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参加型政策立案を支えるテクノロジー

 参加型政策立案を支えるテクノロジー

2021/06/19
デジタルガバナンスラボでお話する内容です。
参加型政策立案や市民エンゲージメントに関するプラットフォームを、decidim や vTaiwan を中心に解説しています。

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Haruyuki Seki

June 19, 2021
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Transcript

  1. 一般社団法人コード・フォー・ジャパン
 関治之
 2021/06/19
 オープンガバナンスラボ
 参加型政策立案を支える
 テクノロジー
 CC-BY-SA 4.0


  2. スクエアの写真を
 ここに入れる
 2 自己紹介
 関 治之(Hal)
 • 一般社団法人コード・フォー・ジャ パン 代表理事


    • 合同会社Georepublic Japan
 • 株式会社HackCamp 代表取締役社長/CEO 
 • 内閣官房 IT総合戦略室 CIO補佐官 
 • 東京都、神戸市、浜松市、山口県、枚方市、 
 西粟倉村 等のアドバイザー
 

  3. コロナ禍の情報連携課題
 3

  4. • リモートワークへの対応、押印見直し、給付問題、etc
 • アナログなやり取りの効率が極端に下がったため、急速なデジタル化が必要となっ た
 
 コロナ禍で、自治体のデジタル化が急務に
 4

  5. • COCOA、HER-SYS、自治体の予約システム、etc
 • 突貫で作らざるを得ない事態となり、不具合が多発
 
 相次ぐシステム不具合
 5 NHK News Web

    
 NHK News Web 
 カナロコ

  6. 国と自治体間のデータがつながっていなかった
 6 自治体から国へタイムリーに情報が伝 達できない
 デジタルIDが使えず、国から直接国民に 給付ができない
 個別に乱立するシステム 
 アナログな業務フローで、とどかないラ ストワンマイル


    届かない現場からの声 

  7. デジタル社会の実現に向けた重点計画(令和元年6月18日閣議決定)
 7 徹底したUI・UX の 改善 国民目線、ワンストップ、ワンスオンリー 政府統一ウェブサイト 国民や地方公共団体の声を直接聴く仕組みの活用 デジタル社会に必要な共 通機能の整備・普及

    マイナンバーカード・マイナンバー利活用、 ID認証、ガバメント クラウドやAPIの整備、情報システム整備、各種業務のデジタ ル化 包括的データ戦略 トラストを担保する基盤の確立、 DFFT推進のための国際連 携、データ連携の推進、業務標準化、ベースレジストリ整備、 オープンデータ推進、共通基盤の整備
  8. 低下する政府への信頼
 8 2021 Edelman Trust Barometer Spring Update エデルマンの調査によると、 日本政府の信頼は、コロナ

    前の43ポイントから36ポイン トに低下。
 調査14カ国中、下から二番 目。
 
 (ちなみに、メディア、NGO、 企業、保健機関などへの信 頼が日本は軒並み低い状 態)
 

  9. テクノロジーそのものへの信頼も下がっている
 9 2021 Edelman Trust Barometer Tech Sector Report テクノロジーに対しての信頼

    も、コロナ前のポイントから 12ポイント低下して56ポイン トに。
 
 

  10. オープンガバナンスの時代 透明性 参加 協働 情報公開 政策形成プロセスの公開 意思決定根拠の公開 選挙以外の参加機会 納得感のある語りかけ 多様な世代の参加

    ともにつくる 多様な主体との協働 課題を公開し問いかける
  11. デジタル時代の市民エンゲージメント
 11

  12. デジタルな市民エンゲージメントツールが注目されている
 12 コロナ禍において、議会傍聴、募金 活動、集会や公聴会、ワークショッ プといった機会が制限され、市民と 公共の間の関係性向上や、新たな 市民のイニシアチブの創出などの 活動に支障がでてきている
 特に新たな関係づくりが難しく、デジ タルな市民エンゲージメントツール

    が注目されている
 
 https://civichall.org/civicist/next-generation-engagement-pla tforms-and-how-are-they-useful-right-now-part-1/
  13. パブリックコメントとの違い
 13 政策実現までのプロセ スを明示し、政策の初 期段階から成立までを 公開、雑多なアイデアを 集めるフェーズから 徐々に精緻化していく 過程に市民を巻き込ん でいく形を取ることが多

    い。
 成立過程で、対立する ステークホルダーの意 見を可能な限り集める ための工夫も。
 https://civichall.org/civicist/next-generation-engagement-platforms-and-how-are-they-useful-right-now-part-1/
  14. 
 
