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チームがどうなったら良くなるか本読んで考えてみた

 チームがどうなったら良くなるか本読んで考えてみた

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ymstshinichiro

October 24, 2019
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  1. whoami? 2 ▪ @ShinichiroYmst a.k.a ぴーやま ▪ 略歴 - 某メーカーで4年電気系のエンジニア

    - 10年ぐらいコーヒー屋としてプラプラする - SIerに転職、約1年で離脱 - Web系に転職、この職場では大いに学びを得たが キャリアを検討した結果約 1年で離脱 - フリーランス転身、チームに課題感を覚える - 六本木の新たな現場へ  <- イマココ ▪ メインは RoR, 主にサーバーサイド。たまに Vue.js
  2. 前々職での経験 (広告配信) - 前々職では本当にいろんなことを学ばせてもらった (案件はWeb広告) - ものすごい技術力のある会社、というわけではなかったが、 - 個別にはレベルの高い人がいた -

    レベルの高低に関係なく、「なんかやったるぞ!」という気概のある人が多かった - お客さんが本当に良い人だった - トラブルを一緒に解決していく中でたくさん学ばせていただいた - 技術だけでなく進行管理とか打ち合わせのまとめ方、体制作りなども 4 全員のモチベーションが高く、 「目標を決めて、マイルストーン達成しながらやっていくぞ!」 というのは当たり前だと思ってた。(かつ、そのために自発的に学び、行動する) このようにとても恵まれた職場だったのですが、別の事情でフリーに転身することを決意。
  3. 前職 (ヘルスケア関連) - 大手事業会社 (web寄りではあるが、技術の会社って感じではない) - マネージャー曰く「自律的なチームになるのを目指している」とのことだが ... - 実際にはただの放置プレイで、スクラムの基本すらできてない

    - 言われたPBIをやるだけ、スクラムイベントもまちまち開催、コミットできてない .... - チームとしての目標も特に決まってない - 行動しないメンバーが多い - 勤怠ちゃんとしてないし、手もあんまり動いてない - 「勉強会やりたいっすねー」と言うが、日時は設定しない (-> ので、自分が率先して設定 ) - 設定しても資料は作ってこない、聞くだけ - 立ち上げ時だけ参画してた実力のあるエンジニアが作った設計実装に乗っかってる 5 着任早々、前々職との大きなギャップを如実に感じ取る。と同時に、 前の現場では自然に存在していた「チームの一体感」ってどうやったら生まれ るのか? というテーマに興味が湧いてきたので学ぶことに。 (スクラムやアジャイルについてまだまだ理解が足りないという自分の中の課題感もあった )
  4. FIND YOUR WHY あなたとチームを強くす るシンプルな方法 サイモン・シネック 7 https://www.amazon.co.jp/dp/B07N79GTTQ/ 人にも組織にも、自分自身を表現するたった一つの「 WHY」がある、という

    考えを生み出した著者が、それを見つけ出すための概論と実践方法につ いてまとめた一冊。 ❖ 正直、これが完璧に実践できれば他はいらない思えるぐらい強力 ➢ 「WHY」という概念が何なのか、元となった「 WHYから始めよ!」よりも具体的で理解し やすい ❖ 何をやるかではなく、なぜそれをやるのかにフォーカスする ➢ 自分は何をやりたいのか?と常に自問自答 -> 視野の展開、モチベに繋がる ➢ ゴールデンサークルはクリーンアーキテクチャに近い感覚 ▪ WHY(最重要ビジネスルール), HOW(インターフェース), WHAT(実装) と置き換えられるような気が する おすすめポイント
  5. WHYから 始めよ! サイモン・シネック 8 https://www.amazon.co.jp/dp/4532317673/ 人々を動かすのは 「操作 - manipulation」ではなく、「鼓舞 -

    inspiration」である。時代を変 えた本物のリーダーがもつ「WHY」とは何なのかについて語られた一冊。 ❖ 前述の「FIND YOUR WHY」よりも先に出版された本。こちらの方がより抽 象的な概念を語っている。 ➢ 事例とエピソードの例はこちらの方が多め ➢ 2冊どちらも読むと、 WHYへの理解がかなり深くなるのでおすすめ ❖ 組織論やマネジメントの本を読んでいると引用されているのを頻繁に見かけるので、相 当広い範囲に影響を与えた考え方なのだと思う ➢ TED動画もあるので検索してみてください おすすめポイント
  6. 失敗の本質 日本軍の組織論的研究 戸部良一 寺本義也 鎌田伸一 杉之尾孝生 村井友秀 野中郁次郎 9 https://www.amazon.co.jp/dp/4122018331/

