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日本のデジタル・ガバナンスとシビックテックの未来

 日本のデジタル・ガバナンスとシビックテックの未来

日本学術会議公開シンポジウム「地方におけるデジタル・ガバナンス―政治・行政・民主主義のアップデートに向けて」で発表したスライドです。

日本のシビックテックや、Decidim を通じた地域住民参加などについて解説しています。

01 シビックテックとは?
02 Code for Japan とは
03 「わたし」から始まる Make our City
04 Plurality: 多様性と民主主義のためのテクノロジー活用

Haruyuki Seki

March 04, 2023
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Transcript

  1. © Code for Japan 自己紹介   2 関 治之 Twitter: hal_sk

    シビックハッカー オープンソース好きなエンジニア 所属 • Code for Japan Founder • デジタル庁 シニアエキスパート(シビックテック) • 株式会社HackCamp CEO • 合同会社Georepublic Japan CEO 他 • 東京都チーフ・デジタル・フェロー • 浜松市 フェロー • 岡山県西粟倉村 最高情報戦略監(チーフ・インフォメー ション・オフィサー) • 山口県 CIO補佐官 • 香川県 かがわDX Labフェロー • 大阪府枚方市 DXフェロー • 三重県 みえDXアドバイザー • 総務省 地域情報化アドバイザー • 内閣官房 オープンデータ伝道師
  2. © Code for Japan 3 目次 01 シビックテックとは? 02 Code for Japan

    とは 03 「わたし」から始まる Make our City 04 Plurality: 多様性と民主主義のためのテクノロジー活用
  3. © Code for Japan オープンにつながり社会をアップデートする 5 シビック(市民) × テック(技術) 市民・民間企業・教育機関や行政の垣根を

    越えてアイデアを出し合い、自身のスキル を生かしながら参加する。 Who 市民(Civic) What 困りごと解決・アップデート Where 暮らしているまちなど How 技術(tech)を活用しながら シビックテックの特徴 垣根を越えた オープンな繋がり アイディアと ノウハウの蓄積・共有 シビックテックのアプローチ 社会課題 企業 大学 NPO テクノロジー活用 データ活用・場づくり 行政 市民 コミュニティ化 プロジェクト化
  4. © Code for Japan プロトタイプ(prototype) 後での改良を見込んで、その仕事をする大筋としてつくる 最初の模型 プロトタイピング(prototyping) 最初から完成品を目指すのではなく、不完全であることを 許容しながら、都度フィードバックをもらい、軌道修正し

    ていく開発プロセス 7 プロトタイプ開発 アイデアを共有 企画立案 マッチング・リソース 調達 チーム構成 オープンな議論の場で 意見交換 オープンな対話 アイデアを具体化し フィールドで実証実験 プロトタイピング 社会実装へ • ビジョンを共有しながら仲間を募ることが可能 • 早い段階でフィードバックをもらうことができる • つくる側とユーザー(実社会)とのギャップや認識のズレに気付きやす い
  5. © Code for Japan 10 地域の中で活動するコードフォー コミュニティ。 90以上のコミュニティが活動して おり、規模や活動テーマ、活動内 容は様々。

    ブリゲードは独立した団体とし て、各ブリゲードの自主性に基づ いて様々な活動をおこなう ブリゲードコミュニティ
  6. © Code for Japan 11 コミュニティ • ハッカソン・アイデアソンなど のワークショップ実施 •

    ブリゲードとの協働 • NPOや社会起業家の支援 3つの活動領域 GovTech • 行政の透明化 • 行政のDX支援 • 様々な主体との接続 Make our City • 参加型まちづくりの推進 • 市民合意形成PFの提供 • オープンソース都市OS開発
  7. © Code for Japan 13 Make our City わたしから始まるまちづくり 誰もがアイデアを実験できるオープンなプ

    ロセスを作ることで、多様な人々がまちを よくするために活動ができ、仲間を集めら れる状況をつくるプロジェクト 市民合意形成ツールの提供やワークショッ プの実施、オープンソースの都市OSなどを 提供中 Decidim 市民ワークショップ データ連携基盤 ウェルビーイング指標 アイデアを投稿する 企画立案 マッチングと資金調達 チーム構成 オンライン・オフラインで オープンな議論の場 オープンな熟議 アイデアを具体化し 都市をフィールドに実験 プロトタイピング 社会実装へ
  8. © Code for Japan 市民中心設計 14 ex. Human-centered government (by