 バルセロナやヘルシンキ などで使われている参加 型民主主義プロジェクト。 政策に関する意見収集の 他、参加型予算編成や市 民発の協働草案づくりな ど、様々な機能を備える
 代表的な市民エンゲージメントツール


    14 decidim
 
 
 decidim同様、政策づくりや市 民提案、参加型予算編成な どの機能を備える。
 プラットフォームの開発を主 導したマドリッド市議会始め、 欧州、南米で多く使われてい る
 
 
 台湾のシビックテックコミュ ニティ、g0v が手動して開 発。CONSULやdecidim と 違い、様々なツールをつな ぎ合わせて活用するプラッ トフォームとなっている。
 decidim
 CONSUL
 vTaiwan

  15. Decidimについて
 Decidimは、「我々で決める」を意味するカタルーニャ語 にちなんで、 2016年にバルセロナで誕生 したオープンソースの参加型民主主義プ ラットフォームです。このソフトウェアは、さまざまな方法で ボトムアップ の参加をオンラインでサポート します。
 バルセロナで2016年にスタートしたのち、

    世界各地に広がり、スペイ ン、フィンランド、台湾などをはじめとして180以上の組織、32万ユー ザー、160以上のプロジェクト が立ち上がっています。
 日本においては、2020年10月に兵庫県加古川市で初めて導入 され、 以来横浜や兵庫県のプロジェクトをはじめ、国のスマートシティガイド ブック策定にも用いられたほか、民間部門の取り組みでも活用がはじ まっています。
 15
  16. decidim の歩み
 16 source: https://www.oidp.net/docs/repo/doc827.pdf 
 一つの参加プロセス 
 複数の参加プロセス 


    議会や専門家会議、市 民運動との連動 
 複数組織の 
 マルチテナント利用 
 政治的なコミュニティ 

  17. Decidimの特徴
 オンライン・オフラインを融合させた
 熟議のためのプラットフォーム
 • オフラインでのやりとりをDecidim上での共有し、 
 集約することで、透明性の向上を実現する 
 • 情報共有により意思決定を進めるプロセス設計

    
 • 言い合いではなく、積み重ねる議論を可能とするユー ザーインターフェース 
 • 参加することでまちへの解像度が上がる 
 • 多様な人が参加できる開かれたシステム 
 
 戦略立案
 参加型予算編成
 住民参加型
 計画立案
 署名活動・
 市民相談受付
 討論
 コミュニ
 ケーション
 Decidimが備える機能
 17
  18. Decidimの利用イメージ ※意見募集を例に
 Decidimが用意する機能を利用して、参加者がコミュニケーションする場を設定していきます 
 ①場の設計
 ②管理画面で設定
 ③ページ公開
 ④参加者同士の
  コミュニケーション 
 ⑤意見集約内容をDecidimに投稿

    
 オ
 フ
 ラ
 イ
 ン
 オ
 ン
 ラ
 イ
 ン
 リアル開催のワークショップ 
 も実施することが有効です 
 18
  19. Decidim導入事例
 兵庫県加古川市(2020年10月〜)
 日本初導入。地元高校生も含め200名が参加し、約300のコ メントによりスマートシティ構想の策定に活用。
 内閣府等(2021年1〜3月)
 スマートシティガイドブック策定に際して現場の取組事例・課 題・知見などを収集し、ガイドブックに反映。
 官民問わず幅広い分野でのコミュニケーションプラットフォームとしての活用がはじまっています 
 19

  20. Decidim導入事例
 他の導入事例(予定含む)
 • コロナ禍において、自治会役員との懇談会を オンライン化するとともに多様な住民の意見 収集を図る
 • 都市部におけるまちづくりプロジェクトでの活 用
 ◦

    大学生のフィールドワーク調査を集約しオンラインで ディスカッションする場として運営 
 ◦ コミュニティFM番組とのWebコンテンツを連動させるメ ディアミックスのフロントページとして活用 
 • 参加型展覧会での利用
 兵庫県(2021年3月〜)
 県ビジョン策定に向けて、将来構想試案・骨子案にそれぞれ に対する意見を聴取していく予定。
 官民問わず幅広い分野でのコミュニケーションプラットフォームとしての活用がはじまっています 
 20
  21. 加古川Decidimイベント一覧(2020年度)
 スマートシティ構想策定に際し、オンライン・オフラインを組み合わせて議論
 10月 11月 12月 1月 2月 3月
 オンライン
  アイデア収集


    意見収集
 
 
 オフライン
 • 地元高校ワークショップ 
 • 市民参加ワークショップ 
 パブリック
 コメント
 構
 想
 策
 定 議
 会
 報
 告 21
  22. Decidim活用に関する加古川市の考え方
 岡田市長(写真右)
 
