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高等学校芸術科「音楽Ⅰ」における情報教育の実現可能性:教科書内容からの検討/ipsj-ce18...

 高等学校芸術科「音楽Ⅰ」における情報教育の実現可能性:教科書内容からの検討/ipsj-ce182-12

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NAKAZONO Nagayoshi

November 23, 2025

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  1. 高等学校芸術科「音楽Ⅰ」における 情報教育の実現可能性 教科書内容からの検討 麗澤大学 国際学部 NAKAZONO Nagayoshi 中園 長新 2025-11-22

    (Sat.) IPSJ-CLE47 / CE182@熊本大学 本研究は、JSPS科研費JP21K02864ならびにJP25K06475の助成を受けたものである
  2. なぜ音楽? 音楽はさまざまな学問とつながりが深い e.g.) 数学や物理との関連: 音階に関する概念である平均律、 音の理論は数学(周波数に着目すれば物理学)、リズム etc. 音楽と情報との接点も多い 音楽をメディアとしてとらえれば情報 音楽による情報伝達

    DTMや生成AIによる作曲活動 情報処理学会でも音楽の扱いあり • 音楽情報科学研究会(SIGMUS) • 『情報処理』2024年5月号の特集「音楽×情報処理」 2025-11-22 (Sat.) IPSJ-CLE47 / CE182@熊本大学 高等学校芸術科「音楽Ⅰ」における情報教育の可能性:教科書内容からの検討 5
  3. 「音楽Ⅰ」の目標 音楽の幅広い活動を通して、音楽的な見方・考え方を働かせ、生活や 社会の中の音や音楽、音楽文化と幅広く関わる資質・能力を次のとお り育成することを目指す。 (1) 曲想と音楽の構造や文化的・歴史的背景などとの関わり及び音楽の多様 性について理解するとともに、創意工夫を生かした音楽表現をするために必 要な技能を身に付けるようにする。 (2) 自己のイメージをもって音楽表現を創意工夫することや、音楽を評価しなが

    らよさや美しさを自ら味わって聴くことができるようにする。 (3) 主体的・協働的に音楽の幅広い活動に取り組み、生涯にわたり音楽を愛好 する心情を育むとともに、感性を高め、音楽文化に親しみ、音楽によって生 活や社会を明るく豊かなものにしていく態度を養う。 2025-11-22 (Sat.) IPSJ-CLE47 / CE182@熊本大学 高等学校芸術科「音楽Ⅰ」における情報教育の可能性:教科書内容からの検討 7
  4. 「音楽Ⅰ」の内容 A 表現 (1) 歌唱 (2) 器楽 (3) 創作 B

    鑑賞 (1) 鑑賞 〔共通事項〕 (1) 「A 表現」及び「B 鑑賞」の指導を通して,次の事項を身に付けることがで きるよう指導する。 ア 音楽を形づくっている要素や要素同士の関連を知覚し、それらの働きを感受しながら、 知覚したことと感受したこととの関わりについて考えること。 イ 音楽を形づくっている要素及び音楽に関する用語や記号などについて、 音楽における働きと関わらせて理解すること。 2025-11-22 (Sat.) IPSJ-CLE47 / CE182@熊本大学 高等学校芸術科「音楽Ⅰ」における情報教育の可能性:教科書内容からの検討 8
  5. 「音楽Ⅰ」の教科書 2021(令和3)年度に初めて検定が行われ、 2022(令和4)年度より採択開始(4種類) cf.) 「音楽Ⅱ」4種、「音楽Ⅲ」2種 2025-11-22 (Sat.) IPSJ-CLE47 / CE182@熊本大学

    高等学校芸術科「音楽Ⅰ」における情報教育の可能性:教科書内容からの検討 9 発行者 略称・記号・番号 書名 教育出版* 教出 音Ⅰ701 音楽Ⅰ Tutti+ 教育芸術社 教芸 音Ⅰ702 高校生の音楽1 教育芸術社 教芸 音Ⅰ703 MOUSA 1 音楽之友社 友社 音Ⅰ704 ON! 1 * 教育出版の教科書は、2026(令和8)年度より大修館書店が発行を引き継ぐ
  6. 教出701「音楽Ⅰ Tutti+」 1/2 コラム「Review of Basics」 p.10「楽譜は音楽を伝えるメッセージ」 →(音楽限定)情報伝達手段 (8)メディアとコミュニケーション、そのツール p.13「音とは何だろう」?

