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大学業務における生成AI入門

 大学業務における生成AI入門

2023年12月6日-7日開催の「大学職員のための生成AIコーディネーター養成講座」(愛媛大学教育企画室)の登壇資料です。
内容は「日常業務における生成AI活用」「生成AI活用のための組織体制の整備」、「付録」、また事前視聴用の動画で使用した「事前課題(生成AIの基本)」の順番に並んでいます。

gmoriki | 森木銀河

December 06, 2023
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Transcript

  1. 自己紹介 2 ◼ 大学組織におけるデータマネジメント ◼ 大学組織における生成AI利用 主な研究テーマ 九州大学 IR室 学術推進専門員

    2021.11.1~ 東京都市大学 総務部管理課 専任事務職員 ~2021.10.31 略歴 https://note.com/pogohopper8 https://twitter.com/pogohopper8 https://researchmap.jp/gmoriki 森木 銀河 モリキ ギンガ
  2. 発表者と生成AIの関係 3 3月:大学職員・大学IRと生成AIの関係・展望について考察した記事をそ公開 4月:生成AIポリシーを公表した大学を一覧化・公開(~継続中) 5月:生成AIポリシーの計量テキスト分析、IRにおける生成AI活用について研究発表 6月:大学の事務業務における生成AIの活用・導入について整理した記事を公開 ※ 5月から6月にかけてC4RAのPython勉強会講師を担当 7月:他大学で招待講演 8月:Azure上にGithub認証のChatGPT風アプリを試験的に構築

    (今は消滅 お金欲しい) 9月:大学行政管理学会にて生成AIのワークショップ開催・研究発表 / 他大学で招待講演 RA協議会 テーマ別勉強会「生成AIとURA業務」発足(申請代表者) 10月:LangChainを使用した調査業務用AIエージェントを構想(~個人開発中) 11月:いまここ プロンプトに関する知見やFew shotサンプルを整備して公開したい 12月~:各所で講演やSDの講師を予定 お声がけいただきありがとうございます 生成AIが好きなユーザー・個人開発者の1人(普段は別の業務をやってます) 2022年8月、画像生成AI(Midjourney)を使って歌詞から画像を生成し、MV作成・公開 2023年3月、ChatGPT API公開・GPT-4リリース・プラグイン発表を受けて活動を決意 2023年 2023年11月時点
  3. 講座の流れとねらい 5 日常業務における生成AI活用 ⚫ 生成AIを利用する理由 ⚫ 適切な生成AI利用 リスク / 適切な利用

    ⚫ 上手な生成AI利用 プロンプトエンジニアリング入門 生成AIをつかう 生成AI活用のための組織体制の整備 ⚫ 生成AIの利用パターン ⚫ 生成AI学内ガイドライン 策定の枠組み ⚫ 生成AI利用の展望 生成AIをつかってもらう 生成AI利用・活用を理解する 大学組織における整備を検討する
  4. 9 自治体業務における生成AIの有効性 文書作成と編集の効率化💼 情報検索と要約🔍 会議の準備と資料作成📊 FAQへの対応とトレーニング🤖 アイデアの提案とブレインストーミング💡 戸田市,「自治体業務における ChatGPT 等の生成

    AI 活用ガイド(本編)」,2023, https://www.city.toda.saitama.jp/uploaded/attachment/62855.pdf 部署によって異なるかもしれませんが 大学業務もおおよそ同じではないでしょうか
  5. 17 業務の効率化・自動化 生成AIによる 能力の拡張 既存業務の改善・見直し(特に文章作成) 職員の認知能力の向上・行動の促進 業務と能力の 相互作用 ➢ 結果として業務が生成AIに

    代替される可能性がある ➢ 生成AIを過信しない (手段の目的化を避ける) 「それAIじゃなくて良くね」もあり得る なぜ生成AIを利用するのか
  6. △ 定型的な作業を効率化できる(その場限りの有効性) △ ChatGPTという一つのサービス・ツールに限られたノウハウである × 指示や生成物を自分で改善・評価できない × 「注意を要するべき点」の程度を自分で認識できない 生成AIをどのように使うべきか 18

    生成AIの利用方法や指示(プロンプト)の暗記は 短期的な有効性しか得られず、安全な利用が困難になる ChatGPT 利用者 指示 出力 生成物 ChatGPTにログインして 例のテンプレ指示を投げれば 生成物できてヨシ!!! 生成AIの実効性を得るために、 教員-学生、教員-職員、組織-構成員の間で認識の共有が必要
  7. 限界と課題:3つの観点 21 テキスト 生成AI 利用者 指示 出力 生成物 テキスト 生成AI

    利用者 指示 出力 生成物 テキスト 生成AI 利用者 指示 出力 生成物 出力仕様上の限界 入力時の課題 生成物の課題
  8. 23 出力仕様上の限界 使用するツールの仕様を把握する 学習に使用されたデータに依存する可能性がある 再現可能性が低い可能性がある ✓ 学習に使用されたデータが2021年9月時点でカットオフされた場合、 ChatGPTの出力も原則2021年9月までの情報に限定される OpenAI,” Models”,

    https://platform.openai.com/docs/models/overview ✓ 「ある単語や文章の次に来る単語や文章を推測し、「統計的にそれらしい応 答」を生成する」AIであり、原則として再現性は保証されない 文部科学省,”初等中等教育段階における生成AIの利用に関する暫定的なガイドライン”, https://www.mext.go.jp/content/20230710-mxt_shuukyo02-000030823_003.pdf 指示(プロンプト)の質に依存する可能性がある ✓ 「結果の品質は提供する情報の量とそのクオリティによって異なります。」 ”Prompt Engineering Guide”, https://www.promptingguide.ai/jp/introduction/basics
  9. 25 入力時の課題 個人情報等の機密情報は入力しない AIモデルの学習や改善に使用される可能性がある 個人情報保護法に抵触する可能性がある ✓ WebサービスとしてのChatGPTに入力されたデータは サービスの開発・改善に使用される可能性がある ✓ APIを経由

    / 一部機能を使用すれば開発・改善に利用されない ※ ただし不正行為の防止等の目的でデータを監視される可能性がある OpenAI,”Terms of use”,https://openai.com/policies/terms-of-use ✓ 入力する指示が個人情報か、利用目的の範囲内か、等の利用状況により 個人情報保護法に抵触する可能性がある 杉浦,”生成AIへのプロンプト入力時における個人情報保護法上の論点まとめ(前編)”, https://storialaw.jp/blog/10005
  10. 27 生成物の課題 生成物の正確性と誠実性には注意する 著作権法等によって保護されている可能性がある ✓ 生成物が著作権侵害に係る判断は、「人がAIを利用せず絵を描いた場合などの、 通常の場合と同様に判断」される ⇒類似性かつ依拠性を満たすかどうか ➢ 類似性:「他人の著作物の「表現上の本質的な特徴を直接感得できること」」