    ノモンハン事件・ミッドウェー作戦・ガダルカナル作戦・インパール作戦・レイテ沖海戦・沖縄戦と、第 二次世界大戦前後の「大日本帝国の主要な失敗策」を通じ、日本軍が敗戦した原因を追究すると同 時に、歴史研究と組織論を組み合わせたノモンハン事件・太平洋戦争の学際的研究書。 ❖ 組織におけるアンチパターンの本質 が語られている ➢ 「どこの組織にもありそうな些細なすれ違い」は、突き詰めると「戦争に負ける」というこ とに繋がるということに震えた。 ▪ 連絡が取れていない、忖度、目的のすれ違い、不確実な状況への適応 ,,,, ▪ アジャイルに繋がる部分がたくさんある ❖ 戦争があったのは 1930-40年代、この本の初版は 1984年 ➢ もっと言えば人類は紀元前から戦争してる ➢ テクノロジーはめっちゃ進化したが、人類はソクラテスの頃と一緒 ➢ 人間の本質は変わっていない。過去の事例にはたくさんの学びがある ことを実感 おすすめポイント
  7. 失敗の本質 日本軍の組織論的研究 戸部良一 寺本義也 鎌田伸一 杉之尾孝生 村井友秀 野中郁次郎 10 -

    他社にあって自社にない機能を、競合に追いつくために実装する というPBIがあって、 - 1スプリント使って実装はできた - いざ、ステークホルダーも入れてレビューしてみると - 見た目や機能は満足していて、概ね好評 - が、議論する中で出た企画側からのコメント - 「これって、そもそも最終的にユーザーの行動にはどう繋がるの? 」 我々が本当に実現したいことは、 「他社の機能を模倣する」ではなく「ユーザーの行動を喚起する」は ずなのに、それを見失っていた 。 最初に目的をきちんと掘り下げていないと、無駄な事に工数を使ってしまう というのを身をもって経験 した。 (ちなみに、このPBIが降りてきた原因は「営業がシェア獲得する武器が欲しい」というもの。一時的にはそれでいいか もしれないが、後述するカスタマーサクセスの観点での掘り下げも不足していると言わざるを得ない ) 自分が実際に経験したこと
  8. 正しいものを 正しくつくる 市谷聡啓 11 https://www.amazon.co.jp//dp/4802511191/ ただ単にアジャイル、スクラムという文脈をなぞって開発するだけでは、「間違ったものを 正しくつくる」という状況に陥ってしまう。そうならないために我々はどうすべきか、というこ とを著者の実体験を元に語られた一冊。 ❖ 「プロダクトオーナー」というのは理想の概念で現実には存在しない

    というの完全に同意 ➢ プロダクトに必要なものを全て理解し、どういう条件で PBIを作って受け入れ、優先度を判断し、ビ ジネスサイドとの調整も行う。。。無理に決まっとる ➢ そもそもプロダクトはなぜ存在し、何を必要としているのかは開発チームの外側にある ▪ 社会、ユーザー、顧客、ステークホルダー、、、 ❖ 本当に納得してプロダクト開発するためには、 あらゆる境界を越えてプロダクトに必要なものは何なのか?を 検証していく必要がある 。そのために必要な知識を得るための一冊。 ➢ ここまでやれるようになってようやく「アジャイル」なのではないか、と思う。 このスライドを見るだけでだいぶエッセンスが得られる -> https://www.slideshare.net/papanda/ss-66082690 おすすめポイント
  9. 正しいものを 正しくつくる 市谷聡啓 12 - 開発は進めたい、とは言え社内の諸々の事情で簡単に PBIを切れない、という状況 - ひとまずバックエンドだけ先行して実装しましょうということに -

