LIFULLアジェンダ-社会課題の発⾒と解決に向けた研究開発活動の紹介-株式会社LIFULL AI戦略室 主席研究員清⽥ 陽司C o p y r i g h t © L I F U L L A l l R i g h t s R e s e r v e d .第 1 8 回 A R G W e b イ ン テ リ ジ ェ ン ス と イ ン タ ラ ク シ ョ ン 研 究 会株 式 会 社 L I F U L L 技 術 報 告2 0 2 2 . 1 1 . 2 5
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清⽥ 陽司 博⼠(情報学)株式会社LIFULL AI戦略室 主席研究員兼 東京⼤学空間情報科学研究センター 客員研究員1975年 福岡県⽣まれ2004年 京都⼤学⼤学院情報学研究科 博⼠課程修了2004-2012年 東京⼤学情報基盤センター 助⼿・助教・特任講師2007-2011年 株式会社リッテル 上席研究員・取締役CTO2011年 株式会社LIFULL 主席研究員(バイアウト)関⼼分野: ⾃然⾔語処理応⽤ → 検索・推薦→ 情報リテラシー (図書館) → ⽣活領域 (不動産、介護 etc.)、産学連携主な対外的活動• ⼈⼯知能学会 理事/編集委員⻑ (2020.6〜2022.6)• 情報科学技術協会(INFOSTA)理事 (2020.6〜) 会⻑ (2022.7〜)• 情報処理学会データベースシステム研究会 運営委員 (2020.4〜)• 情報処理学会 ユビキタスコンピューティング研究会 幹事 (2020.4〜)
国内最⼤級の不動産・住宅情報サイト暮らしに密着したさまざまな情報サービス (引越, トランクルーム,介護, etc.)世界約60カ国向けに展開する住宅・中古⾞・求職などのアグリゲーションサイト(本社: スペイン バルセロナ)LIFULLグループのサービス群
LIFULL AI戦略室
LIFULLアジェンダのご紹介
LIFULL VISION 2025
信頼できる不動産データベースの整備
空室(売物件)オーナー(売主)指定流通機構(REINS)不動産管理会社(売⼿媒介)不動産仲介会社物件情報コンバーター運営会社不動産ポータル運営会社借主(買主)(1)(2)(3)(4)(5)(6)(7)物件情報の棟寄せ・⼾寄せ問題
物件情報精度向上の試み• 情報の誤りの機械学習による検出• 他社と同⼀の物件情報だと思われる場合は、是正を促す• 画像なども棟寄せ・⼾寄せの⼿がかりとなる• 表記揺れなどを吸収したマッチング• 住所表記(○○町3丁⽬2-5 ⇔ ○○町3-2-5)• 物件名(△△APARTMENT 1番館 ⇔ △△アパートメント壱番館)• …
レコード同定(record linkage)• 図書⽬録の典拠管理(18世紀〜)• 「ウィリアム・シェイクスピア」「Shakespeare,William」「沙⼠⽐阿」を同⼀著者として扱う• 個⼈のレコード同定⽅法の提案 [Dunn 46]• 疫学調査のため、出⽣から死亡までの⼀貫した記録管理が必要とされた• レコード同定の数学的定義 [Newcombe 59, Fellegi69]
提案⼿法のフロー
物件間相違度の閾値による適合率-再現率グラフ
空き家問題とビッグデータ活⽤
出典: https://local.lifull.jp/
出典: 総務省平成30年住宅・⼟地統計調査
空き家問題の全貌は誰も知らない• そもそも「空き家」の定義は?• 住⺠票が置かれていれば「空き家」ではない?• 住⺠が介護施設に⼊居中の場合はカウントする?• ⺠泊で貸出している物件は「空き家」なのか?• 地⽅⾃治体でさえ、空き家発⽣状況は把握が困難
研究⽬的磐梯町では、2020年度に町内全域の空き家実態調査を実施。単⾝⾼齢者、⾼齢者夫婦世帯が増加する中、変化する空き家の発⽣状況を把握するための施策がなく、空き家は放置すれば放置するほど、家屋の状態が悪化する。そのため、可能な限り早く空き家を特定し、活⽤に結びつけていくことが重要である。
研究のポイントA.空き家の抽出• ⽔道使⽤量のデータを⽤いることで空き家(予備軍含む)を抽出できるか。• 空き家調査結果との⽐較を通じて、空き家調査では捕捉しきれていない予備軍を抽出。B.空き家活⽤に向けた情報統合• ⽔道使⽤量・固定資産台帳・住⺠基本台帳を結合し、活⽤に向けた「所有者や連絡対象者となる⼈を特定するための」基本的な情報の収集。
空き家の定義空き家/⾮空き家を判定する⽔道使⽤量の⽬安・⼀⼈世帯⽉⽔道使⽤量は約8.2m³* ⇒年間約100m³・仮に、10m³/⽉未満として閾値を設定
突合したリストの⽔道使⽤量に基づく空き家判定結果
追加調査による検証追加調査⽅法• 磐梯町の個別調査(30件)およびアンケート調査(30件)で、60件を調査• 外観⽬視で⾮空き家と判定したが、今回の⽔道使⽤量に基づく簡易的なモデルで空き家と予測した物件では、空き家の適合率は68.4%• 調査できた38件のうち、空き家26件、⾮空き家12件
空き家所有者のアンケート結果• アンケート調査の回答率は26.7%で、回答の対象物件は全て空き家• 所有者の約6割が「現地まで通うことが⼤変」と回答• 使⽤⽬的:「墓参りや仏壇を拝むため」が6割• 空き家物件を「⼿放すことは考えていない」「将来住みたいと考えている」と回答した所有者は約4割• ⼀⽅、約4割の空き家所有者は「売却・賃貸・解体を考えている」と回答
研究のまとめ• 外観⽬視(2020年度に実施した空き家実態調査)で空き家と判定した結果と⽐較すると、今回の⽔道使⽤量に基づく簡易的なモデルは、空き家の再現率が82.6%• 外観⽬視・⽔道使⽤量で、「空き家」の定義を拡⼤することで、全体の住所から空き家予備軍を追加で8〜17%程度抽出できる• 追加調査の結果、⽔道使⽤量に基づく簡易的なモデルでの空き家の適合率は8.4%