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マネジャーあるいはリーダーという仕事

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November 29, 2018

 マネジャーあるいはリーダーという仕事

データ分析会社でマネジメントだけをやるってどういうことって思いますよね? 私もそう思います。
どうやってそのような志向にたどり着いたか、いまどのように考えているか、実際にどのような環境にあるか、仕事の意義などについて簡単にお話できればと思います。

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y.konya

November 29, 2018
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  1. 白金鉱業meet up vol.4 2018/11/29 紺谷 幸弘 発言および記載内容については全て2018/11/29時点における 発表者個人の見解であり、所属組織の公式見解ではございません

  2.  氏名: 紺谷 幸弘 (こんや ゆきひろ)  所属: (株) ブレインパッド

    アナリティクスサービス本部 アナリティクスサービス部長  出身: 石川県白山市(旧: 松任市)  カメラ: Ricoh-pentax (k-1 mark ii)  ちゃんとフルサイズ出てよかった  時代はフルサイズミラーレスですが…  D FA* 85mm F1.4発売を心待ちにする毎日… 2
  3.  経歴  2010/3: 大阪大学基礎工学研究科 システム創成専攻 数理統計教室 博士課程 単位取得退学 

    専門: Bootstrap法, 正規化変換, (分布関数の)漸近展開  2010/4: BPに新卒入社  2012/4: 平成24年度データ解析コンペティション 一般フリー部門 優秀賞受賞  業務外、社内有志10名程度で出場、PJリードを担当  ご参考: チーム「五反田鉱業」における データ解析コンペティションへ の挑戦の軌跡  2014/4~: Qubitalデータサイエンス出向  データサイエンス部 部長  2017/7~: 現職 3
  4.  ストレングスファインダー  上位五つ 1. 内省 2. 未来志向 3. 学習欲

    4. 収集心 5. 個別化  下位五つ 1. 調和性 2. 社交性 3. 原点思考 4. 競争性 5. 達成欲 4
  5.  ストレングスファインダー  上位五つ 1. 内省 2. 未来志向 3. 学習欲

    4. 収集心 5. 個別化  下位五つ 1. 調和性 2. 社交性 3. 原点思考 4. 競争性 5. 達成欲 一言でいうと… 夢見がちな 頭でっかちの コミュ障 5
  6. 「夢見がちな頭でっかちのコミュ障」の紺谷が以下の内容に ついてお送りします  マネジャー/リーダーを志したきっかけと履歴  マネジャー/リーダーの役割を果たす上での個人的な信条 6

  7. 7

  8. 2012年(新卒三年目)のこと  Rで様々な解析パッケージが出だし、数理的な知識がなくても気軽に各 種の分析手法を試せるような環境に ➡ このままデータ分析で勝負するのは厳しい気がする…  紺谷の場合 ➡ これから先も汎用化・自動化が難しく、人の介入が必要かつ価値が

    下がらない仕事は? ➡ おそらく人に関わる仕事が解の一つだろう ➡ 複数の人の集まりから総和以上のパフォーマンスを出す仕事は(人が仕 事をしなくならない限り)上の条件を満たすだろう ➡ マネジャー(リーダー)や! …という人材価値上の戦略という現実的な視点でした 8
  9. 今も当時も自分は「マネジャー(リーダー)に最も向いていない 人間」だと思っています 9

  10.  ストレングスファインダー  上位五つ 1. 内省 2. 未来志向 3. 学習欲

    4. 収集心 5. 個別化  下位五つ 1. 調和性 2. 社交性 3. 原点思考 4. 競争性 5. 達成欲 一言でいうと… 夢見がちな 頭でっかちの コミュ障 10
  11.  人と関わるよりも一人でいたい  人前で話すのは苦手  そもそも人をまとめることに何のモチベーションもない ➡ 誰がどう見ても向いてない 11

  12.  (大変な思いをしても良いから)全体に影響を及ぼせること  レバレッジを利かせる仕事であること  つながりを感じられない個別のケースをこなすことは非常に苦痛  全体に影響を及ぼす手段として個別のケースに対応するのはそれほど苦ではない  実際にストレングスファインダーの上位5位に「個別化」がランクイン

     「楽をするためにする苦労」のコスパはあまり気にならない 12
  13.  (マネジャーとかリーダーになるのに)スナップショットの スキル/経験/マインドはあんまり関係ない 13