    ➢ 依拠性:「既存の著作物に接して、それを自己の作品の中に用いること」 文化庁,”AIと著作権”,https://www.bunka.go.jp/seisaku/chosakuken/pdf/93903601_01.pdf 文部科学省,”初等中等教育段階における生成AIの利用に関する暫定的なガイドライン”, https://www.mext.go.jp/content/20230710-mxt_shuukyo02-000030823_003.pdf 事実と異なる可能性がある ✓ 「事実と全く異なる内容や、文脈と無関係な内容などが出力される」 いわゆる幻覚(ハルシネーション=Hallucination)
  11. 28 参考:Hallucination(ハルシネーション)について powered by GPT-3.5 * 堂々と間違いを出力 * 本当は?と聞けばハル シネーションが解消され

    るわけではない GPT-3.5使用.プロンプト:https://chat.openai.com/share/6ee7ca1b-cd1a-4b2e-b5a8-00f019bc367d
  12. 生成AIの適切な利用 30 生成AIの出力を提案として扱う 試行錯誤する 提案 テキスト 生成AI 利用者 指示 出力

    生成物 火星人に 会う方法 テキスト 生成AI 利用者 指示 出力 生成物 自己 フィードバック
  13. 31 生成AIの出力を提案として扱う 生成物を事実として飲み込まない テキスト 生成AI 利用者 指示 出力 生成物 事実(!?)

    生成物の提案に基づいて考える・行動する 火星人に 会う方法 提案 テキスト 生成AI 利用者 指示 出力 生成物 火星人に 会う方法
  14. 32 試行錯誤する 1度限りで成功する「指示」はかなり稀 テキスト 生成AI 利用者 指示 出力 生成物 テキスト

    生成AI 利用者 指示 出力 生成物 自己 フィードバック 何度も繰り返し、自分の目的に合う指示・生成物を目指す
  15. 33 試行錯誤する △ 情報の検索・事実の追究 テキスト 生成AI 利用者 指示 出力 生成物

    ◦ 情報の変換・整理等の作業、思考の取っ掛かり 鎌倉幕府 いつから 1192年です (!?) テキスト 生成AI 利用者 指示 出力 生成物 私の仮説を 精査・展開 させたい 仮説の特徴 仮説の課題 …
  16. • 自分の指示・意図の通り? • 「生成物の課題」に該当? • 利用者が責任を持てる?…etc. 生成AIの利用から生成物の使用までのチャート 34 テキスト 生成AI

    利用者 指示 出力 生成物 サービスの利用 生成物の確認 生成物の使用 利用者 生成物 フィードバック 責任有 要修正 利用者 生成物 • 文章案・構成案 • 修正されたプログラム • 思考の整理…etc. 生成物 生成物 提案 要修正
  17. プロンプトエンジニアリングとは何か 37 テキスト 生成AI 利用者 指示 出力 生成物 AI(人工知能)から望ましい出力を得るために、 指示や命令を設計、最適化するスキル

    野村総合研究所(2023)「プロンプトエンジニアリング」,https://www.nri.com/jp/knowledge/glossary/lst/ha/prompt_engineering 良い指示が 良い結果を生む 意図・目的 ケース テキスト 生成AI 指示 (プロンプト) 生成物 学習データ 事後学習 等 概略化
  18. 38 プロンプトの種類 システムプロンプト:開発者や利用者が対話型AIを制御するための指示 ユーザープロンプト:利用者が対話型AIに要望を伝えるための指示 システムプロンプト システムプロンプト ユーザープロンプト あなたはInstitutional research(以下、 IR)の責任者です。

    ※ Institutional research is research conducted…(省略) 以下の要件に従い、まずIR活動の企画 書の枠組みを設計してください。 その後、枠組みの概要を出力してくださ い。 ### 要件 ### * 教員の研究時間を阻害する要因を特定 したい。 * 分析した結果を研究力不足の改善に役 立てたい。 ### 出力 ### 企画書:1000文字程度 概要:200文字程度 プロンプト ※ bothinst(Clavié,2023)というプロンプトエンジニアリングの手法の一つであり、OpenAI APIにも採用されています
  19. 39 プロンプトエンジニアリングのベストプラクティス(GPT) GPTに「考える」時間を与える 複雑なタスクを分割する 参考文献・ドメイン知識を提供する 明確な指示を書く @ot12,“【完全保存版】OpenAIが教えるChatGPTからより良い結果を得るためのプロンプトのコツ”, https://qiita.com/ot12/items/e3270c89a7368d96e4d5 OpenAI,” Prompt

    engineering”, https://platform.openai.com/docs/guides/prompt-engineering 深津,”行政のためのプロンプト・エンジニアリング入門”, https://note.com/akihisa_shiozaki/n/n4c126c27fd3d 本質的に重要なのは「プロンプトの暗記」ではなく「柔軟に・繰り返し・根気よくLLMと向き合う文化の醸成」です
  20. 40 明確な指示を書く あなたはInstitutional research(以下、 IR)の責任者です。 ※ Institutional research is research

    conducted within an institution of higher education to provide information which supports institutional planning, policy formation and decision making. 以下の要件に従い、まずIR活動の企画 書の枠組みを設計してください。 その後、枠組みの概要を出力してくださ い。 ### 要件 ### * 教員の研究時間を阻害する要因を特定 したい。 * 分析した結果を研究力不足の改善に役 立てたい。 ### 出力 ### 企画書:1000文字程度 概要:200文字程度 企画書: Institutional Research (IR) 活動企画書 背景 高等教育機関では、教員の研究活動は教 育や学術研究の質を向上させる重要な要 素です。しかし、教員が研究に適切な時 間とリソースを割り当てることが難しい 要因が存在します。このIRプロジェクト は、教員の研究時間を阻害する要因を特 定し、分析した結果を研究力不足の改善 に活用することを目的とします。 目的 教員の研究時間を阻害する具体的な要因 を特定する。 特定された要因を基に、研究力不足を改 善するための施策を策定する。 方法 要因特定の調査: … IR担当者を想定
  21. 41 明確な指示を書く あなたはInstitutional research(以下、 IR)の責任者です。 ※ Institutional research is research

    conducted within an institution of higher education to provide information which supports institutional planning, policy formation and decision making. 以下の要件に従い、まずIR活動の企画 書の枠組みを設計してください。 その後、枠組みの概要を出力してくださ い。 ### 要件 ### * 教員の研究時間を阻害する要因を特定 したい。 * 分析した結果を研究力不足の改善に役 立てたい。 ### 出力 ### 企画書:1000文字程度 概要:200文字程度 ペルソナを設定する 関連性のある答えを得るために 指示に詳細な内容を含める 区切り文字を活用する 必要な手順を明記する 出力の長さや形式を指定する タスカル IR担当者を想定
  22. 42 参考文献・ドメイン知識を提供する あなたには三重引用符で区切られたド キュメントと質問が提供されます。あな たのタスクは、提供されたドキュメント だけを用いて質問に答え、質問に答える ために用いたドキュメントのパッセージ を引用することです。もしドキュメント がこの質問に答えるために必要な情報を 含んでいない場合は、単に「情報が不十

