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金研究室 勉強会 『MyShake: A smartphone seismic network for earthquake early warning and beyond』

winnie279
March 12, 2021

金研究室 勉強会 『MyShake: A smartphone seismic network for earthquake early warning and beyond』

MyShake: A smartphone seismic network for earthquake early warning and beyond, Kong et al., 2016, Science Advances

winnie279

March 12, 2021
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  1. MyShake: A smartphone seismic network for earthquake early warning and

    beyond Kong et al. (2016), Science Advances 金研 機械学習勉強会 第2回 2021/03/12 中村勇士
  2. MyShakeとは? • 地震検出 ◦ スマホの振動が地震 , ノイズのどちらかを検出 ◦ アプリ上で検出 ◦

    スマホで動作する、軽い 3層のニューラルネットワーク( ANN)を利用 • 中央システム ◦ Centralized processing center (CPC) ◦ アプリが地震のデータ等を CPCに送信 ◦ CPCが複数のデータを元に、地震の発生を確認 ◦ マグニチュード, 地震発生時刻などの情報を推定 • EEW ◦ 推定した地震情報を元に、アプリユーザーの位置が揺れる時刻と強さを推定 ◦ EEWを送信
  3. 他プロジェクトの課題点 • 建物にコンピュータを設置する地震検出ネットワーク ◦ ユーザーにハードウェアを渡す必要あり → スマホにアプリをインストールするだけで良い • スマホのGPSを使用した地震検出システム ◦

    専用のスマホが必要 , 個人のスマホは使えない → 個人のスマホを使える • Twitterを使用した地震検出システム ◦ 「地震」という単語が含まれたツイートの時系列を使用して地震を特定 → 時系列がより正確 • 個人による地震の揺れや損傷のレポートシステム(Did You Feel It) ◦ レポートが個人の主観に依存 → センサーを使用し、正確な情報を得られる
  4. 記録可能な地震の検証 • スマホのノイズを計測 • スマホの条件 ◦ 場所:静かな地下室 ◦ 期間:1ヶ月 ◦

    機種:Android ◦ ノイズ: ▪ スマホ内部 ▪ 地下室 • 地震の条件 ◦ M:  2.5 ~ 7.5 ◦ 範囲:10 km以内 • 結果 ◦ 1 ~ 10 Hz, M5 ~ で 感度が高い ◦ 新しいスマホほど 精度が高い
  5. 地震記録の正確性の検証 • 机上にスマホをおき、テーブルを振動させる ◦ 最大加速度0.5gの3次元(3D)振動 ◦ 赤:テーブル ◦ 青:スマホ •

    結果 ◦ A:スマホとテーブルの波形は非常に似ている ◦ B:スマホの周波数応答は 0.5 ~ 10 Hzで良好
  6. 地震記録の正確性の検証 • 1成分(1D)のテーブル振動試験 ◦ Sweep signal (0.5 ~ 7 Hz):

    振幅と周波数を徐々に増加させる ◦ 2パターンのスマホで検証 ▪ テーブルに固定 ▪ テーブルに固定せず、動く • 結果 ◦ ~ 0.3 g, ~ 3 Hz: ▪ スマホは動かない ◦ 0.3 g ~, 3 Hz ~: ▪ 周波数成分は同じ ▪ 振幅のピークに上限が存在 → 記録されるデータに上限が存在 → 後ほど解決策あり
  7. 地震判定モデル • 3層の軽いニューラルネットワーク(ANN) ◦ 入力層:3つのノード ◦ 中間層:5つのノード ◦ 出力層:1つのノード ◦

    Inputは3つのパラメータをあらかじめ抽出 • データ ◦ 10秒間の地震波形 ◦ 2秒間のTime windowを1秒ずつずらして評価
  8. 地震判定モデル • Input ◦ 18のパラメータを検証 → 3つのパラメータ ◦ IQR:加速度ベクトル和の四分位範囲 →

    振幅の中央50%の範囲 ◦ ZC:最大ゼロ交差率 → 波形の中央と交差する回数 ◦ CAV:加速度ベクトル和の累積絶対速度 → ウィンドウ内の振幅の累積値 • 学習 ◦ 日本の従来のネットワークからの地震データ ◦ MyShake自身が収集したデータ ◦ テーブル振動試験からのデータ .
  9. 地震判定モデル • 地震: ◦ 中振幅, 高周波数 • ノイズ: ◦ 高振幅,

    低周波数 ◦ 超低振幅, 高周波数 • IQR:振幅の測定値 • ZC:周波数の測定値 • CAVの存在により精度が上昇 赤:地震 青:ノイズ
  10. Centralized processing center (CPC) • スマホが地震を検出 → データをCPCに送信 ◦ 検出に使用したデータ