  14. 14 チャレンジ チーム規模 所属メンバーに 対するチャレンジ 組織に 対するチャレンジ データ解析 コンペティション 10人

    程度  得意分野の表明  タスクの選択  メンバーの知識・ スキルリソースに おける最適配置 Qubital データ サイエンス データサイエンス部 部長 3~4人 程度  タスクの選択  目標の設定  ナレッジマネジメント (知見の集約と共有の 仕組みづくり)  知識・スキルの汎用化 アナリティクス サービス部長 50人 以上  認知スキル習得に基づ く個々の人生における レバレッジの獲得  個人(自分/同僚)、組織、 顧客、社会すべての 便益に調和したシステ ム構築、継続的な発展 の仕組みづくり 共通項 (目指したもの)  自己実現の場として 現在を認識する  全体のパフォーマンス の維持・向上
  15. マネジャー(リーダー)に求められる役割 15

  16. 受託分析サービスでは以下が求められる  各項目の達成/維持  売上/有償稼働率  メンバー育成  メンバーリテンション 

    PJアウトプットの品質  方針/戦略の策定  各種不確実性のコントロール  クライアント: 受注/失注  メンバーリソース: 人員計画(採用/退職/育成) 16
  17. 達成/維持が求められる項目は以下のように整理できる ➡ 右上に意識が向きやすい構造 17 KPIが分かりにくい KPIが明確 PJ単位  PJアウトプットの品質 

    有償稼働率 Q単位~  メンバー育成  メンバーリテンション  売上
  18. PJ単位/KPIが分かりにくい PJ単位/KPIが明瞭 Q単位~/KPIが明瞭 Q単位~/KPIが分かりにくい 達成/維持が求められる項目は以下のように整理できる ➡ 右上に意識が向きやすい構造 18 PJアウトプットの品質 メンバー育成

    (業務遂行スキル) メンバーリテンション (短期的/長期的モチベーション) 有償稼働率 売上
  19. PJ単位/KPIが分かりにくい PJ単位/KPIが明瞭 Q単位~/KPIが明瞭 Q単位~/KPIが分かりにくい さらに各要素間には対立関係や共存関係が存在  線で結ばれていない部分は対立にも共存にもなり得る 19 PJアウトプットの品質 メンバー育成

    (業務遂行スキル) メンバーリテンション (短期的/長期的モチベーション) 有償稼働率 売上 対立関係 共存関係
  20. PJ単位/KPIが分かりにくい PJ単位/KPIが明瞭 Q単位~/KPIが明瞭 Q単位~/KPIが分かりにくい 「後回しにされる」というレベルを超えて メンバー育成やメンバーリテンションは犠牲になりやすい 20 PJアウトプットの品質 メンバー育成 (業務遂行スキル)

    メンバーリテンション (短期的/長期的モチベーション) 有償稼働率 売上 対立関係 共存関係
  21. 「やった方が良い」? 「やらなければいけない」? ➡ ちょっとメンバーリテンションを保つこと(メンバー数を 保つこと)と受託分析サービスの事業継続性について 考えてみましょう 21

  22. 紺谷の認識をシステムループ図で表現  システムループ図については後述  大きく三つの構造を含む 22

  23. 「稼働力と需給ギャップ解消」構造 23

  24. コンテンツは以下の二つ  矢印: 変数間の因果関係を表現  ループ: 閉じた因果関係の連鎖を表現 24

  25. コンテンツは以下の二つ  矢印: 変数間の因果関係を表現  ループ: 閉じた因果関係の連鎖を表現 25 「メンバー数」が増える/減ると「稼働力」が増える/減る →

    正の相関関係(狭義の単調増加関係)を実線で表現 「稼働力」が増える/減ると 「稼働の需給ギャップ」が減る/増える → 負の相関関係(狭義の単調減少関係)を破線で表現
  26. コンテンツは以下の二つ  矢印: 変数間の因果関係を表現  ループ: 閉じた因果関係の連鎖を表現 26 偶数個の負の相関で構成されるループ →

    (制約がない限り)無尽蔵に増え/減り 続ける循環構造 (自己強化型フィードバックループ) 奇数個の負の相関を含むループ → (外部制約を反映した)漸近線に近づく循環構造 (バランス型フィードバックループ)
  27.  短期: メンバーみんなの頑張りによって何とか当座をしのぐ  バランス型ループが優位  長期: 疲弊のためメンバーが退職、空いた穴を埋めようと 頑張るがメンバー疲弊しさらに退職するという悪循環に陥る 

    自己強化型ループが優位 27
  28. 28 「稼働力と需給ギャップ解消」構造 ➡ 事業の日々の営みをつかさどる構造

  29. 29 「社内ネットワークと退職」構造

  30. 拡大するときのプロセス: 1. メンバーの中から「専門的/精神的/文化的影響力の大きいメンバー」 が現れる/メンバー同士の社内ネットワークが構築される 2. 退職メンバーが低減されるため、メンバー間の社内ネットワーク構築 が進み、退職メンバーがさらに低減する (自己強化型ループ) 30