    分です」と書いてください。質問への答 えが提供される場合、それは引用注記付 きでなければなりません。関連するパッ セージを引用するための以下の形式を使 用してください ### 形式 ### {"引用":…} """ 九州大学インスティテューショナル・リ サーチ室(IR室)は、… (6)学内外への大学情報の提供 ""“ 質問: IR室の設置はいつ? IR室の設置は、平成28年4月に行われまし た。{"引用": "九州大学インスティテュー ショナル・リサーチ室(IR室)は、エビ デンスに基づいた大学の改革・改善を支 援する組織として、平成28年4月に設置 されました。"} IR担当者を想定
  23. 43 参考文献・ドメイン知識を提供する あなたには三重引用符で区切られたド キュメントと質問が提供されます。あな たのタスクは、提供されたドキュメント だけを用いて質問に答え、質問に答える ために用いたドキュメントのパッセージ を引用することです。もしドキュメント がこの質問に答えるために必要な情報を 含んでいない場合は、単に「情報が不十

    分です」と書いてください。質問への答 えが提供される場合、それは引用注記付 きでなければなりません。関連するパッ セージを引用するための以下の形式を使 用してください ### 形式 ### {"引用":…} """ 九州大学インスティテューショナル・リ サーチ室(IR室)は、… (6)学内外への大学情報の提供 ""“ 質問: IR室の設置はいつ? IR室の設置は、平成28年4月に行われまし た。{"引用": "九州大学インスティテュー ショナル・リサーチ室(IR室)は、エビ デンスに基づいた大学の改革・改善を支 援する組織として、平成28年4月に設置 されました。"} 参考文からの引用で答えるよう指示する 関連性のある答えを得るために 指示に詳細な内容を含める IR担当者を想定
  24. 44 複雑なタスクを分割する 大学IR(Institutional Research)についての 10000文字の記事を書くための概要を提 案してください。 大学のIR(Institutional Research)につい ての詳細な10,000文字の記事を執筆する ための概要は、以下のようになるでしょ

    う。 タイトル: 大学IR(Institutional Research) の役割と重要性 概要: 1.導入 大学IR(Institutional Research)の概要 IRの重要性と役割の導入 2.大学IRの基本 大学IRの定義と歴史 … 1.導入について1000文字以上で書いてく ださい ### 構成 ### 大学IR(Institutional Research)の概要: 500文字以上 IRの重要性と役割の導入:500文字以上 大学IR(Institutional Research)の概要 大学IR(Institutional Research)は、高等 教育機関におけるデータ駆動型意思決定 の中心的な要素として、その重要性がま すます認識されています。… IR担当者を想定
  25. 45 複雑なタスクを分割する 大学IR(Institutional Research)についての 10000文字の記事を書くための概要を提 案してください。 最初から大きなタスクを与えない (全体の概要を提示させる) 分割されたタスクを実行する (1.から順番に執筆させる)

    分割されたタスクが提示される 1.導入 大学IR(Institutional Research)の概要 IRの重要性と役割の導入 … 1.導入について1000文字以上で書いてく ださい ### 構成 ### 大学IR(Institutional Research)の概要: 500文字以上 IRの重要性と役割の導入:500文字以上 IR担当者を想定
  26. 46 【参考】GPTに「考える」時間を与える ステップ1 - まず、自分自身で問題の解 答を出してください。生徒の解答に頼る ことなく、このステップでの作業は全て 三重引用符(""")で囲んでください。 ステップ2 -

    自分の解答と生徒の解答を 比較し、生徒の解答が正しいかどうかを 評価してください。このステップでの作 業は全て三重引用符(""")で囲んでく ださい。 ステップ3 - もし生徒が間違えていたら、 答えを明かすことなく生徒に与えられる ヒントを考えてみてください。このス テップでの作業は全て三重引用符 (""")で囲んでください。 ステップ4 - もし生徒が間違えていたら、 前のステップで考えたヒントを生徒に提 供してください(三重引用符の外で)。 "ステップ4 - ..."と書く代わりに、"ヒン ト:"と書いてください。 問題の提示:ガウス積分∫[ -∞, ∞ ] e^(-x^2) dxの解を求めよ 生徒の解答: 2 ステップ1: 自分自身で問題の解答を出します。 ガウス積分∫[ -∞, ∞ ] e^(-x^2) dxの解を求 めるため、以下の計算を行います。 ∫[ -∞, ∞ ] e^(-x^2) dx この積分はガウス関数として知られてお り、厳密な解を持ちます。ガウス積分の 解は次の通りです。 √π ステップ2: 生徒の解答は正しくありません。ガウス 積分の正しい解答は2ではなく、√πです。 … ステップ4: ヒント: ガウス関数の積分は非常に特別 な性質を持ち、非常によく知られていま す。ガウス関数の指数部分がx^2であるこ とに注目し、積分を行う際にどのように 変数変換をするかを考えてみてください。 また、ガウス関数のグラフの対称性にも 注意してください。 IR担当者を想定
  27. 47 【参考】GPTに「考える」時間を与える ステップ1 - まず、自分自身で問題の解 答を出してください。生徒の解答に頼る ことなく、このステップでの作業は全て 三重引用符(""")で囲んでください。 ステップ2 -

    自分の解答と生徒の解答を 比較し、生徒の解答が正しいかどうかを 評価してください。このステップでの作 業は全て三重引用符(""")で囲んでく ださい。 ステップ3 - もし生徒が間違えていたら、 答えを明かすことなく生徒に与えられる ヒントを考えてみてください。このス テップでの作業は全て三重引用符 (""")で囲んでください。 ステップ4 - もし生徒が間違えていたら、 前のステップで考えたヒントを生徒に提 供してください(三重引用符の外で)。 "ステップ4 - ..."と書く代わりに、"ヒン ト:"と書いてください。 問題の提示:ガウス積分∫[ -∞, ∞ ] e^(-x^2) dxの解を求めよ 生徒の解答: 2 結論に急ぐ前にAI自身の 解決策を考えるよう指示する 推論過程を隠すために 内的モノローグを使用する 開発者向けです でもIRerなら 知っておきたい IR担当者を想定
  28. 48 プロンプトエンジニアリングのベストプラクティス(GPT) GPTに「考える」時間を与える 複雑なタスクを分割する 参考文献・ドメイン知識を提供する 明確な指示を書く @ot12,“【完全保存版】OpenAIが教えるChatGPTからより良い結果を得るためのプロンプトのコツ”, https://qiita.com/ot12/items/e3270c89a7368d96e4d5 OpenAI,” Prompt

    engineering”, https://platform.openai.com/docs/guides/prompt-engineering 深津,”行政のためのプロンプト・エンジニアリング入門”, https://note.com/akihisa_shiozaki/n/n4c126c27fd3d 本質的に重要なのは「プロンプトの暗記」ではなく「柔軟に・繰り返し・根気よくLLMと向き合う文化の醸成」です
  29. 52 主要参考文献 Atlas,“ChatGPT for Higher Education and Professional Development: A

