ドラレコ映像認識AIをData-Centricアプローチで改良した話【DeNA TechCon 2022】

Lightning Talks vol.3

資料内でのリンク集：
p2, https://techcon.dena.com/2021/session/24/
p4, https://datacentricai.org/

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Transcript

1. ドラレコ映像認識AIを Data-Centricアプローチで改良した話 株式会社Mobility Technologies 鈴木 達哉
2. レアな学習データ集めるの難しい問題 Mobility Technologiesのプロジェクト（※）ではドラレコ映像から道路標識を画像認識する必要がある そこで問題になるのが、日本の道路標識は100種類以上あるが、設置数は大きく異なること ランダムな映像にアノテーションすると例えば「高さ制限」は学習データが少なくなり精度が出ない 「高さ制限」 ランダムなアノテーションでは 最高速度の約1/50 ※プロジェクトの詳細は昨年の発表をご覧ください！ 　DeNA TechCon 2021 ドライブレコーダの動画を使った道路情報の自動差分抽出 　https://techcon.dena.com/2021/session/24/ 「最高速度」 たくさんある
3. データが少ない時に何を考える？ 1. データが増えれば精度が上がりそうなので、時間をかけてもっと多くの映像にアノテーションする 映像自体はあるが、ここまでの数倍の時間アノテーションしてもレアクラスは必要な量が集まらないので避けたい 2. モデルや学習の仕方を変えて頑張る （例） • 最新の論文を参考に強いモデルを作る • ドメイン知識を駆使した工夫を入れる • ハイパーパラメータをチューニングする どれも大事な技だが、初手で最低限はやっている。時間をかけても精度が大きく上がるかは不明なためまずは避けたい やはりデータを増やしたい。ランダムでダメならば、 レアクラスのデータを効率的に集める仕組みを作る
4. Data-Centric AI データを集めれば良いなんてそれは当たり前？？ しかし、意外と軽視されてきた領域の話でもある Andrew Ng先生が2021年に提唱し注目が高まる「Data-Centric AI」という概念の話になる Data-Centric AI Model-Centric AI （従来注目されてきた領域） データを固定して、 機械学習モデルを改良していく。 ・どんなモデルを使う？ ・どんな学習を行う？ （最近注目されつつある領域） 機械学習モデルを固定して、 データを改良していく。 ・どうデータを収集する？ ・どうノイズを減らす？ 個別には目新しい話ではないが、これまで体系的に扱われてきていなかった Data-Centric AIについて詳しくはhttps://datacentricai.org/を参照
5. 狙った標識付近の動画を集めるツールを作った 標識の位置を含む地図情報を組み合わせることで、狙った標識付近を走ったドラレコ動画を収集するようにした これにより「高さ制限」は収集前の10倍以上のデータが短期間で集まり、精度を大幅向上させられた 地図 座標 リスト 映像 DB 映像 データ 標識 クラス アノテーショ ン 図：収集前後での物体検出のAverage Precision 　　最高速度のデータも若干増えた上での結果
6. データの品質も大事 人間によるアノテーションは完璧ではない （例） • 日常で見かけない「最低速度」も集まっているなと思ったら、「最高速度」との間違いだった • 3.0mの「高さ制限」は珍しくない標識だが、一部は30km/hの「最高速度」との間違いだった →データセットのアノテーションを見直して、間違いを修正したことで精度を向上させられた 図：修正前後での物体検出のAverage Precision 　　評価環境は前ページの結果とは異なる 最低速度 最高速度
7. まとめ • モデルを固定してデータを改良していくData-Centric AIの概念に注目が集まっている • レアクラスデータの収集を工夫して映像認識AIの精度を上げられた • アノテーションの間違いを修正したことでも精度を上げられた AIプロジェクトではデータの量や質の改良がモデル改良に並び注目する価値がある。 簡単に集まらなかった例もある たくさんある一方通行だが、地図上では区別なく縦型と横型がある 少なくとも東京にはほぼ横型しかないことがアノテーションして分かった