    Code for America) • 人を第一に考える Put people first • 平等なシステムの構築 Build equitable systems • 行動する力を与える Empower for action • エビデンスに基づく情報提供 Inform with evidence • 継続的な改善 Improve continuously
  9. © Code for Japan Decidimについて ボトムアップの参加をオンラインでサポート バルセロナから世界各地に広がり、スペイン、フィンラン ド、台湾などをはじめとして180以上の組織、32万ユー ザー、160以上のプロジェクトが立ち上がっています。 日本における展開

    日本においては、2020年10月に兵庫県加古川市で初めて導 入され、現在では国・自治体・民間部門での活用がはじ まっています。 https://decidim.org/ja/ Decidimは、「我々で決める」を意味するカタルーニャ語にちなんで、2016年にバルセロ ナで誕生したオープンソースの参加型合意形成プラットフォームです。 15
  10. © Code for Japan 16 さまざまなDecidim スペイン・バルセロナ市 • 18テーマ・100件の市民参加プロセ スが設置され、市民エンゲージメン

    トのプラットフォームとして定着 • 参加者は約15万人、コメント総数 34万件 • 参加型予算に、約7万人が参加 ◦ 最終的には4万人が2,000件の 提案に対して投票し、合計20 万票により800件を採択 • リアルの空間で随時ワークショップ や登録受付をしている
  11. © Code for Japan 17 さまざまなDecidim アメリカ・ニューヨーク市
 • 25コミュニティ単位で参加型予 算編成プロセスを実施

    • 9〜24歳の「若者」が参加でき、 アイデアの提出・投票権を付 与。投票には、紙の投票用紙・ 電話投票の手段も • 回答者に抽選で50ドルギフト カードが贈られるニーズ調査を 実施するなどアイデアを実装す るプロセスを運営
  12. © Code for Japan 18 さまざまなDecidim • 880万€の参加型予算編成プロセス。市民から1,463件の提案を397の政策案にまとめ、 有権者は12歳以上。47,064人が投票し(投票率8.1%)、75件を採択 •

    身近なまちづくりへの予算措置として、代表制民主主義と相互に補完するもの 進捗の公開 フィンランド・ヘルシンキ市
  13. © Code for Japan 19 さまざまなDecidim スイス・チューリッヒ市
 • 市内67地区内のネットワーキン グと住民との交流のための共通

    のプラットフォームとして試行 • メンバーの自己紹介、イベント 宣伝、ブログ運営、アンケート 実施、ニュースレター発行など 地区協会の取り組みを紹介 • 地区の住民は、地元や周辺の 様々な情報をワンストップで見 つけて、直接問い合わせること ができる
  14. © Code for Japan 20 日本のDecidim事例 官民問わず幅広い分野でのコミュニケーションプラットフォームとしての活用がはじまっています。 https://meta.diycities.jp/assemblies/hereandthere • 計画策定プロセスへの適用

    パブリックコメントに追加する形で、市民同士 ・市民ー自治体のコミュニケーションの場とし て運用 • 多様で個別のニーズを反映する仕掛け (例)兵庫県加古川市    - 地元高校生が多数参加し、これまで     とは異なる層にアプローチ - 高校生の意見がコメント全体に変化     をもたらす    - オンライン・オフライン双方での対     話により計画を策定 パブリックコメントのアップデート
  15. © Code for Japan 21 日本のDecidim事例 官民問わず幅広い分野でのコミュニケーションプラットフォームとしての活用がはじまっています。 https://meta.diycities.jp/assemblies/hereandthere • 公共空間等のプレイスメイキング

    まちの広場や公園などの公共空間等について、管理者と参加者が利用ルールの整備・活用を協働して行う ボトムアップでの特徴あるアプローチ まちの公園・広場     歩きやすい駅前
  16. © Code for Japan 22 日本のDecidim事例 官民問わず幅広い分野でのコミュニケーションプラットフォームとしての活用がはじまっています。 https://meta.diycities.jp/assemblies/hereandthere • デジタルシチズンシップの展開

    (例)福島県西会津町    - アントレプレナーシップ教育で中学生がまちづくりを提案を行い、大人たちと連携して実装を目指す (例)兵庫県加古川市    - 高校生が企業プロボノ・市役所職員 のサポートを受け、市長に政策提案、実証実験を実施 ボトムアップでの特徴あるアプローチ
  17. © Code for Japan 23 日本のDecidim事例 官民問わず幅広い分野でのコミュニケーションプラットフォームとしての活用がはじまっています。 https://meta.diycities.jp/assemblies/hereandthere • 地域運営組織での活用