    Guide to Conversational AI”, COLLEGE OF BUSINESS FACULTY PUBLICATIONS,548,https://digitalcommons.uri.edu/cba_facpubs/548/,2023 Dwivedi et al,“Opinion Paper: “So what if ChatGPT wrote it?” Multidisciplinary perspectives on opportunities, challenges and implications of generative conversational AI for research, practice and policy”, International Journal of Information Management,Volume 71,2023 戸田市,「自治体業務における ChatGPT 等の生成 AI 活用ガイド(本編)」,2023, https://www.city.toda.saitama.jp/uploaded/attachment/62855.pdf 木村弘志,”大学職員人事異動制度の実証的研究 職務遂行高度化への効果検証”,東信堂,2023 @ot12,“【完全保存版】OpenAIが教えるChatGPTからより良い結果を得るためのプロンプトのコツ”,2023,https://qiita.com/ot12/items/e3270c89a7368d96e4d5 OpenAI,” Prompt engineering”,2023,https://platform.openai.com/docs/guides/prompt-engineering 深津,”行政のためのプロンプト・エンジニアリング入門”,2023,https://note.com/akihisa_shiozaki/n/n4c126c27fd3d Benjamin Clavié, Alexandru Ciceu, Frederick Naylor, Guillaume Soulié, Thomas Brightwell(2023)「Large Language Models in the Workplace: A Case Study on Prompt Engineering for Job Type Classification」CoRR,https://arxiv.org/abs/2303.07142 野村研究所(2023)「プロンプトエンジニアリング」,https://www.nri.com/jp/knowledge/glossary/lst/ha/prompt_engineering
  30. 56 生成AIサービスの利用と運用の違い 教職員 生成AI サービス 指示 出力 生成物 利用 運用

    教職員 学生 生成AI サービス 指示 出力 生成物 教職員 ⇒組織的運用 ⇒個人的利用 ※ 「利用パターン」の管理
  31. 57 生成AIサービスの代表的な利用パターン ChatGPT等の Webサービスを利用 LLM APIを組み込んだ 社内サービスを整備・利用 https://twitter.com/tka0120/status/1671512617276375049/photo/4 を参考に作成 ⇒セキュアかつ

    利用ログの取得・分析が可能 ③ システム 入力 出力 LLM API呼出 API返値 生成AIサービス 利用者 システム 入力 出力 LLM API呼出 API返値 生成AIサービス LLMサービス 利用者 システム 入力 出力 LLM API呼出 API返値 利用者+組織内環境 LLMサービス ② ① LLM APIを組み込んだ Webサービスを利用
  32. 利用パターン① ChatGPT等の Webサービスを利用 LLM APIを組み込んだ 社内サービスを整備・利用 https://twitter.com/tka0120/status/1671512617276375049/photo/4 を参考に作成 ⇒セキュアかつ 利用ログの取得・分析が可能

    ③ システム 入力 出力 LLM API呼出 API返値 生成AIサービス 利用者 システム 入力 出力 LLM API呼出 API返値 生成AIサービス LLMサービス 利用者 システム 入力 出力 LLM API呼出 API返値 利用者+組織内環境 LLMサービス ② ① LLM APIを組み込んだ Webサービスを利用 58
  33. 利用パターン② ChatGPT等の Webサービスを利用 LLM APIを組み込んだ 社内サービスを整備・利用 https://twitter.com/tka0120/status/1671512617276375049/photo/4 を参考に作成 ⇒セキュアかつ 利用ログの取得・分析が可能

    ③ システム 入力 出力 LLM API呼出 API返値 生成AIサービス 利用者 システム 入力 出力 LLM API呼出 API返値 生成AIサービス LLMサービス 利用者 システム 入力 出力 LLM API呼出 API返値 利用者+組織内環境 LLMサービス ② ① LLM APIを組み込んだ Webサービスを利用 61
  34. 63 利用パターン② “???” 夢のような欲張りサービス…いったい何者なんだ… テキスト生成AIサービス ◆ 高性能な対話型AIインターフェース ◆ Web検索機能...AIの訓練データ範囲を超えて最新情報を取得 ◆

    Pythonの実行環境...プログラムの生成・実行・修正 ◆ 画像生成機能...テキストから高品質な画像を生成 ◆ 画像認識機能...画像の読み込み・解釈 ◆ カスタマイズしたAIの開発・共有機能...簡易AIボット・AIエージェント ◆ PDF等のファイル認識機能...knowledgeを対話に埋め込み ◆ 豊富なサードパーティー製プラグイン
  35. 64 利用パターン② ChatGPT Plus テキスト生成AIサービス(月額20ドル) ◆ 高性能な対話型AIインターフェース ◆ Web検索機能...AIのカットオフを超えて最新情報を取得 ◆

    Pythonの実行環境...プログラムの生成・実行・修正 ◆ 画像生成機能...テキストから高品質な画像を生成 ◆ 画像認識機能...画像の読み込み・説明 ◆ カスタマイズしたAIの開発・共有機能...簡易AIボット・AIエージェント ◆ PDF等のファイル認識機能...knowledgeとして対話に埋め込み ◆ 豊富なサードパーティー製プラグイン https://openai.com/blog/chatgpt-plus
  36. 利用パターン③ ChatGPT等の Webサービスを利用 LLM APIを組み込んだ 社内サービスを整備・利用 https://twitter.com/tka0120/status/1671512617276375049/photo/4 を参考に作成 ⇒セキュアかつ 利用ログの取得・分析が可能

    ③ システム 入力 出力 LLM API呼出 API返値 生成AIサービス 利用者 システム 入力 出力 LLM API呼出 API返値 生成AIサービス LLMサービス 利用者 システム 入力 出力 LLM API呼出 API返値 利用者+組織内環境 LLMサービス ② ① LLM APIを組み込んだ Webサービスを利用 65
  37. 67 利用パターン③ 神戸市 神戸市,「pva-aoai-integration-solution」,2023,https://github.com/City-of-Kobe/pva-aoai-integration-solution テキスト生成AIサービス(組織内環境) 職員が業務で使用するコミュニケー ションツールの1つである「Microsoft Teams」を活用して、Microsoft社の 「Azure OpenAI