    諸々出来上がってフロントエンドどうする?ってなったとこで、結局実現したいことと異なるのでバッ クエンドから見直すことに。。。 - 当時はPOしっかりしてよと思ったが、チームで POを手助けできてなかったことや、 POの外側にある 制約に手を出していなかったのが本当の問題だったと後で気づいた - POが時間なくて判断できないなら、開発は一旦別のタスク (リファクタリングとか )でバリューを出せ るようにするとか - POが先々の予測ができないでいるのなら、開発が判断するための材料を調査するとか PBIを待ってるだけのチームはウォーターフォールと同じだよねと最近は思う。 スクラムで本当に重要なのプロセスをきちんと踏んでいくことであって、誰がやるというロールは究極 なくてもいい。みんなで行動してみんなで解決すべきではと思っている。 自分が実際に経験したこと
  10. ティール組織 フレデリック・ラルー 13 https://www.amazon.co.jp/dp/4862762263/ これまでと異なる新しいパラダイムを持った組織構造、「進化的組織(ティール組織)」を体 現した組織が近年誕生してきている。これらについての研究をまとめた一冊。 ❖ 今回紹介する本の中で、自分的には一番インパクトがあったのがこの本 ➢ アジャイルがたどり着く究極の姿はティール組織なのでは?と思った

    ❖ ティール組織のモチーフは生命体、細胞 ➢ 個は全、全は個。フラクタルのような状態 ➢ 社長含む全員がもつ決定権がほぼ同じという究極の姿 ▪ すぐに飲み込めないかもだけどぜひ読んでほしい。本当に面白かった ➢ 既存の組織に対する見方も変わると思う ➢ IT業界ではSteamを作っている Valve Corporation が事例として挙げられている おすすめポイント
  11. 本気でゴールを達成した い人とチームのための OKR 奥田和広 14 https://www.amazon.co.jp/dp/4799324616/ リーダーに真に求められるのは目標管理(MBO - Management by

    objectives) ではなく目的 管理(OKR - Objective key results)である、という考えを元にOKRの登場した背景や具体的 な手法について平易にまとめられた一冊。 ❖ ティール組織的には、組織が個人を管理をし始めるのはアンチパターンだが、 ➢ 組織と個人の目的が一致していること というのはOKRも同じ観点 ➢ 重要なのは、個人が自分自身を管理できている こと ➢ そのような観点でこの本を読むと得られるものは大きい ➢ 「弱いチームは規律が甘い。乱れている。断言してもいい。」( by 野村克也) といった シンプルな名言なども参考になる おすすめポイント
  12. THE TEAM 5つの法則 麻野 耕司 15 https://www.amazon.co.jp/dp/4344034546/ 著者が事業として組織改革コンサルティングを進める中で、自身が属する組織改革が必要と 捉え、実現していった結果積み上がった考え方やTipsをまとめた一冊 ❖

    具体的な事象について図例を持ちながら解説してくれる ➢ 「理解しやすさ」に重点を置いている構成。飲み込みやすい ➢ 事例の切り口が面白い ➢ 扱っている要素がこなれていて、どんな組織にも何かしらの学びを発見できる部分が あると思う ➢ 誰かにアドバイスするときに、気になった部分をたまにサッと読み返すみたいな使い 方が良さそう ❖ devに限らず広い意味でのチームについて扱える内容になっているのもいい おすすめポイント
  13. カスタマー サクセス サブスクリプション時代に 求められる「顧客の成功」 10の原則 ニック・メータ 他 16 https://www.amazon.co.jp/dp/4862762603/ 売ることよりも長期的な関係をつくることが求められるサブスクリプション時代においてカギと

    なるのが「カスタマーサクセス」。受け身で顧客に対応するのではなく、データを駆使して積極 的に支援する。そのためにマーケティングはもちろん組織とマネジメントはどう変わるべきなの かを実践的に語った一冊。 ❖ 作って売れば完了という時代は終わった、ということをまず受け入れる ➢ 例えば、NETFLIXはただ単に世の映画を流すだけではいずれ飽きられるてしまうため自社コンテン ツを作る方に舵を切った ➢ 顧客が何を求め、どうすれば関係を築けるのかを考える。それを実践していくために組織のあり方 も変える必要がある ➢ 営業は売るものを欲しがる。しかし、顧客が欲しいものは「顧客自身が成功すること」 ▪ そのために必要なものは何?ということを会話できる組織になっているか ❖ 「正しいものを〜」本でも言っているが、 本当に大事なのはアウトプット (出力)ではなくアウトカ ム(成果)である おすすめポイント
  14. Joy, inc. 役職も部署もない全員主 役のマネジメント リチャード・シェリダン 17 https://www.amazon.co.jp/dp/B01N12YJO4/ 米国で最も幸せな職場と言われるメンロー・イノベーションズ社の創業者かつCEOであるリ チャード・シェリダン氏が「働く喜びの追求」を経営の柱にし、職場に喜びをもたらす知恵や経 営手法だけでなく、顧客も巻き込んでより良い製品を作り、事業を継続させる手法も惜しみなく