    ◦ 検出の1分前から4分後までの波形データ ◦ スマホの位置 ◦ 検出時刻 • CPCの目的 ◦ 地震が進行中であるか確認 ◦ スマホのデータを元に地震のパラメータを推定 • 地震の推定 → ユーザーの位置が揺れる時刻と強さを推定 ◦ 地震の進行確認:半径 10 km以内の範囲のうち60%のスマホが地震を検出 ◦ 地震発生時刻: スマホの検出時刻のうち最も早いもの ◦ 震源地:    半径10 km以内にある、地震を検出したスマホの重心 ◦ マグニチュード:
  11. Centralized processing center (CPC) • マグニチュードの推定 ◦ 青:各スマホにおける推定マグニチュード ◦ 赤:全スマホの平均による推定マグニ

    チュード • 結果 ◦ 青:誤差はほぼ1マグニチュード以内 ◦ 赤:誤差はすべて1マグニチュード以内 → スマホの数が増えるほど   誤差が少なくなる ◦ 記録されるデータに上限が存在する ため、注意が必要 → 従来の観測点の情報があることで   より正確な推定が可能 ± M1
  12. Centralized processing center (CPC) • M5.1 ラハブラ地震(2014)でのマグニチュードの推定 ◦ 放射状に地震が検出されている •

    誤差 ◦ マグニチュード:0.1 ◦ 地震発生時刻: 1.7 s ◦ 震央:     3.8 km → ShakeAlert / ElarmS   EEWシステムと同様の   パフォーマンス → スマホの数の増加により   より早い地震検出が可能 • パークフィールド地震(2014)でのマグニチュードの推定
  13. 議論 • MyShakeはスマートフォンベースの地震ネットワークであり、EEWを提供できる可 能性がある ◦ 従来の地震ネットワークが存在しない地域での提供 • 都市環境での地震波系を提供できる可能性がある ◦ 建築物への影響などに関する情報を提供できる

    • 数十億台存在する、個人のスマホ向けに設計されている • 従来の観測点の情報があることで、より正確な推定が可能になる ◦ 反対に、従来の地震ネットワークが MyShakeから利益を得る可能性がある
  14. まとめ • 個人のスマホを活用し、地震ネットワークを構築 ◦ EEWを提供可能 • 3層の軽いANN ◦ あらかじめ特徴量を抽出することで、軽いネットワークを構築可能 •

    CPCにデータを集約し、地震のパラメータを推定 ◦ 地震とノイズの分類が正しいか確認 ◦ ユーザーの位置が揺れる時刻と強さを推定 → EEW • スマホの地震検知は実用可能な正確性である ◦ 従来の地震ネットワークを活用することでより正確な推定が可能
  15. MATERIALS AND METHODS • Data collection MyShakeアプリケーションは、この調査で使用されたすべてのスマートフォンデータを収集するために使用されました。加速度データを記録するために Android携帯にインストールす ることができます。ノイズフロアテストとシェイクテーブルテストでは、 MyShakeは継続的に記録し、電話にローカルにデータを保存しました。人間の活動データはトリガーベースの方

    法を使用して記録され、電話がペーパーで説明したトリガーを満たしたときに 5分間のデータが収集されました(詳細については補足資料を参照してください)。 • Noise floor test ノイズフロアテストは、バークレーキャンパスの静かな地下室にスマートフォンを置いて実施しました。電話は毎秒 50サンプルで1ヶ月間継続的に記録しました。ノイズフロアの計算に 使用される方法(図 1)は、McNamara and Buland(17)によって説明されているとおりです。 • Shake table test 振動台試験は太平洋地震工学研究センターで実施されました。シェイクテーブルが地震をシミュレートしたとき、電話は毎秒 50サンプルで連続的に記録しました。振動台にも取り付け られた高品質の基準加速度計が基準トレースを提供しました。次に、電話と基準加速度計からの録音を時間領域と周波数領域の両方で比較しました。テスト中、一部の電話はシェイ クテーブルにボルトで固定されましたが、残りの電話はテーブルに自由に配置されました。 • Single phone detection algorithm design 電話で実行される地震検出アルゴリズムは、過去の地震データ(従来の地震ネットワークからのものですが、電話のような品質に変更されています)、シェイクテーブルデータ、および スマートフォンに記録された人間の活動データを使用して設計されました。 ANNを使用してアルゴリズムを設計し、地震と人間の活動を区別しました。データの処理と手順について は、補足資料で詳しく説明しています。 • Network detection algorithm design ネットワーク検出アルゴリズムは、現在の ElarmS-2手法に基づいて設計されています( 22)。アクティブな電話からのトリガーの時間的および空間的クラスターを検索します。シミュ レートされた地震データとシミュレートされたトリガーデータの両方でアルゴリズムをテストしました(詳細については、補足資料を参照してください)。