    Service」を使用しま す。また、これらの連携アプリについ ては、職員が内製することで実現しま した。 「神戸市、ChatGPTの試行利用を開始Microsoft社のAzure OpenAI Serviceを活用した神戸市独自の利用環境を指定」,2023, https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000013.000120995.html
  38. 71 「整備」=活用レベル×利用パターン 活用レベル0 活用レベル1 活用レベル2 利用パターン1 使用する 利用パターン2 使用する 利用パターン3

    組織的環境を 構築する もっと活用する 生成AI活用のための組織体制の整備とは、 利用パターンを理解し、生成AIを組織として運用・活用すること 例: ヘルプデスク(武蔵野大学) 例: チャットサービス(東京大学)
  39. 72 いきなり高い活用レベルを整備する必要はない 活用レベル0 活用レベル1 活用レベル2 利用パターン1 使用する 利用パターン2 使用する 利用パターン3

    組織的環境を 構築する もっと活用する 生成AI活用のための組織体制の整備とは、 利用パターンを理解し、生成AIを組織として運用・活用すること 最初は活用レベル0の無料版を利用し、普及を図り、学内の理解を得る/小さな成果を出す 積極的な活用が見込めてから活用レベルを上げる(生成AI導入による効果を財務責任者へ説明) ➢ アクションプラン例
  40. 76 大学における生成AIポリシーの例 何ができるかですが、ここでいろいろ説明するよりも、まず皆さん自身で使ってみるのが 良いと思います。…質問・指示文章(プロンプトとか呪文と呼ばれます)のやり方を工夫 すると、文書作成や文書アウトラインの生成、翻訳、文章の修正・トーン変更、文章要約、 コンピューター・プログラムの作成や修正、試験問題作成、調査・分析、ディスカッショ ン・ブレインストーミングの壁打ち相手など、様々なことに使えます。 東京大学(2023年4月3日付公表) 何ができるか、「検索」ではなく「相談」するシステム 本学の学生や教職員はどう対応したらよいか

    …本学構成員の皆様は、この変化を傍観するだけでなく、大規模言語モデルに「創発」 (能力が突然飛躍的に向上すること)が起きた3原因を考察したり、生成系AIがもたらす 様々な社会の変化を先取りし、積極的に良い利用法や新技術、新しい法制度や社会・経済 システムなどを見出していくべきではないでしょうか。 東京大学,「生成系AI(ChatGPT, BingAI, Bard, Midjourney, Stable Diffusion等)について」,2023, https://utelecon.adm.u-tokyo.ac.jp/docs/20230403-generative-ai
  41. 77 大学における生成AIポリシーの例 • 身近なツールとなってきた生成AIを、まずは自分の目で確かめてみよう。 • 生成AIの問題や可能性についてより深く考えていこう。 • 個人情報や機密情報、また悪意のある内容の入力は絶対にしてはいけません。 • レポートや論文に、生成AIの回答をそのまま用いて提出することを禁止します。

    • 生成AIを引用するときは出典として明記してください。 • 生成AIの回答をそのまま「自分の作品(自作)」として提出することを禁止します。 武蔵野美術大学(2023年5月11日付公表) 大学は「学び」の場です。授業である講義、演習、実習、そして自身の制作・研究活動ま で全てにおいて「学び」が重要です。新しい技術である生成AIをこの「学び」にどのよ うに取り込むか。クリエイティブについて考え、制作・研究することを旨とする武蔵野美 術大学の学生や教職員が、生成AIに対する向き合い方をみなさん自身で考えなくてはい けない時期に立っています。 6点の軸 大学のスタンス 武蔵野美術大学,「生成系人工知能(生成AI)についての学長からのメッセージ」,2023,https://www.musabi.ac.jp/news/20230511_03_01/
  42. 79 ガイドラインの重要性 生成AI社内ガイドラインのメリット (福岡ら,2023) 1. 正しい利用の促進 2. 法的・倫理的リスクの回避 3. 基準の明確化による安心感

    4. 企業内の一貫性の確保 5. 社内コミュニケーションの促進 組織的活用のために必要 従来のツールと異なる点を理解する ガイドライン策定の 枠組みと事例を紹介
  43. 80 ガイドラインの項目例 項目番号 項目名 概要 1 生成AIに対する基本方針 組織としてどのように利用することを考えているか 2 生成AIの利用目的

    どのような目的で利用できるか(業務効率化、翻訳等) 3 ガイドラインの対象者 業務内容や職種による違いはあるか 4 ガイドラインの対象行為 どのような利用行為を対象とするか 5 誤情報への注意喚起 利用における留意点は何か 6 機密情報の取り扱い どのような場合に機密情報を利用できる/できないか 7 知的財産権への対応 利用における留意点は何か 8 個人情報・パーソナルデータの取り扱い どのような場合に個人情報を利用できる/できないか 9 不適切利用の禁止 どのような利用行為を禁止とするか 10 倫理的な利用 法律以外の観点から何を検討する必要があるのか 11 生成AIの利用制限 どのような場合に利用できないか 12 利用する生成AIやデータの利用規約の順守 どの利用規約を順守すべきか 13 透明性と説明責任 利用者が果たすべき責任は何か 14 学習データの正確性 どのような指針を掲げているか 15 対象会社の範囲 (グループ会社等がある場合)どの組織が対象か 16 利用の手続 利用のためにどのような手続きを取るべきか 17 問い合わせ先・相談窓口 問い合わせ先・相談窓口はどこか 福岡真之介・松下外,『生成AIの法的リスクと対策』,2023,日経BP
  44. 81 ガイドラインの項目例 項目番号 項目名 概要 1 生成AIに対する基本方針 組織としてどのように利用することを考えているか 2 生成AIの利用目的

    どのような目的で利用できるか(業務効率化、翻訳等) 3 ガイドラインの対象者 業務内容や職種による違いはあるか 4 ガイドラインの対象行為 どのような利用行為を対象とするか 5 誤情報への注意喚起 利用における留意点は何か 6 機密情報の取り扱い どのような場合に機密情報を利用できる/できないか 7 知的財産権への対応 利用における留意点は何か 8 個人情報・パーソナルデータの取り扱い どのような場合に個人情報を利用できる/できないか 9 不適切利用の禁止 どのような利用行為を禁止とするか 10 倫理的な利用 法律以外の観点から何を検討する必要があるのか 11 生成AIの利用制限 どのような場合に利用できないか 12 利用する生成AIやデータの利用規約の順守 どの利用規約を順守すべきか 13 透明性と説明責任 利用者が果たすべき責任は何か 14 学習データの正確性 どのような指針を掲げているか 15 対象会社の範囲 (グループ会社等がある場合)どの組織が対象か 16 利用の手続 利用のためにどのような手続きを取るべきか 17 問い合わせ先・相談窓口 問い合わせ先・相談窓口はどこか 実際のガイドラインは?
  45. 82 JDLA(日本ディープラーニング協会)のガイドライン 項目番号 項目名 内容 1 本ガイドラインの目的 生成AI利用時の注意事項解説、 法令違反や権利侵害の防止 2