  31. 拡大するときのプロセス: 3. メンバー数に見合った水準で社内ネットワーク数が飽和する (バランス型ループ) 31

  32. 縮小するときのプロセス: 1. 特定メンバーの退職により、つながりのある他メンバーの退職が進み、 さらにそのつながりのあるメンバーの退職が進む (自己強化型ループ) 32

  33. 縮小するときのプロセス: 2. 「社内ネットワークの破壊の限りを尽くした」後、影響を受け止め きったメンバーのみが残る (バランス型ループ) 33

  34. 拡大/縮小時のスピードは…  拡大するとき: ゆっくり (関係構築には時間がかかるため)  縮小するとき: はやい (崩壊が雪崩式に起こるため) 34

  35. 35 「社内ネットワークと退職」構造 ➡ 穏やかな日々の営みをつかさどる構造

  36. 36 「専門性を持ったメンバーによる専門技術の向上」構造  複雑になるので概略のみ

  37. 自己強化型ループ (1) 1. 専門技術を持つメンバー数が 増加/減少する  B:ビジネス  A:アナリティクス 

    E:エンジニア 2. 当該分野の専門技術力が向上/ 低下する  内部では専門技術間の綱引き があったり、それによる各専 門技術を志向するメンバーの 増減があったり複雑な構造が ある 3. (当該専門性を志向する人材の 採用応募が増加/減少するので) メンバー数が増加/減少 4. 1.に戻る 37
  38. 自己強化型ループ (2) 1. (メンバー数の増/減によって) 組織全体の専門技術の水準が 向上/低下する 2. 専門技術の水準の高/低、実積 の多/寡、市場のプレゼンスの 高/低により、案件獲得力(ア

    ウトプットの質・ブランド力) が規定される 3. 案件獲得力が向上/低下すると 受注案件数(売上)が増加/減少 する 4. 売上が増加/減少すると人材投資 (待遇・人材採用費)が増える/ 減る 5. 人材投資が増える/減るとメン バー数は増える/減る 6. 1.に戻る 38
  39. 「メンバー数と事業継続性の関連」構造 ➡ 将来の日々の営みを保証する構造 39

  40. 40 紺谷の認識では… メンバー数は以下の三つの点で事業継続性に大きく貢献  日々を営む (「稼働力の需給ギャップ解消」構造)  日々の営みを穏やかにする (「社内ネットワークと退職」構造) 

    将来の営みを保証する (「専門技術の向上」構造) メンバー数の減少は一定数を超えると破壊的なスピードで進み 事業継続性に壊滅的なダメージを与える  メンバー数が増加する場合は別の問題が顕在化することが予想されるが それはステージが変わったということ
  41. 「やった方が良い」? 「やらなければいけない」? ➡ (受託分析サービスを前提とするなら)やらなければならない 41

  42. メンバーの自己実現とレバレッジ 42

  43. 「やった方が良い」? 「やらなければいけない」? ➡ (受託分析サービスを前提とするなら)やらなければならない 43

  44. マネジャー/リーダーの個人的な価値観・主義・やり方・認 識・経験による  (そもそも)メンバーリテンションを前提としない事業構造に変える  メンバーの入れ替わりを前提にして、大量採用する  事業内容を一般化、共通化、汎用化する  結びつきの強い少数精鋭のメンバーで高単価・高付加価値のサービスを提供する

     …  メンバーリテンションを頑張る  お金で解決 (待遇、福利厚生、…)  それ以外の要素で解決 44
  45. マネジャー/リーダーの個人的な価値観・主義・やり方・認 識・経験による  (そもそも)メンバーリテンションを前提としない事業構造に変える  メンバーの入れ替わりを前提にして、大量採用する  事業内容を一般化、共通化、汎用化する  結びつきの強い少数精鋭のメンバーで高単価・高付加価値のサービスを提供する

     …  メンバーリテンションを頑張る (紺谷の選択)  お金で解決 (待遇、福利厚生、…)  資源が明確に限られており、立場によっては選択できないこともある  明確かつ一般的な対応であるので他の管理層と連携しやすい  必須条件であるものの有効性は一定の水準で飽和すると認識  それ以外の要素で解決 → 自己実現機会の場としてとらえる (紺谷の選択)  選択肢として困難/理想的だが現実的な手段ではない(ので面白そう)  個人としても集団としても大きな可能性を感じる(ので面白そう) 45
  46. 紺谷の認識をシステムループ図で表現 ➡ 「自己実現の場であるという認識」は各人が求める結果を 生み続ける内燃機関になりえる  ついでに組織も嬉しい 46

