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データで地域を繋げるオープンデータソン / Open Datason that connect...
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K.Sakanoshita
September 08, 2019
Education
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430
データで地域を繋げるオープンデータソン / Open Datason that connects regions with data
2019/09/08 Code4Lib Japanでの発表資料
http://wiki.code4lib.jp/wiki/C4ljp2019/presentation#sakanoshita
K.Sakanoshita
September 08, 2019
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Transcript
坂ノ下 勝幸 諸国・浪漫 / OpenStreetMap Foundation Facebook: K.Sakanoshita Twitter: @K_Sakanoshita
今の風景は、 いつまでも残らない P.2
誰も「他人の地元」は知らない その地域で愛されている神社やお寺 観光客は来ないけど、地元民には愛着あるよね お祭りの会場にもなっていたりするしね 「地元民しか知らない」状態なのかも?
会社の同僚に地元の話をしても、知らないと言われる 知らないものに価値を感じる人はあまりいないよね P.3
何に魅力を感じるかは、その人次第 インターネットの普及で需要が広範囲化 情報流通コストが劇的に低下して、ロングテール化 日経:訪日客が地方潤す、消費額1兆円超え 観光白書 https://www.nikkei.com/article/DGXMZO46373880Q9A620C1MM0000/ P.4
この部分がロングテール ロングテールとは、インターネットを用いた物品販売の手法、 または概念の1つであり、販売機会の少ない商品でもアイテム 数を幅広く取り揃えること、または対象となる顧客の総数を増 やすことで、総体としての売上げを大きくするものである。 出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 メジャーな物だけ取り揃えても魅力にならない 地域情報を発信することで魅力が伝わっていく
「清水寺」は最初から世界遺産? 清水寺の創建年代 「清水寺縁起絵巻」「今昔物語集」「扶桑略記」によれば、 宝亀9年(778年)音羽山に着いた僧の賢心は、観音の化 身の行叡居士(ぎょうえいこじ)から任されたことが始まり 清水の舞台から飛び降りた人
「成就院日記」によれば、飛び降りた人が元禄7年(1694 年)から元治元年(1864年)の間に未遂を含めて235件 に上り、その生存率は85.4% P.5 様々な出来事を記録し、将来世代に残すことで その地域の魅力や価値が生まれる可能性もある
今の風景は、いつまでも残らない 少子高齢化社会は始まっている 2019年1月1時点の日本国内の日本人は1億2477万人 昨年に比べて43万3千人の人口減は過去最大 出典: 住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数のポイント http://www.soumu.go.jp/main_content/000633277.pdf
今の風景は、急速に無くなっていく 多くの寺社仏閣は、もう維持費を捻出出来ない 将来世代に、いまの風景をどうやって伝える? 記録を残していくことで、伝わる可能性はある P.6 「記録を残すこと」と「発信すること」により 広範囲・将来に地域情報を伝えることが出来る
整理 保存 活用 収集 「図書館法」第一章 第二条 図書、記録その他必要な資料を収集し、整理し、保存し て、一般公衆の利用に供し、その教養、調査研究、レク リエーション等に資することを目的とする施設
P.7 図書館は地域情報の記録と発信に関われる
地域情報の記録と発信には どうやって関われば良い? P.8
地域情報の記録と発信方法 地域情報の発信 携帯端末(スマホなど)の世帯所有率は94.8% 出典:総務省 平成30年版 情報通信白書 インターネット以外の手法は最後に考える
地域情報の記録 国・自治体から草の根まで記録自体は行われている 国・自治体は政治力次第、予算が付かなければ終了 例:沖縄平和学習デジタルアーカイブ(一旦廃止、後に復活) 草の根は地域ごとに細分化、人づてで探す必要あり P.9 総じて「ライセンス(利用許諾)」があいまい 大規模・想定外の利用方法は考慮されていない
記録と発信における必要条件 以下の要件を満たす活動であること インターネットと親和性が高いこと 国や自治体の予算に左右されないこと オープンデータであること(記録のため) ◦
ライセンス(利用許諾)が明確なこと 以下の要件を満たすことが望ましい 記録が様々に活用される可能性があること 日本国内だけで無く、海外でも使えること P.10 予算の不安を考える必要が無いほどの規模 国際的かつオープンなプロジェクトが必要
P.11 Wikipedia OpenStreetMap (OSM) どちらもオープンデータによる地域情報の 記録と発信に利用可能な国際プロジェクト
Wikipediaとは 誰でも編集出来るフリー百科事典 みんなで知識を持ち寄って共有していく活動 P.12