    本ガイドラインが 対象とする生成AI 主にOpenAI社のChatGPT、他のAI利用時 はセキュリティ部門への問い合わせ 3 生成AIの利用が 禁止される用途 特定の用途での生成AI利用の禁止 4 本ガイドラインの構成 データ入力と生成物利用の注意事項に焦点 5 データ入力に際して 注意すべき事項 第三者の著作権、商標権、 パブリシティ権等の注意事項 6 生成物を利用するに 際して注意すべき事項 内容の虚偽、権利侵害、 著作権発生の不確実性など 生成AIの利用ガイドライン ( 第1.1版, 2023年10月公開) 一般社団法人日本ディープラーニング協会「生成AIの利用ガイドライン」,2023,https://www.jdla.org/document/
  46. 83 武蔵野大学のガイドライン 項目番号 項目名 内容 1 本ガイドラインの目的 教職員が生成AIを利用する際の 注意事項の解説 2

    本ガイドラインが 対象とする生成AI 対話型AI(ChatGPT等)、画像生成AI (Stable Diffusion等)、動画生成AI、 音楽生成AIを含む。 3 生成AIの利用が 禁止される用途 他者の著作物を使用して二次的著作物を 生成し、それを自分のものだと主張する ことなど 4 本ガイドラインの構成 データ入力と生成物利用の 注意事項を中心に構成 5 データ入力に際して 注意すべき事項 第三者の著作権データ、登録商標・意匠、 著名人の顔写真や氏名、個人情報、秘密 情報、機密情報への注意 6 生成物を利用するに際して 注意すべき事項 誤った情報、既存の権利の侵害、著作権 の発生しない可能性、商用利用の可否、 生成AIのポリシー制限への注意 武蔵野大学 教職員向け 生成AIの利用ガイドライン(2023年6月29日) 武蔵野大学,「武蔵野大学 教職員向け 生成AIの利用ガイドライン」,2023, https://www.musashino-u.ac.jp/academics/basic/generation_ai/generation_ai_guidelines.html JDLAのガイドラインのひな形に準拠
  47. 84 上智大学のガイドライン 項目番号 項目名 概要 1 本ガイドラインの目的 生成AI利用時の注意事項を示し、教育 活動においての適切な利用を促進 2

    基本的な考え方 「他者のために、他者とともに」の精神 に基づき、倫理的・法的・社会的側面を 考慮した利用を推奨 3 本ガイドラインが対象とする 生成AI テキスト生成AI(例:ChatGPT)を主 な対象とし、その拡張ソフトウェアも含 む 4 授業科目における使用 授業科目での使用可否を担当教員が明示 し、適切な使用方法について指導 5 課題における使用と不正防止 について 課題への取り組みにおいて生成AI出力 物の直接使用は認められず、使用の可否 を明示する 6 倫理的・法的・社会的問題点 生成AIの利用に関連する倫理的・法 的・社会的課題についての理解深化を求 める 教育における生成AI利用に関するガイドライン(2023年10月23日) 上智大学,「教育における生成AI利用に関するガイドライン」,2023, https://piloti.sophia.ac.jp/assets/uploads/2023/10/23171508/b528436042d4a6c9dbb1e173398b3900.pdf
  48. 85 那覇市のガイドライン 項目番号 項目名 内容 1 策定の趣旨 目的と背景 2 対象とする生成AI

    AIの定義 3 適用範囲 ガイドラインの適用部門 4 業務における具体的な活用例 例: 文書作成、要約 5 情報入力における遵守事項 情報の入力基準 6 生成物の取扱における遵守事項 成果物の利用基準 7 利用の停止 AI利用の一時停止対応 8 本ガイドラインの見直し 見直しの条件 9 庶務 疑問や相談の処理 那覇市生成AI活用ガイドライン(2023年11月22日) 那覇市,「那覇市生成AI活用ガイドライン」,2023, https://www.city.naha.okinawa.jp/websyuccyoujyo/kaiken/2023kaiken/kaiken231122.files/siryou20231122_3.pdf
  49. 86 身近なところから始めるガイドライン策定 1. 正しい利用の促進 2. 法的・倫理的リスクの回避 3. 基準の明確化による安心感 4. 企業内の一貫性の確保

    5. 社内コミュニケーションの促進 ◼ 利用する・情報を収集する ◼ 自身の課題を明確にする ◼ 課内(係内)における理解の促進 生成AI社内ガイドラインのメリット (福岡ら,2023) アクションプラン例 • 勉強会の企画・実施 • 生成AIの利用事例の管理・蓄積 • 既存の学内ポリシーに適した 生成AIグッドプラクティスの模索
  50. Pythonの実行環境等を兼ねたAIエージェントの登場・普及 90 生成AI自身が推論し、行動する「AIエージェント」 gArtist,“Make Langchain Agent Actually Work With Local

    LLMs (Vicuna, WizardLM)”,2023, https://betterprogramming.pub/make-langchain-agent-actually-works-with-local-llms-vicuna-wizardlm-etc-da42b6b1a97 例:Code Interpreter、Open Interpreter
  51. 97 大学業務における生成AI利用の体系 ✓ リスク管理や学内コミュニケーションの 促進のために、別途ガイドラインを策定 ⚫ 主な項目: • 基本方針 •

    対象者と対象行為 • 制限事項 ✓ 生成AIサービスの利用目的は 「業務の改善」「能力の拡張」 ⚫ 実効的な利用のために: • 限界・課題を理解する • 適切に利用する • 上手に利用する ポイント ✓ ノウハウ・ナレッジの蓄積と機動的対応 ⚫ アクションプランの例: • SD/FD,勉強会の実施 • セキュアな生成AIサービスの構築 • 学内文書等のグラウンディング
  52. 102 生成AI時代のDX推進に必要な人材・スキル カテゴリ 内容 マインド・スタンスやリテラシー 生成AIをビジネススキルと組み合わせ、 生産性向上やビジネス変革に利用する姿勢 生成AIの利用における著作権侵害、情報漏えい、 倫理的問題への理解と注意 生成AIの影響を理解し、