 • コロナ禍でオンラインを活用するタイミング 
 • SNSもやっているが、市政に関心を持っている人 としかつながれない
 •

    最初はパブコメの拡大版として始め、まずはいろ んな声を拾っていきたい
 
 22
  23. 加古川市版Decidimの概況 2021年1月5日現在 (68日間)
 登録者数
 196
 10代参加者
 約4割
 
 コメント総数
 261
 市内:市外参加者


    40:60
 
 最大コメント数
 39
 スマホアクセス
 60%
 
 23
  24. 登録者数の推移
 10月30日公開
 11月27日
 アイデア収集 フェーズ終了
 11月21日
 オフライン
 ワークショップ
 12月18日
 意見収集


    フェーズ終了
 12月7日
 意見収集
 フェーズ開始
 24
  25. コメント数の推移・時間帯別(平日・土日祝)
 10月30日公開
 11月27日
 アイデア収集 フェーズ終了
 11月21日
 オフライン
 ワークショップ
 12月18日
 意見収集


    フェーズ終了
 12月7日
 意見収集
 フェーズ開始
 25
  26. 時間帯別コメント数(平日・土日祝)
 191
 
 
 
 70
 コメント数 26

  27. ユーザー地域属性と閲覧時間の関係
 ※Googleアナリティクスより(地域正確性が不明確とされる大阪、横浜、東京23区などは除外している) 
 2020年10月30日〜2021年1月5日 
 尼崎市
 三木市
 明石市
 神戸市
 姫路市


    加古川市
 27
  28. コメント数の多かったもの
 GIGAスクールの推進(デジ タル教育)
 
 • 最大コメント数
 39を記録
 • 高校生らしき参加者か ら質問・意見


    災害に強いまちづくり
 
 
 • 提案型の投稿が多い
 • 他のコメントを見て投 稿する人がある(投稿 したい層が多数いる模 様)
 
 にぎわいのあるまちづくり
 
 
 • オフラインワークショップ 後に、それを発展させる 意見が多く寄せられる
 28
  29. 印象的なやりとり
 (おそらく)在校生の主張と感想
 29

  30. 印象的なやりとり
 GIGAスクールの推進に関して、
 アイデア収集フェーズで多数意見が
 寄せられる
 
 
 
 「視力への負担軽減策や子どもたちの 
 健康面に配慮した環境整備」について

    
 基本方針へ反映
 30
  31. 印象的なやりとり
 役所目線と市民目線の出会い
 高齢者をサービス提供先と見るか社会参加の主体と見るか
 31

  32. 印象的なやりとり
 いわゆるカタカナ言葉の多用に関する市民感覚
 32

  33. 現時点での所感
 33 • やりとりの特徴
 ◦ 当初は参加者同士のディスカッションは一部にとどまり、議論が深まっている感じがあまりなかったが、オフラインWS 後に活発な意見が出てきたテーマもある
 ◦ アジェンダに対する情報提供方法
 ▪

    数値や根拠を示す必要があるが、説明しにくい
 ▪ 参考資料の提示はあるが、そこから何を読み取ればいいか不案内
 ◦ 「いいね!」ボタンの使い方が浸透していない
 回答に対する感想「いいですね!」「がんばってください!」といったものやコメント内に記載するケースの方が多い
 • 入力コメントが長くなる傾向
 ◦ 自分の意見を丁寧に書こうとする姿勢が見受けられる
 ◦ 書き方のテンプレート(見出し・強調など)があれば、読みやすいのではないか
 • いわゆる「荒らしコメント」は、ほぼない 
 ◦ 連続投稿などはあるものの、「通常のやりとり」がなされている分、一定の抑止効果があるものと推測
 

  34. 34 今期はより具体的な政策への意見を公募中


  35. 今後の課題
 35 • 参加者数をどう増やすか
 ◦ バルセロナ市の自治体行動計画(PAM)の提案書を提出するプロセスには、12万人(バルセロナの人口の7.5 %)が参加した。
 ◦ あまり人数が少なすぎると意見の質も上がらないだけでなく、ここで決まったことをそのまま政策にしてよいの か?という反対に繋がる


    • 職員側の負担感
 ◦ やる気のある職員に依存している状況。現場の職員にとって良い体験を積み重ねる必要がある。 
 • ワークショップからの意見をプラットフォームにシームレスにつなぐ工夫 
 ◦ アウトリーチ及び意見の質を高めるためにも、ワークショップは重要。そこで出た意見を、オンラインプラット フォームに取り込む最適解を模索中 
 • 市民発の意見を政策に落とし込む方法 
 ◦ 雑多な意見がありすぎていたり、荒れている状態の意見はそのままでは政策にはならない。職員が取りまとめ られると良いが、職員も忙しい。市民側である程度論点整理できると、より市民ニーズを取り入れた政策ができ るのでは。(党派を超えた市民ロビイングの可能性) 
 