  47. そもそも現実社会において、構成員全員が自身の野望や欲望を 愚直に追求するという状況には無理がある  最適配置の限界 その一方で「(やりたくない)Aをやる代わりに (やりたい/ほしい)Bを提供する」というソリューションも (今となっては)凡庸な結果しか生まないと感じている  様々な方面に優秀な人がたくさんいるなら、もっとパフォーマンスが 高くても不思議ではない

    47
  48. 個人のパフォーマンスにおける内的世界と外的世界のつながり  各要素は左側の要素の影響を受ける  紺谷の「認知」 48 価値観 ・ 信念 認知

    ・ 捉え方 スキル ・ 知識 実行 ・ 行動 成果 ・ 実績
  49. 徐々に内的世界のほうに寄ってきている 49 価値観 ・ 信念 認知 ・ 捉え方 スキル ・

    知識 実行 ・ 行動 成果 ・ 実績 データ解析 コンペティション  メンバーの知識・ スキルリソース における最適配置
  50. 徐々に内的世界のほうに寄ってきている 50 価値観 ・ 信念 認知 ・ 捉え方 スキル ・

    知識 実行 ・ 行動 成果 ・ 実績 Qubital データサイエンス  ナレッジマネジメント  知識・スキルの汎用化
  51. 徐々に内的世界のほうに寄ってきている 51 価値観 ・ 信念 認知 ・ 捉え方 スキル ・

    知識 実行 ・ 行動 成果 ・ 実績 AS部長 (いま)  認知スキル習得に基づく 個々の人生における レバレッジの獲得
  52.  認知  自身がおかれている環境・目の前で起こっていることをどのように 捉えるか  認知に関する賢人の言及  「ハンマーを持つ人にはすべてが釘に見える」(A. H.

    マズロー)  「我以外皆我師」(吉川英治)  「本物の洞察とは、いずれ何かと共通点を持ってしまう前の、 その状況を感じ取る瞬間のことだ」(A. J. へシェル)  「認知」のコントロールは習得可能なスキル (以下方法の例)  自身の「認知」(何を選択し、何を選択しなかったか)を自覚する、 意識的であることを繰り返す  自身の感情的反応に意識を向ける 52
  53.  各要素の影響の大きさは?  「成果」に対する影響の差分 = レバレッジの大きさ  根源(左)に近いほど右側の要素への影響は大きい  図では線形だがもっと非線形になっているイメージ

    53 レバレッジ
  54. 認知のコントロールスキルを身に着けることによって 各人の(認識する)自己実現の場は相当広がる ➡ 自身の人生に対する満足度が上がる  これがリーダーシップの本質だと思っています  結果として所属組織との「相乗り」期間も長くなりwin-winの関係に 54

  55. 55

  56. 「夢見がちな頭でっかちのコミュ障」の紺谷が以下の内容に ついてお送りしました  マネジャー/リーダーを志したきっかけ ➡ 人材市場価値という現実的な戦略  マネジャー/リーダーの役割を果たす上での個人的な信条 ➡ 組織を預かる身として:

     メンバーリテンションを重要視  自己実現の機会提供と気づきにより、メンバーと組織のwin-winの関係を目指す ➡ 紺谷個人の自己実現として:  関わる人々の自身の人生に対する満足度を上げる  (追記) 最近の悩み ➡ 人材市場価値の向上の真逆をひた走っている気がしている 56 ありがとうございました
  57. 57

  58. システムループ図(システム思考)  D. H. メドウズ (2015) 『世界はシステムで動く ―― いま起きていることの 本質をつかむ考え方』英知出版

     J. D. スターマン (2009) 『システム思考―複雑な問題の解決技法』東洋経 済新報社 認知・内省・メンタルモデル  R. キーガンら (2013) 『なぜ人と組織は変われないのか――ハーバード流 自己変革の理論と実践』英知出版  B. トルバート (2016) 『行動探求 ――個人・チーム・組織の変容をもたら すリーダーシップ』英知出版 組織  P. M. センゲ (2011) 『学習する組織 –システム思考で未来を創造する』英 知出版  F. ラルー (2018) 『ティール組織――マネジメントの常識を覆す次世代型組 織の出現』英知出版 58
  59. リーダーシップ  J. ジャーウォースキー (2013) 『シンクロニシティ[増補改訂版]――未 来をつくるリーダーシップ』英知出版  R. K.

    グリーンリーフ (2016) 『サーバントであれ――奉仕して導く、 リーダーの生き方』英知出版 モチベーション  D. ピンク (2015) 『モチベーション3.0 持続する「やる気!」をいかに引 き出すか』講談社 59