    変化に適応しながら学習を続ける姿勢 指示(プロンプト)の習熟、 言語化能力、対話力 生成AIとの対話やプロンプトの習熟、言語化能力 技術進展に対応し、 プロンプトの自動化や改良を考慮する能力 経験による能力の培養 AI利用の場面分析、問いの立て方、 生成物の評価、批判的思考能力 実践的なトレーニングを通じた 経験の蓄積とスキル向上 経済産業省,「生成AI時代のDX推進に必要な人材・スキルの考え方」,2023. https://www.meti.go.jp/press/2023/08/20230807001/20230807001-b-1.pdf
  53. 109 ラッセル・グループの教育における生成AIツールの利用原則 1. 大学は、学生や職員がAIリテラシーを身につけられるよう支援する。 Russell Group principles on the use

    of generative AI tools in education https://russellgroup.ac.uk/media/6137/rg_ai_principles-final.pdf 2. 職員は、学生が学習経験において効果的かつ適切に 生成AIツールを使用できるようサポートする能力を身につける。 3. 大学は、生成AIの倫理的利用を取り入れ、 平等なアクセスを支援するために、教育と評価を適応させる。 4. 大学は、学問の厳密性と完全性が維持されるようにする。 5. 大学は、テクノロジーとその教育への応用が進化する中で、 ベストプラクティスを共有するために協力的に取り組む。 すべての学生や職員が、これらのツールの使用に関連する機会、限界、倫理的問題を理解し、生 成的AIの能力が発展するにつれて学んだことを応用できるようになることが重要である。 変化し続けるこの状況を乗り切るためには、大学、学生、学校、FEカレッジ、雇用主、セク タ ー、専門機関の協力が必要であり、政策、原則、そしてその実践の継続的な見直しと評価が 必要である。
  54. 110 テキスト生成AIの出力を提案として扱う 出力が真であるかどうかは重要か? (=提案ではなく検索としての用途か?) 出力の正確さを検証する 専門知識があるか? 不正確な情報を見逃した場合、 法的・モラルなどのあらゆる責任を 負うことができるか? Tiulkanov,”Is

    it safe to use ChatGPT for your task?”, https://www.linkedin.com/posts/tyulkanov_a-simple-algorithm-to-decide-whether-to-use-activity-7021766139605078016-x8Q9 ただし、出力された単語や文章が正確か どうか、また常識的なものであるかどう かを必ず検証すること。 ChatGPTを 安全に使用するためのフローチャート
  55. 115 生成AI以前のAIの概略 AI 機械学習 深層学習 人間と同様の知識を実現させよう という取り組みやその技術 特定のタスクやトレーニングにより 実行できるようになるAI 人が特徴を定義

    マシンが特徴を自動定義 「生成AI時代の人材育成」「AI用語の包含関係」に基づき作成 https://www.meti.go.jp/shingikai/mono_info_service/digital_jinzai/pdf/008_05_00.pdf
  56. 116 大学業務における生成AI以前のAI(一例) AI 機械学習 深層学習 人間と同様の知識を実現させよう という取り組みやその技術 特定のタスクやトレーニングにより 実行できるようになるAI 人が特徴を定義

    マシンが特徴を自動定義 「生成AI時代の人材育成」「AI用語の包含関係」に基づき作成 https://www.meti.go.jp/shingikai/mono_info_service/digital_jinzai/pdf/008_05_00.pdf AIチャットボット導入事例 多数 ⇒対面業務の効率化・自動化 https://aisaas.pkshatech.com/success/ 機械学習を用いた科研費データの分類 ⇒URA業務の効率化 https://researchmap.jp/multidatabases/multidatabase _contents/detail/228659/45d95f9b52119b50010671c 078baa700?frame_id=720254 従来から広義の”AI”は 一部の大学業務に貢献していた
  57. 117 AI研究・開発における生成AIの位置 AI 機械学習 深層学習 AI研究・開発 生成AI 汎用性に特化 人間と同様の知識を実現させよう という取り組みやその技術

    特定のタスクやトレーニングにより 実行できるようになるAI 人が特徴を定義 マシンが特徴を自動定義 「生成AI時代の人材育成」「AI用語の包含関係」に基づき作成 https://www.meti.go.jp/shingikai/mono_info_service/digital_jinzai/pdf/008_05_00.pdf 大規模言語モデル (LLM) 等
  58. 121 「基盤技術・モデルとしての生成AI」(言語モデル)に関する参考情報 テキストの後に続く言葉の条件付確率を求める言語モデルを トランスフォーマーアーキテクチャのデコーダ構成として実装して 様々な下流タスクに汎用的に対応できるように大規模化・チューニング・強化学習を施したAI ChatGPTに使用されているGPTとは… 特定のタスクに 特化したモデル ファインチューニングの コストは高い

    事前学習済モデル ヘッド (特定のタスク用) 事前学習済モデル モデルの大規模化+様々な タスクを解くための指示 チューニング等 プロンプトによる汎用的な タスク遂行が可能になった プロンプト 従来の特化型AI 基盤モデル・生成AI 関連する文献を最後に紹介します
  59. 122 生成AIとは何か 生成AIサービスの定義 “The Promise and Potential Risks of Generative

    AI”における定義 生成AI(Generative AI)とは、一般的に、写真、テキスト、コンピュータコード…など、ユー ザーからの指示に基づいてオリジナルのコンテンツを生成できる人工知能(AI)の一種である。 https://aismiley.co.jp/ai_news/what-is-generative-ai/ “The Promise and Potential Risks of Generative AI”、https://core.verisk.com/Insights/EmergingIssues/Articles/2023/January-2023/Week-4/Generative-AI
  60. 123 生成AIとは何か abstract painting of generative ai 学習済み モデル 利用者

    例:画像生成AIサービス(text to image) 生成AIサービス 生成物 指示(プロンプト) 出力 事前に大量の学習データセット、パラ メータを使用して学習済みモデルを作成
  61. 124 「大学職員」の画像を生成 A detailed depiction of a University Administration Conference,

    bustling with scholars and administrators in conversation, drawn in the style of an editorial cartoon, focus on interactions, facial expressions, and academic setting --ar 16:9 --s 300 --c 10 --v 5.2 --q 2
  62. 127 ChatGPTとは何か 対話型のテキスト生成AIサービス  自然言語処理に特化した学習済みモデル (Generative Pretrained Transformer; GPT)を使用 

    「与えられたテキストの後に続く単語の予測」を繰り返し、テキストを生成する  日常会話、レポートの作成、思考の整理、テーブル化…多様なタスクを遂行可能 仲山,”ChatGPTと医療の現在地”,https://speakerdeck.com/shookiyama/chatgpttoyi-liao-noxian-zai-di
  63. 128 映画と劇の違いを 3点に要約して 学習済み モデル 利用者 生成AIサービス 生成物 指示(プロンプト) 出力