    →音の科学的理解 (6)デジタルにするということ 資料p.85「コンピュータを活用しよう」 欄外「著作権を守ろう」 →知的財産権 (3)情報に関する法規、情報モラル p.129「総合芸術における音楽の魅力」 場面や音楽を選んでポスター発表 →コミュニケーションと情報デザイン (6)~(10) 2025-11-22 (Sat.) IPSJ-CLE47 / CE182@熊本大学 高等学校芸術科「音楽Ⅰ」における情報教育の可能性:教科書内容からの検討 13
  7. 教芸702「高校生の音楽1」 問いかけ「音楽って何だろう?」 ①波の音やチャイムは音楽といえるか? →情報の定義考察に発展可能 (1)情報やメディアの特性と問題の発見・解決 pp.126-127「音楽に関する知的財産権=著作権」 著作隣接権をも包含する権利としての著作権 (3)情報に関する法規、情報モラル p.137 西洋音楽史

    「新しい電子の音」テルミン、シンセサイザー等 →技術による音楽の広がり (5)情報技術の発展 2025-11-22 (Sat.) IPSJ-CLE47 / CE182@熊本大学 高等学校芸術科「音楽Ⅰ」における情報教育の可能性:教科書内容からの検討 15
  8. 教芸703「MOUSA 1」 p.13 コラム「アレンジャーは曲に魔法をかける」 ポヒュラー音楽におけるアレンジの意義を紹介する イメージ図の中心にパソコンに向かう人物のイラスト →音楽におけるICT活用 (6)デジタルにするということ p.31 コラム「ルールを守って音楽を楽しもう!」

    著作権をはじめとした音楽のルール (3)情報に関する法規、情報モラル 2025-11-22 (Sat.) IPSJ-CLE47 / CE182@熊本大学 高等学校芸術科「音楽Ⅰ」における情報教育の可能性:教科書内容からの検討 16
  9. 友社704「ON! 1」 1/2 カラー口絵「電子楽器とDTM」 「専門家だけでなく個人が音楽をつくって 演奏することがより容易になった」 (5)情報技術の発展 p.121「鑑賞の手びき」 作曲家、指揮者や演奏家、鑑賞者にとって楽譜がどのような存在で あるかを考える構成

    →楽譜という印刷メディアの受取・解釈の多様性 (1)情報やメディアの特性と問題の発見・解決 (8)メディアとコミュニケーション、そのツール pp.140-143「音楽の聴き方・楽しみ方」 さまざまな音楽鑑賞のあり方 (8)メディアとコミュニケーション、そのツール 2025-11-22 (Sat.) IPSJ-CLE47 / CE182@熊本大学 高等学校芸術科「音楽Ⅰ」における情報教育の可能性:教科書内容からの検討 17
  10. 4冊を通覧しての考察 1/2 「情報Ⅰ」の内容のうち、下記の関連要素が多く抽出 (1) 情報社会の問題解決 (2) コミュニケーションと情報デザイン 特に『教員研修用教材』の(3) 情報に関する法規,情報モラルに含まれ る著作権については、すべての教科書のコラム等で扱いあり

    プログラミング、ネットワーク、データ活用等とのつながりを 否定してはいない DTM → プログラミング的な要素を組み合わせることも可能 ストリーミング音楽配信 → ネットワークの知識と関連 2025-11-22 (Sat.) IPSJ-CLE47 / CE182@熊本大学 高等学校芸術科「音楽Ⅰ」における情報教育の可能性:教科書内容からの検討 19
  11. 知的財産権の扱い 1/3 学習指導要領「音楽Ⅰ」の「内容の取扱い」 (11) 自己や他者の著作物及びそれらの著作者の創造性を尊重する態 度の形成を図るとともに、必要に応じて、音楽に関する知的財産権につ いて触れるようにする。また、こうした態度の形成が、音楽文化の継承、 発展、創造を支えていることへの理解につながるように配慮する。 学習指導要領解説 知的財産権に含まれる具体的な権利

    → 著作権と著作隣接権 「著作権には、著作物を保護する著作者の権利、実演等を保護する 著作隣接権がある。」 → ここでの「著作権」という用語は、著作隣接権を含む広義の権利 2025-11-22 (Sat.) IPSJ-CLE47 / CE182@熊本大学 高等学校芸術科「音楽Ⅰ」における情報教育の可能性:教科書内容からの検討 21
  12. 知的財産権の扱い 3/3 教科書での扱いはかなりコンパクト 3冊: 著作権はコラム扱い、著作隣接権への言及ほぼなし 教芸702: 2ページを割いて説明、著作権が著作財産権・著作者人格 権・著作隣接権に分けられることを図示、具体的な活用ケース6つ提示 音楽教育において知的財産権は避けて通れない 教科書における記述は十分ではなく、何らかの形で補助的に学ぶ必要

    情報科(情報Ⅰ)が著作権教育を中心とした知的財産権に関する教育 をしっかりと実践し、その学びを音楽教育においても活用させる 各科目で知的財産権をどのように扱っているかの認識を共有した 上で授業を実践するだけで十分に教科間連携できると期待 2025-11-22 (Sat.) IPSJ-CLE47 / CE182@熊本大学 高等学校芸術科「音楽Ⅰ」における情報教育の可能性:教科書内容からの検討 23