    紹介した一冊。 ❖ 今日紹介した本の内容全てを兼ね備えた会社の日常をまとめた一冊 、という感じ ➢ 「こんなの理想論だろ」と思っていた会社が現実に存在するという驚き ➢ 真の意味でのアジャイルを体現するとこうなる、というのを追体験できる ❖ 組織を変革できるのはトップの考え方次第なんだなと改めて思った ➢ 組織は一番上立つ人を体現したものになるという「ティール組織」の言及と完全に一致 ➢ この本の中でも「 WHYからはじめよ!」が紹介されている おすすめポイント
  15. まとめ 19 「目的が大事」というのはどの本も共通 - プロダクトの目的と自分の目的が一致 して、かつ顧客の求める価値を提供し続けることができ ればそれが一番幸せ 。そこにどれだけ近づけるか - そのためにも、チームの外側にある前提

    にも視野を広げたい トップの器量に依存する部分が大きい - どの書籍でも、トップが主導して、ボトムアップしやすくなる仕組みとビジョンを作る (+継続改善 する)というパターンがほとんど。 (言われてみれば当たり前かも ) 作れるだけのエンジニアは淘汰される時代が来るのかもしれない - 結局のところプロダクトが収益を上げられなければ解散することになる - ユーザーは何に価値を感じ、対価を支払っているのか 、技術で解決すべきポイントはどこか ? という視点を持ちたい - 不確実な状況に全員で対応する (営業〜開発まで ) 否が応でも組織は変わっていくのではないか - クラウドネイティブで育った世代が中心になってきたら、みんな既存の組織構造では働かない と思うし、自分も古い組織構造の中で働くのはいやだ - 今から未来のための組織を考えて、対応する準備を進めておく 偉そうに語ったけど自分もまだまだ全然できてないし頑張らないとなと思います。。。
  16. おまけ 知識と経験の関係 20 実際色々と読んでみると、 経験したことの背景はこういうことがあったんだな 、とか 次はこういう展開 が起きるんじゃないか? とか、実はあれとあれって同じ考え方なんじゃないか? みたいな視野の広

    がりがあった。 全く未知の分野を学ぶのもいいけど、 「今起こっている問題」の周辺を掘っていると経験と知識を掛 け合わせられるのが面白い 。 経験からしか 学ばない人 知識からしか 学ばない人 知識と経験の 両方から学ぶ人 Twitterでみた図の受け売り (オリジナルは発見できなかった ...)
  17. オチ 21 ❖ 色々学んでくうちに、営業〜開発まで直接会話できるとこでやりたくなった ➢ その時の現場で「それは無理」とマネージャー 1on1で言われる ➢ 探し始めたら結構良さそうなとこがいくつか出てきた ❖

    自分ばかり行動して、周りがついてこないのが辛くなっていった ➢ 口だけなのが一番よくないと思ってめっちゃ行動したが、 周りはそんなに変わらなかった ▪ もう少し続ければ違っていたのか? ▪ その前に自分自身のモチベーションが下がりそうになったので離れる決断をした ➢ 採用の段階で見極めるのは採用する側もされる側も難しいなあと改めて思った ▪ だからこそ、そこを改善する意味は大きそう ❖ プロダクトのWHYが(ある程度)はっきりしているところでやりたい ➢ 立場上、0->1の立ち上げは難しそう ➢ であれば、ある程度性格がはっきりしていて、かつ自分の WHYとも一致しているプロダ クトの方がやってて楽しそうだなと思った 新天地ではどうなったか、また発表できればと思います! たくさん読書したけど、結局はチームを改善するのは諦めて離れることにしました笑