    ChatGPTとは何か ChatGPT等のテキスト生成AIサービス(text to text) 1. 制作過程と技術:映画 はフィルムやデジタルメ ディアに録画され、編集 や特殊効果を含む後処理 が行われます。… 2. 視覚的体験:… 3. 観客との関わり:… 事前に大量の学習データセット、パラ メータを使用して学習済みモデルを作成
  64. ChatGPTを使ってみる 1回目:「映画と劇の違いを3点に要約して」 映画と劇の違いを以下の3点に要約できます: 形式:映画は映像媒体であり、ストーリーテリング や演技は映像と音声を通じて表現されます。一方、 劇は生のパフォーマンスであり、俳優たちが舞台上 でリアルタイムに演技を行います。 可変性:映画は複数の場所や時間で撮影されたシー ンを編集して作られるため、環境や視覚効果の制約 を超えてストーリーを表現できます。劇は通常、一

    つの舞台上で行われるため、セットや装置を使って 場面転換を行いますが、制約があります。 共有性:映画は劇場やテレビなどのメディアを通じ て大規模に配信され、多くの人々が同時に視聴でき ます。一方、劇は特定の場所と時間に制限され、観 客は劇場に行って実際にパフォーマンスを見る必要 があります。 1.制作過程と技術: 映画はフィルムやデジタルメディ アに録画され、編集や特殊効果を含む後処理が行わ れます。撮影は非線形で、最終的な映画は数日から 数ヶ月、時には数年にわたる作業の結果として完成 します。一方、劇は実際の時間と空間で生演奏され、 後処理や特殊効果の使用が限定的です。 2.視覚的体験: 映画はカメラの視点を用いて視覚的な ストーリーテリングを行い、クローズアップや広角 ショットなどを通じて視覚的な詳細を提示します。 また、音響効果や映像効果を自由に操ることができ ます。劇は観客が実際に俳優のパフォーマンスを見 て聞くもので、舞台装置や衣装、演技に依存します。 3.観客との関わり: 劇は生のパフォーマンスであり、 観客はその瞬間を直接体験します。観客の反応はパ フォーマンスに直接影響を与え、互動性があります。 一方、映画は事前に制作され、観客との直接的なイ ンタラクションはありません。しかし、映画は世界 中の観客と共有できるという利点があります。 132 ⚡出力 GPT-3.5 ⭐出力 GPT-4 [2023年7月1日]
  65. 137 テキスト生成AI[の中で使用されるAIモデル] の特性 データ依存性 予測不可能性 普遍性 https://arstechnica.com/gadgets/2023/01/the-generative-ai-revolution-has-begun-how-did-we-get-here/ • AIモデルはその性能や機能が訓練データに大きく依存する •

    質の良いデータと十分な量のデータが与えられると、AIはより正確になる • AIモデルは基本的に確率的であり、同じ入力に対しても異なる出力をすることがある 創発的振る舞い • 大規模なモデルは予期しない新しい機能や能力を示すことがよくある • これはモデルの複雑さとその訓練方法に起因するものである • これらのモデルは多岐にわたるタスクやドメインで機能することができる • 一つのモデルが多くの異なるタスクを学ぶ能力を持つことがよくある
  66. 138 データ依存性 同じ指示でもAIモデルによって出力・生成物が異なる ChatGPT 利用者 指示X 出力B 生成物B ChatGPT的な LLMサービス

    プログラミン グに特化した LLMサービス 出力A 出力C 指示X 指示X 三者三様、事前にデータを学習し、 指示チューニングや強化学習を済ませた状態 生成物A 生成物C AIモデルを適切に理解・選択する必要がある
  67. 139 予測不可能性 同じ指示・同じAIモデルでも出力・生成物は確率的なゆらぎを持つ ChatGPT 利用者 指示X 出力B 生成物B ChatGPT 利用者

    指示X 出力A 生成物A 昨日 ついさっき いま ChatGPT 利用者 指示X 出力C 生成物C いつも同じ内容が返ってくるわけではない
  68. 144 大学の事務業務に対する生成AI利用の示唆 大学の事務業務における生成AIの導入・活用に対する言及は 大学の教育・研究活動におけるそれと比べて数少ない 2023年1月;大学におけるChatGPT利用の「出発点(starting point)」 ChatGPTはレポート、要約、その他の文書の生成に使用することができ、 administrative tasksの効率を向上させる。(Atlas,2023) 専門家からの43の寄稿に基づく対話型生成AIの利用に対する洞察

    AIチャットボットは、教育者、管理者、大学経営者の作業負担を軽減し、 学生をサポートすることで、…他に集中できるようになるかもしれない。 (Dwivedi et al,2023) 2023年9月2日時点、日本の大学では 東北大学、埼玉大学、佐賀大学が生成AIの導入や活用に言及 9月2日時点(森木,2023)
  69. 145 東北大学 全国の大学に先駆けてChatGPTを導入 システム運営業務での活用 職員が用いるパソコン(仮想クライアント)の管理や運用を行う業務において、 RPA のフローを ChatGPT と対話をしながら作成し、管理・運用業務を自動化 広報業務での活用

    本学が発出したプレスリリースを基に、ChatGPT を活用してニュース原稿を作成し、 AI ナレーターが読み上げることで、新たな音声・動画メディアを作成 その他にも、本学のイベント周知のために、ChatGPT を活用して キャッチコピーを作成するなど、多様な用途で活用しています。 また、本プレスリリースの作成の一部にも ChatGPT を活用しております。 [2023年5月18日] 東北大学,全国の大学に先駆けて ChatGPT を導入~AI を駆使し DX の最先端を切り拓く~, https://www.tohoku.ac.jp/japanese/newimg/pressimg/tohokuuniv-press0518_04web_chatgpt.pdf
  70. お知らせ 151 ChatGPTアカウント(無料)を作成する https://chat.openai.com/ ◆ 発展:言語モデルの詳しい原理に関する文献 岡崎 直観「大規模言語モデルの驚異と脅威」 https://speakerdeck.com/chokkan/20230327_riken_llm https://www.youtube.com/watch?v=PUuk4Cv-ycg&t=2345s

    岡野原 大輔『大規模言語モデルは新たな知能か ChatGPTが変えた世界』 https://www.iwanami.co.jp/book/b625941.html 山田 育也等『大規模言語モデル入門』 https://gihyo.jp/book/2023/978-4-297-13633-8  推奨:生成AIサービスの利用方法に関する文献 東京都「文章生成AI利活用ガイドライン」 https://www.digitalservice.metro.tokyo.lg.jp/ict/pdf/ai_guideline.pdf 深津 貴之「行政のためのプロンプト・エンジニアリング入門」 https://note.com/akihisa_shiozaki/n/n4c126c27fd3d ◼ 必須:講座までにご対応願います