」 • まとまっていないことでも 思ったことが言えていますか? • 好奇心を発揮できていますか? 挑戦性 自発性とは? 利他性
自発性
「思いやりがある」 「パートナーをインスパイア」 (パートナー=仲間) • パートナーを助けていますか? • パートナーの目を輝かせていますか? ※「話を聞いている」だけでは不十分。 挑戦性 利他性とは?
自発性 利他性
「リスクを取れている」 「コントロールを手放している」 • 不安定さに飛び込んでいますか? • 失敗をオープンにできていますか? ※「チャレンジしている」は曖昧。 挑戦性とは? 利他性 自発性
挑戦性
今日の流れ • 15:00- 自己紹介 • 15:05- インプロとは? • 15:10- 即興性の3要素
• 15:15- 即興性が高いと何が起こるのか? • 15:20- 即興性から見るチームの8類型 • 15:30- 即興性を高めるには? • 15:40- まとめ
好奇心と信頼と喜びを持って 未知に対して踏み込めるチーム。 「分からない」からやってみよう。 「難しいから」やりがいがある。 挑戦性 即興性が高いチームの特徴 利他性 自発性
即興性が高いチームは学習が起こる 即興性が高いチームはすぐに実験する。 その結果、素早い学習が起こる。 直接成果を出すわけではない。 むしろ失敗も増える。 「即興性は成功を約束はしないが、成長を約束する」
補足:心理的安全性も同じ構造 エイミー・C・エドモンドソン 「心理的安全性 対人関係構築の歴史、復興、未来」 『看護管理 Vol.31 No.05 2021』p.374
今日の流れ • 15:00- 自己紹介 • 15:05- インプロとは? • 15:10- 即興性の3要素
• 15:15- 即興性が高いと何が起こるのか? • 15:20- 即興性から見るチームの8類型 • 15:30- 即興性を高めるには? • 15:40- まとめ
即興性の3要素の重なりから チームを8つに類型化する。 あなたのチームはどれに近い……? 挑戦性 即興性から見るチームの8類型 利他性 自発性
自発性も利他性も挑戦性もない。 上から言われたことを ただこなすだけのチーム。 必要な成果は出ている場合もあるが、 働き甲斐としてはけっこう厳しい。 挑戦性 1. 萎縮したチーム 利他性 自発性
自発性だけあるチーム お互いやりたいことはやっている けれど、特に相乗効果は無い。 これでいい場合もあるが、 チームというよりもグループに近い。 挑戦性 2. 寄り合い所帯 利他性 自発性
利他性だけあるチーム 思いやりはあるけれど、 お互い思ったことは言えていない。 日本人の初対面はこうなりがち。 ここからどう他を引き出していくか。 挑戦性 3. 遠慮の塊 利他性 自発性
挑戦性だけあるチーム とにかくリスクを取ることが かっこいいと思っている。 迷惑系YouTuberみたいな感じ。 ある意味貴重な存在。 挑戦性 4. 無謀集団 利他性 自発性
自発性と利他性がある。 思ったことを言い合えるし、 思いやりもある居心地のいいチーム。 ただし新しいことは生まれない。 これが心理的安全性と誤解されがち。 挑戦性 5. 仲良しグループ 利他性 自発性
自発性と挑戦性がある。 思ったことは言い合えているし、 新しいことへの挑戦もしている。 ただし人を選ぶ。 立ち上げ期のベンチャーでありそう。 挑戦性 6. アグレッシブカルチャー 利他性 自発性
利他性と挑戦性がある。 思いやりはあるし、 新しい挑戦もしている。 しかしイキイキはしていないので、 長くは続かない。 挑戦性 7. 生真面目委員会 利他性 自発性
自発性も利他性も挑戦性もある。 全員で夢中になっている状態。 全てがあるけど、何もない感覚かも。 常にここにいるのは不可能。 自分たちの位置を知って調整していく。 挑戦性 8. 恐れのないチーム 利他性 自発性
恐れのないチームにならないといけない、わけではない 「5. 仲良しグループ」で十分な安定的チームもあるかも。 「6. アグレッシブカルチャー」で走り切るしかない時期もあるかも。 「4. 無謀集団」が現実を知ってブレイクする可能性もあるかも。 「2. 寄り合い所帯」で構わない集団もあるかも。 ただし、自分のチームの現状と理想を知っておくことは必要。
話し合ってみよう! 「今の自分(たち)はどこ?」 「どこに向かいたい?」 それぞれの数値を出し合うのもOK。 例:自発性70/利他性50/挑戦性30 挑戦性 利他性 自発性
今日の流れ • 15:00- 自己紹介 • 15:05- インプロとは? • 15:10- 即興性の3要素
• 15:15- 即興性が高いと何が起こるのか? • 15:20- 即興性から見るチームの8類型 • 15:30- 即興性を高めるには? • 15:40- まとめ
即興性を高めるには? インプロには 1. 考え方(理論) 2. ゲーム(実践) が存在する。 ワークショップではこの両輪を回していくが、 今回は考え方(理論)を紹介。 おまけに「明日からできること」も。
自発性を高めるには? 自発性が下がる要因:評価への恐れ 「こんなこと言ったらどう思われるだろう?」 1. 自己検閲に気づく 2. 自己検閲を弱めてみる 3. それを受け止めあう 明日からできること:検閲どれくらいある?(0~100)で話し合ってみる。
利他性を高めるには? 利他性が下がる要因:対立への恐れ 「こんなことしたら迷惑かもしれない……」 1. 相手を見る・聞く・知る! 2. プレゼント(比喩)する 3. フィードバックをもらう 明日からできること:嬉しい・困ることを聞きあう。アプリシエーション。
挑戦性を高めるには? 挑戦性が下がる要因:失敗への恐れ 「やってうまくいかなかったらどうしよう……」 1. 安全に失敗できる領域をつくる(例:Pixarの短編映画) 2. 実際にチャレンジする 3. 失敗を素早くオープンにする 明日からできること:失敗できる領域を話し合う。
それぞれにポジティブな感情がないと続かない 1. 思ったことを言う→気持ちいい 2. パートナーをインスパイアする→楽しい 3. チャレンジして失敗をオープンにする→面白い 「望ましい行動」と「喜び(Joy)」を結びつけるのが ファシリテーターの腕の見せどころ。
内海、呼べるってよ • チームの状態を見てほしい • 自発性・利他性・挑戦性それぞれの状態を体験したい(ワークショップ) • 変化が出るまで伴走してほしい(インプロコーチング) 内海隆雄 Twitter:@utsumit
[email protected]
今日の流れ • 15:00- 自己紹介 • 15:05- インプロとは? • 15:10- 即興性の3要素
• 15:15- 即興性が高いと何が起こるのか? • 15:20- 即興性から見るチームの8類型 • 15:30- 即興性を高めるには? • 15:40- まとめ
まとめ • 15:00- 自己紹介 • 15:05- インプロとは?→大人は萎縮した子供 • 15:10- 即興性の3要素→自発性・利他性・挑戦性
• 15:15- 即興性が高いと何が起こるのか?→素早い学習が起こる • 15:20- 即興性から見るチームの8類型→現状と理想を知ろう • 15:30- 即興性を高めるには?→それぞれの要素と喜びを結びつける • 15:40- まとめ
チームの状態を「即興性」の 視点からふりかえってみよう ~素早く学習できるチームになるために~