  36. vTaiwan(台湾)
 36 • vTaiwanのプロセスは2014年の台 湾のひまわり抗議運動をきっかけに 生まれた。 • この活動家コミュニティは、著名な ハッカーであり、g0vコミュニティのメ ンバーでもあるAudrey

    Tangを、台 湾の執行内閣のデジタル大臣に任 命したことで、正式な権力を獲得し た。 • 台湾政府の各省庁はvTaiwanプロ セスを選択することができ、UberX の規制やアルコールのオンライン配 信などをめぐる対立に対処してき た。
 Source: https://civichall.org/civicist/vtaiwan-democracy-frontier/
  37. • ある論点に対して、賛成/反対/中立 を投票する ことができる • 反対意見がある場合、コメントをするのではなく、 新たな論点を作って Pol.is に投稿する •

    多様な視点からの論点が出て、参加者全体とし ての賛成/反対の傾向が可視化される • AIを使ったクラスタリングを行い、意見の多様性 を可視化することができる • 意見の多様性を可視化する Pol.is 
 37 Source: https://civichall.org/civicist/vtaiwan-democracy-frontier/
  38. • Uber が台湾に参入しようとした時に、タクシー事業者が大規模なデモ活動を行い、政 府は規制についてのありかたを検討するためにvTaiwanを利用した。 • 「最低料金を値下げしてはならない」、「アプリベースのライドサービスは、路上ではなく アプリから派遣された乗客だけをピックアップしなければならない」、などの規制がコン センサスとなった。 • 決定はその後政府機関に送られ、政府側で文章化を行い、明確化のために元の請願

    者にフィードバック、法的な実行可能性を検討した。 • このケースでは、一連の規制に31,115票が投票され、すぐに政府によって採用され た。 • 同様のプロセスは、台湾のAirbnb規制や、電動スクーターの規制、リベンジポルノに 関する罰則などにも活用された。 38 UberXの規制の事例
 Source: https://civichall.org/civicist/vtaiwan-democracy-frontier/
  39. • 議会や有識者会議といった従来の仕組みもプロセスに組み込んでいる ◦ 出口がしっかりしている • ワークショップや対面討議の場をうまく活用している ◦ decidim では、オフラインやオンラインのミーティングを開催する機能や、その議 事録を掲載する機能がある

    ◦ vTaiwan では、毎週オープンに開かれているミニハッカソンで、誰でもオープンに 意見が言えるようになっていて、議論の内容はHackPad で常に共有される。ま た、リフレクションステージでもステークホルダーとの討議の機会を頻繁に作って いる 39 vTaiwan、decidim ともに共通していること

  40. 40 議論を高度化するためのAI活用
 多様な人が意見を出し合う場での 合意形成は難しい。
 オンラインで議論が展開されれば、 オフラインでのワークショップよりは AIが扱いやすくなる。(テキスト化さ れており、非同期に議論できる)
 AIであれば、認知的不協和や意思 決定バイアスを指摘しやすい


  41. 投票に必要なコスト例
 41 その他のテクノロジー
 • Liquid voting
 ◦ トピックごとに、投票権を信頼する人に託 すことができる投票方式 


    
 • Quadratic voting
 ◦ それぞれが保有するポイントの範囲で複 数投票ができるが、同じ候補に複数票をい れる場合は、票数の2乗のコストを支払う 必要がある
 ◦ 単純な多数決と違い、投票者は自分の投 票を多くの課題に分散して使うことで、より 効率的に投票を行うことができる。 
 ◦ 台湾の総統杯の投票で使われている 
 http://liquidvoting.io/ が decidim に対応
 台湾のPDISがオープンソースで公開 https://github.com/PDIS/quadratic-voting-fron tend 

  42. 42 日本政府によるアイデアボックス
 政府においても、国民から広 くアイデアを募る「アイデア ボックス」を運用中
 6月12日現在で6244人が登 録し、7091のアイデアが投稿 されている。
 他のツールとの違いは、政 策実現までのプロセスが明

    示されていない点

  43. まとめ(という名を借りた所感)
 民主主義のデジタルトランスフォーメーションとは?
 信頼関係を生むためにも、オープンなガバナンスが必要
 市民/国民の声を聞き、やり取りを健全化するには、ただ声を聞くだけでなく、参加者の 意見が整理されるためのプロセス定義やユーザ体験の向上が必要
 オフラインコミュニケーションを軽視するのではなく、オフライン/オンラインの融合も必 要。
 官僚、市民、それぞれに対して提供すべきUXとはどのようなものか?
 43 連絡先


    hal@code4japan.org