OpenStreetMap(OSM)とは みんなで自由な地図を作る活動(地図版Wiki) 大陸からベンチまで共有し、活用方法を創造 P.13 © OpenStreetMap contributors
地域情報の記録・発信における特徴 Wikipedia OpenStreetMap ライセンス オープンデータ オープンデータ 主な情報源 書籍、論文、新聞、Webなど 現地調査、情報提供(企業/政府) 多言語対応
304言語(閉鎖11言語含む) 235言語(ISO 639-1準拠) 主な収入源 寄付 寄付、スポンサー 主な利用法 Wikipediaサイトでの記事閲覧 Google検索結果の概要説明 その他(音声案内、機械学習) 各社の地図アプリ/サービス Webサイトの地図(facebookなど) 各種ゲーム(Pokémon Goなど) その他(チラシなどの紙地図) 登録者数 83,941,221アカウント 5,641,223アカウント その他 日本語版116万記事(2019年9月) 全データ121GB(圧縮済み) P.14 OSMは組み込みが多く一次情報も保存可 Wikipediaは自サイト内での利用が主用途
大阪市立図書館(所在地・抜粋) 図書館名 所在地 中央図書館 大阪市西区北堀江4丁目3番2号 北図書館 大阪市北区本庄東3丁目8番2号 都島図書館 大阪市都島区中野町2丁目16番25号 福島図書館
大阪市福島区吉野3丁目17番23号 此花図書館 大阪市此花区四貫島1丁目1番18号 島之内図書館 大阪市中央区島之内2丁目12番31号 港図書館 大阪市港区弁天2丁目1番5号 大正図書館 大阪市大正区千島2丁目6番15号 天王寺図書館 大阪市天王寺区上之宮町4番47号 浪速図書館 大阪市浪速区敷津西1丁目5番23号 西淀川図書館 大阪市西淀川区御幣島1丁目2番10号 淀川図書館 大阪市淀川区新北野1丁目10番14号 東淀川図書館 大阪市東淀川区東淡路1丁目4番53号 東成図書館 大阪市東成区大今里西3丁目2番17号 P.15 図書館の正確な所在地を記載した一覧表
大阪市立図書館(および周辺図書館) P.16 地図上に図書館の位置をアイコンで表現 © OpenStreetMap contributors
「無料≠自由」と「少し前の地図」 無料で使える地図でも、自由には使えない 例)Google Mapsをチラシに印刷して配布 ビジネスの一環で無料。利用規約は要確認 少し前の地図を見ることは出来る?
Google Mapsは2005年開始、それ以降は、 地図がデジタル化し、紙の地図はニッチ化 ※少し前の地図は、ゼンリン住宅地図を見るしかない? みんなが使うデジタル地図は最新版しか無い P.17 郷土資料として保存している「古地図」 21世紀の「古地図」は誰がどう残す?
整理 保存 活用 収集 「図書館法」第一章 第二条 図書、記録その他必要な資料を収集し、整理し、保存し て、一般公衆の利用に供し、その教養、調査研究、レク リエーション等に資することを目的とする施設
P.18 地域情報の収集~活用の武器として使える
地域情報を多角的に収集~活用する デジタル化した地域情報は活用出来る QRコードでWikipediaの記事へリンクする 「まち歩きの地図」「ランチマップ」を作る 「Code for」と連携してもっと活用
OpenStreetMapの中身は「データベース」 プログラムで地域情報を検索・集計することで ゲームからナビゲーションまで様々に使える WikidataはWikipedia/OSMにも付与している 両者が紐づくと、高度な集計・分析が出来る P.19 地域情報の収集・整理を進めることで、 様々なコミュニティと繋がり役に立てる
ツールと意義は分かったが 具体的にはどうしたらいい? P.20
オープンデータソンを開きませんか? P.21
オープンデータソンとは? 活動概要 フィールドワーク(まち歩き、現地調査)の後に 記事・地図編集のワークショップを行うイベント WikipediaとOpenStreetMapを主な編集対象とし、 同じテーマ設定で「何処に何があるか」を多角的に 記録・発信していく
ウィキペディア編集は「ウィキペディアタウン」と呼ぶ OpenStreetMap編集は「マッピングパーティ」と呼ぶ P.22 二種類の活動を無理に同時開催しても 効率が悪くて、メリット無いのでは?
Wikipedia/OSM両方の参加割合 過去6回のイベント参加者を調査した結果 40%の参加者が両方の参加経験がある ※2回以上の参加者40名に対して24名が両方に参加 40% P.23 オープンデータソン参加者は「手段」より 「地域情報の発信」に興味を持つ方が多い
地域の方たちの活動を支えませんか? 地域ごとに地域情報を残す活動はある 地域情報を活かして観光(まち歩きなど)に繋げる 昔の写真を集めて、閲覧会などのイベントを開く 集めた資料の整理・保管・活用に地域差がある
専門家不在で試行錯誤。そもそも気にしていないなど ライセンス設定など、長期に残す手段・手法も曖昧 これらの活動で図書館に相談する話はあまり聞かない P.24 OpenStreetMap&Wikipediaで地域住民の 活動を支える方法がある(アウトリーチ)
理想的なオープンデータソンとは 地域住民が主体的に開催する 最初の「呼び水」として図書館主催は重要 成果物よりも、手段と可能性の提示が重要 地域が繋がるために開催する
WikipediaとOpenStreetMapはあくまで「手段」 もし、仮に「本の活用」を主眼にWikipediaの編集を 地域住民に伝えるのであれば、それは本末転倒 ※OpenStreetMapの編集についても同じ P.25 地域住民の「やりたいこと」を実現する 「手段」を伝えるのがオープンデータソン
みなさんの地域でも オープンデータソンを開いて 地域情報を残しませんか? P.26