    (例)京都府与謝野町    - 500人規模の集落での活用    - 自治会とのワークショップで出た アイデアを具体化    - 自治会役員を管理者とするページ     を役場Decidim内に開設 ボトムアップでの特徴あるアプローチ https://yosano.makeour.city/assemblies/kanaya
  18. © Code for Japan 24 日本のDecidim事例 https://meta.diycities.jp/assemblies/hereandthere 民間セクターが主体になり、複数地域が利用するプラットフォームとしての活用も進んでいます。 • 民間企業による複数地域での展開

    まちづくりのプロジェクトの共通プラット フォームとして横展開する事例が登場 (東京都渋谷区・長野県信州地域) 民間主体での取り組み https://shibuya-goodtalk.diycities.jp/ https://shinshu-goodtalk.diycities.jp/
  19. © Code for Japan 25 日本のDecidim事例 https://meta.diycities.jp/assemblies/hereandthere 民間セクターが主体になり、複数地域が利用するプラットフォームとしての活用も進んでいます。 民間主体での取り組み •

    共創型人材の育成プラットフォーム 阪神間で産学官民協働を推進するための共創型 人材育成研修において、プロジェクト管理ツー ルとして活用し、共創体験を見える化
  20. © Code for Japan 26 日本のDecidim事例 https://meta.diycities.jp/assemblies/hereandthere 民間セクターが主体になり、複数地域が利用するプラットフォームとしての活用も進んでいます。 民間主体での取り組み •

    リビングラボやチャレンジショップの共創プロジェクト 企業が開設するリビングラボや中心市街地の賑わい創出のためのチャレンジショップの参加メンバー募集や 共創のプラットフォームとして運営 https://shirahama.mygroove.city/ https://sukagawa.mygroove.city/
  21. © Code for Japan 27 日本のDecidim事例 https://meta.diycities.jp/assemblies/hereandthere 同一テーマでのアイデアを地域横断的に共有するプラットフォームとしての活用も検討されています。 • 気候市民会議のプラットフォーム

    無作為抽出等によって選ばれた市民が、気候変 動対策について話し合う会議のポータルサイト 同一テーマでの共同利用案 • 大阪・関西万博を見据えた教育活動 SDGsについて学び、万博への理解を深める 学校教育活動の横断的なポータルサイト ※フランスでの気候市民会議Decidimサイト
  22. © Code for Japan デジタル参加プラットフォームを取り巻く課題 ・代表性  プラットフォーム上に参加する人たちは一部の人の意見では? ・意見集約  どのように多様な意見を集約させていくのか?合意形成はできるのか? ・行政側の対応コストや能力

     一つ一つに返信をしていったり、ファシリテーションをする労力に見合うか? ・ポピュリズムの危険  いいねが多い意見が本当に正しいとは限らない。ただし、民意は無視できない ・参加者のリテラシーやアウトリーチ  参加してもらう事自体にハードルがある。 28
  23. © Code for Japan 参考:Social Media を使った参加型ダイアログの課題 1. どのように広く広報するか (受信者をいかに増やすか)

    2. 受信者から意見が発信されるには どうすればよいか(受信者→発信 者への変換) 3. 参加型ダイアログの政策決定過程 での位置づけをどうするか 4. 多様な意見が出るようにするには どうすればよいか 5. 多数の意見が出たときにこれをど のように処理するのか 29 引用:オバマのオープンガバメントの意味するもの(奥村, 2010) https://www.murc.jp/report/rc/quarterly/quarterly_detail/201004_51/ 6. 議論を深め整理し、まとめていく ことは可能か 7. ファシリテータと議長の機能の違 い 8. 関連情報のわかりやすい出し方 9. 参加者の構成問題
  24. © Code for Japan PLURALITY: 一元論、二元論ではな く、多元論。多様で民主的な社会を示 すスローガン。 ブロックチェーン、DID(分散ID)、 Quadratic

    Voting/Funding、AI など のテクノロジーを利用してPluralism (多元主義)を実現する民主的な社会 を志向する運動が勃興してきている デジタル分散主義の一つとしての運動 協働可能な多様性と民主主義のためのテクノロジー 31 https://www.radicalxchange.org/media/blog/plurality-technology-for-collaborative-diversity-and-democracy/
  25. © Code for Japan Plurality Tokyo を開催します ETH Tokyo Globalで世界中から集まるPluralityに関して実験をおこなっているさ

    まざまな分野のリサーチャーや開発者、テクノクラート等と共に、持続可能的か つ活発なコミュニティを形成することを目的としたイベント • 日時   :4月12日 15:00-22:00(予定) • 場所   :渋谷 スマートニュースオフィス(予定) • 参加費用 :無料 • 参加人数 :100名(見込み) • 想定参加者:ETH Global Tokyoの参加者、テクノクラート、開発者、研究者 32